ノーブル学園女子寮。東せいらと西峰あやかが、はるかたちから話を聞いていた。
「聞かせてほしいな、先日のパーティーの話!あたしたち行けなかったんだよなぁ」
「みなみが優くんを選ぶってのは予想できてたけど,詳しく知りたいわ」
「わ、わかりましたっ!」
・・・・・・・
海藤リゾートの海岸…の東にある岩場。優は1人悩んでいた。
「…………僕は、どうすれば………」
一方海岸ではみなみが悩ましげな顔で海を眺めていた…
(お兄さまから身の振り方を決めておけと諭されたけど...私には愛や結婚なんてわからないわ)
優とみなみはそれぞれ悩んでいた。
なぜこうなったのかと言うと………
数週間前……
「みなみの許嫁は僕だ!」
「は、はあ…………」
留学していたが一時戻ってきたみなみの幼馴染……らしい御曹司、伊集院キミマロが、優に決闘を申し込んだのだ。結果は優の圧勝であった。
その話が他の御曹司たちにも伝わり(勝敗は伝わっていない)、彼らもみなみとの婚約を目論みだした。
日々浴びせられる熱烈アプローチに辟易した様子のみなみを見かねたわたるが、みなみの婚約者を決めるパーティーを催すことにしたそうだ。
「.......不安です」
「しゃんとしな!男でしょ?」
不安を感じる優をきららが背中を叩いて励ました。
御曹司たちは(あんなナヨナヨした男になら勝てる)と思っているようで優を見ていた。
まだ緊張が解けていない優にキミマロが話しかけた。
キミマロ「キミも来ていたとはね。まあ、せいぜい頑張りたまえ。みなみの花ムコに相応しいのはボクだけどね」
そうこうしているうちに選考会が始まってしまった。
『第1問!海藤みなみのトキメクものは?正解だと思う方に入ってください』
A 流しそうめん
B キャビア
(確か、はるかさん達と一緒に流しそうめんをした記憶があります……みなみさんも夢中でそうめんをとってましたね)
優は流しそうめんの方に向かった。
第1問の正解は流しそうめんだ。1回戦突破でホッとした優。
なお、キミマロは1回戦敗退という事態になったようだ。
「大口叩いといて一回戦落ちかよ...」
「口だけは立派だな」
「…好きな子の好きなものも分かってないなんてな」
キミマロは対尊に誘われ観に来ていた零たちにボロクソに言われてしまった。
その後もなんとか勝ち残った優。優を含めて4人に絞られたようだ。
みなみは4人の候補者に.....
「幾ら家柄の良い方々であっても、お人柄を知らぬまま婚姻はできません。.....わたしに愛を教えてくれた方を伴侶とします。」
1人目には1番輝く愛を
2人目には1番尊い愛を
3人目には1番熱い愛を
優には真実の愛を
それぞれ自分に示すよう伝えた。
「まるで現代版かぐや姫だねー」
「まあいいか...みなみの意志も尊重しようか」
「優くん以外にはまず無理な難題出してきたな」
「優はみなみさんの心をどう盗む…?」
みなみが出した最終試練に、きららがツッコミを入れた。わたるもみなみの意思を尊重しようと許可する。
海岸。優は悩んでいた。
「…………僕は、どうすれば………」
「ウジウジ悩むならオレがもらっちゃおうかな」
「なっ!?」
「キミマロにも御曹司にも勿体ねぇ。優もウジウジしてるし。だったら俺が貰う。襲っちまってもかまわねぇよな?」
「…みなみさんは僕が守ります」
「それならやることは一つじゃあねえか?」
優は尊に挑み掛かる。尊はノーガードで優の攻撃を喰らい続けた。そして、尊へ渾身のアッパーを喰らわせダウンさせる。
優は会場に向けて走り出した。
会場。制限時間が来た為、御曹司たちは自慢の品々を運んできた。
一番輝く愛を示すよう言われた御曹司は、金銀財宝を見せた。
御曹司A「みなみさんに相応しい一番輝くもの!どうぞ!美しく飾られ、光り輝くあなたが最高です!」
一番尊い愛を示すよう言われた御曹司は珍しい青い薔薇を見せた。
御曹司B「どうです?この類まれなる青きバラ!これこそ高級の尊さ!希少価値あるあなたに相応しい!」
一番熱い愛を示すよう言われた御曹司は、源泉を見せた。
御曹司C「一番熱きものはこれだあーっ!わが家が誇る超一級源泉!」
御曹司たち「「「どうです?」」」
御曹司A「この輝き!」
御曹司B「この尊さ!」
御曹司C「この熱さ!」
御曹司たち「「「あなたに極上の愛をささげます!」」」
「金だけの物で人の心を落とせると思ってるとは、とんだお笑いだな」(ボソッ
そんな彼らを見て零はボソリと毒づいた。
残りは真実の愛を示すように言われた優だ。
優は何も用意しなかった。スーツはボロボロ,メガネもない。
その代わり、優は自分の、みなみへのありったけの想いを叫んだ。
「みなみさん、…………僕にはなにもありません。金銀財宝を用意することも出来ませんし、青い薔薇や、超1級の源泉を持ってくることはできません。でも、あなたを想う気持ちだけは誰にも負けません!僕はみなみさんに降りかかるあらゆる災を跳ね除け守り抜きます!あなたに僕の全てを捧げます!」
「優……………嬉しいわ」
みなみの反応は先の3人のときとは全く違っていた。それを見たわたるはみなみを任せる人を決めたようだ。
「………どうやら、みなみの相手は決まったようだね」
優の隣にみなみが立った。そしてみなみが宣言する。
みなみ「私は、この方……庭瀬優を伴侶とすることを決めました」
御曹司たちはざわつくも、
「…………みなみさんは彼に託すべきだ」
「みなみさんがこんなに尊い表情を浮かべているのは彼が隣にいるからだろう」
「悔しいが完敗だ。熱い想いを感じたぜ………あの熱には勝てねぇな」
最後に残った3人は優とみなみを認めていた。
その後、屋外テラス。
「…………あの……すみません……言葉がうまく纏まらなくて、あんな長い話を………それに、ボロボロでみっともない格好を見せてしまいました」
「いいえ、とても嬉しかったわ。むしろもっと早く言って欲しかったくらい」
「っ!」
「これからよろしくね、旦那様」
みなみは一言告げると、優に笑顔を向ける。優は赤面した…
「いつつ…強くなりやがって。頼もしいぜ」
尊は浜辺を眺めながらレモンスカッシュを飲んでいた。そこに優が現れて話しかける。
「兄さん」
「お、優」
「ありがとうございました。兄さんのおかげで覚悟が決まりました」
「あの選考会行った時点で覚悟は9割決まってたと思うぜ?…さて優。みなみちゃんとはキスしたのかね
「キ、キス!?まだ早いですよ!結婚するときまで…」
「おそぉい!遅すぎるッ!ええじゃないのキスの一つくらい!キスで妊娠するわけじゃないんだからさぁー」
「みなみさんが嫌がるかもしれないじゃないですか」
「そこはオメー、ブレスケアと歯磨きよ。あとはそうだなー…夕陽の海岸でロマンティックに…」
その会話をたまたま聞いていたみなみは、顔を真っ赤にしていた…
「ま、優と、キ、キス…」
・・・・・・・・
「って感じです」
「優クンやるじゃん!」
「真っ直ぐな気持ちがみなみの心を射抜いたのね」
興奮しながらさらに話そうとするはるかの背後にみなみが立つ。
「はるか…」
「み、みなみさん!?ごめんなさい!?」
「…優との話なら私がするわ。優のかっこいいところ,もっと知ってるもの」
みなみもまさかの参戦となった…