【書籍化】配信に興味ないダンジョン配信者は今日も配信する   作:もけねこ

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前話感想で鬼灯が酒って言われてて笑いました。


配信に興味のない私とハイオークのカツ丼

 

「さ、味は分かったし、これからカツ丼にするよ」

「ご飯炊きますわね」

「汁物作るね!」

 

 "さあ、飯テロのお時間です”

 "ハイオークのカツ丼か”

 "あれ、彩音さんじゃないんだ米”

 "カナさんの分担になったんだそれ”

 

 味見が終わったので、料理を作り始める宣言をしたところ、2人からも同様に宣言が。こういう冒険っていいよね……一人で冒険するのも楽しかったけど、やっぱりパーティで冒険する方が楽しいなって思う。一人じゃないとできないこともあるけど、それを差し引いてもね。こういう時にレスポンスがあるってだけで楽しさが違うよね。

 そのことを噛みしめていたら、違和感があることに気が付いた。

 

「……? 分担変えたんだ?」

「うん、私がどうにも汁物欲しくなっちゃって。お味噌汁とか」

「その間、わたくしが炊くことになりましたが……正直初めてですので、出来栄えの方はご容赦を」

 

 "確かに汁物ないな基本”

 "飲み物も前まで水オンリーだったもんな”

 "お台場で作ってたもんね”

 "今回も出汁から取るのかな?”

 

 なるほど、そういえば前の時も作ってたもんね、汁物。あの時の海鮮だし味噌汁は美味しかったな……今回は流石に出汁を取るつもりはないみたいだけども。私もどうすればいいかわからないしね、オークのだしの取り方とか。絶対時間かかると思うし。

 いつか、オークの骨で出汁取って豚骨ラーメンでも作ってみようかな。ブレイクレッグで鶏ガラとかも出来るし……あれ? 意外と色々作れそうだぞ?

 それはともかく、花奈さんは土鍋でご飯を炊くのが初挑戦ってことで失敗するかもって心配してるみたいだけど、そんなものは楽しみの一つでしかないよ。

 

「それも楽しみだよ。キャンプみたいなものだし」

「キャンプなんだ……」

「もう開き直ることにした。否定できる要素ないし……」

 

 "まあ、キャンプだよな?”

 "今更か?”

 "場所を除けばキャンプなのよねマジで”

 "場所がおかしいんだけどな”

 

 うん、もう開き直ることにしたんだ。これはデイキャンプなんだ。ちょっと人気のないところに複数人で行って、運動したり、ご飯を食べながらおしゃべりしたりして帰る。そういうものなのである。どう考えてもデイキャンプだよねこれ。

 でも、これが私の冒険だ。波乱万丈な冒険譚とは全く違うけど、とっても大切で楽しい冒険。失敗だってスパイスである。しないことに越したことはないけどさ。食中毒とか大変だしね……

 

「そういえばさ、鶏肉はどうするの?」

「あー……考えてなかったな……」

 

 "両方食うのか…?”

 "そんなに食える?”

 "アヤネさんなら、アヤネさんなら何とかしてくれる…!”

 "アヤネさんに襲い掛かる理不尽でもない期待!”

 

 ちょっと厚めに切って豪華なカツにしよっかなーなんて考えていたら、彩音さんから疑問を投げられてしまった。あくまでもメインはハイオークであって、ブレイクレッグキングはおまけだったから、本当に考えてないんだよね。夕飯は可能ならオークジェネラルとオークライダーにしようかなとか考えてたしさ。

 そうなると、夕飯のメインをブレイクレッグキングにしようかな? それだとうまいこといけそうだしね。そうしようかな。メニューに関してはこれから考えればいいし。いつも通り野菜とか調味料の類は大抵用意してあるしね。

 そんな感じで鶏肉の扱いと夕飯のメニューについて考えていたら、花奈さんから提案があった。

 

「では、以前おつくりになっていた炒め物などどうでしょう? 前菜としてちょうどよいかと」

「いいね。でも、お腹に入るかな……」

 

 確かにアレなら作るのも簡単だし、美味しいし、前菜にちょうどいいか。それで行こう。全部使い切るとかは考えないです。無理なので。だって数キロはあるもん……

 でも、カツ丼に追加でさらに一品となると、お腹が心配だな……そんなに食べられるだろうか?

 

「そこは量を調整しよ? カツ半分ずつにするとかさ」

 

 "あの炒め物前作ったけど美味かったわ”

 "シンプルだし作りやすくていいよなあれ”

 "ネギと鶏肉の炒め物いいよな”

 "ツマミにいいんだよな…ん?ツマミ?”

 "おい実食ネキ???”

 "実食ネキお前まさかwww”

 

 彩音さんに言われて、それもそうだなって思う。そうだよね、単純に量を調整すればいいだけだよね。そんなに難しく考える必要はなかったな。若干、このカツを一枚食べることへの未練はあるものの、食べすぎはよくないので我慢することにする。

 となると、私と花奈さんで半分こして、彩音さんは一枚でいいかな? 彩音さんいっぱい食べるしね。

 

「じゃあ、私とカナさんでカツを半分にして、アヤネさんは一枚のままでいい?」

「そういう意味じゃ無いよ!?」

「ですが、そのくらいでしたら食べられますわよね?」

「それは……! そう、だけど……!」

 

 彩音さんが苦悶の表情を浮かべている。でも食べるんだよね……?

 

 "アヤネさん食うねぇ!”

 "アヤネさんマジでよく食うな”

 "170あるって言ってたし、そりゃ食うよ”

 "カナさんが割と小食なんだよな”

 "実食ネキはその分酒が入るから”

 

「じゃあ、そういうことで……」

「いや、そういうことにしないで! 私そんなに食べないから!」

「え」

「え、じゃない!」

 

 た、食べないの……!? あんなに美味しそうにたくさん食べる彩音さんが!?

 と思っていたら、彩音さんから至極まっとうな指摘がされた。

 

「大体、そんなに食べたら、午後動けなくなっちゃうよ」

「む。それはダメだね」

「ともかく……ご飯は炊き始めてよろしくて?」

 

 花奈さんが土鍋をコンロに置いて火にかけようとしたのを見て、ふと思いついた。そうだ、ご飯を減らせばいいんだ。

 

「……お米の量減らそうか。そしたら食べられるよね?」

 

 その手があった。言わんばかりにみんなで顔を見合わせ、ご飯の量を調整してから花奈さんに任せることに。そして、私と彩音さんはそれぞれに仕事に取り掛かる。

 

「というわけで。私は汁物作るね。って言っても簡単豚汁みたいなやつになると思うけど」

「十分だよ。じゃあ、私はこっちで」

 

 さあ、私は私のやることをしよう。美味しいごはんにしなくてはね。まずは前菜のブレイクレッグキングとネギの炒め物から。

 と言っても、これには別に特殊な調理法とかがあるわけではない。だって、フライパンに少し油をひいて、そこに肉を投入し、肉が白くなったらネギを入れて炒めるだけである。そして、塩コショウで味付けする。超簡単である。さっと出来るし。

 というわけで出来上がったものをさらに盛ってしまう。ちょっと冷めちゃうけど、そこはしょうがない。メインのカツが熱々ならそれでいいだろう。

 

「よし、次はカツ」

 

 というわけでまずはカツにするための肉の調理から。といっても、切るだけだけどね。厚さは2センチくらいのちょっと厚めにする。結構いい感じのお肉だったのでこれくらいでも美味しく頂けるだろう。下ごしらえとして軽く包丁の背で全体を叩いていく。肉叩きも考えたんだけど、あれ使うと潰れちゃうから今回はこれで。分厚いカツにかぶりつくのが贅沢ってものでしょ? 下味はシンプルに塩コショウで。全体に軽くかけるくらいに。

 さ、次は煮汁を作ろう。といっても、特に何かするわけじゃなく、めんつゆに砂糖を入れただけの簡単なものだ。めんつゆって便利だよね。醤油の代わりにちょっとだけ入れると、それだけで味に深みが出るしさ。

 そしてバッター液。これも特に変なこともせず普通に作る。ただ、衣だけは少し違う。ちょっと奮発して生パン粉買っちゃったんだよね。どうせなら美味しく食べたいしさ。お金も入る予定があるわけだし。そんなわけで生パン粉である。

 最後、油。こちら用意しましたラードを。だって美味しいし。お金も入る予定あるし!

 というわけで、油を温めていきます。今回は二度揚げする予定なので、まずは160度くらいまで温めてっと……温める間にカツに衣をつけていく。生パン粉ははがれやすいのでちょっとなじませる時間が必要なのだ。本当は冷蔵庫でちょっと寝かせるくらいがいいらしいんだけど、ここに冷蔵庫はないので今回は放置するだけ。

 小型の冷蔵庫でも作ってもらおうかと思ったんだけど、収納魔法のスペースがネックなんだよね……うーん、氷室でも魔法で作るか? こう、上に氷を置いて、下の空間にその冷気が行くようにしたような原始的な奴。調整は必要だろうから、練習しようかな。ピザ窯よりは絶対に簡単だろう。

 よし、油の温度が良い感じになったので、一度目を揚げていく。一度目は中まで火が通るようにじっくりと数分かけて揚げる。そして、油から取り出してこれまた数分休ませて……二度目は180度の高温で30秒くらい!

 ……うーん、いい感じ! これを適度なサイズに切ってっと。フライパンに煮汁と玉ねぎを入れて、玉ねぎがしんなりしたらカツを投下。そこに玉子を回しいれて、蓋をして一分ほど煮込む。

 これを、花奈さんの炊いてくれたご飯の上に置いて、最後に三つ葉を乗っければ、ハイオークのカツ丼の完成である。

 

 "うまそー!”

 "二度揚げカツは反則…!”

 "絶対にうまいやつじゃねぇか”

 "当たり前ように二度揚げするじゃん”

 "この三つ葉があるとカツ丼!って感じするよな”

 "分かる。これで完成するよな”

 "マジでそう。緑が映えるんだよな”

 

「私も出来たよー。シンプルに豚汁!」

「ふふ、いいではないですか。とても美味しそうですわよ?」

「うん、ちゃんと野菜も入ってて美味しそう」

「ま、まあそれは食べてから褒めてよ」

 

 彩音さんも出来上がった豚汁を器に盛りつけて持ってきた。具材はハイオークの薄切り肉、人参、大根とシンプルで、仕上げにネギを散らしたものだ。美味しそうな出来栄えである。

 花奈さんと二人でほめていたら、食べてからにしてくれと言われてしまった。確かに、ちゃんと食べてから美味しいって言って欲しいよね。

 テーブルの上には、中央に前菜のブレイクレッグキングとネギの炒め物、各自の椅子の前にカツ丼と豚汁というう感じだ。薬味として七味唐辛子を用意した。飲み物は水。花奈さんが後でお酒出すだろうけども。

 …………絶妙にキャンプっぽくないなこの絵面。定食屋だこれ。

 

 "画面が定食屋で草”

 "キャンプですらなくなって草”

 "メニューがキャンプっぽくないからなぁ…”

 "カツ丼のチェーン店の光景なんよw”

 

「では――」

 

 全員が席について、花奈さんが神妙に顔の前で手を合わせる。なんかもうこれがないと落ち着かないくらいにはなじんでしまった気がするよ。

 

「実 食 !」

「いただきます」

「いただきまーす!」

 

 分厚く作ったカツはサクサクで、ある程度煮汁と卵で柔らくなっており、味もちゃんと美味しい。硬くなったりもしていないし、冷凍してもこの感じを維持できるのであれば、それこそ豚肉が欲しくなったらハイオークを狩ればいいかもしれない。タダだし。

 

「美味しい!」

「美味しいですわね……カツが分厚くて豪勢ですわ……」

「ね!」

 

 2人も幸せそうに頬張っているし、今回のカツ丼は大成功と言っていいだろう。

 そして、彩音さんが作った豚汁をすする。うむ。安心する味がする……薄く切ったハイオークの肉も中々に美味しい。肉そのものからまだ味がするあたり、煮込み料理にいいかもしれないなこの肉。

 テーブルからすべての料理が消えるのに、そんなに時間はかからなかった。美味しくてほぼ無言で食べちゃったもんね。

 

「ごちそうさま」

「ごちそうさまでした!」

「ごちそう様でした」

 

 




???「-=≡Σ(((⊃゚∀゚)つアヒャー」ダンジョン疾走中
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