【書籍化】配信に興味ないダンジョン配信者は今日も配信する   作:もけねこ

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誤字報告、感想ありがとうございます。

そして、凄まじい勢いで増えたUA……一体何が…?


配信に興味のない私と彩音さんの顔見せ

 

 彩音さんとパーティを結成することになったあとの、最初の土曜日の朝。私は渋谷ダンジョンに来ていた。ここで彩音さんと合流して、1日ダンジョンに潜る予定だ。今日は、ミノタウロスのカレーを作る。半日煮込んだ牛すじカレー的なものを目指す予定だ。

 ちなみに、すぐにダンジョンに行こうってならなかったのは、彩音さんの方の諸々の処理のせいである。新たなパーティ申請をするに辺り、結構書類が多くて大変だったとか。未成年と成人のパーティだから尚更だったみたいだ。私がやるべきかと思ったんだけど、成人の方に対しての説明だのなんだので、結局彩音さんメインになってしまった。パーティ組んでもらうんだし、これくらいはねー。とは言っていたけど、大変なのは事実だろうから、何かしらこっちでもお礼をしたいところだ。

 ちゃんと、彩音さんとパーティを組むことはお父さんと友人たちには伝えた。どっちも、彩音さんと連絡を取り、私が迷惑かけると思うけど、よろしくお願いします。と言っていた。でも、私の目の前でやらないでほしかった……結構辛いよ?目の前で、こいつイカれたことするから殴ってでも止めてね?みたいなこと話されるの……そんなに信頼されて……るわけなかったな……

 

「ごめん、ちょっと遅れちゃった!」

「ううん。大丈夫……だよ」

「ふふふ、まだ慣れてないね?」

 

 ちなみに、パーティを組むに辺り、敬語をやめて欲しいとのことだったので、敬語をやめようとしている。意思疎通するときに、気にしている場合じゃないかららしい。確かにそれはそうだなって。でも、やっぱり年上にタメ口で話すの慣れない。数日経つのにね。

 彩音さんは、大胆にお臍や太ももが出ている、赤が基調のライトアーマーに、ハルバードの組み合わせだ。見た目が鮮やかでなんとも華やかな印象がある。スタイルが良い人にしか許されないタイプの格好だ。私?ベージュのローブだよ。ブーツとベルトが革のブラウンなくらいで。杖も木製だから、ほぼベージュとブラウンのみ。華やかさとは無縁だ。スタイルもよくないしね……はぁ……

 

「とりあえず、お互いのスキルとか軽く教え合おうか。出来ることと出来ないことを分かってないと危ないから」

「わかり……った。私は魔法だったら大体なんでも出来……るよ。あと、近接戦闘も割と出来ま……る!」

「ふふっ……ん。私は、基本的に斧系のスキルが使える感じかな。機動力はちょっと低めだけど、防御と攻撃ならそこそこいけるって感じ。あと地属性の魔法がちょっとだけ使える」

「……え?斧系?」

「そう。斧系」

 

 なんで…?ハルバードって槍じゃ…?だったら、同じ長さの斧の方が良いはずだ。

 

「私、ユニークスキルが槍系なのに、覚えた汎用スキルが何故か斧系で、両方使えるようにって色々試したら、ハルバードになったの」

「そんなことあるん……だ」

 

 汎用スキルは大抵、本人の才能によって何が発現するか決まる。そして、ユニークスキルと同系統のものになるが一般的だ。例えば、炎属性魔法の威力が上がるみたいなユニークスキルだと、炎属性魔法の汎用スキルが発現するみたいな。もちろん、当人の努力次第で適性外のスキルも覚えられるけど、それにしたって、彩音さんみたいな例は初めて聞いた。

 

「というか、夢希ちゃんこそ魔法だったら大体なんでもって……そんなことあるの?」

「ユニークスキルのお陰で、ほぼ全部使えるん……だよ」

「え、すご……」

「使える()()なんで……だけどね」

「あぁ、なるほど……」

 

 私がこんなに魔法に特化してるのは、《錬金》以外のもう一つのユニークスキル《ソロモン》のお陰である。効果は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。つまり、何でも覚えられるし、使いこなせばとんでもない威力を出せるようになるスキルである。だが、逆に言えば、()()()()()()()()()()()()()()わけで、スキルを限界突破するまで使い込まないと、大抵の魔法職よりも弱いのだ。つまり、基本的には究極の器用貧乏になれるスキルである。そしてそれを改善するべく足掻いたその結果が、あの《魔力の矢》なのだ。スキルの熟練度上限は100だけど、限界突破した私の《魔力の矢》の熟練度は2()7()0()6()だ。

 実はもう一つ効果があるけど、そっちは色々規格外なお母さんをして、規格外と言わせるだけのとんでもない効果だ。多分、こっちが本体で、魔法スキル云々はおまけだと言われた。そして、絶対に他人に言わないように、と。だから、誰にも言わないようにしている。知っているのは両親だけだ。彩音さんにも、申し訳ないけど伝えることはしない。そもそも、深層にでもいかない限り使わないしね。

 お互いにユニークスキルについて全てを公開しないのは、それによって問題が起きないようにするためだ。例えば、私の《ソロモン》なんかはかなりのレアスキルになるわけで、有力クランなんかはこぞって囲いたがるはずだ。昔、そういった経緯でクラン間の抗争まで発展したらしく、それ以降、問題が発生しないようにある程度ぼかすのが常識になった。

 そして、彩音さんがこんな破格のスキルに対して若干の理解を示したのは、私の言い方のせいもあるが、ユニークスキルは、強力であるが故にデメリットがあるスキルも存在するからだ。例えば、最初の一撃だけとんでもない威力が出るけど、それ以降特に何も起きないとか、感覚を強化出来るけど、強化されすぎて支障が出るとか。私のスキルも、使えるようになるけど、何かしらデメリットがある。と捉えてくれている……と思う。

 

「彩音さんのスキルはデメリットあ……る?」

「私のは特にデメリットないよ。強いて言うなら、私の適性と噛み合ってないのがデメリットだったかな……」

「それはそうかもしれませんね……」

「敬語敬語」

「すみ……ごめん」

 

 汎用スキルの適性的には斧系なのに、ユニークスキルは槍系なんだったら、それは結構なデメリットだよね。槍系スキル覚えればいいって思うかもしれないけど、その時間で持ってるスキルの熟練度を上げたほうが間違いなく有効なので、両方発動する武器を探したっていうのは正解だと思う。

 一通り、やれることは把握出来たので、他の確認をする。

 

「えっと、配信についてなん…だけど」

「どうすればいいの?」

「カメラはこの1台で、彩音さんが前衛だから全身映ると思…う」

「うん。それは納得してるよ」

「名前は彩音とだけ名乗ってください。私のことも夢希で大丈夫」

「分かった。他に注意事項は?」

「…………強いて言うなら、下着は見えないようにしたほうがいいです」

「これはスパッツじゃなくてホットパンツだから!」

 

 それスパッツじゃないの!?そんなに短いズボン(?)になんの意味が…?お洒落って分かんない……

 

「と、とりあえず、他には?」

「あとは、個人が特定されるようなこと……特に最近のパーティ解散云々を話題にするのは、やめておいた方が良いと思、う」

「確かに特定されそう……でも、顔映るんだし、あんまり関係なくない?」

「顔は自動でモザイクかかるようにしてもらった。友人に」

「そんな技術あったねそういえば」

 

 私はこの前初めて知った。凉ありがとう。今日作ったカレーをあとで届けるからね。カレー好きだからね、彼女は。そして、段々タメ口に慣れてきたぞ…!

 渋谷ダンジョンに2人で入り、本筋から外れた小部屋で配信の準備だ。と言っても、カメラ起動して配信画面で開始するだけなんだけど。そして、配信開始をポチッとな。

 

「映像よし、音声よし。おはようございます。ユキです」

 

 "おはよー”

 "おはー”

 "おはようございます”

 

「朝なのにみんないるんだね」

 

 "まぁな!”

 "通知で起きました”

 "寝てないだけよ”

 

「今日は、というか、今日からパーティを組むことになったので、メンバーを紹介するね。顔はモザイク入れるようにしてもらったから見えないよ」

 

 "え!?”

 "パーティ!?”

 "ユキちゃんについてこれる人とかいんの?”

 

「どうぞ」

「おはよー!アヤネでーす。今日からよろしくお願いしまーす!」

「みんなにも分かりやすく言うと、カレーを一緒に食べた人だね」

 

 "あの人かー!”

 "アヤネさん。ユキちゃんのことよろしくね!”

 "暴走する前に止めてね!”

 "頼むよ!!”

 

「君たちまでそういうこと言う……」

「あはは、任せておいて♪」

「味方がいない……」

 

 とりあえず、受け入れてはくれるみたいだ。良かった良かった。あと、彩音さん慣れ過ぎじゃない…?緊張とかしないの…?

 

「と、とりあえず今日は、ミノタウロスでカレーを作るよ」

「すでに意味わからないね。ミノタウロスでカレーって。美味しそうだけど」

「ついでに、下層でアヤネさんのレベリングもするよ」

「え!?」

 

 彩音さんが驚いてる。今初めて話したから当たり前だけど。

 

 "ミノタウロスカレーか…美味そう”

 "牛スジカレーみたいなもん?”

 "え!?”

 "アヤネさん死ぬのでは…?”

 "今日初出演、即引退かー”

 "あまりにも短い再会だった……”

 

「みんなして私をなんだと思ってるの?」

「見捨てないで!お願いだから!」

「安心して。死なせないよ、絶対に

 

 そこは安心して欲しい。何が何でも絶対に死なせたりなんかしない。そう、何が何でもだ。

 

「安心感より恐怖が勝るのなんでかなぁ!?」

 

 "死んだほうがマシな目に遭いそう”

 "絶対に。の力強さよ”

 "本当に死にはしないと思うw”

 

 なんでだ……?私なんかしたっけ……?

 何故か若干怯えている彩音さんの背中を押しながら、ダンジョンを進み始めた。彩音さんがいるから、ショートカット出来ないので、そこそこ時間かかるしね。早くしないと、ミノタウロスを煮込む時間がなくなってしまう。

 

「ねぇ、私死なないよね…?」

「もちろん。何が何でも地上まで無事に送るよ」

「ホントに無事に帰れる!?」

「なんでそんなに怖がってるの……?」

 

 "まさかパーティ組むとはなぁ”

 "ユキちゃんについてこれる人がいるとは……”

 "レベリングって言ってたから、強さ的にはユキちゃんよりは下なのね”

 "ユキちゃんと同格がそうそういてたまるか”

 "上澄みも上澄みだしね”

 "というか、アヤネさんミノタウロスのカレー美味しそうって言ってたね”

 "砂ウツボカレー美味いっておかわりしてたからな”

 "そういやそうだわ”

 "ちょ、背中から押してるせいでカメラがwww”

 "カメラ位置のせいでアヤネさんのケツしか映ってないの草”

 "アヤネさんは後でキレていいと思うwww”

 

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