【書籍化】配信に興味ないダンジョン配信者は今日も配信する 作:もけねこ
さて、鶏肉の蒸し料理として考えるなら、やはり最初に思いつくのは……そう、棒棒鶏だよね。作ってて楽しいし。さっぱりなのもいいし、野菜も取れる。中華料理全般がそうな気もするけども。よし、今日は中華の日にしようかな。
となると、あとはそうだなぁ……油淋鶏とかもいいか。彩音さんの『油はダンジョンに捨てればいいじゃん』発言以降、私は常に油を持ち運んでいるので、いくらでも揚げ物は作れるのである……いや、本当はその前から持ってるけども。フライパンに敷くし。
うーん……今頭の中を検索してるんだけど、中華料理の鶏肉、ナッツ系と合わせてるのが多いな。今ナッツ持ってないんだよな。あんまり使わないし。部屋の冷蔵庫にはあるんだけどさ。
ふーむ。どうしよ、う? あ、そうだ。釜めしにでもしようかな。蒸さないといけないけど、ちゃんと脂も乗って美味しいし、釜めしにするなら勝手に蒸し料理になるし。この前も食べたけど、比べるものがあった方が分かりやすいしさ。でも、ちょっと中華風にしたいな……鶏がらスープの素入れてみるかな。
あ、そういえば、なんかそんな料理あった気がするな。カ、カオ……なんだっけ? スマホで調べよ。
えっと……あったこれだ。カオマンガイだ。タイの炊き込みご飯。これをちょっと中華風にしたレシピとかないかな……お、あるじゃん。これで行こう。
彩音さんがスープは作ってくれるだろうから……これでいいかな。釜めしと棒棒鶏と油淋鶏とスープ。いいんじゃないだろうか。野菜も……あんまりないけど、まあよし。
「よし、メニュー決めた。中華で行きます」
「中華ね……あ、鶏がらスープの素ってある? あと玉子とネギと片栗粉」
「もちろん。花奈さんはご飯炊くのちょっと待ってね」
「? わかりました」
言われたもの一式を彩音さんに渡しつつ、ちょっと仕込みをしないといけないので、花奈さんに待ったをかける。
言われた内容的に、彩音さんはかき玉スープかな。あっさり系で美味しいもんね。
"お、中華か”
"鶏肉で中華か…”
"棒棒鶏か油淋鶏?”
"ナッツ炒めとか”
リスナーさんたちもさ、意外と料理詳しいよね。なんか、コメント見てると料理してる人そんなにいなさそうなのに、そこそこ予想は当ててくるし……食べてる量が違うのかな? 大人はブルジョワだなぁ……
「ナッツ炒めはナッツがないから断念した」
「流石に持っておりませんでしたか」
「使うときならともかく、普段は全然使わないからね」
「確かに、ナッツってあんまり使い道ないかも……」
"むしろ、カナさんは持ってないんか”
"ツマミにもってそうなのにな”
"確かに…”
「ユキさんの料理があるというのに、わざわざ持ってきませんわよ」
花奈さんの信頼は嬉しいけど、失敗したときとか、ハズレ引いた時用に何か持っててくれると……こう、罪悪感が薄れるので……
ま、そんなくだらないことはさておき。
「さて、このイモリ肉を色々下ごしらえしていかないとね」
まずは、油淋鶏にするための物から。これは、醤油とお酒でささっと下味を。次に棒棒鶏のやつ。これは蒸すだけだけど、ちょっとだけお酒をいれて酒蒸しみたいに。最後に、このカオマンガイ風の釜めしのやつ。えっと……フォークで穴開けてから塩と酒を揉みこむのね……よし、これでいい。
"一気に仕込んだなぁ…”
"棒棒鶏は分かったけど、後分からん”
"多分油淋鶏もありそうだが、あと一個なんだ?”
今のうちに、土鍋にお米を入れて水を吸わせておいてっと……花奈さんが今手が空いてるから何か……あ、そうだ。
「あ、カナさんこれで胡麻すって」
「はい。かしこまりました」
花奈さんにすり鉢とゴマを渡す。まずはこれでよし。あとでレタスもちぎってもらおう。
さて、この間に必要なものを切るぞ。まずは、ネギ青いところと白いところに分けて、白い方を刻む。青い方は後で使う。次にキュウリを千切りに、生姜とトマトを薄切りに。野菜はこれで終わり。
次にソースを作ってしまおう。まずは油淋鶏のやつ。刻んだネギと醤油、お酢、砂糖、ごま油で完成。次に花奈さんにすってもらった胡麻と醤油、お酢、砂糖、ラー油で棒棒鶏のやつ。ほとんど内容物変わらないんだよねこの2つ。
で、最後に、釜めしのやつ。醤油、オイスターソース、ごま油、おろし生姜、刻みネギ。これは釜めしの中に入れるんじゃなくて、後付けの味調整用。
"おお、一気に…”
"手際いいなぁ、相変わらず”
"ここまでささっといけねーよ…”
"努力のたまものだねぇ”
さて、もう下ごしらえはいいでしょ。まずは、釜めしのやつからやろう。いつもよりもちょっとだけ少なめに水を入れて、その上に薄切りにした生姜とネギの青い部分を置いて、その上にイモリの切り身をドカンと丸ごと置く。中々見た目にインパクトあっていい感じじゃない?
"おお? 釜めしか?”
"中華風釜めし的な?”
"丸々一枚いくのすげぇなw”
"結構デカいのいったぞw”
で、これはお米担当の花奈さんに任せる。普通にお米炊く要領でいいしね。釜めしだもん。
「じゃあ、任せるね」
「かしこまりました。えっと、普通にやってよろしいんですのよね?」
「うん、大丈夫だよ」
さ、次は、蒸しあがった切り身を取り出して、割く。おお、結構いい感じだ。匂いもいいねこれ。熱いけど!
レタスとトマト、キュウリを引いた皿の上にこれを並べて……最後にタレをかければ棒棒鶏は完成。
下味をつけた肉に片栗粉をまぶして、多めに油を引いたフライパンで揚げ焼きにしていく。ジュー……って音が本当にいい感じだ。ひっくり返してみると、綺麗な茶色である。一応皮目から焼いたんだけど、正解だったみたいだね。香ばしい匂いもしてきた。私もお腹減ってきたなぁ……
"あー美味そう”
"音、音がー!!”
"マジで音がいい…”
"腹が減る音だ…”
うん、いい感じ。これは三人分用意したので、三枚分やっていく。揚げ焼きにし終わったら、ナイフで切り分けてから、レタスの上に並べてタレをかけて完成! あー……タレのさ、酸っぱい匂いがこう温められて漂ってくる感じ、本当にお腹に来るね。なんか、今日の私お腹空いてるな……時間も普段と変わらないし、お昼もちゃんと食べたんだけどな。
よし、これで全部完成……あ、やば、ご飯が全然炊けてない。い、いやこれでいい。アレはメイン扱いということにしよう。前のひつまぶしと一緒だ。臨機応変に対応しないとね。
「ユキちゃん、こっちもスープできたよー」
「はーい。かき玉スープ美味しいよね」
「うん。優しい方がいいよねって思ってさ。酸っぱいのも多いだろうし」
彩音さんは、予想通りかき玉スープを作ってくれた。ネギも入ってるし、見た目も綺麗だよね。優しい味で、さっぱりもしてるしさ。
テーブルに釜めし以外の品がそろうと、花奈さんがワタワタと慌て始めた。
「あ、あの、ご飯は……」
「それはメインだから大丈夫。先に食べよ?」
「え、ええ、わかりました」
"いいねー”
"棒棒鶏と油淋鶏を前菜にするとは贅沢な…”
"釜めしメインなのいいなぁ…”
"酒飲んで最後にご飯で〆。最高だなぁ!”
ちょっと困惑気味の花奈さんには申し訳ないけど、それはメインということになったから、安心してほしい。
後は席について食べるだけって感じなりそうなところで、花奈さんがバックパックからウィスキーと炭酸水を取り出した。うん、やっぱり飲むよね。知ってた。
「ユキさん、レモンございます?」
「あるよ。どうする? 切る?」
「そうですわね……くし切りでお願いしてもよろしいですか?」
「わかった」
花奈さんの指示通りにくし切りにしていく。その間に、花奈さんはウィスキーと炭酸水を混ぜようとしていた。
あれは確か、ハイボールってお酒だったよね。お父さんが好きだから、何度も見たことがあるなぁ……うん? そういえば、ハイボールって氷いるんじゃなかったっけ?
「氷いる?」
「ございますの?」
「《アイスランス》。はい、そこから砕いて持ってって」
「いや、雑!?」
「ふんっ」
"草”
"テーブルの横に氷の山作って、好きに削れは草”
"そんなんアリかよwww”
"まさかの感じで笑う”
"カナさんも当たり前と言わんばかりに砕いて使うなwww”
テーブルの横に、《アイスランス》で作った氷の槍を突き刺しておく。まあ適当にナイフで砕くなりして好きに持ってってくれ。これが一番早い。
彩音さんが叫んでいるけど、花奈さんはというと、躊躇なく拳で砕くと、適当な氷をグラスの中にいれた。そして、ウィスキーと炭酸水を入れていく。あ、この感じだと、単純にくし切りにするんじゃなくて、半分くらいからはがしておくか。こんな感じにすれば、グラスの縁に乗せられるしね。はい完成。
「ふふ、オシャレですわね」
「ね。これいいよね」
「ええ、素敵ですわ」
「カナちゃんはもうちょっと反応しよ? 流石にさ」
彩音さんがジトっとした目で花奈さんに苦言を呈するが、それを涼しい顔をして受け流した花奈さんが言い放つ。
「アヤネさん。そんなものは、美味しいお酒の前には些事です」
「いくら何でもお酒中心すぎるでしょ!?」
"些事は草”
"こいつはホンマwww”
"実食ネキはさぁ…w”
"アヤネさん、頑張ってくれ…”
"これから飲むからへーきへーき”
"そうだったわ”
まあ、そんなことがありつつ、ご飯を食べる用意が出来たので、ちゃんと席について手を合わせる。
「いただきます」
「いただきまーす!」
「 実 食 」
次に飯テロを固めます。