【書籍化】配信に興味ないダンジョン配信者は今日も配信する   作:もけねこ

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連休という名の繁忙期おわったー!!


配信に興味のない私と拠点での一夜

 

 ()()()()()()問題はあったけど、ドラゴンの肉の祝勝会は大盛況で終わった。

 お腹がいっぱいになった私たちは、レジャーシートの上で各々くつろいでいた。腹ごなしが終わるまでの警戒はクーに任せている。クーと同じく耳がいいから、灰原さんも警戒にあたってくれているみたいだ。

 なんだか自然と冒険者男性陣、女性陣、調査班で分かれてしまった。男性陣は何やら話しているようだけど、笑い声も聞こえるので、多分明るい話だろう。調査班の2人は、クリスタル片手に議論を交わしたり何やらいじくりまわしてみたりと、いつも通りな感じだ。そして私たち……というか、私と彩音さんはクラーラとクーをねぎらっていた。花奈さんは近くで体育座りで不貞腐れている。

 今日の頑張りをクーとクラーラには、大きな塊肉を一つずつ与えた。2匹とも大喜びで食べていた。二匹からしても、ドラゴンのお肉は美味しかったようだ。そしてやっぱりクラーラはどう食べてるの……? 透明なのに、触手で掴んで傘の中に入れると肉が消えていくのである。異次元に収納していると言われたら納得する光景である。

 そして今、クラーラに労いを込めて撫でまわしている。触手がふよふよ動いているので、気持ちいいのだろう。クーも後で、君が満足するまで撫でまわすから、ちょっと待ってね。――ちょ、勢い強い、待って待って!

 さっきまで散々彩音さんに撫でてもらってたのに、私の背中に撫でろ撫でろって言いたげに頭突きしてくる。どうしても私に撫でてほしいらしい。可愛い奴め。でも、私の手は2本しかないので、ちょっと待っててね。片手でどっちも撫でるようにしたら、クラーラの触手で掴まれて元の位置に戻されたので、怒るならクラーラに怒ってくれ。

 あ、そうだ。金守さんが犬が好きだけど逃げられるって言ってたから、クーに行ってもらおう。よし、行ってこい。たくさん撫でてもらうんだぞ。

 尻尾をぶんぶん振り回しながら、クーがとててっと走って行って金守さんの背中にのしかかった。

 

「うぉ!? な、なんだ、どうしたんだ……?」

「お、なんだ? 夢希に言われて金守を食いに来たか?」

「流石にないんじゃないすかね……」

 

 金守さんから変な声がしてちょっと面白かった。振り返った金守さんに頭をぐりぐりと押し付けて、撫でろ撫でろとアピールしている。

 あと、浜面さんはそのネタを引っ張らないでほしい。

 困惑したような顔をした金守さんと目が合ったので、頷いておく。金守さんは苦笑しながら、クーを撫で始めた。うんうん、存分に撫でてあげてほしい。

 一緒にいた灰原さんと浜面さんも撫で始め、クーが嬉しそうに尻尾をぶんぶん振っているのが見える。お前は結構誰でもいいのね……

 そんな私の様子を見ていた彩音さんが笑い始めた。

 

「ふふ、夢希ちゃんなんだかお母さんみたい」

「え、なんで?」

「クーちゃんとクラーラちゃんに振り回されながらもちゃんと相手してるところが」

「……ペットに振り回されてる飼い主じゃなくて?」

 

 その説明だとどう考えてもお母さんじゃないと思うんだよね。私の言う通り、ペットに振り回されている飼い主の方が適切だと思うんだ。

 あと、クラーラはそろそろよくない? 流石にさ。ダメ? うーん……まあ、いいか。撫でててあげよう。

 

「うーん……やっぱりお母さんかな」

「そっかー……」

 

 そっかー……なんだかよくわからないけど、私はお母さんらしい。なんでだろうね? なんて思いながらクラーラの目らしき星形の部分を眺めていると、クラーラと目があった気がした。不思議なものである。

 でも、よくよく考えたら、私は使い魔を創ったわけで、そういう意味では親といえるのかもしれない。でも、そうなると私は、自分の子供を都合のいい時だけ呼び出してあとは指輪の中で放置している最低な親になるんだけど……

 これからは、寝る前とかにちょっと呼び出して、存分に撫でるくらいしてあげるべきかもしれない。私も楽しいし。

 とりあえず、このことは置いておいて……

 

「……花奈さんいつまでそうしてるの?」

「……夢希さんがそれを言いますの?」

 

 どんよりとした目で恨めしそうに私を見てくる花奈さん。うーん、そういわれてもなぁ……だって、それが必要になる時だってありそうだし……何より、完全になくなった後の花奈さんのことは想像したくない。

 だって、わたくしの辞書に休肝日という言葉はありませんとか言い出す人だよ? お酒なくなったら大変だよ絶対。

 

「ペース配分考えずに全部飲んで、後で大変なことになってそうだから、あれでよかったと思うよ?」

「わたくしが間違えると?」

 

 彩音さんからも花奈さんへの攻撃が始まる。いや本当にさ、花奈さんはこの話題において勝てると思っているんだろうか? 普段のお酒のアレコレ見てると……ねえ?

 

「この生活がいつ終わるのかわからないのに、ペース配分なんて出来るの?」

 

 あまりにも強烈な正論が、彩音さんから花奈さんに打ち込まれた。花奈さんは、うっと唸った後、静かに呟いた。

 

「……で、出来ますわ」

「声が震えてるよ」

 

 その声はもう情けないほどに震えまくっていた。どう考えても、ゴールがどこにあるのかわからないのにペース配分なんかできるわけないもんね。

 

「はあ……自分の行いを見直すいい機会になったと思うことにしますわ……」

 

 花奈さんはようやく体育座りから立ち上がった。そして、私の方にやってくると、クラーラを一緒に撫で始めた。

 撫で始めてからしばらくすると、ぼんやりとした口調でこうつぶやいた。

 

「前のパーティーの方々からも言われたのは、こういうことなのでしょうか……」

「……前のところでも言われてたの?」

「……実は抜けるときのあいさつ回りで、酒癖が悪いと全員から文句を言われまして……」

「どんなこと言われたの?」

「酒瓶を枕にして寝るな、酒を飲ませるのはいいけどボトルで飲ませようとするな、などですわね……」

「花奈さん……」

「花奈ちゃん……」

 

 視線を逸らした花奈さんに、彩音さんと2人でジトっとした目で見てしまった。前のパーティーの時ですら、お酒に関して信頼されてなかったのね。

 そりゃそうだろうけども。自由すぎるし。というか、エピソードが酷すぎるって。

 

「……流石にマズいかと思いまして改善したのですが……」

「え、アレで!?」

「……」

 

 改善しての今だったらしい。前のパーティーの時どれだけ酷かったんだろうか……

 彩音さんが目を見開き、私は思わず花奈さんから視線を外して遠い目をしてしまう。

 そんな私たちの反応に、花奈さんが苦悩している声を絞り出した。

 

「…………もう少し、どうにかしないといけませんか……」

「せめて、飲む量ちょっと減らして休肝日作ろう? 体に悪いって」

「そうそう、せめて一週間に一日くらいさ」

「週一、ですか……せ、せめて隔週くらいになりませんか?」

 

 花奈さんのせめてもの抵抗は、流石にいきなり週一は無理そうか、という結論が出たため通った。

 ようやくクラーラが満足してくれたようなので、指輪に戻すとその直後、私にクーが突進してきた。私を押し倒して、顔をべろべろ舐めてくる。わかったわかった撫でるからちょっとどいてくれ。だから重いって、潰れる潰れるから! 顔舐めるのもやめて! 

 私がクーに押し倒されてジタバタしている横では、花奈さんが謎に眼をキランと光らせて彩音さんに絡んでいった。

 

「ところで、彩音さんは休肝日は設けていらっしゃるので?」

「もちろん。月曜日が休肝日なんだ」

「……」

 

 どうにか反撃をしようとしたみたいだけど、やり方がこっすいよ花奈さん……しかも返り討ちにされてるし……それと、2人はこの状況から助けてよ。お願いだから。

 クーを何とか体の上から引きはがし、三人で撫でまわし始めた時、金守さんが声を上げた。

 

「少しだけ真面目な話をさせてくれ」

 

 手を止めたいんだけど、止めた瞬間もっともっとと言わんばかりに頭突きをしてくるので、腕だけは動かし続けることにした。話を聞きそびれるよりはマシのはずだ。押し倒されたらちょっと絵面もよくないし。

 

「見張りの順番についてだ。俺、灰原君、美空君が先に見張りを行うことにする。次は物前君、浜面君、北条君に頼む」

 

 ふむ? ちょっと不思議なような……いや、そうでもないか? 強さの点から金守さんと私は別枠にした方がいいのは間違いないし、私と組むなら前衛が防衛に特化している方がいい。

 私は花奈さんとは間違いなく相性がいいし、浜面さんが後ろに下がれないという欠点を補うなら、私の方がいいだろう。それに、周囲の警戒という点においても、灰原さんと私を分けた方がいいわけで。

 彩音さんは多分、後ろから投げてもらう感じかな。高い威力の遠距離攻撃が出来るのは私か彩音さんだし……こう考えると、私って役割多いな。

 ま、それが取り柄なんだけどね。何でも魔法が使えるっていうのは、出来ることが圧倒的に多いのである。まあ、攻撃に関してはほぼ《魔力の矢》一択なのが万能性を損なっている気がしなくもないけども……!

 あと、今は索敵方面はクーのおかげなので、私のおかげといっていいのかは微妙な感じがするような……

 その辺のことは置いておいて、花奈さんと浜面さんと顔を見合わせて、頷きあう。とりあえず問題ないだろう。

 

「わかりました」

「では、先に仮眠を取ってほしい。今からそうだな……3時間後に起こす。俺たちと交代したら、3時間後に起こしてくれ」

「了解。じゃあ、先に寝るわ。お休みー」

「おやすみなさい」

 

 浜面さんがさっさと仕切りの向こう側に行ってしまった。私も結構疲れているしね。クーが満足したらすぐに寝よう。クーたちを撫でまわして精神面は回復しているけど、肉体的には回復していないし、魔力も結構なペースで減っている。

 寝る前に1本魔素(マナ)ポーション飲んでおこう。その方がいいな。

 

「はい! 私たちはどうしますか!?」

 

 元気よく美弥子が手を挙げながら金守さんに質問を投げる。確かに、調査班の指示はなかったな。

 

「2人は明日まで休んでくれ。明日から調査を再開するからな」

「わかりました! おやすみなさい!」

 

 言うが早いか美弥子もさっと仕切りの向こうに行ってしまった。あいつどういう切り替えの早さしてるんだ? 

 

「夢希さんはどうなさいます?」

「クーが満足したら寝る。先に寝ていいよ」

「そうですか。では、お先に失礼いたしますわね」

 

 そんな感じで分配が終わって…………私が寝れたのは1時間後だった。

 最初の見張りのメンバーに、同情の視線を向けられたのが、地味に心に来た。

 

 

 




配置転換もあったので、ちょっと滞るかもしれません!
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