【書籍化】配信に興味ないダンジョン配信者は今日も配信する 作:もけねこ
浜面視点になります。次も浜面視点にしたいです
俺――浜面流星は、ケンタウロスだ。冒険者になって、ユニークスキルで下半身は馬で顔も馬になった。元の顔は……自己評価ではそこそこだったと思うが、今の顔はイケメンだと思ってる。力も強くなったし、デカくもなって、問題もあるっちゃあるが結構気に入ってる。まあ、初日は家から出られなくてマジで焦ったけどな!
その中でも一番の問題は、肉や魚が食えなくなったってことだ。そんなわけだから、野菜しか食べられない。というと、割と同情されるのだが、俺としてはそんなに気にしていなかったりする。
なんつうか……体がこうなったせいなのか、肉やら魚を
目の前にあっても、肉あるなあ……で終わり。食いたいとか、美味そうみたいな思いは全く感じなくなった。前はもりもり食ってたんだけどな。
まあ、そんなわけだから、昨日の焼き肉なんかも全く気にせず、勝手に野菜を焼いて食ってたわけなんだが。
唯一不満があるとしたら、バターソテーが食えないことだな! マジで不満。美味いのになあ……動物性の油がダメだからどうにもなんねえんだよなあ……ま、その辺は後で『
『
色々困惑することも多かったけど、思ったよりも俺みたいなやつがたくさんいてびっくりした。けどやっぱ、1人じゃないってのはデカいな。安心感が違う。バリエーションの豊富さがやべえけどな! 狼やトンボなんかの動物系から、スライムやドラゴンとかのモンスター系までいる。何なら最近魔王が追加されたしな。
そして、魔王の後から入ってきた、今の『
そんな俺たちは今、八王子ダンジョンの調査に赴いて、イレギュラーに巻き込まれて未探索領域に閉じ込められた。
結構重大な問題なんだが、あんまり悲壮感はない。閉じ込められたときの対策をガチガチにして来た変な奴がいるからな。
「じゃあ、解体してきますね」
「ういー」
クリスタルのゴーレムを美弥子が粉砕した後、モンスターの死体を運びながら拠点に帰ってきた俺たちにそう宣言して、階段を降りていった夢希を見送る。
今日の昼飯に、新種のカニとカメレオンとヤドカリを食うんだと。
……正直な話。アイツってめちゃくちゃ変なやつだよな。何がどうなってモンスターを食おうってなったのか理解できねえ。好奇心なんだとしても、そこに至るまでのなんかあるだろ?
あと、配信者なんだか配信者じゃないんだかもよくわからん。配信してはいるけど、人気になることには一切興味がないしよ。
でまあ、前回今回でパーティ組んだ上で言えることは、アイツは後衛としてマジで優秀ってこと。守る必要もなければ射線開ける必要もないってありがたいにも程がある。俺の場合その辺どうにも苦手だからな……
やたらと《魔力の矢》推しなのはよくわかんねえけど。そんなに優秀な魔法だったかあれ……?
見た目は可愛い系の美人で、無表情な上に静かだから、行動のアグレッシブさとのギャップがすげえ。ちんまいしな。
そんな感じで、俺から見た夢希ってのは、総評すると変なやつである。そして、入ってくるのも納得の変人だ。
「私も手伝うね」
夢希に続いて彩音も階段を降りてった。
彩音もまあまあ変な奴だと思う。明らかに常識的じゃない冒険譚に夢見て冒険者になるのはどう考えてもおかしい。それに、その結果として夢希の冒険についていってるのもよく分からん。しかも本人は割とまともよりな感性してるしよ。
それと、この前聞いた『グレイスに捧ぐ』は昨日の夜見たんだよな。マジで説明通りに、婚約者のグレイスにプレゼントするための宝石を一緒に取りに行ってて笑っちまった。
でも、内容は悪くなかった。確かに主人公はマスコットでしかなかったけどな! でも、ちょっとしたことにも気を回してパーティの空気をよくする空気清浄機みたいなやつだったし、行為は素直に大げさなほどに示すやつだから、見ていて気持ちよかった。最近の恋愛ものってウジウジしすぎなんだよな。何度蹴り飛ばしてやりたいと思ったことか……
でも、アレに憧れて冒険者志すのは絶対におかしい。だから、彩音も変な奴だ。槍の一撃はロマンに溢れてていいんだけどな。なんかどっかのネジが外れてる気がするぜ。
「わたくしもお手伝いいたしますわ」
花奈もついてったな。というか、彩音もだけど、手伝うとかあんのか? モンスターの解体だろ……?
そして、アイツも変な奴だ。総評するととか、まあ変な奴とかじゃなく、純粋に変な奴だ。つうかアル中。
酒に命をかけすぎてる。何につけても酒、酒、酒である。そのくせ冒険者としては優秀なのが納得いかねえ。ドラゴン戦では命を救われたしな。盾使いとしてあんなに強いやつ見たこともねえし。やっぱり納得いかねえ……
モンスターで酒造るってのはロマンはあるが理解できねえ。たけえ酒をガンガン飲むことに費やしてるのも理解できん。最低限の貯金位してるんだろうな……?
見た目はお嬢様なのに、中身があまりにもアル中だ。他の2人曰く、酒以外のところじゃ割と頼りになるみたいだが……本当かあ?
結論。新人パーティー、全員変な奴。悪いやつらではないんだけどな。うん。大分良心的な奴らだと思うぜ本当に。でもなあ……変な奴らだよ。
「当たり前のようにモンスターを食料として見てますよね……」
「『
「……ですね」
灰原が引いてる様子でこっちに来た。そりゃそうだよな。でもまあ、こっちに害はないから別にいいしな。見てる分には楽しいからな!
静かにうきうきしていた俺に向かって、金守が右手で額を覆いながらため息を吐いた。
「浜面君はそうかもしれないが、俺たちは違うんだぞ……」
「ブルヒィ! そうだな!」
それはそうだ。俺は食えないからな。だからこそ見てて楽しいんだけどな! 絶対に巻き込まれないことが分かっているドッキリ番組を見ている気分だぜ。多分、俺みたいなやつが夢希の配信見てんのかもしれねえな。こんなん面白いに決まってるしよ。
「カニとヤドカリはともかく、カメレオンって美味いんですかね……」
「それも含めて運だろう……」
「ドラゴンは美味かったんだろ?」
「美味かったです。高級焼き肉ってあんな感じなんすかね?」
「……かなり良い肉の味がしたのは間違いないな」
灰原も金守も、昨日のドラゴンの焼き肉は痛く気に入ってたみたいだしな。それに、金守はそもそもとりあえず試してみることから始める質だ。誰かが先にやってるなら、モンスターを食べることもやってみるだろう。
こういう話を聞くと食ってみたいなあとか思うんだろうけど、今の俺にそういう感情は湧いてこない。不思議なもんだぜ。
「それと……調査班の2人は何してるんですかねアレ……」
「なんだろうなあ……」
「長谷川君は未だに足が折れているはずなんだがな……時折忘れるほどに元気だな彼は」
「アドレナリンがドバドバ出てんだろ、多分」
拠点の隅では調査班の2人が、さっき倒したゴーレムのパーツの破片を何やら弄り回していた。魔法をぶつけてみたり、工具で削ってみたり。テンションの高い声も聞こえてくる。
模範的な『
それにしても美弥子の《無敵》にはマジで驚いたけどよ。あんなわけわかんねえスキル存在するんだな……反動とかねえのが理解できねえ。あれだけの威力が出てんのに、余波がないんだぜ? おかしくね?
「美弥子君の《無敵》があれほどの能力だとは思っていなかった……ドラゴン戦でも殴ってもらった方が良かったかもしれないな」
「近づけないんじゃないですか? 美弥子さんそんなに身体能力高い感じじゃなかったですし」
「下手に近づくと反撃貰って死にそうだしな……効果時間も短いしよ」
「それもそうだな。だが、あの攻撃性能は惜しいな……」
一応納得した金守は、その後ぶつぶつと独り言をつぶやきながら考え込んじまった。
まだリーダーとして気負いすぎてるなあ……でも、多分そういうのって経験だよな。このくらいまでは気を抜いても大丈夫。みたいな加減は、流石に経験だもんなあ……それに、今回だけの即席面子。俺も絶対に制御できねえと思うわ。
……おい待て今気づいたけど、この面子ヤバくねえか?
「なあ、金守」
「ん? どうした?」
「メンバー8人中5人が変人なのやばくねえか?」
調査班8人中、俺たち3人以外全滅だぜ……しかも、しかもだ。
「しかも女性陣全滅」
「…………美空君は大丈夫じゃないか?」
「夢希の冒険に面白そうだからってついていくやつだぞ?」
金守がすごく長い沈黙の後に絞り出した。が、無慈悲に切り捨てる。だってなあ……?
金守は額に手を当て天井を向いて完全に沈黙してしまったが、横から灰原がぼそぼそと話す。
「……そ、相対的にはこう……」
「相対的に見たらまあそうだな」
確かに相対的には彩音はまともだな。ちょっと調査班と花奈のやつがぶち抜いてるからなあ……夢希も相対的にはまともな気がするくらいにはな。
「……こう言ってはあれなんだがな浜面君」
天井から視線を戻した金守は、なんだか老け込んだように見えた。お疲れ。ここから出たら酒でも飲もうな……
「『
「それはマジでそう」
金守がとんでもないド正論をぶち込んできやがった。
それを言ったらおしめえよ。反論できねえもん。
お? 夢希たちが帰ってきたな。じゃあ、俺は横目で見て楽しませてもらおうかな。
美味いならそれでいいし、不味いならそれはきっとおもしれえ。どうなっかなあ。
配信書きたい、けど配信書けない。でも配信書きたい……
の結果として、浜面視点のドッキリ番組みたいな構成にしたいなと思ってこんなことになりました。