【書籍化】配信に興味ないダンジョン配信者は今日も配信する   作:もけねこ

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感想、お気に入り登録ありがとうございます。

ここから、浜面視点による、配信の視聴者視点的な感じで書いていきたいと思います。
実験的な書き方をしまくっている本作ですが、これからもよろしくお願いします。


肉が食えない俺と実食! モンスター肉の実態!⑴

 

「戻りました」

 

 お、夢希たちが戻ってきたみてえだな。

 夢希を先頭に後ろに2人がいるんだが、なんだか後ろ二人の顔が微妙な感じだ。なんかあったのか……!

 これはもう、傍観者として笑わせてもらうしかねえ。さあ、何が出る?

 昨日の焼き肉以降、ありとあらゆる用途で使われるようになったクリスタルテーブルの上に、夢希によって肉が置かれていく。甲殻のついたままカニの腕と、ミソの見えている甲羅、ヤドカリのハサミ、そして虹色の肉塊。

 ん? 虹色の肉塊? 

 目がおかしくなったのかと思って思わず目を擦ってもう一度見たのだが、やはりそこには虹色の肉塊がある。

 

「そ、その肉は大丈夫なのか……?」

「わかりません。だから食べます」

 

 何で順接なんだよ。おかしいだろ。

 若干引いているのか、声が震えた金守の発言に対する返しがこれである。

 やっぱり夢希って変な奴だよなあ……

 そして、俺は今笑うのをこらえている。だって、今からこいつらこの虹色の肉たべるんだぜ? 絶対おもろいって。

 

「火を通したらゲーミング肉になりませんかね!?」

「肉が光り輝くってこと? さ、流石にないと思うけど……」

 

 そんなんなったら腹筋が崩壊する自信があるぜ俺は。

 ひょこっと飛び出した美弥子の発言に、吹き出しそうになってこらえる。まだ笑うには早い。ちゃんと笑うべき場面はもっと先のはずだ。

 そう思っていたら、横にいた灰原から追撃が来た。

 

「食べたらそうなる方があり得そうですけどね……」

「俺たちが虹色に輝くのか? 勘弁してほしいな……」

「ブルヒィ……」

 

 耐えきれずに噴き出した。虹色に輝くみんなを想像したら流石に面白すぎた。

 でも、確かに食った方が虹色に輝く方があり得そうだ。

 

「流石に俺たちは輝かないと信じたいが……」

「じゃあ、犬束さんならどうっすかね……?」

「……輝いてもおかしくないな……」

 

 お前ら俺の笑い殺しに来てんのか? 想像させんなよ。

 ついに決壊して笑い出すしかなくなった。俺が腹を抱えて笑っている間にも、話は進んでいく。

 

「カニとヤドカリは……まあ、見た目通りというかなんというか」

「ミソも持ってまいりましたわ」

「モンスターのミソは食べたことはあるのか?」

「ありません。普通のやつがあんまり好きじゃなくて……」

 

 人選ぶ味ではあるよなあ、ミソの部分って。慣れれば美味いんだけどな。今思い返しても、美味かったなあとは思っても、また食いたいにはならない辺り、面白い体になったもんだ。

 ミソがあまり好きではない夢希に向かって、花奈が笑いかけながら酒飲みの理論を語り始めた。

 

「夢希さんも、お酒をたしなむようになれば、あの美味しさに気が付きますわよ。あの苦味がちょうどよいのですよ」

 

 夢希はしばらく花奈を眺めていたのだが……

 

「……じゃあ、一生来ないかもね」

「そんな!?」

「飲まない宣言するんだ……」

「…………身近にいるお酒飲んでる2人、いや3人が……ね? それに私はお酒に弱いみたいだし

 

 すでにだいぶ面白いが、夢希的には、酒を飲むといい選択肢がなくなりつつあるらしい。

 とはいえ、まあ一番身近にいる酒飲みが花奈じゃあなあ……酒癖が悪いとかじゃないもんなアイツ。

 

「……あれ、3人?」

「もう1人は鬼灯君のことだと思うぞ」

「いや、他2人は誰です? 1人は北条さんでしょうけど」

「目の前にいるだろう?」

「……え、美空さんも酒癖悪いんですか?」

 

 灰原が完全にドン引きした顔をしている。

 俺もちょっと予想外だったな。彩音は酒好きなのは知ってたが、酒癖が悪いとは知らなかったぜ。そんなイメージもないしな。

 

「私は悪くありません!」

「でも、冷蔵庫の中身の半分くらいチューハイだったよ?」

「あれは、ポイント付く時にまとめ買いしてるの!」

「ダンジョン内でお酒が飲めるからって花奈さんの採用決定したし」

「そ、れは……」

 

 夢希の発言に、彩音の目が思いっきり泳ぐ。そして、その後ろで何故か花奈がドヤ顔で胸を張った。

 こいつら本当によくわかんねえパーティだな……夢希が相対的にまともに見えるのおかしいだろ。

 

「めちゃくちゃ目泳いでるぞ」

「採用理由酷すぎませんか?」

「あと、花奈は絶対にドヤ顔する場面じゃねえ」

「なんであんなに誇らしげなんすかね……」

 

 灰原と二人でこそこそ話をするが、本当にこいつの言う通りだ。

 なんだよダンジョン内で酒が飲めるからとかいう採用理由。まあ、流石にそれだけじゃねえんだろうけどさ。ないよな?

 でも、強さとか相性とか、採用するときとか全然気にしてなさそうだしなこいつら。

 今のパーティは結果的に相性がいいだけ。そんな感じがするぜ。

 そして、さっきから会話に加わっていなかった金守が突然変なことを言い出した。

 

「彼女たちの冒険の内容を考えると、間違っていないんじゃないだろうか……?」

「金守、お前ちょっとおかしくなってるぞ……」

 

 疲れてんのか? まあ流石に疲れることが多いだろうけどよ。

 まあでも、美味い料理があるなら、酒が欲しくなるのはわかるけどよ。

 

「だって、夢希ちゃんのご飯美味しい上におつまみになるんだもの!」

「その通りですわ! とても美味しいんですもの。お酒だって進みますわ!」

「素直に喜べない褒められ方だなあ……」

 

 彩音と花奈に夢希が言い寄られてら。普段だと夢希が2人を頼りにしている印象なんだが、ダンジョンに入った途端に逆転してる気がするぜ……

 レベル的には夢希が上らしいから、間違ってるわけじゃないんだろうけどな。

 なんで夢希の方がレベルが上なのかはわかんねえけど。どういう生活してたんだろうなアイツ。

 

「まあ、アウトドア料理が多いみたいですし、お酒が飲みたくなるのは間違いないんじゃないですか?」

「あー……確かに、ビール片手に食ってるイメージの料理多めだわ」

「確かにな。以前作った料理なんかも聞いている限りでは酒があいそうだった」

「どれも美味しそうですし、肉料理メインみたいですからなおさらですよね」

「モンスターがメインの食材なんだからそうなるだろうなあ……」

 

 モンスターが食材なんだから、そりゃ基本的には肉料理だよな。たまに魚料理みたいだけどよ。

 俺が食えるようなモンスターとかいんのかね? 植物系ならワンチャンあるか? 俺以外食えないなんてことにもなりそうだけどよ。

 それはそれでおもしれえだろ。

 

「メインはモンスターを食べることなのに……」

「とっても美味しいし、とっても楽しいよ?」

「ええ。とても楽しく冒険をさせていただいております」

「……それはよかったんだけどさ……」

 

 夢希の不満も、笑顔の彩音と花奈に封殺されてら。

 あと、こうしてみてるとマジで思うけど、夢希の表情筋どうなってんだよ。一ミリも動かねえじゃねえか。眉の感じと雰囲気、体の動きでなんとか感情は読み取れるけど。

 

「お酒も進みますし」

「そこの部分はどうにかならない?」

 

 花奈お前……実食ネキとか呼ばれてるらしいが、お前今度から酒カスネキとかに改名しろ。

 酒のことしか頭にねえじゃねえか。夢希も呆れてるだろあれ。

 

「…………いや、そもそもの話として、ダンジョン内で飲酒するのはどうなんだ?」

「そこに触れたら、そもそもの話としてダンジョン内で料理すんなって話になるだろ」

「モンスターを食べるとか以前の問題ですからねその部分……」

 

 金守が本当に、本当に今更過ぎることを言い出したので、俺も根本に触れる。

 どう考えてもだ。モンスターが大量にいるダンジョン内で、料理して飯食ってっていうアウトドア趣味みたいなことしてるのはおかしい。

 命の危険があるんだから、そもそもそんなことをしてるんじゃないと怒られてしかるべきだと思う。

 まあ、ダンジョン内のことは大半自己責任だし、勝手にやって勝手に死ぬ分には特に何も言われないだろうが……

 それと、モンスター食ってるからな。ダブルでおかしいことしてるわ。いや、飲酒も込みならトリプルだな。スリーアウトチェンジだ。

 

「おい、アイツら大丈夫なのか? ギルドから何か言われたりしてないか?」

 

 特にそういう話は聞いていないし、金守も何も言っていないから大丈夫だとは思ったが、念のために確認を取る。

 金守は少しだけ考えるような仕草をした後、口を開いた。

 

「物前君曰く、肉の持ち出しで多少の書類を書くことがあったくらいだそうだが……」

「……そういや、『魔女の大鍋(コルドロン)』に所属したから、研究用で全部通るって喜んでたな……」

「全部が嘘じゃないのが質悪くないすかそれ」

 

 この前の奥多摩ダンジョンの時にそんな話をしてたっけな。

 曰く、たまに肉の魔素(マナ)量の問題で、未成年用の手荷物検査に引っかかるらしい。手慣れている係員(手慣れてる係員ってなんだよ)だと割とあっさり通れるが、そうじゃないときは時間がかかって大変だとか。

 いや、意味わかんねえけどな。なんだその意味わかんねえ手間。そりゃ困惑もするだろうよそいつらも。

 で、『魔女の大鍋(コルドロン)』所属になった結果、その手続きが全部、研究用の一言で済むようになったらしい。

 …………いやな? わかる。分かるぜ? 確かに『魔女の大鍋(コルドロン)』はそういうところだからな。その一言で済むのも分からんでもない。

 でもよ、灰原の言う通り、全部が嘘じゃねえけど、地上に持ち出したのって基本的に美味かったから家でも食べようってなったやつだよな? それ研究用って言っていいのか?

 他の料理に使えるかもしれないから研究用とか言われそうな気はするけどな。夢希ってなんでか知らんがそういうの得意みたいだからな……

 

「……何か言われたらその時に考えるとしよう。下手に掘り起こしたら無限に出てきそうだ……」

 

 そう言った金守は、今解体して持ってきた肉を焼き始めた夢希たちを遠い目で見ていた。

 俺は灰原と顔を見合わせて、頷きあう。

 もし、何かあったら、金守を手伝ってやろう。

 

 

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