【書籍化】配信に興味ないダンジョン配信者は今日も配信する 作:もけねこ
繁忙期、完!!
空白期間が出来てしまったため、リハビリもしないと文章が書けなくなっているので、少しずつ頻度上げて投稿できるように頑張ります!
ともかく、カメレオンの肉は一応食えるらしい。
他のヤドカリとカニか。食えるといいけどな。
それにしても、こっちも焼くんだな。茹でるのかと思ってたけど。
そう思って夢希に質問すると、こちらをちらりと見た。夢希と目が一瞬だけ合う。
……? なんか夢希の目が……気のせいか?
「……小さく切って焼いた方が、早いんです。それに、茹でて変なものだと洗わないといけなくて大変なので……」
「あ、そういう? 確かにめんどくさそうだな」
茹で汁がダメになったら、もっかいお湯作らないといけないもんなあ……なんて思っていたら、懸念そのものはあっていたが内容がちょっと違った。
「毒物洗い流すのって結構大変で」
「お、おう……」
「大分怖いこと言いますね……」
夢希と話してると、やっぱり予想外のことが出てくるんだよな。
鍋洗うのが大変って話から、何をどうやったら毒物の話になると思うよ。
食ってるものがものだから、あり得る話なんだろうけどさ。
「でもよ、カニやらヤドカリって、焼いたらパッサパサじゃねえの?」
「パサパサです。でも、今のこれは、食べられるかどうかの確認ですから」
「食べられるかどうかと言うのは、味ではなく毒物的な意味なのか……?」
「そうですね。それに、焼いた状態だと味は美味しいけど食感がちょっと……みたいなやつは大抵茹でれば美味しいです」
ヤドカリとカニの肉を焼きながら夢希が答えてくれたが、食ったことないもの食うのってやっぱり勇気いるよな。しかも、下手したら毒。
俺はちょっとこええもん。だから、俺は挑戦しねえなあ……
そもそも食うものに困ってないってのが大きいけどさ。美味い野菜だってたくさんあるしな。
そんな俺たちを横で見てた涼子が夢希に話しかけに行った。
「ねえ、夢希っち、そんなに食べるの楽しみ?」
「うん? まあ、初めて食べるモンスターだし、楽しみではあるけど……なんで?」
「だって目が光ってるし」
あ、それ俺の見間違いじゃなかったんだ。
さっきから目が光ってんだよな。あれか? カメレオン食ってマジでゲーミング化したのか?
涼子に目が光っていることを指摘された夢希が、涼子の顔を見て固まった。
「え」
「虹色に」
「虹色に!?」
素っ頓狂な声を上げて夢希が目の周りをペタペタと触る。
マジで虹色に光ってんだよなあ……アレどうなってんだ? でも、花奈のスキルで解除されてないってことは、悪い変化じゃないんだろう。
……本当か? 目が光ってるのは悪い変化じゃねえのか……? 実は例外があるとか言わないだろうな?
「夢希ちゃん大丈夫なのそれ!?」
「ちなみにだけど、彩音っちも目が虹色に光ってるよ?」
「え!?」
夢希の変化に気付いた彩音が夢希の顔を両手でつかんで目を覗き込む。
でも、彩音の目も同じように光ってんだよなあ……
彩音もまた、涼子に指摘されて、両手で目の周りをペタペタ。さっきも見たなこれ。
「眩しくないのか?」
「特には……」
「私も大丈夫です」
「もしかして、俺たちもどこか光ってます……?」
そんなに光ってんのに眩しくないのかそれ。いや、眩しかったら気付くか。
灰原が顔をペタペタと触りながら俺に聞いてきたので、一旦灰原とついでに金守のことを頭から足先まで見てみる。
……うーん、大分シュールだなこれ。
「灰原は尻尾の毛、金守は角が光ってんな」
「あー、ホントっすね……地味に光ってるおかげで汚れが見やすいのが腹立つ……」
「まさか本当にゲーミング化するとはな……」
ホントだよ。まさかマジでゲーミング化するとはなあ。
ちなみにだが、涼子はコアが光ってるみたいで、体の中に光ってるビー玉みたいなのが見えた。美弥子は鼻、長谷川は手の爪だった。
「俺が食ったらどこ光ると思う?」
「一貫性がないから何とも言えないが、鬣だったらちょうどいいんじゃないか?」
「ああ、確かに鬣だとよさそうですね」
鬣か……確かにカッコよさそう……いや、カッコいいか? ゲーミングに輝くんだぞ?
機械が光ってるならまだいいけど、生き物が光ってるのはむしろ大分不気味だろ。
どう考えても目の前にいる連中みても、目が光ってる夢希と彩音、スライムの体でコアが光ってる涼子、ドラゴンで角が光ってる金守がだいぶ例外側だろ。
変な部分が光っても嫌だしな……
それと、今まで触れなかったが、花奈は花奈でちょっとひでえことになっていた。
「……あの、わたくしは非常に眩しいのですが……」
「髪が虹色に光ってる!」
「光量がすごいな。ここから見てもある程度眩しいぞ」
ただでさえ量の多い、花奈の金髪縦ロールのお嬢様風の髪が虹色に輝いている。
テーブルの向こうにいるのに眩しい。本人の顔が逆光になって見えねえし。
当人も眩しいみたいで、目元隠してるしなあ……まとまると結構光量があるみてえだな。
「夢希さん、どうにかなりませんか……?」
「流石に無理かな……」
夢希が申し訳なさそうにしているが、何をどうしたらこれ解決できんだよ。無理だろこれは。
そう思っていたら、涼子がどこからか髪紐を取り出して花奈の髪を後ろで縛った。
「……よし、これでどお、花奈っち?」
「ああ、涼子さん、ありがとうございます……!」
本人の目に光が入らなくなったのか、目を隠すのやめたが……うん、顔が逆光になってんのは変わんねえんだよな。
髪型変えたせいでまるで後光が差してるみてえになってる。
正直、結構面白い。吹き出しそうになったが、流石にちょっとダメかなって思ったので、一旦目をそらした。
夢希、彩音。お前らも目をそらしたのに気付いてるからな。
よく灰原たちは直視……してねえな。こいつら目を閉じてやがる。
正面から直視した上でなんの反応もしていない涼子すげえな……アイツ人が出来すぎだろ。
美弥子と長谷川は……長谷川の手の爪に夢中で見てすらいねえ。
「美弥子っちも鼻光ってるよ」
「え!? う、うーん、光っているのは分かりますが、よく見えません! 誰か鏡持ってませんか!?」
「スマホのインカメラ使えよ」
「それでは一度機械を挟んでいるので正確な見た目じゃないんですよ! 鏡でもちょっと歪むというのに!!」
「お、おう。すまんかった」
鼻が光っていることを指摘されて、自分で見ようとしたのか、寄り目にして頑張って見ようとしたようだが、見えなかったらしい。
鏡を要求した美弥子にスマホを使えと言ったら凄まじい剣幕が返ってきたので、思わず謝る。
「普段から記録は写真なんだし、別に良くない?」
「写真による記録はこういうことがあったという事実の確認がのちにできることが重要であって、今起きていることの正確な記録は今! 自分の目でしかできないんですよ!?」
「ああうん……ごめんね」
夢希が俺への援護射撃をしてくれたが、それも叩き落された。
研究者のこだわりっていうのか? 俺にはその辺マジでわかんねえからなあ。
とはいえ、『
……いや、美弥子の言うことだしな……本当か? と思っていたら、それが伝わったのか長谷川が苦笑しながら説明してくれた。
「そうですねぇ……モンスターの挙動を映像で確認するのと、実物を見るのでは違う。そんなところでしょうかね」
なーるほどねえ。納得した。
確かにそういうことならスマホで見るのはダメだな。奥行とかが正確じゃねえもんな。
「……よし、焼けました。いただきます」
そんな話をしている中で、カニとヤドカリが焼きあがったらしい。焼き始めた時から比べると、ちょっと小さくなったな。
ささっと食べ始めた夢希はというと、眉をひそめていた。不味かったらしい。
「カニ、美味しくないです……パサパサだし……」
そんな夢希の横でカニを食い始めた彩音、花奈も微妙な顔をしている。満場一致で不味いようだ。というか、マズイと聞いても食うんだなお前ら……パーティとしてお似合いすぎるぜ。
しょんぼりした雰囲気を出していた夢希はカニを飲み込み、口を水ですすいでから、ヤドカリをパクリ。
こちらは、カニと違って目が輝いた。
…………物理的にじゃなくてな?
「あ、ヤドカリは美味しいです。味は……普通のカニに近い感じがしますね。ちょっとパサパサしているので、茹でてから改めて食べてみます」
「うん、美味しいね!」
「ホントだー!」
涼子のやつ、夢希が美味いって言ったから今度のは食いに行ったな……
ヤドカリを食いながらうんうん頷いていた花奈が、後ろからこそこそと甲羅(?)の上に乗った黄色と黒みがかった灰色の……多分、ミソか? を取り出した。
「ふんふん……一旦こちらも火を通してみてもよいですか?」
「……ミソか?」
「ええ、こちらがカニ、こちらがヤドカリのものですわ」
カニはともかく、ヤドカリのミソってどうなんだ……?
聞いたことねえけど、そもそもそんなにデカいヤドカリがいねえもんな。デカかったら食ってることもあるのかもしれない。
「ヤドカリのミソって食べられるんです……?」
「わかりませんが……まあ、火を通せば大抵のものは食べられるので試してみようかと思いまして。美味しければお酒のツマミにもなりますし」
安定の酒が世界の中心な女だなあお前は。ブレなさに安心するぜ。
ミソに火を通し始めた花奈に、ジト目を向けた彩音がチクリと刺した。
「今、飲む量制限されてるの覚えてる?」
「……い、今飲む必要はありませんので……」
声震えまくってんぞ。
まあ、美味かったら持ってかえりゃいいもんな。
モンスターを持って帰るって、ちょっと前までなら考えもしなかったけど、夢希に会ってから常識がおかしくなった気がするぜ。
いや、絶対に常識的ではないけどな!
ちなみに、ミソはヤドカリのはまずく、カニのは美味かったらしい。
花奈だけじゃなく、彩音の目も輝いてた。
夢希はそんな二人に呆れてたな。
やっぱり、これは端から眺めてるのがおもしれえな。一喜一憂してんのを見てんのがいい。
何より、俺は食わなくていい大義名分があるしな! 無理矢理食わされる心配なんかもない!
口元を抑えて笑い声が漏れないようにしながら、虹色に輝いている連中を眺めていると、俺の様子を見ていた夢希が
「……植物型のモンスターだったら、浜面さんも食べられますかね?」
「!? い、いや、それは別にいいんじゃねえの……?」
真剣な感じで考え込み始めた夢希に、ちょっと恐怖を覚えた。
いや、本当にいいからな。マジで。
次回からは夢希視点。