【書籍化】配信に興味ないダンジョン配信者は今日も配信する   作:もけねこ

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配信に興味のない私とミノタウロスカレー

 

 その後も雑談することしばし。ミノタウロスの肉の下処理も、そろそろ良さそうだ。そろそろ、カレー作りを開始しよう。

 

「そろそろ、カレーを作り始めるね」

「あ、煮込み終わった?何か手伝うことある?」

「うん。飯盒炊飯お願いしたいんだけど、先にお米を水で浸さないといけなくて、それが30分くらいかかるから、今すぐやってほしいことはないかな」

「分かった。水いれるね」

「うん。お願い」

 

 飯盒とお米、ウォーターボトル、コンロを渡す。焚き火とかも考えたけど、木がね、持ち込みにくいからね……場所取るし、木くずの処理も大変だ。収納魔法も何でも放り込める魔法じゃない。人によってサイズが違うけど、私は錬金用の大鍋がギリギリのサイズだ。大鍋の中に用途別のリュックを放り込んで場所を確保してる感じである。リュックも、両親のお下がりの空間拡張カバンだから、見た目よりは入るけど、それでも食器類とか結構嵩張るんだよね。一番の原因は、キャンプ用の椅子とか机まで持ってきてるせいだけど、これらはないと辛いし……あと、緊急用に寝袋や着替えもあるし、救急箱なんかもあるから、どうにもままならないね。

 

「飯盒炊飯、久しぶりだなぁ」

「普通やらないよね」

「やらないねー。宿泊学習のとき以来」

 

 "見慣れてるだけで、学生時代以降やったことないわ”

 "奇遇だな、俺もだわ”

 "俺も俺も”

 

 私も、ダンジョン内でご飯作ろうとしなかったら、飯盒炊飯しなかっただろうな。炊飯器だもんね、普段。……いつか、『魔女の大鍋(コルドロン)』の人たち作ってくれないかな……魔力で動く炊飯器。魔力で動くコンロを作れるなら、炊飯器もきっといけるよね。

 さて、タマネギを炒めよう。あらかじめ2玉分みじん切りにしてきたから、これを炒める。大体、半分くらいになるまでやる予定だ。家でやった感じ、これが大体30分くらいかかるから、その後カレーを煮込む時間も込みで考えると大体合計1時間ちょっとくらいの予定である。煮込み時間のほぼ全てが牛スジの下処理なんだけど、実際煮込みすぎると野菜が煮崩れちゃうから、これくらいがいいんだよね。ちなみに、家でやるときは、下処理を前日にして、そのあと冷蔵庫に入れておくと、表面に脂が固まって、炒めるときに使える。

 

「結局、ちょっと余裕があるから雑談継続しようか」

「手元見ながらだから、反応悪かったからごめんね」

「それはいいんだけど、そういえば根本の質問してないなって」

「……?何?」

「なんで、ミノタウロス食べようと思ったのかなって……今更だけど」

 

 "確かにwww”

 "今更過ぎて草”

 "マジで今更なんだよなぁwww”

 

 あー、なるほど。確かに話したことなかったな。と言っても、大した理由ではないんだけど……

 

「ミノタウロスってさ」

「うん」

「広義で言えば牛かなって思って……」

「広義すぎない!?確かに角とか牛っぽいけどさ!!」

「でしょ?」

「同意したわけじゃないから!」

 

 "広 義 で 言 え ば 牛”

 "イカれてるよ……”

 "まぁ、確かにミノタウロスって牛の化け物だけどさぁ…w”

 

 いやでも、広義で言えば牛でしょこいつは。人型の牛なんだから、牛じゃない?骨格は人っぽいけど、肉の味は牛っぽいし。

 

「そっか……そうだ。アヤネさんやリスナーさんたちから見て、食べてみたいモンスターっている?」

「た、食べてみたいモンスター……?」

「うん。見た目とか、直感とか、色々あるでしょ?」

「うーん……ぱっと思いつくのは、バロメッツなんだけど、美味しくないんだよね?」

「やっぱり、最初はあいつが思い浮かぶよね……」

 

 "食べてみたいモンスターか……”

 "バロメッツ、単純に緑色なだけでほぼ普通の羊だもんな…”

 "砂ウツボが美味いらしいから、スパインポルポとかいけそう”

 "カニ系モンスターで鍋とか美味そうじゃない?”

 "鳥系モンスターとかは?焼き鳥とかさ”

 

「みんな色々思いつくね…」

「どんなの?」

「スパインポルポとか、カニ系モンスターで鍋とか、鳥系で焼き鳥とか……」

「いいね。今後やろうか」

 

 こうやってアイデア貰えるって考えると、配信も悪くないかもなぁ……

 

「ユキちゃんはさ、他にどんなモンスター食べたことあるの?」

 

 他にどんなモンスター……か。うん。結構な量食べてるぞ私は。1年くらいはこれに費やしてるし。最初の1年半はひたすらレベリングしてたけど、そこから半年で色んなダンジョンを踏破して、そのあとこういったことをやっている。色んなダンジョンを踏破したのは、成人したときに『未探索領域探索許可証』を貰うためだ。深層域まであるダンジョンを複数踏破してないと許可降りないからね。

 

「えーと今までだと、ホクト、ダンジョンブーブー、ブレイクレッグ、アルミラージ、ジャンボイナゴ、アーマーホッパー、ミノタウロス、砂ウツボ………」

「け、結構多いね……」

「まだあるよ?」

「まだあるの!?」

 

 "なっつかし”

 "ジャンボイナゴとかアルミラージなついなー”

 "アルミラージの皮剥きで苦戦してたよな”

 "ホクトとブレイクレッグくらいか?知らんの”

 "まだあんのか……”

 

「あ、リスナーさんは割と知ってるんだ……」

配信(これ)始めてから食べだしたのとか多いしね。ここ1年ちょっとくらいだよ。モンスター食の研究してるの」

「最初からやってたわけじゃないんだ?」

「最初はひたすらレベリングしてたよ。1年半くらい」

「……毎日モンスターハウス殲滅して?」

「毎日モンスターハウス殲滅して、たまに下まで潜って、今どのくらいまでいけるか確認してた」

「……それでどれくらい上がったの?」

「大体1800くらい上げたはず」

「1800!?」

「まぁ、1500くらいから効率ガタ落ちしたから、そこでやめたんだよね」

「そっかー……」

 

 "効率やっばwww”

 "イカれてるよ…(n回目)”

 "渋谷ダンジョン中のモンスターハウスって、1日で回れんの?”

 "わからんけど、行けるって言ってるからいけるんやろ…多分”

 "それの経験もあって、あの下層到達RTAなわけね…”

 

 近接職のレベリングだと、どうやるのがいいんだろうね?彩音さんの場合、しばらくはソロで戦う練習が先だから、レベリングって感じにはならないだろうけど、そのうち考えないと。実際、安全性を確保できるなら、モンスターハウスに行くのが一番効率いいのは間違いない。数体の群れ倒して、移動して、数体倒して、とやるのよりは絶対に。

 

「あの、それ以降のレベリングって……?」

「それ以降は、奥多摩ダンジョンにいって」

「奥多摩ダンジョンいって……?」

「ホーネットクイーンが召喚してこなくなるまでひたすらキラーホーネット撃ち落としてた」

「なにしてるの!?」

「一度に大量に倒せるほうが効率いいじゃん?」

「理屈はわかるけど!やり方がおかしいって!」

 

 "クイーン「ころして……ころして……」”

 "召喚してこなくなるまでってどんだけwww”

 "召喚してこなくなるとかあるんだあいつ…”

 "マジで効率厨過ぎるだろw”

 

 だって、私がやりたいことは、ダンジョン内で安全を確保するのが必要不可欠なのだ。料理なんて、動けないし、時間かかるんだから。だったら、一番いいのは、自分のレベルをその階層の適正レベルよりも圧倒的に上げることだと考えたわけで。やりたいことやりながらレベリングなんて危険なことしないで、さっさと上げてしまってからやりたいことをやるべきだと思ったからこうしただけだけどなぁ……ちなみに、これは2500くらいまでやってた。そのあとは普通にダンジョン攻略しながら勝手に上がった分である。深層だと、レベルアップするのが早くてびっくりした。今度もしレベリングするなら、深層でやろうと思う。

 

「あ、そろそろご飯炊き始めてもらっていい?タマネギいい感じになったから」

「……うん。分かった……」

「?大丈夫?」

「大丈夫じゃないけど、大丈夫……」

 

 どっちなんだそれ……?なんだか疲れているらしい彩音さんを横目に見つつ、私は私で次の作業に移る。

 飴色になったタマネギを鍋に移して、そこにミノタウロスの肉の煮汁を入れる。出汁と言っていいのか分からないが、入れるのと入れないのでは、結構味が違う。あらかじめ切っておいた人参、じゃがいもとミノタウロスの肉を入れて、強火で茹でる。しばらくしたら沸騰するので、一度火を弱めてアクを取る。次は中火で温めて、再び沸騰したら、弱火にしてルーを入れる。ここからは、弱火で煮込むこと30分くらいでいい。焦げないように静かに回しながらやるのがポイント。

 一旦、彩音さんの方を見る。うん、ちゃんとできてるみたいだね。いい匂いもしてきたし、お昼食べてからお喋りしかしてないのに、お腹空いてきたな……

 

 "煮汁も使うんか”

 "出汁的な感じかね”

 "マジで美味そう……”

 "夕飯をカレーにした俺、最強”

 "でもそれレトルトじゃん”

 "やめろや!!”

 

「あのさ、ユキちゃん。はじめちょろちょろ、なかぱっぱ……の次ってなんだっけ?」

「ジュージュー吹いたら火を引いて、わらしべ一束くべまして、赤子泣いても蓋取るな。だね」

「そんなに長かった!?」

「私も調べたときビックリしたよ」

「えーと、どういう意味?」

「はじめは弱火、そのあと中火にして沸騰したら弱火にして、そのあと一瞬強火にしたあと、蒸らしてねって感じ」

「えーと、さっき沸騰してから火を弱めたところだから、ちょっとだけ強火にすればいいの?」

「大体10秒とかで十分だよ。ただ、時間ちょっとだけ長めにするとおこげが出来るよ」

「おこげ……!」

 

 "ジュージュー吹いたら以降知らないが!?”

 "なかぱっぱのあと赤子泣いても〜じゃないのか…”

 "変な豆知識が身に付いていくよな、この配信”

 "わかるわー……だがそれがいい”

 

 おこげに目を輝かせる彩音さん、可愛いなー。年上なんだけど、ご飯食べるのが好きだからなのか、ご飯関係で目をキラキラさせてるのが可愛いと思う。私も似たようなものだとは思うけど。さて、今回は福神漬とらっきょうも持ってきたからな……!前回は忘れてしまったが、私は何度も同じミスをしないのだ……!

 そして、ルーを味見。若干塩気が足りないので食塩で調整。あとは、皿に盛り付けて……完成!若干おこげもあって、より美味しそうだ。

 

「やったー!出来たー!」

「うん。美味しそう……!」

 

 "飯テロだー!”

 "いやぁ、毎回思うけど、見た目完璧だな……”

 "ミノタウロスのカレーって言われないと分からんよな”

 "さて、あとは味だが……”

 

「こっちにらっきょうと福神漬ね」

「あ、ありがとう!」

「じゃあ……」

「「いただきます!」」

 

 スプーンで掬って、パクり……うむ!美味しい!ミノタウロスの肉も、いい感じに柔らかくなっていて、ホントに牛スジカレーを食べてる気分だ。若干の野性味を感じるが、カレーで中和されているから、ほぼ気にならない。ただ、若干煮込み足りなかったのか、ニンジンがちょっと硬いな……うむむ。全部がうまくはいかないか……ご飯は、おこげが良いアクセントになって美味しい。

 

「美味しー!」

「うん。美味しいね」

「ミノタウロスのお肉って、ホントに牛スジみたいなんだね。ちょっとこう……野性味?みたいなの感じるけど」

「ちょっとクセあるけど、カレーで中和されてる感じだよね」

「そうそう!うーん。美味しいなぁ……」

 

 "幸せそうに食べとる”

 "もっと食え……”

 "めっちゃニコニコで食べてそう”

 

「ごちそうさま!」

「ごちそうさまでした」

 

 そのあと、お互い笑顔でパクパク頬張り、彩音さんはおかわりも食べた。余った分はタッパーに分けて、彩音さんと私で分割して持ち帰ることにした。しばらく食休みをしてから、片付けをして、ダンジョンを後にした。

 さあ、明日は何しようかな……

 

 




この小説書くにあたって、色々調べてみると、え?そうなの!?ってなること多くてびっくりしてます。
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