【書籍化】配信に興味ないダンジョン配信者は今日も配信する   作:もけねこ

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本格的に寒くなってきましたので、みなさんも体調にお気をつけ下さい。
ゆるゆるした感じでございます。


配信に興味のない私と悪魔の囁き

 

 今日は休みである。学校はあるけど。

 でも、誰が何と言おうとも休みである。昨日は疲れたのだ。濃い1日だったし。だから、今日という日はお休みなのだ。

 

「「……はぁ……」」

「2人ともお疲れだねー」

 

 学校の昼休み、いつもの2人とご飯を食べながら、思わずため息が漏れてしまった。隣で愛依もため息をついてた。正面の凉はいつも通り、どこか眠そうだ。こいつの場合、どうせゲームのやり過ぎかなんかなんだろうけども。

 

「夢希は、昨日配信してないってことはダンジョン潜ってないんでしょー?なんかあったの?」

「ちょっと面倒事に巻き込まれただけだよ……あ、解決済みだから心配しないで」

「ならよかったー。愛依はー?」

「昨日、事務所の創業記念パーティだったのよ……慣れないドレス着て、お偉いさん方のご機嫌取り」

「おつかれー……」

「……肩でも揉もうか?」

「アンタにやられたら、肩砕けそうだからやめて」

「酷くない?」

 

 ご飯を食べながら、だらだら話す。なんかもうみんなしてのんびりモードだ。愛依のやつは本当に、疲れそうだな……私とは別種の気疲れだろうし。

 それと、愛依は私をなんだと思ってるの?その辺の力加減は完璧な自信あるよ?お父さんや白石さん相手によくやってるからね!……2人とも冒険者だから、あてにならない気がしてきたな……

 

「面倒事で思い出した。2人とも、ありがとね」

「なんかしたっけー?」

「記憶にないわよ」

「配信、始めさせてくれて。お陰で面倒事があっさり片付いた」

 

 実際、あの証拠をさっさと提出出来たのは大きかった。説明した上で信じてもらうまで質問攻めにされるよりも、遥かに早く済んだのは間違いない。まぁ、そのあとの方が大変だったけど……

 2人は顔を見合わせたあと、こっちを向く。愛依は左手の薬指で右手の甲をかきながら、凉は左手でもみあげの髪をくるくるしながら、口を開いた。

 

「アタシたちは安否の確認がしたいだけよ?言ったでしょ?」

「そーそー、それにおまけが付いてきただけでしょー?お礼言われるようなことじゃないって」

 

 2人して、隠し事をするときの癖が出てる。本当に、この2人は……まぁ、何かで返そう。成人したあとで、全力で金策した上でがっつりなんか返そう。そうしよう。

 

「……夢希、アンタ変なこと考えてないでしょうね?」

「……カンガエテナイヨ」

「…………」

 

 愛依にじっと見つめられて目をそらす。何故バレた……?無表情で表情が硬いってよく言われるんだけどな私……

 

「2人とも、今日はお休みな感じなのー?」

 

 凉……!ありがとう!全力でその話に乗っからせてもらうよ。

 

「うん。今日はお休みの予定」

「アタシも今日はオフ」

「じゃあさー、久々にわたしの家でお泊りしないー?」

 

 凉の家でお泊りかー。いいかも。凉は一人暮らしだから、ご家族への配慮とかしなくていいので気が楽なんだよね。ついでにいうなら、私たちのお泊りセットも常備されてたりする。よく泊まるからね、テスト前とか。2人に教えることが多いんだよね。ただ、仕事で忙しいであろう愛依はともかく、凉は普段から勉強しなよって、毎回言ってるんだけど、全部流される。まぁ、そういうやつだからしょうがないけど。

 

「いいわね。久々にだらだらしたいわ……」

「食べ物と飲み物買ってきてー、夕飯ピザとかにしてー、ゲーム片手に明日までだらだら。いいでしょー?」

「楽しそう。いいね」

「どうせなら、映画とかも観たいわね」

「じゃー、けってー」

 

 すごい楽しそうだし、のんびりと休めそうだ。いいねぇ。

 放課後にスーパーに寄ってから凉の家に行くことに。お父さんには、お泊りの連絡を入れる。すぐに返信があって、楽しんでこいの一言。嬉しい限りだ。

 

 

 

 放課後。私たちはスーパーに来ていた。食べ物、お菓子、飲み物を買い込む。揚げ物中心のオードブルのセットに、ポテチとチョコ辺りに、ジュースの類。そんな感じの予定だ。

 重いし、下の方に置いたほうがいいということで、飲み物から買うことにした。1番力があるので、私がカート係だ。

 

「飲み物ねぇ……とりあえず、お茶は1本欲しいわね」

「お茶って、どのお茶ー?」

「やっぱり烏龍茶じゃない?」

「烏龍茶で」

「烏龍茶いっちょー」

 

 烏龍茶いっちょー。これ1本欲しいよね。さっぱりするし。他はジュースの類かな。あ、凉がエナドリ買おうとしてる。阻止しなきゃ。カフェイン中毒一歩手前だからね……

 

「凉はそれ置いて」

「えー?エナドリ美味しいよ?」

「カフェイン中毒一歩手前だからだよ」

「でもー、烏龍茶もカフェイン入ってるじゃん?」

「む。確かに……」

「ねー?」

「……アンタはカフェイン中毒よりも糖尿の心配するべきだと思うわよ。マジで」

「いやー、確かに甘いけど、流石に糖尿はないでしょー……嘘、めっちゃ糖質多いじゃんこれ……」

「知らなかったのアンタ……」

 

 え、そんなに多いの……?成分表だけだと、多いのかよくわからないので、スマホで調べてみる。なになに?1本で角砂糖10個分……!?そんなに!?

 

「凉。それ1本で角砂糖10個分だって」

「……もう飲むのやめるー……」

「そうしときなさい。ただでさえ運動不足なんだから」

「……!運動すれば飲んでもいいってこと……?」

「アタシと一緒にジム行く?」

「私と冒険者やる?」

「どっちもやめとくー……」

 

 愛依は体型維持するためにジム通ってるし、私は冒険者やってるから、運動自体はしている。ほぼ歩いてるだけだけどさ。

 凉は私たちの提案を却下した。まぁ、やらせる気はないけども。死ぬから。凉、本当に運動してるところ見たことないんだよな……体育のときくらい?私は体育は全部見学である。身体能力が違いすぎるからね……

 

「夢希はオレンジジュースでいい?」

「うん。あと、スポドリとか?」

「スポドリはいいでしょ。炭酸いきましょ」

「あれー?カロリーゼロじゃなくていいのー?」

 

 こういうとき、基本的に愛依はカロリーゼロのものを選ぶ。体型維持に気を使ってるからだと思うし、今回もそうだと思ったんだけど、普通のを取った。珍しいこともあるね。

 

「いいのよ。今日は」

「チートデーってやつ?」

「違うわ。アタシは昨日2キロ痩せた。だから、今日2キロ太る必要があるの」

「何いってんの……?」

「マジで意味わかんない……」

 

 思わず凉と顔を見合わせてしまった。昨日疲れすぎて、愛依がおかしくなってしまったのだろうか……

 

「うるさいわね、ただの言い訳よ!そもそも、揚げ物のオードブルにポテチにジュースよ?今さらここでカロリーゼロ選んだところで誤差でしょ」

「それは確かにー」

 

 確かに誤差だね。自分を納得させるための言い訳にしても、無理矢理過ぎる理屈だけども。良かった。おかしくなったわけじゃなかった。

 

「あとはー、水買っとくー?」

「水はウォーターボトルあるよ?」

「ホント、それよく販売されたわよね……水業者壊滅するんじゃないの?」

「1本25万するけどね。私のはお父さんのお下がり」

「たっかー……」

「極限環境で水を確保できるならそれくらいだすよ」

「オアシスだと水が高くなるってやつ?」

「そんな感じ」

「にしても高くないー?」

「安い方だよこれでも」

「……マジ?」

「マジ」

 

 魔力を水に変換するウォーターボトルは、高いと思われがちだけど、冒険者用の道具の中では安価な方だ。そもそも、トップ層の装備品なんて億単位である。それに比べたら、二桁万円なんて安価も安価である。成人したての冒険者の第3目標くらいが、ウォーターボトルの購入だったりする。それより上は武器と防具だ。

 

「やっぱ、冒険者の世界はよくわかんないなー……」

「アタシも……」

「私も、モデルやサブカルチャーの世界はよくわかんないよ」

「わたしたち、みんな別のことやってるもんねー」

「確かに。変な感じよね」

 

 ここにいる3人、全員違う世界にいて、お互いの世界をよくわかってないけど、一緒にいるんだよね。なんか不思議な感じ。多分、やりたいことをやってるっていうだけの類友ってやつだとは思う。

 とりあえず飲み物は買い終わったので、惣菜コーナーへ。目的は揚げ物の類いである。

 

「なんか欲しい揚げ物ある?」

「ポテトー」

「凉、本当にフライドポテト好きだよね」

「フライドポテトはわたしの心の栄養だからねー」

「……もし世界からフライドポテトがなくなったら?」

「そんな世界は滅べばいいよ」

「過激派過ぎるでしょアンタ……」

 

 目が本気なんだけど……どんだけ好きなのフライドポテト。美味しいけどさ。他にも、唐揚げとかイカリングとか買おうとしたところで、凉が何故だか止まった。

 

「どうしたのよ?」

「いやー、あのさー?なんていうか、せっかくなら揚げたて食べたいよなーって思っちゃってさー……」

「気持ちはわかるけど、そうなると自作するしかなくない?」

「自作でもよくなーい?だめー?」

「ぐだぐだするっていう目標から遠ざかるじゃない」

「まー、たしかにー?」

「いいんじゃない?どうせなら美味しいもの食べたいし」

「だーめ。どうせ、全部夢希がやる羽目になるじゃない」

 

 それはそうかもしれない。私が一番料理が出来るのは間違いないし。でも、揚げたての揚げ物って美味しいんだよね……愛依を説得出来るような、なんかいい方法がないものか。

 

「例えばなんだけどさー」

「ん?」

「机の真ん中に油いれた鍋おいてー、各々好き勝手揚げ物作る。みたいなのって無理ー?」

「…………串カツみたいなやつならいけるかも?」

「具材だけみんなで準備して、あとは食べたいものを揚げて食べる感じ?」

「そんな感じー」

 

 楽しそうだなそれ。準備も分担できるし。タルタルソースとか作ってみようかな。具材も色々使えそうだし。何より揚げたてが食べられる。

 考え込むことしばし。全会一致でこの案は採用された。オードブルは全て戻し、具材を買いに行く。

 

「作るものとしては、多分串カツだから豚肉?」

「他に定番となりそうなのは……うずらや牛肉とか?」

「ポテトー!」

「ちっちゃいじゃがいもを丸ごとやろうか」

「いぇーい」

「あとは……愛依、なんか聞いたことない?」

「聞いたことあるのは、レンコンとかタマネギ辺り?あとは、変わり種だと思うけど、紅生姜が美味しいらしいわ」

「紅生姜……?」

「そ、紅生姜」

 

 べ、紅生姜の揚げ物……?かき揚げ的な感じかな……?気になるから作ってみよう。

 

「他になんか思いつかないかな……?」

「チーズとかやってみましょうか」

「いいかも。あ、ササミ辺りもやってみようかな」

「アスパラは?」

「いいねやろう。ベーコン巻きも作ってみようかな。レンコンとタマネギもいれて……あ、ちっちゃいじゃがいもあった」

「凉良かったわ、ね?……あれ?アイツどこいった……?」

「あれ……?」

 

 気がついたら凉がいない。いつの間に……?まぁ、スーパーの中にはいるだろうし、気にすることでもないか。トイレにでも行ったんだろう。どうしても見つからなかったら、電話でもすればいい。

 愛依と2人で買い物を続ける。ソースやらマヨネーズやらも買って、油を買わないとねーと話していたら、後ろから声をかけられた。

 

「ねー、2人ともー」

「あ、凉アンタど、こ……に……」

「……凉、それ……」

 

 振り返った先にいたのは、ニヤついた顔をして、こちらにとある容器を見せびらかす悪魔だった。

 

「どうせならー……これでやらない?」

 

 ()()()の容器を持って、悪魔()がこっちに嗤いかけていた。

 

 




前回の投稿、非常に誤字脱字が多くてすいませんでした。

感想、評価、誤字報告ありがとうございます
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