【書籍化】配信に興味ないダンジョン配信者は今日も配信する 作:もけねこ
お昼にうどんを軽く食べた私は、スーパーで調味料を買い漁っていた。
「黒蜜も買ったから、きな粉とかも買っておこうかな。あー、酢味噌なんかも良さそう。あ、田楽みそ。これも入れよう。シロップは……何がいいんだろう?」
黒蜜を買って、和風にしたくなったので、きな粉もかごの中へ。こんにゃくのような食感から酢味噌と田楽みそも投入。かき氷のシロップは……時期じゃないからか安売りされていた。
そういえば、かき氷のシロップは全部同じ味って聞いたけど、本当なんだろうか?個人的にはイチゴが好きなんだけど……うーん。あのスライム青いし、赤い液体かけると美味しくなさそうなんだよな……他のスライムも考えてみるけど、赤に合いそうなのは……イエロースライムとレッドスライムくらいだろうか。他は、青、緑、紫なわけで。いや、そもそも今日全部食べるのは厳しいから、中層までにいるブルー、グリーン、イエローで考えるべきだな。
となると……黄色か、緑かな……?いや、青に緑はだいぶ色がダメそうだから、黄色にしよう。よってレモンに決定した。
思いついたものはとりあえず入れ終わったので、他にインスピレーションが湧いてこないか、スーパー内を見て回る。
「ふむ。ゼリー……ゼラチンで固めるんだっけ?あの粉、ゼラチンの代わりになるかな?ドロドロになるだけなら意味がないかな……?」
一応確認してみようかな。スマホで調べてみよう。えーと、ゼリーにババロアなんかにも使われて……え、5gを水15CCでふやかした後に、水200CC!?そりゃさっきのやつはあんなことになるわけだ……粉を入れすぎた。うーん……秤がないから、厳し、いや、5gなら小さじで調整が効くか。うまくいったら、色とりどりのゼリーが作れるかもしれないな。試してみよう。
「ゼラチンでほかに作れるもの……寒天、プリン、ムース……色が付いて美味しそうなのは寒天くらいかな?」
プリンもムースも、色がね……透明感ある青なら、割といいかもしれないけれど、そうじゃないならちょっと見た目が……不透明な青い物体はあんまり美味しそうに見えないと思うし。
他にもいろいろ使えるようだけど、ゼラチンの成分を取るために入れる。って感じで、ゼラチンである必要性を感じないものが多かった。なので今回はスルー。
「そういえば、わらび餅って何で出来てるんだろう?」
調べてみると、わらび粉という粉と砂糖と水らしい。ふむ……砂糖と水の量を調整すればいけるかもしれないな。試してみよう。
にしても、久々だなこの感じ。彩音さんとパーティを組んでからはやってなかったしね。正直言えば、彩音さんがブレーキになっているところはあると思うけど、同時にそれでいいのではないか?という思いがある。今日すでに指を溶かしかけているわけで、安全性に配慮しながら活動するのに、他人がいるという事実は大きいと思い知っているところだ。自分だけだと、ちょっとくらいいいか、自己責任だし。みたいになりがちだと感じている。
ただあれだな。毒物食べれないのが難点だな。彩音さんは≪麻痺耐性≫、≪毒耐性≫自体は持っているけど、私ほど熟練度は高くない。普通に体調を崩してしまうだろう。熟練度を上げてもらうのが一番いいんだけど、結局毒物を体内に入れる以外で熟練度を上げる方法はないし……まあ、何かしら方法はあるだろう。
こんなことを考えながら会計を済ませ、再び浅草ダンジョンに戻った。さあ、色々試すぞー!!
「……映像よし、音声よし。こんにちは、ユキです。今からいろいろ試すよ」
浅草ダンジョンに戻り、配信を再起動。相変わらず、リスナーさんたちはそこにいた。本当に彼らはどういう生活をしているんだ……?
"おかえりー”
"マジで色々買ってきてて草”
"何買ってきたん?”
「えっと、とりあえず、黒蜜ときな粉、酢味噌に田楽みそ。あとレモンのかき氷シロップ」
"なるほど?”
"わらび餅とコンニャクとかき氷な感じ?”
"冷たいコンニャクって言ってたしな”
実際、先ほど食べた感じだとシャリシャリとした食感にするコンニャクって感じだったため、その辺意識である。ゼリーに使えるかどうかはこれから試してみる。
「でもまずは、乾燥させた粉を、ゼラチンみたいに使えるか試してみようと思うんだ。もし使えるなら、青いゼリーとか出来たら見栄え良さそうじゃない?」
"確かに”
"青いゼリーいいじゃん”
"各種の色で作れるかもしれんもんな”
"スライムゼリー5色入りでーす”
"お土産か???”
確かに、全種類並べたらお土産になりそうだ。ただ、グリーンスライムには麻痺毒が、パープルスライムはシンプルに毒があるので、多分普通には食べられないかな……個人的に、毒系統だと、麻痺毒が結構好きだ。なんというか、辛味のない山椒みたいな感じなのである。口がちょっと痺れるあの感じがいい。普通の毒も嫌いではないけどね。昔は嫌いだったよ。普通にキツい。死にかけたこともあるし。でも、今はなんというか……辛くないのにピリピリする不思議な味の存在でしかない。
「とりあえず、また乾燥させて粉を作ろう」
ブルースライムを《魔力障壁》で囲って《グラビティ》で抑えつけ、《ファイアスロワー》で炙る。今度、白石さんに魔力動力のドライヤーでも作ってもらおうかな。
"火あぶりの刑だよなこれ”
"絶対乾燥じゃないよ”
"さらっと3つ同時に発動してるけど、イカれてるやろwww”
"当然のようにやるせいで気づかなかったわwww”
しばらくそのままにして、粉になるまで浴びせたあと、粉をビーカーの中へ。《魔力障壁》で囲ったのはこのためだ。とりあえず、先ほど調べた通りに、大さじ1杯の水を別のビーカーにいれ、小さじ1杯の粉を投入する。軽く混ぜて全体的に混ざったのを確認して、200のメモリまで水を注いで、混ぜる。綺麗な透明感ある青い水の完成である。これが固まればゼリーになるはずだ。何もいれていないので、無味無臭だけど、とりあえず固まるかどうかの実験なのでこれでいい。
というわけで、しばらく放置したのだが……固まらないな?一応調べてみよう……あ、冷やさないといけないのか。《フリーズコフィン》で氷を周りに囲うように配置する。これでしばらく置いておけばいいはずだ。
"《フリーズコフィン》ってそんなに自在に氷配置できるんですか?”
"出来ません”
"そもそも、対象の四肢の一部を凍らせて動きを封じるくらいしかできんぞ”
"ユキちゃんの魔法に常識を求めてはいけない”
「これが固まるまでの間に、別のスライムを凍らせてスライスしよう。刺身コンニャクみたいな感じで」
というわけで、もう一匹ブルースライムを捕まえてきて、核を破壊して冷凍する。そして、ショートソードで切り分けていく。もう、この剣調理用でいいんじゃなかろうか……?調理以外まともに使ってないし。練習自体はしてるんだけど、それでもちょっと制御がまだ怖い。斬れ味の良さもあって、ズレたら周りの人間がすっぱりいくしね。洒落にならない。
"そのショートソード、ショートソードじゃなくて包丁だったりします?”
"調理にしか使ってるところ見たことないぞ”
"なんで使わないん?最初はあんなにご機嫌に振り回してたのに”
「前も言ったけど、まだ制御が甘くて、ちょっと危ないんだよね。下手すると、周りの人間がスパッといくから……」
ある程度の大きさになるまでショートソードで切り分けたスライムを、ナイフでスライスしていく。うーん、この青っぽい謎の透明なコンニャクらしき何か……地味に食欲が減退するな……
その間に、リスナーさんたちと会話をしていく。これくらいは慣れたものだ。
"手で持つのは?”
"手で持つように作ってないんじゃない?”
"まぁ、浮遊魔法で振り回す用だもんな”
「そうなんだよね。刃の方に重心置いて作ったから、手で振るのが結構難しくて。それに、片手剣は練習したことないしね」
ちなみに、私が練習したことがあるのは、徒手空拳、ナイフ、両手剣、杖術である。多分、徒手空拳が一番強いかな……
”片手剣"は”練習したことないんだ……”
"他は練習したことあるんか……?”
"他に何やったことあるの?”
「徒手空拳、ナイフ、両手剣、杖術だね。杖術は見ての通りだし、両手剣は両親が使ってたから。徒手空拳とナイフは、武器が壊れたり、手元に無かった時のためだね」
実際、最悪の状況は、メイン武器が無くなることなので、素手の戦闘は出来るに越したことはない。私の場合、《身体強化》と《魔力放出》でそこそこ戦えるから。
"はえー……”
"結構がっつりちゃんと練習してる……”
"最悪に対応出来るようにっていうのは徹底してるよね、ユキちゃん”
"自分から突っ込んでいくけどな”
「究極的な話として、自分の身体一つで生き残れるようにって教わったしね。両親に」
リスナーさんの指摘が痛いが、それには触れない。スルースキルが大事だって愛依と凉が言ってたから……!確かに、自分から突っ込んでるのは否定できない。やっぱり、彩音さんがブレーキになってる状態はいいのかもしれない。
彩音さんを足枷呼ばわりしているみたいで自己嫌悪が芽生えてきた。彼女をパーティとして見ていたつもりだけど、無意識に見下していたんだろうか、私は。一度、ちゃんと話し合った方がいいかもしれない。鬼灯の話も合わせると、彩音さんが私に思うところがあるのは確かなようだし。
とりあえず、切り終わったので、黒蜜を引っ張り出してこれで食べることにする。
「よし、切り終わった。まずは黒蜜で食べよう。いただきます……シャーベット状のわらび餅って感じ。美味しいけど、これ黒蜜が美味しいだけだな……」
うん。無味無臭だし、本当に黒蜜の味しかしない。食感は楽しいんだけどなぁ……
"無味無臭って言ってたもんな…”
"シャーベット状のわらび餅って結構良さそうだな”
"いいじゃん”
「次は、この酢味噌と田楽みそで行こう。シロップはそのあとで。こっちは……あー、酢味噌が結構いいかも。刺身コンニャク感出て」
田楽みそはちょっと味が強すぎる。あれ、結構コンニャクの味大事だったんだな……今初めて知ったよ。酢味噌は良い感じだ。辛子酢味噌にしなくてちょうど良かったかも。
"なんていうか、総評としてはコンニャク?”
"今のところコンニャクだね”
"味のしないコンニャク=スライム”
「確かに、ほぼほぼコンニャクだね。さて、本命のレモンシロップかけたかき氷もどき……あ、これ美味しい。なんていうか、食感が本当にいいから、かき氷みたいに食べるのが正解かも」
うん。なんていうか、食感が特徴的なかき氷って感じで、本当に美味しい。いや、かき氷というか、こう……レモン味のグミを凍らせたらこんな感じかな。
"お、やったやん”
"いいじゃん”
"変わった食感のかき氷か…美味そう”
かき氷もどきを味わったあと、確認してみると、冷やしていたゼリーもどきがちゃんと固まっていた。おお、綺麗な透明感ある青!いや、これ結構本当にお土産とかに出来るんじゃないか?見た目は本当にいいぞ?
"めっちゃ綺麗な色!”
"マジでお土産に良さそうで草”
"※なお、無味無臭です”
"途端にお土産に良くなくなったな……”
「いただきます……あー、うん……無味無臭のゼリーだこれ……」
いや、美味しくないなこれ……味付けないと微妙過ぎる……とりあえず黒蜜をかけたらただの黒蜜寒天になったので、ゼリーではなく、寒天ということにする。
とりあえず、ブルースライムでの実験はここまでだ。次はグリーンスライムで実験するぞ!
次回は、グリーンスライム(麻痺毒)を食べます。