【書籍化】配信に興味ないダンジョン配信者は今日も配信する 作:もけねこ
渓谷の底に向かっての自由落下。ではなく、浮遊魔法を発動し、頭を下にしてから、加速しての直滑降。時速100キロくらいかな?
"おいなんか加速したぞ!?”
"怖い怖い怖い怖い!!”
"渓谷の底に行くには、最速最短の完璧なルートっすねぇ…(白目)”
"自殺ルートの間違いでは…?”
「ふふ、たのしい」
"く、狂ってるよお前…(震え声)”
"まぁでも、冷静になれば割と爽快ではあるかな…”
"ジェットコースターの視点カメラみたいなもんだと思うと楽しいぞ”
"あー、なんかわかるわそれ”
"ウソだろお前ら…”
練習して浮遊魔法の練度を高めた結果として、加減速はもちろん、姿勢制御や挙動制御も自由自在だ。無意味にきりもみ回転したり、ぐるっとカーブしたりしながら、モンスターや吊り橋を避けつつ下に落ちる。ほんとたのしい。
"マジでジェットコースターみたいになってきて草”
"楽しむためだけに無駄な動きしてるやろこれw”
"浮遊魔法ってこんなに自在に動けるのか…”
"ここまで出来たらめっちゃ楽しいだろうなw”
"俺は未だに怖いんだが!?なんで楽しんでんだよお前らは!!”
中層に到達する前くらいで、速度を落とし始める。地面に激突するのはごめんだし、急制動かけると内臓がぐいっと引っ張られるような感覚がして、吐き気がするのだ。緊急時でもない限りはしないようにしている。
少しずつ速度を落としながら、中層部分を落ちていく。ここからは、下だけじゃなく、横も確認していかないと危ない。砲台ヤドカリの流れ弾がこっちに飛んでくる時がある。
モンスターの生態は不思議がいっぱいなのだが、その中でも砲台ヤドカリは群を抜いて不思議なやつだ。背中に穴の空いた殻を背負い、そこから砲撃、仕留めた獲物を捕食する。という、文字に起こす限りでは、割とあり得そうな生態をしているのだが……何故か、
モンスターの生体に疑問符を浮かべていると、最後の吊り橋を通過したので、速度をほぼゼロまで落とす。ソードスコルピオの群生地は、付近に湧き水がある事が多い。ここの湧き水は壁から流れ出て渓谷の底に小さな池を作っているので、湧き水が出ていないか確認しながら降りていく。
ちなみに、流れ弾は来なかった。
"ご利用ありがとうございましたー”
"飛び降りたときは焦ったけど、楽しかったわw”
"またやってほしいなこれ”
"いい加減地面が恋しいよ俺は……”
"目の前にあるじゃん???”
"それは壁であって地面じゃねぇだろうが!!”
「見当たらないな……こっち、かな……?」
方角を勘で決め、西に西にと移動しながら少しずつ降りていく。湧き水の位置もちょいちょい変わるのがダンジョンクオリティなので、地図は当てにならない。
この辺りは、飛行型モンスターや砲台ヤドカリはいないため、周囲の警戒は特にせずに湧き水を探すだけなのだ。余裕があるからか、再び思考がモンスターの生態についてにズレていく。ここのモンスターたちはどうやって生きてるんだろう?このダンジョンは、ほぼ岩と砂で構成されていて、水気があるのはこの辺りだけだ。上層なんてカラッカラに乾燥していて、泉や川もない。いくらモンスターが不思議な生態をしているにしても限度はあると思うんだけど……。そもそも、サソリはともかく、ヤドカリって乾燥に強いんだろうか…?ちなみに、他は大小2種のワシとカニとウツボとタコだ。と、ここまで考えて思い至る。
「半分くらい水生生物じゃない…?」
え、嘘でしょ。水生生物なのにこんな岩と砂しかないところに住んでるの?なんなら、砂漠に住んでるはずのサソリが一番水求めてるじゃん。ヤドカリとカニは、甲殻があるからサソリに近いのかな?とは思うけど、タコとウツボはどういうことなの?なんで干からびてないの…?あいつらは壁や地面に潜っていて、突然奇襲を仕掛けてくるタイプだから、空気に触れなくて乾燥しにくいとか…?
"そしてなんの話?”
"八王子ダンジョンのモンスターたちでしょ”
"ハイエナワシ、ビッグイーグル、砲台ヤドカリ、メッサークラブ、砂ウツボ、スパインポルポ、ソードスコルピオか”
"確かに半分くらい水生生物だな…”
"乾燥してる岩山って感じなのにな”
"前から思ってたけどモンスターって、安直な名前とそこそこカッコいい名前が混じってるのなんで?”
"確かに。統一感なくて気になるんだよな”
"新種のモンスターは、発見者に命名権があるからそのせいだね”
"あーそういう”
"名前つけてる人がバラバラだから、統一感がないのか”
"それって、センスのないやつは未来永劫晒し者…ってコト!?”
"やめろw”
"晒し者は草”
"悶えてる人いそうw”