【書籍化】配信に興味ないダンジョン配信者は今日も配信する   作:もけねこ

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一度も誤字報告をされない投稿ができないのは何故だ!
一体っ、何故っ……!


【追記】やっぱり出来ませんでした。クソァ!


配信に興味のない私とスパインポルポ解体新書⑶

 

 一通りじゃれ合いを済ませた後、再びスパインポルポの冷凍品をせっせと作る。

 クランに行き渡るようにってことで結構な数欲しいって言ってたから、その分大量に必要である。私としては非常に嬉しいことなので、結構張り切っている。すでに6体目が終わったが、まだ鬼灯の収納魔法には空きがあるということなので、まだ作る予定だ。

 鬼灯も大量に持ち帰るために酒瓶置いてきたと言っていたから、かなり本気である。

 ただ、ダンジョンから帰るときの申請書が大変というか、めんどくさいんだよな……

 うーん……その辺のことを考えても、『魔女の大鍋(コルドロン)』に加入するのは楽かもしれないなぁ……だって、所属が『魔女の大鍋(コルドロン)』だったら、大抵のことは研究のためですの一言で通りそうだし。信頼と実績の狂人の集いだからね。

 そんな感じで作業を続けていると、スパインポルポを茹でていた鬼灯が声を上げた。

 

「なーユキ、リスナー」

「何?」

 

 "どうした?”

 "?”

 "なんぞ?”

 

「これって他になんか良い食い方ある?特にツマミとして」

「……タコの食べ方か……」

 

 ツマミになるかは分からないけど、タコって結構使い道がある食材だとは思うのだが、野菜抜きでって考えると途端に厳しいんだよな……まぁ、大抵の食べ物ってそうだけど。

 ぱっと思いついたのは前に作ったアヒージョ、カルパッチョ、タコ焼き辺りだろうか。いや、タコ焼きは野菜はいってるか。明石焼きならいいかもしれない。

 

 "ツマミってなると…”

 "定番は刺身とかアヒージョか?”

 "あとはタコわさとかタコキムチとか…でも食えないもんなー…”

 "野菜抜き制限結構キツイな…”

 "カルパッチョは?”

 

「カルパッチョってあれだよな?こう、タマネギに乗っけてソースかけたやつ」

 

 鬼灯の認識って大分偏ってるというか、お店基準な感じがあるな……とはいえ、確かにカルパッチョは鬼灯も食べられるだろう。それに、カルパッチョって前に調べた感じだと……

 

「……カルパッチョって確か、薄切りにした何かの上にソースかかってたらカルパッチョじゃなかったっけ?」

「おん?マジで?そんな雑なの?」

 

 鬼灯が疑いの目でこちらを見てくる。こういう時こそ助けてくれリスナーさんたち。

 

 "元々は薄切り肉にソースかけた料理だな”

 "魚料理ですらなかった…”

 "魚系は和風カルパッチョ扱いらしい”

 "結論としては「薄切りした何かにソースかけたやつ」であってる?”

 "あってそう”

 

「やっぱりそうだよね?」

「……なー、その定義だとさ、刺身もカルパッチョにならねぇ……?」

 

 つけるんじゃなくて醤油かけたら。と鬼灯に言われる。

 少し考えてみよう。とりあえず、何かソースをかけたらカルパッチョということにする。すると、間違いなくその方法だとカルパッチョ呼ばわりされてもおかしくないだろう。実際、魚系のカルパッチョって醤油ベースのソース多いし。

 

「……カルパッチョって言われる可能性はあるね……」

「だよなー……?」

 

 "い、一応本家はマヨネーズベースのソースらしいから(震え声”

 "でも和風のカルパッチョは醤油ベースのソースだし…”

 "刺身はカルパッチョだった…?”

 "もうこれわかんねぇな…”

 

「まー、その辺はあれよ。おはぎとぼたもちの違いとか、大判焼きを何と呼ぶのか、みたいな感じでしょ。気にする必要ないんじゃね?」

 

 リスナーさんたちのコメントを眺めていた鬼灯が、けらけら笑いながら話した。

 しかし、その何気ない一言が戦争の口火を切ってしまった……!

 

 "は?御座候だろ???”

 "何いってんの?回転焼きだからwww"

 "おやきだろ?何いってんだ?”

 "大判焼きに決まってんだろうが!”

 "御座候なんて関西の一部だけじゃん”

 "おやきこそ北海道限定じゃねぇか!”

 "広く普及してるのは大判焼きなんだよなぁ?”

 "はぁ???今話してるのは普及率の話じゃねぇんだよなぁ……?”

 

 凄まじい勢いでコメントが流れていく。初めて見たなこの速度で流れていくコメント。

 

「おい、どうすんだよこれ……」

 

 鬼灯がとんでもないことになってしまった配信画面を呆れたように見ながら、私にも意見を求めてくる。

 頷きを一つ返して、私も口を開いた。

 

「あれは今川焼きでしょ?」

「さらに油注いでんじゃねーよ!」

 

 鬼灯に結構強めに叩かれた。なんでだ……?私にも意見を求めていたのではないのか……?

 その後もリスナーさんたちと私は激論を繰り広げることになる。ベイクドモチョチョなる新勢力まで現れ、結構な時間話し合った結果、鬼灯の「もうめんどくさいから、ここでは大判焼き以外認めねー!」の怒声で一旦終了となった。

 

「あ"ーもう!なんの話してたんだっけ……」

 

 もーやってらんねー!なんて言いながら、腰の瓢箪からお酒を注いでグビグビ飲んでいる。

 発言だけ見たら、仕事に疲れたOLさんが愚痴吐いてるみたいだぞ君……でも、確かに何の話してたっけ……?

 

 "怒らせちゃった…”

 "ごめんよホオズキちゃん…”

 "ごめんて…”

 "タコをツマミ……だったよね?”

 

「そうだよ、ツマミの話だー!マジでなんかねぇ……?」

 

 タコを使ったツマミ。そうだったそうだった。そこからカルパッチョの話になって、鬼灯の大判焼き発言で戦争になったわけだから……今の原因って鬼灯じゃないか?

 ちらりと鬼灯を見る。いや、追及するのはやめとこう。わざわざ藪をつついてもね。蛇じゃなくて鬼が出るし。

 にしても、先ほども考えたけど、それ以外となると……いや、まずタコっていうのを頭から外そう。それで、ツマミの定番がなんなのか考えよう。

 うーん……お父さんも日本酒が好きだから、お父さんがよく食べてるものを一旦考えようかな。塩辛、スルメ、ポテトサラダ……家だとこんな感じ。外で食べる時は……フライドポテト食べてることが多いかも。その時はビールだからっていうのも大きいだろうけど。家だとビール飲まないんだよね。なんか泡がどうのって言ってたなぁ……ってそうだ、揚げ物と言えば。

 

「唐揚げは?」

「あー!そうじゃん!タコの唐揚げ食えるじゃん!」

 

 最近唐揚げを食べられるということを知った鬼灯は大興奮している。タコの唐揚げ美味しいもんね。

 ただ、この前のこともあるし、一応釘刺しておこうかな。本人も分かってるとは思うけど、念の為ね。

 

「食べすぎないでね?」

「……おん。いや、マジでキツかったから、気を付けるよ……」

 

 今上がったテンションはどこへやら。一気に消沈した声で答える。あの時は軽い調子で言ってたけど、お腹に小麦粉の塊が詰まって入院して手術したわけだし、軽い出来事なわけないしね。

 

 "?”

 "どうした?”

 "なんかあったん?”

 

 リスナーさんたちが心配の声を上げている。それを見た鬼灯がお酒を一口飲んでから口を開く。

 

「……小麦粉がなー……食べられるんだけど、食べ過ぎるとダメってことが分かったんだわ……」

 

 "Oh…”

 "判定が結構シビアだな…”

 "腹一杯食う!は厳しい感じか…” 

 

「そうなんよなー。まー食えるもの増えたからいいんだけど」

 

 そうリスナーさんたちにいいながら、鬼灯から抗議するような視線が私に向けられた。モザイクがかかっているから、私にしか分からないけど、何かダメだったか……?と考えていたら、口パクでプライバシー。とだけ返ってきた。

 う、確かに良くなかったか今のは。確かに、言うなら今じゃなくて帰り際にするべきだったかもしれない。配信外にするべきだった。

 入院したこととかまで言わなくて良かったと思う。これから、そういったところもちゃんと気をつけないといけないな……触れていいかどうかとかも考えないと。

 今だって、何気なく触れたけど、触れたことでリスナーさんが反応して、ある程度説明する必要が出てきたわけで。うぐぐ……反省。

 私に伝わったのが分かったのか、鬼灯が話を他に振る。

 

「で、他にねぇの?タコの食べ方。この際ツマミじゃなくてもいいから」

「……ツマミじゃなくてもいいの?」

「おん。思ったより大量に用意しちゃったもんだから、念の為に聞いておきたい!」

 

 "確かにすごい量作ってるけども!”

 "そういや、今何匹目?”

 "確かに、今何匹目だ…?”

 

「確かに。今何匹目だっけ?」

「これでえっと……8だね。そこにさらに2匹いるけども」

「よし!キリいいから、ここでやめるか」

 

 鬼灯のお陰で空気が変わった。私は本当に周りに助けられてばっかりだな……

 だから、私は私なりに、タコの食べ方について答えよう。あとでお礼やら謝罪やらはしっかりするとして。

 

「タコの食べ方なんだけど、明石焼きとかどう?」

「明石焼き?」

「明石焼きは卵焼きの中にタコが入ってて、出汁で食べる感じの、タコ焼きの亜種みたいなの」

「おん?え、美味そう……」

 

 鬼灯は出汁の味が好きなので、食いつくと思ったんだよね。液体の調味料はお酒と一緒にとれば大丈夫みたいだし。明石焼きも、小麦粉は入っているけどメインは卵。間違いなく平気だろう。

 

「そういえば、普段どうやって食べてるの?」

「刺身か煮物。中でもおでんが多いかね。おでんは得意料理だし」

 

 え、意外……思わず鬼灯のことをまじまじと見てしまう。

 

 "おでんが得意料理…”

 "家庭的!”

 "え、かなり意外…”

 "肉食ってるイメージだったわ”

 

 リスナーさんたちも意外だったらしい。私ですら、料理するイメージないしな……

 

「君たち失礼すぎん?あと、ユキも『え、そうなの?』みたいな顔してんじゃねー!」

 

 鬼灯からの抗議の声に、思わず顔をペタペタ触ってしまう。やっぱり私って顔に出やすいんだろうか……やめろ、そんな呆れたような視線を私に向けないでくれ!最近ちょっと気にし始めたたんだから!

 

 "おでんが得意料理ってどう作ってるの?”

 

 私がそちらに意識が言っている間に、リスナーさんのそのコメントを鬼灯が取り上げた。

 

「おん?どう作るか?まず、昆布から出汁を取ってだな……」

「え、そこから!?」

 

 思わず大きな声が出る。え、昆布から出汁を取るところから始めるの……?

 私だってそれなりに料理してると思うけど、市販のつゆ使って作ったことしかないんだけど!?

 

 "昆布から出汁を…!?”

 "そこから!?”

 "まさかの出汁から自家製www”

 "つゆ買ってくるとかじゃないんだ…” 

 

「おん、もちろん。次に、鰹節で出汁をとる。ここで、多めに入れてじっくり煮込んで、鰹出汁の味を濃いめにするのがポイント」

「う、うん……」

 

 なんだそのこだわり様は……!というか、鰹出汁の味を濃いめにするとか、もはやお店で出てくるようなクオリティのものが出てきそうなんだけど!?

 

 "お、おう…”

 "そ、そうか…”

 "みんなびっくりしすぎてて草”

 

「で、あとは醤油、みりん、砂糖、塩で味を調えて」

「……」

「お好みの具材を放り込む。ボクの場合はタコと牛すじ」

「……まぁ、そうだよね」

 

 野菜食べられないもんね。大根が定番だと思うけど、それは無理だし、こんにゃくもダメだもんね。

 

「あとは、大根、こんにゃく、さつま揚げ、しらたき、餅巾着、ゆで卵、ちくわ辺りをいれる」

「……?え、大根……?」

 

 待って、今食べられないだろうなって思ったものも普通に入れてきたんだけど!なんか普通のおでんが出来そうだよ。なんかこう、もっと牛すじとタコだけ入ってるおでん想像してたから、頭が追いつかないんだけど!

 

 "だ、大根!?”

 "何故!?”

 "食えないんじゃないのか!?”

 

 リスナーさんたちも大混乱の模様。大根だけに。ダメだ。頭が変なとこに行ってる……!

 

「おん。食えないんだけどさ、旨味が出るから、入れると美味いんだよ。それはボクでも食べられるし、本体は周りに配ればいいからな」

「あ、あぁ……なるほど……」

 

 なるほどね、周りに配る用……ツマミの交換とかしてんだよー。って言ってたから、その時にやる感じかな。

 

「で、それをつまみに日本酒を飲むんだよ。それがもう最高なんだ……」

「……そっかー……」

 

 しみじみと、本当に噛み締めるように言う鬼灯に、思わず遠い目になってしまった。なんか知らない間にものすごく料理が出来るようになっている。あと、そのおでん今度食べさせて欲しい。すごく美味しそうだから。

 

 "ヤバいな、腹減ってきた…”

 "何時もと違う方向性の飯テロ食らった…”

 "コンビニおでん買ってこよ…”

 "俺も行ってこよ…”

 

 その後、スパインポルポを10匹分処理したあと、干物用のやつが取れていないと、干物用にもう一匹確保して、ダンジョンを後にした。

 ダンジョンから自宅に帰る道中、コンビニでホットスナックを鬼灯に奢った。さっきのお詫びにね。

 気を付けろよーなんて軽く小突かれたので、本当に気を付ける所存である。

 




そろそろ夏休みが来てしまう……繁忙期が、ががが……
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