【書籍化】配信に興味ないダンジョン配信者は今日も配信する   作:もけねこ

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配信に興味のない私とお父さんのアイデア

 

 エンブレムの話で話がそれてしまったけど、今日はいろいろと早くしないといけないのだ。何も考えずに仕事を引き受けてしまったけど、そもそも時間がある週末に受けるべきだった……そしたら余裕をもってできたというのに。

 

「だから、とりあえず中層までのモンスターを全部解体して持ち帰るよ」

「下層はしないのですか?」

「時間の問題が……」

「あぁ……確かに」

「そうなると、今後のことも考えるとわたくしたちも解体を学ぶ必要がございますね」

「そうだね!」

 

 "まさかの解体三人娘に!?”

 "三人で解体してる絵面想像するだけでおもろい”

 "時間の問題なかったら全部持ち帰る気なの草”

 

 時間の問題とは言ったけれど、正直そこまで大量の肉をいれるスペースもないんだよね……うーん、もう一人収納魔法もちか、荷物持ちをしてくれる人が欲しい。高望みだけども。

 それに、一度に全部持ち帰る必要はなく、何度かに分けていいってことだったので、今回は上層中層のモンスターにするつもりだ。下層深層は後で持ち帰る予定だ。なので、今日持ち帰るのはブレイクレッグ、アーマーホッパー、アルミラージ、オーク。そして、ゴブリンとホブゴブリンである。いや、後者2体食べられるのか……? いや、食べるのが目的なわけじゃないのかもしれないんだけどさ。

 あ、フィールドワークに興味ある『魔女の大鍋(コルドロン)』の研究者とかいないかな。護衛はするから荷物持ちしてって言ったらやってくれる気がするんだけど……流石にかなぁ? 収納魔法使える人も多いしね。

 2人が解体を覚える気満々なのは嬉しいんだけど、まずは防護服買わないとダメだよ。汚れるし。

 

「まずは防護服買わないとね」

「そうだね。どんなのがいいかなー?」

「そこまで必要なのですか? 装備が汚れるなど日常茶飯事だと思いますし、破傷風などの問題はわたくしのスキルなら無効化出来ます」

「言われてみれば……」

 

 "確かに?”

 "返り血で血まみれの人とかおるもんなぁ”

 "あのスキル便利やなぁ…”

 "酔い覚ましじゃないんだアレw”

 "流石に酔い覚ましだけなわけないやろwww”

 

 まあ確かにその点は大丈夫になったんだよね。花奈さんのスキルが病気にまで効くのが凄まじい。なんだけど、それ以上に問題があるんだよね。本当に。私は最初、手袋だけでいいでしょってやって本気で後悔したから。

 

「そういう点はカバー出来ても、万が一内臓を傷つけたときの中身で汚れるのが……ね?」

「内臓の中身……あぁ、そっか……」

「確かにそれは……」

 

 "それは嫌ですね(手のひらクルー”

 "絶対嫌だ…” 

 "ピー音とかモザイクはいるやつじゃん…”

 

 胃液で半分溶けた人間の肉とか骨とか、流石に服に付けたくないでしょ。モンスターの血や肉とかならともかく、人間のってなると一気に嫌なものになるのが不思議だ。多分成分的にはあんまり違いはないだろうにね。

 あと、普通にうんちは嫌だよね。うん。

 ちなみに言っておくけど、今の私のバトルクロスであるこのローブは二代目だよ。

 

「というわけで、まずは2人分の防護服が用意出来てからだね」

「ええ、そういたします」

「でも、ちょっと知りたいから、今日は見させてね」

「今日のそれはオークだけにさせて」

 

 さて、ここが大変かもしれない。2人を私のコミュ力で納得させられるんだろうか……

 

「なんで?」

「オークの味を見て、ちゃんと食べられたら2人には料理してほしいから」

「……なるほど、ユキさんが解体をしている間にわたくしたちで食事を用意するということですわね」

「うん。平日にやろうとしたことが間違いだったなって本気で思ってる」

「あはは……」

 

 "解体と料理担当と化しているユキちゃん”

 "振り回し担当…は実食ネキに譲ったか”

 "食べる担当アヤネさんやね”

 "アヤネさんの一番の仕事はツッコミだから”

 "激務すぎて草はえる”

 

 納得してくれて嬉しい。けど、2人とも苦笑いなのがちょっとアレだけども。でも、優しいよね2人ともさ。私の計画性のなさが露呈しただけだけなのに。

 今後はちゃんと時間を考えて臨もうと思います。本当に。土日の一日潜るついでに仕事もこなす感じの方が多分うまくいきそう。時間の余裕もあるし。

 

「ともかく、オークの味次第。というわけですか」

「うん。オークがダメそうなら、ブレイクレッグを食べよう。もはやおなじみだけど」

「よーし、つまりさっさと倒しちゃうのが大事ってことだね!」

「うん。いこうか」

 

 さ、さっさと倒そう。それに、今日は練習してたアレのお披露目だ! 完璧になった動きを見せてあげようじゃないか。

 

 

「というわけで全部狩ってきた」

「ユキちゃん速すぎ……」

「追いつくので必死でしたわ……」

 

 "速すぎんのよやっぱw”

 "ショートソードかっこよかったけどさぁw”

 "ついに制御上手くいったんだなって”

 

 上層から中層まで一気に駆け下りながらモンスターを狩りまくった。ブレイクレッグは2頭狩った。金守さんへのお土産に1頭渡そうと思う。

 とはいえ、テンションが上がっちゃって2人を置いてけぼりにしかけたことは反省しないとダメだね……

 後ろでぜぇぜぇ言ってる2人を振り返って素直に謝る。

 

「ごめん、ちゃんとショートソードも振り回せるようになったから。ちょっと自慢したくて……」

「それはかっこよかったけど……」

「ええ、とてもロマンあふれる動きではありました」

 

 ショートソードを浮遊魔法で浮かせての攻撃がちゃんと制御出来るようになったので、それのお披露目もさせてもらった。杖を持たず、腕の振りに合わせて剣を振れるようになったので、そのおかげでかっこよくなったのだ。

 最終的には指の動きでやりたいものである。指をくいってやるだけで動かしたいよね。

 さて、早いところ取り掛からないと門限破ることになってお父さんにアイアンクロー食らいそうだから、はやくやら……寮生活になったら門限とかなくなるのでは!? 一人暮らしだしちょっと不安だなって思ってたけど、楽しみになってきたぞ。

 今更なところに気が付いて、テンションを上げつつ、いつものように防護服を着る。

 

「じゃあ、オークの解体をやっていこうか」

「初めてなんだよね?」

「うん。でも、とりあえずミノタウロスと同じ感じでやっていこうと思う」

「では、見学させていただきますね」

 

 "画面暗転しまーす”

 "音声のみとなっておりまーす”

 "そういや、今後の配信予定どんな感じになると思う?”

 "機密情報とかじゃない限りやってそうではあるが” 

 "そもそも、モンスターの肉を持って帰るのも仕事って言ってたしなぁ”

 "仕事があまりにもユキちゃん向けなの草”

 "ユキちゃん入ってくるの手ぐすね引いて待ってたんやろなぁ…”

 

 2人の前で、オークを解体していく。ミノタウロスよりも一回り小さいし、筋肉質じゃないのか結構柔らかいね。これは期待出来そう。

 

「えっと、まずはこうやって皮に刃を入れて……ここまでやったら、ここからこんな感じで剥がしていく」

「ふむふむ」

「次にこの辺にある腱を……」

 

 一つ一つ何をするのか解説しながら実践していく。これ、昔は動画見ながらだったから難しかったけど、目の前でやる人いると違うだろうなぁ……2人も解体したいってことだったし、その時は丁寧に教えてあげよう。

 魔法について教えて。って花奈さんにも言われたんだけど大変申し訳ないが、何故出来ないのかが理解できないので、教えることに向いてなさ過ぎた。それと、冒険者の何かに関しては、両親&『魔女の大鍋(コルドロン)』なので、あてにならない。

 でも、これに関してはちゃんと教えてあげられると思うから、頑張るぞ。

 

「で、最後にこの辺を切り分けて終わり」

「おお……やっぱりすごいよユキちゃん!」

「職人技を見ている気分でしたわ。流石です」

「……じゃあ、さっさと適当に焼いて食べよう。部位は、この辺とこの辺で」

 

 オークを何個かの肉の塊に解体したところ、2人から褒められてちょっと照れるな……本番はここからだ。味が不味かったら計画がおじゃんになるからね。

 部位としては、お腹のあたりと肩のあたりを選んだ。多分美味しいんじゃないかな? という勘による選定なので、味は保証できないけども。

 薄く切ってあら塩と胡椒だけさっと振って、焼く。味見だしこんなものでしょ。

 

「いただきまーす」

「いただきます」

「 実 食 !」

 

 "うーん、相変わらずの見た目は完璧”

 "さ、どんなんかなー”

 "硬くはなさそうやね” 

 "ミノタウロスの時なんか、見るからに硬そうだったもんな…”

 

 三人で一斉に口の中へ。噛みしめてみると……うん。普通の豚肉だこれ。でも、脂が薄いというかくどくないというか。あっさり目で食べやすい。豚しゃぶとかあんなことしなくてもいい感じがするね。

 

「うーん、普通の豚肉」

「脂が薄いから食べやすいね」

「若干甘いのが良いですわね。まさに豚肉のような味ですわ」

 

 "見た目通りってことか” 

 "あっさり目の豚肉ってうまそうだな”

 "それな”

 "さあ、これが何になるか…”

 

 うん、2人も同じような感想だったみたい。まあ、他に何か感想あるのか?って言われた本気で困るけど。だって本当に豚肉の味するんだもんこれ。

 

「よし、これなら出来そう」

「お、私たちの出番だね」

「いったい何を作るのです?」

 

 そわそわしている二人の前で、咳払いをして少し芝居がかった感じで収納魔法からあるものを取り出す。

 

「まずはこちらを使います」

「えっと、これって……何?」

「ミンサーですわね。ひき肉を作る道具ですわ」

「あ、これがミンサーなんだ」

 

 "み、ミンサー!?”

 "まさかのw”

 "ミンサー出てくるのは草” 

 "ひき肉、来るぞリスナー…!”

 "何がだよ”

 

 続いて、昨日のうちに切っておいた野菜類を取り出す。中身はキャベツとかにらのみじん切りである。

 

「これでひき肉を作って、こちらの野菜と混ぜ込んでいただいて」

「あー、なるほどね」

「ううん?」

 

 "あー!”

 "なるほど美味そう”

 "確かにこれなら調理に時間もかかるしちょうどええか”

 

 最後に、ここに来る途中でスーパーで買ってきたものを取り出した。

 

「こちらで包んでいただきます」

「餃子だ!」

「自作の餃子……ですか。作ったことがないのですが、うまくできるでしょうか……」

「任せて、教えてあげるから♪」

 

 "ちょくちょくカナさんからお嬢様を感じるんだよな”

 "見た目はお嬢様やろがい!”

 "中身は?”

 "おもしれー女”

 

 お父さんのアイデアとは、つまり、作る工程が楽しめる料理で暇潰してもらおう作戦である。他にはピザなんかもおすすめされたね。生地伸ばしたりはともかく、具材乗っけるだけでも楽しいもんねアレ。

 早急にピザ窯を作る練習をしなくては……!

 

「で、2人が作ってる間に私はこいつらをさっさと解体して、一緒に作った後に前菜とか作るね。餃子を焼くのは2人に任せる」

「よーし、頑張るよー! ……それでこれってどう使うの?」

「ここに肉を入れてハンドルを回すだけですわ」

「あ、そんな単純なんだこれって。えっと、こうしてハンドルをこう回して……」

「すごい! ホントにひき肉になって出てきた!」

「では、どんどん肉を入れていきますので、ハンドルはお任せいたしますわね」

 

 とても楽しそうな2人の声を聴きつつ、私は解体に取り掛かった。さっさと終わらせて、一緒に作るぞ。

 今日は中華料理の日とするんだから……!

 

 

 




ゴブリンは結構いろんなところにいる設定です。雑魚と言えばこれ! って印象だったのでこうしました。
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