【書籍化】配信に興味ないダンジョン配信者は今日も配信する   作:もけねこ

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配信に興味のない私と野菜炒めの卵餡掛けと麻婆茄子

 

 さっきまでのわずかな時間で2人を撃破した後、三人で黙々と餃子を作っていた。花奈さんは先ほどのやり取りで懲りたのか、大きなものを作ったりせずまともなものを作り始めた。

 それでも一番大きいけど。でも、さっきまでみたいに皮が閉じないとかいう事態には陥っていない。最初からそうすればいいのに……いや、わからなくはないんだけどさ、もうやる前から閉じないのわかるじゃんそれ。みたいな感じだったんだもんさっきまでだと。

 

「よし、これでいったん完了」

「ふぅ……個性が出たね」

「ふふふ……すみませんでした……」

 

 "実食ネキのやつが明らかに浮いてて草”

 "ユキちゃんは大きさまちまちだけど綺麗やな”

 "アヤネさんの均等さよ。職人かマジで”

 

 もはや卑屈になっている花奈さんだけど、多分お酒が入れば復活するでしょ。鬼灯がそうだし。

 

「じゃあ、アヤネさんはご飯お願いね」

「オッケー!」

「ではわたくしは……どういたしましょう?」

「餃子焼いてくれる?」

「かしこまりました!」

 

 彩音さんにはいつも通りにご飯を炊くことをお願いした。すでに水につけてあるから、結構早く炊けるはずだ。花奈さんには餃子を焼くのを任せることに。餃子を大皿にひっくり返すのとか、絶対にやりたがるだろうなと思ってのお願いである。

 ちょっとテンション上がりすぎてる気もするけど、汚名返上頑張ってほしい。何回かに分けて焼くことになるだろうから、焼き立てのものをつまみながらいろいろ出来るだろう。

 そして私はというと、これから餃子以外の料理に取り掛かる。

 

「さて……このひき肉の山をどうにかしないと」

 

 "ドドン!!”

 "いや、多いな!?”

 "マジで山になってて草”

 "どうにかできるんかこれ…?”

 

 とりあえず、そもそも作るつもりだった麻婆茄子はそのまま採用していいだろう。ひき肉だし。

 そして、予定ならもう一品、オーク肉は大体豚肉だろうと予想していたので、薄切りにして回鍋肉を作るつもりだった。簡単だし、ご飯にも合うし、前菜代わりにいいかなってね。

 けど、ひき肉を使うわけじゃないので今回は見送り……いや、ひき肉で作ってみるか? キャベツとひき肉……だと絡まないから、餡掛けにして絡めてみようか。味は要調整だけど、うまくいけば美味しいだろう。でもなぁ、キャベツ、ピーマン、人参、ひき肉を入れて、最終的に餡掛けの回鍋肉もどきってなんかもう別の食べ物じゃない? 

 いやもういっそ、卵も使って完全に餡掛けにするか。キャベツと卵のあんかけにして、ひき肉を入れよう。これなら無理なく使えるし、味の調整もしやすい。味噌味のものが減ったのが残念だけど、こういうある物で対応していくのも楽しいよね。

 

「よし。作っていこう」

 

 まずは餡掛けからつくっていこう。餡の分冷めにくいし。キャベツ、ピーマンをざく切りに。人参を薄く短冊切りに。卵を溶いておいておく。ひき肉はもうあるし、これでまずは具材の準備はオッケー。

 次に、餡を作らないといけないので、その分のやつを用意する。水を用意してそこに醤油、顆粒出汁、しょうが、砂糖を入れる。これで調味料はオッケー。そのあと、別に片栗粉を水に溶かして用意。

 これで後は全部を鍋に入れていくだけだ。この方が楽なので、基本的には用意してからやることが多いかな。調味料を測るとかはしないけどね。そこは目分量である。

 本当だったら麻婆茄子の具材も用意したいんだけど、テーブルの広さが足りないので断念。やっぱりもうちょっと大きいのが欲しいなぁ。

 

 "餡掛け野菜炒め的な?”

 "卵餡掛け野菜炒めひき肉入りか…”

 "すぐにレシピ対応できるのがすげぇ…”

 "これがモンスター食うために鍛えた料理力…!”

 "そうだったわwww”

 "出発点がおかしい定期”

 

「……あの、質問があるのですが」

 

 遠慮がちに花奈さんが私の肩を叩いてきた。花奈さんはすごくちゃんと餃子を作れているようなので、そんな気になるようなことってないと思うんだけど、どうしたのかな?

 

「どうしたの?」

「コンロが足りなくありませんか?」

 

 "確かに?”

 "マジでなくね?”

 "二口コンロを2人で!…は無理だよなぁ”

 

 今も大口の方は彩音さんが使っているし、二口コンロは流石に二人並んで使えない。だが、実はここに、もう一個あるのだ。そう、誰であろう白石さんが作った試作機が。なんでこんなに私に使わせたがるんだろうなぁ……。

 収納魔法からもう一つのコンロを取り出す。なんでも全体的に軽量化したのだというのだが、『ロマン』を搭載した結果重量が変わらなくなったのだという。意味なさすぎるでしょその過程。軽くしてよ。

 

「ダンジョン行くなら使ってみてくれってもう一個渡されたんだよね」

「これらもその人の作品なのですよね? コンロにかける情熱は一体……?」

「どうしても火炎放射(ターボ火力)機能つけたかったんだって。ほら」

 

 どうせたいしたことないだろうと、火力調整ツマミをターボに設定して着火したところ、結界石の天井どころか、ダンジョンの天井まで届くほどの火炎放射が放たれた。

 

 "ファーwwwww”

 "やっばwww”

 "コンロに搭載していい火力じゃなくて草”

 "流石『魔女の大鍋(コルドロン)』製。イカれてやがる…”

 

「うわぁ!?」

「きゃっ!!」

「なになに!?」

 

 あまりの光景に3人で驚いて、慌ててつまみを弄る。コンロはちゃんと消火された。

 いや、何を思ってこんな火力をコンロに実装したんだよあの人はさぁ!! 私が《ファイアスロワー》使うのと大差ないでしょこれ。威力はともかく規模が。危険物すぎるって!

 

「ユキちゃん、いきなりはびっくりするからやめて!?」

「本当にびっくりしましたわよ!?」

「ご、ごめん……私もここまで大きな火が出ると思ってなかった……」

 

 2人から怒られてしまったので、素直に謝る。そりゃいきなり火柱が上がったら驚くよね。やった私もびっくりしたし。けど納得いかない……私のせいじゃなくて白石さんのせいだ……!

 とりあえず、ターボは絶対に封印することにして、かつ帰ったら白石さんに文句を何個もぶつけてやるぞ。

 若干恐る恐る他の火力を試してみたところ、これらは普通に使えたので、予定通り料理をすることにする。切り替え大事。

 

「じゃあ、まずは卵餡掛けつくるね」

「餡掛けですか……良いですわね」

「中華って感じするよね」

 

 "中華と言えば麻婆豆腐でしょー!”

 "は? 青椒肉絲に決まってるんだが???”

 "お前ら喧嘩するなよ。鶏肉とナッツの炒め物に決まってんだろ?”

 "酸辣湯だろ!”

 

「はーい、リスナーさんたちは喧嘩しなーい」

 

 2人からも好評みたいなのでさっさと作ってしまおう。彩音さんがリスナーさんに何か言っているけど、とりあえずスルーの方向で。

 まずは具材を炒める。人参からやって、少し火が通ったらひき肉を入れて色が変わるまで炒める。そして、キャベツとピーマンを入れて、卵も投入。さっと卵に火を通して、そこに調味液を入れて馴染ませる。最後に片栗粉を溶かした水を流しいれてちょっととろみが出てきたらもう完成だ。

 お皿に移してテーブルに置く。いい香りがお腹を刺激するが、とりあえず次に取り掛からねば。

 茄子のヘタを落として一口大に。ちょっと大きめにしないと崩れてしまうので注意しないとね。次にネギ、にんにく、しょうがをみじん切りにしていく。そして、調味液を作って……内容はさっきとほぼ同じなので割愛。また水溶き片栗粉を作って。これでオッケー、いや、豆板醤出してないや。出しておかないと後でパニックになりそうだ。

 よし、これで行けるな。さっさといくぞ、茄子にサラダ油をなじませてから、鍋に入れていく。皮から入れるといい感じになるんだよねこれ。

 火が通ったら一回取り出して、次にひき肉とネギ、にんにく、しょうが、を入れて肉の色が変わるまで炒めた後、豆板醤を入れて味を調えて、調味液を入れて10分ほど煮る。

 

「ユキさんは本当に手際が良いですわね……迷いがありませんわ」

「まあね。中華料理作るの好きだし」

「そうなんだ。得意料理とか?」

「得意かって言われると微妙なんだけど……ほら、野菜と一緒に食べやすいしご飯にもよく合うからさ」

「あー、確かに野菜はいってて味濃いめのもの多いもんね中華って」

「なるほど……野菜までちゃんと考えているのですね……」

 

 "ユキちゃんは結構その辺しっかりしてるというかなんというか”

 "野菜食べないときは食べないけど、大体ちゃんと食べてるもんな”

 "大人2人…?”

 

 いや、野菜は大事だし、考えて取り入れるべきでしょ。そもそも冒険者なんて体が資本で健康第一な職業じゃないか。

 体調崩したらダンジョンに潜れなくなるんだぞ!? 少なくとも私は冒険者になってから今日まで一度も体調を崩してダンジョンに潜れなかったことはない。食中毒は除くとして。

 ダンジョンのない生活なんて想像もしたくない……

 

「体が資本なんだから、ちゃんと気を使いなよ2人とも……」

「返す言葉もございません……」

「あ、あはは……」

 

 冒険者としては尊敬できるところが多々あるのに、なんでこう私生活がダメなんだこの2人は……寮生活が始まったら、たまに抜き打ちで冷蔵庫の中身チェックでもしないとダメだろうか。

 おかしいな、こういうのは愛依の立ち回りで私のやることじゃない気がするんだけど、一緒にいる時間が多かったから似てきたのかな……

 

 "そういうところが肌とかにも影響してんじゃねぇの?”

 "酒も飲んでるしな”

 "こら!!”

 "バカお前!!”

 

「あー! 言っちゃいけないこと言った!!」

「流石に許しませんわよ!?」 

 

 突然彩音さんと花奈さんの怒声が聞こえてびっくりしたんだけど、2人の方をみたら、スマホに向かっていたのでコメントをみたら……うん。何も言うまい。

 さて、煮込み終わったから、茄子を戻して……ひと煮立ちさせたらネギを加えて、最後に水溶き片栗粉を入れて、完成! お皿に盛って、っと。

 2人がリスナーさんたちとの喧嘩に集中してしまったので、放置されてしまった料理たちを完成させよう。

 餃子を大皿にひっくり返し、土鍋のご飯にしゃもじを入れてお茶碗によそっていく。うんうん。いい感じの中華料理のテーブルじゃない?

 メインに餃子、箸休め的に麻婆茄子と野菜炒めの卵餡掛け、そしてつやつやのご飯。ウーロン茶も用意したからね今日は。

 さて、2人をいい加減呼び戻そうか。まあ確かにちょっと言っちゃいけない発言だったとは思うよ。リスナーさんたちは反省してください。

 

「ご飯できたよー」

 

 

 




思うまま書いていくと、どんどん大人2人がダメな大人になっていく……
ちゃんと後で挽回させてあげねば。
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