死にたくないので回避していたらヤマト操舵手になってしまいました 作:LIN001
主人公ちゃんはTS美少女です、いいね?
01 なんとか生き残りました
西暦2199年8月21日、地球時間16時56分。
冥王星宙域S-16、地球連合第32日本艦隊。
この言葉を見て、ピンときた人はいるだろうか。っていうかいて欲しい。
そう、何を隠そうこの僕は、なぜかTS転生した……のはいいけどここヤマト世界じゃないか!?
唯一の救いは旧作でもリメイク版でもなく、ゲーム版の世界だということか。
いやほら、選択肢によってはゲーム版のほうがマシな展開もあるから。あと僕は結構このPS版やPS2版のほうがリメイクよりも好きだったりするので、そういう事情もある。
とは言っても、このままでは死んでしまう。ガミラス艦のビームの直撃で爆発四散待ったなしである。
……いや、巡洋艦に乗ってるんだけどね? M21701式巡洋艦『ヒサメ』……見た目はまんまリメイク版のムラサメ型巡洋艦である。ゲーム中だと会話の中でだけ出てきたやつ。なお戦闘中に沈黙している。
「敵艦隊確認、左舷前方2万5千。戦闘形態で接近中です」
「戦闘配備は終わっているな?」
「はっ」
艦長の指示で、艦橋要員に気合が入る。
あ、僕が座っているのは操縦席なので一番見晴らしがいい。いやぁいきなり操舵を任されるなんて思っても見なかったよね。
僕、これでも18歳。訓練学校を今年卒業したばかり……なんだけど、シミュレーターでの回避機動が良かったからってまず駆逐艦の操縦士に抜擢されて。
火星沖会戦で頑張って逃げまくって生き延びたらそれがなんか評価されちゃって、今に至る。次は戦艦の操舵手かな? いやまともな戦艦は沖田艦かヤマトしか残らないし、流石にそれはないか。
「敵艦隊より降伏勧告です」
「沖田さんはなんと?」
「はっ、返信読み上げます……『馬鹿め』と」
「回避運動ー!!」
敵艦隊が発砲してきたので、逆噴射して急制動。直後、赤いビームが目の前を通り抜けていった。
「主砲、照準急げ!」
「了解、主砲回頭!」
「射程外です!」
主砲が回るのが見える。敵艦隊は一回だけ砲撃してから様子見のようだ。
数隻撃沈して、こちらの出方を見るらしい。
「照準ヨシ、装填ヨシ、自動追尾ヨシ」
「射程に入りました!」
「撃ち方はじめ!」
「てぇー!!」
隣の席の戦闘班長が発砲指示を出し、主砲が緑色のビームを吐き出す。
そして緑色のビームは吸い込まれるように敵艦の腹部へ命中し――弾かれた。うん、知ってた。ドアノッカー砲だもんねこれ。
「砲撃、来ます!」
「回避運動!」
船体をロールさせて第1射を回避、そのままは旋回して艦首を敵艦隊の方へ。
それからはもう、回避回避。
上下左右のスラスターを酷使して、敵艦隊の赤いビームを避けていく。
「駆逐艦ホムラより入電、我操縦不能!」
「ムラクモ轟沈!!」
「3時の方向より飛行物体接近、直撃コースです!」
「ぬおおおぉ下がれエェェ!?」
いやいや驚いたよ、まさかイスカンダルの船が直撃コースとは思わないじゃん!?
全力噴射で何とか回避を――間に合わない!
バキィッ!! という音が鳴り響く。同時にガミラス艦隊が砲撃を止めてくれたのはありがたい、今の噴射で上部右舷前方スラスターが焼き付いた。
「被害報告!」
「レーダーマスト破損、レーダーが使えなくなりました。地球との通信もできません、艦隊内通信は生きてます」
「レーダーだけで済んでよかったな……」
「旗艦より撤退信号です。発光信号、我に続け」
「よし、撤退する。敵艦隊の動向はよく見ておけ、追撃してくる場合迎え撃たねばならん」
「はっ……く、駆逐艦ユキカゼ回頭せず。敵艦隊の方に突っ込んでいきます!」
「……あの駆逐艦か」
あー、あの古代守の。
あの戦闘シーン、絶対リメイク版の参考にしたでしょ。
たぶん今頃、沖田指令と古代艦長が会話してるんだろうなー……南無。
「艦長、後続のカゲシマが速度落ちています」
「曳航準備だ、旗艦も出力低下している現状では曳航できるのは本艦しかない」
「了解、曳航準備。牽引ロープを出せ!」
あれ、たしかカゲシマってゲーム内では轟沈してなかったっけ。
生き残ったんだ。少しでも無事な人が多いのは喜ばしい事だ……なんて、ユキカゼを見殺しにしている現状では言う資格はないな……。
この作品は見ての通り、PS版ヤマトを基本としています。
PS版の2次創作ってあんまりないなーって思ったので。