死にたくないので回避していたらヤマト操舵手になってしまいました 作:LIN001
推奨脳内BGM:はいふり「再会!」
『久しぶりだな……報告は見たぞ、沖田。よくやってくれた』
と、通信越しにねぎらってくれているのは地球司令部にいる土方さん。
同じスクリーンの中には藤堂長官と、芹沢参謀長の姿もある。
「いや、今回のメ2号作戦においては、鈴副長が指揮を執っていた……儂はサポートをしただけに過ぎん」
「えっあっ」
い、いや沖田艦長、別にそんなこと言わなくても……。
『そうか……鈴』
「あ、えっと」
『よくやったな』
「う、うん……じゃなくて、はい」
『はは、そう固くならなくてもいい。さて本題に入ろう』
うー、陰キャに軍のトップ勢揃いの相手をするのはキツイよぉ……。
『ヤマトが太陽系を脱出すれば、地球との通信が困難になる。そこで、ヤマト乗組員の士気向上のため、家族と通信をさせてはどうかと思うのだ』
あ、なるほど。家族との最後の通信のシーン、あれの発案者って長官だったんだ。
まあ確かに、沖田艦長の独断でできるわけじゃないもんね……司令部への許可や家族への通達、地下都市の通信システムのセッティングとか、地球側の準備のほうが大変だろう。
「良いと思います。今ならまだ安定的な通信ができますし、消費電力も少なく済むでしょう。しかし今から準備するとなると、スケジュールへの遅れが懸念されます」
『うむ、そういうと思ってすでにある程度の準備はできている。そちらの都合が良ければ、明日からでもできる』
「わかりました、ではやりましょう」
『それでは、具体的な日程だが−−』
という感じで、家族との通信が決定されたのが一昨日の話である。
艦長はもう家族が居ないので、副長の僕が最後となる。なので2日目になったのだ。いやぁ100人以上もクルーがいると、流石に1日では終わらなかったよね。
IDカードを差し込んでパスワードを入力、これで……うん、出た。愛しの妹と土方さん……僕と妹を引き取ってくれたお義父さんの姿が。
『お姉ちゃん!』
「うん、鈴音……会いたかった」
『うん、私も。で、ちょっとこれを見て』
そう言って、画面の前に何かの紙をかざす鈴音。……ん、これってもしや?
「僕の操舵試験結果?」
『違う、私の。お姉ちゃんと同じ、満点とった』
「まぢで?」
『うん』
『俺も後ろで見ていたが、さすがは姉妹といったところだな……鈴と同じく、完璧な回避運動だった』
あ、そうなんだ……鈴音も僕と同じく、操舵手になるのかな。
……沈む船の操舵手になるんだったら監禁してでも止めるけど。
『一応まだ正式決定ではないが、鈴音はヤマト型の3番艦の操舵手になってもらう事が内定している』
「ほっ……」
『えっ』
「あ、ごめん。ヤマト型ならそうそう沈まないだろうから、安心できると思ってね」
そう、これがアンドロメダとか次期主力戦艦とか言われたら発狂するけど、ヤマト型ならまず沈まないだろうと思う。3番艦だと……2202の銀河? いや、復活篇準拠でシナノという可能性もあるな。
『ヤマト型は建造に時間がかかる、すでに富士宇宙港で建造は始まっているが……ヤマトが帰還しても完成していないかもしれんがな』
あ、やっぱヤマト型って高コストなんだ……確か現時点の突撃駆逐艦が1ヶ月ほど、巡洋艦や戦艦が3〜5ヶ月だったはずだから……いやそれでも早いな?
でも1年で完成するなら、ガトランティス戦でヤマト姉妹揃って戦うというのも夢じゃないな……。
「それじゃあ鈴音、帰ったらまたデートしようか」
『ん、男装お姉ちゃんかっこよかった』
『何だそれは、俺は見てないぞ』
「それじゃあもうそろそろ時間だから、ちゃんといい子にしておくんだよ」
『はーい』
『おいちょっと待――』
プッツン、とここで時間経過で通信終了となった。
さて、最後は沖田艦長を呼んで司令部につなげて、と。
「沖田艦長、全クルーの通信が終わりました。通信室までお越しください」
「終わったか」
「アッハイ」
はっや! 扉の外で待機してたな。
同時に、ディスプレイに長官の顔が映し出される。あ、今回は長官1人? 参謀長の姿は見えない。
『こちら司令部だ、無事に終わったようだな……沖田くん、それに鈴くんも、あとは頼んだぞ』
「はっ、お任せください」
『うむ……それでは、しばしの別れとなる』
そう言って、長官は僕の方を向いて。
『また会おう、勝利の女神よ』
と、言って通信が終了された。
え、勝利の女神って……僕そんなふうに呼ばれてんの? 僕はそんな、女神なんてガラじゃないと思うんだけど……
主人公ちゃんの苗字決め手なくて、いい名前が思いつかなかったので土方ちゃんになってもらおうかと。
2199では雪を引き取っていたみたいですので、土方さんって意外と面倒見が良いのかもしれません……という、勝手な解釈をしています。