同じく、変態の次郎坊   作:イチャパラで優勝していくわね

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ナンバー3 中ボスの風格のつもり…!!

次郎坊の本来の予定では、元の運命通りに突破してもらい、そうすると原作と違って元気いっぱいで〝音の五人衆〟の同志を軽く見ておらず連携を重視するようになってきた音の超エース君麻呂が先行組にいるため、多由也を始めとした仲間達の安全を任せられる。だから、多由也のおっぱいを影縛りで揉んだ原罪を持つシカマル達はどうせ返り討ちにあう…という計算があった。

そのうえで、運命(原作)の因縁があるチョウジと邪魔無しの一対一の真のデブ頂上決戦をしようと思っていたが…これにてご破産である。

 

事ここに至って、次郎坊も彼我の戦力比を理解した。

自分を鍛えすぎてしまっていて、予想を遥かに超えた、埋めがたい差が出来てしまっていたようだ。

食欲と筋トレの欲求に負けた結果である。

 

(しまったなァ…ちょっとやり過ぎてしまったみたいだ。…まァかえって好都合だった…心底よかった…。こうまで差があると…逆にシカマル達の突破を許していたら…原作主人公組(こいつら)皆殺しになってただろうからな―――)

 

君麻呂や多由也達との日常でのどつきあい(修行)の方が余程痛いし疲れた感覚から、そう確信できた。今までアジトに引きこもっていた為に、己の実力を図る物差しがガバッていたのだ。

だがこうなれば、次郎坊は開き直れた。

これだけボスっぽい感じに仕上がってしまったのなら、いっそのことボスとして振る舞おうと。

 

 

激しい戦いだった。

九尾の力を覚醒させたナルト、秋道一族の〝三色の丸薬〟を食ったチョウジ、そして死を賭して全霊を絞ってくるネジ、キバ。

暴風を巻き起こすテマリと、それらを指揮してみせたシカマル。

見事だった。

限られた戦力を効率よく使っていき、自分という格上ボスを倒そうと四苦八苦するシカマルの手腕。そしてナルト達のド根性。それらに次郎坊は感動すら覚えたし、この程度の地力の差があるなら、チョウジとも一対一ではなくこういう形の戦いになって良かったと思う。

だからといって簡単に倒されてやる気も今更もう無かったし、その理由もない。

 

(とは言え…ナルトを殺すわけにもいかない。殺したら…将来、元の運命通りに十尾人柱力やカグヤが復活した時、打つ手がなくなっちまう。…そう考えると、ホントに突破されなくてよかった…薄氷を踏む思いってやつだ…)

 

そう考えつつも、まだ次郎坊は勇壮と立ちふさがり、不敵な笑みを浮かべてナルト達を睥睨する。

途中からは、手加減しつつも闘争を楽しんでいた。

娯楽の少ないこの世界、この時代。これ程楽しい事はそうはない。

特定条件下にて互いの全力を尽くして、互いを倒そうとする全力ゲームは、鬼童丸ではないが中々の面白さだ。今回は差し詰め、敵を殺さず、再起不能の後遺症を負わせず、無力化して勝つ…といったところか。これに匹敵するものは、多由也へのセクハラしかない。

何だか言って、次郎坊も結局は〝音の五人衆〟という事だ。〝闘争〟を楽しむ性分が多分にあった。

 

「なんだよ、コイツ…!まるで…化け物だね……っ」

 

「ぐふふふ…オレは音の五人衆でも最もタフでなァ…伊達に太ってねぇのよ。オレは世界一ガードが固い男、次郎坊よ!どんどんいくぜェ…くらえデブ!―――蛇柄どっこい(ただの張り手)!」

 

「お前もデブだろ――がふっ!!?」

 

何故か狙われやすいチョウジがまた吹っ飛んだ。ちなみにトンガラシ丸を食ったので、チョウジはもうデブではない。

 

「チョウジ!!」

 

チョウジを心配し声を上げたシカマルだったが、チョウジという防波堤を失ったシカマルにも危機が迫る。

猛烈に次郎坊が迫っていた。

 

「っ!!く…ヤバい…影縛り…!!」

 

咄嗟に影縛りを敢行するが、次郎坊の速度が僅かに遅くなる程度にしか抑え込めず、次郎坊は「むぅぅん!!」と力任せに影を千切った。

 

「ウソだろ!!?」

 

「てめーも重罪!!よくもオレの多由也のおっぱいを!!!」

 

「!?な、なんの事――ぐっ、ああああああッ!!!」

 

両腕の防御を突き破ってシカマルもまた吹っ飛んだ。

何とも嫌な音がしていた。

殴り飛ばされる最中、シカマルの思考のどこか冷静な部分がダメージを計算していく。だが、両腕は折られたものの、意外にもダメージは軽く思えた。

状態2へと移行していた次郎坊も、キャラを切り替えてボスっぽいものにしていた。悪役ボス役を心底楽しんでいた。

そんな次郎坊を見るテマリは、肩で息をする程にバテて辟易している。

かまいたちの嵐を幾つも食らわせているのに、巨漢の音忍はしなやかな肉で受けきって斬撃を殺してしまう。これは、膨らむことに特化した秋道一族の肉では真似できぬ技だった。

そして、点穴を突いてくるネジに対しては、威嚢笛の術にて脚を砕き、パワーで攻めてくるチョウジに対してはより大きな力でねじ伏せ、キバは顔面を殴られ鼻を潰されて、とどめとして彼らは威嚢笛の術で素っ裸に剥かれた上で、〝土遁・心中斬首の術・逆ver〟にてフルチンスケキヨ状態で埋められていた。恐るべき恥辱技であり、テマリは心底恐れた。くらったらお嫁に行けなくなっちゃう。

このままではダメだ。とてもサスケに手が届かない。手の届かぬ場所まで連れ去られてしまう。

ナルトが強くそう思った時、

 

「ぅぅ…ッ、グゥゥゥゥ…ッ、ぐるルルル…ッ」

 

「っ、ナルト!?」

 

ナルトの様子がおかしい。

纏うチャクラが変質し、そしてチャクラがまるで物質化したように、尾をなびかせて四つん這いのケダモノへと変じ始めていた。

 

「おーおー、いきなり尾が2本とは。尾獣のチャクラ垂れ流しやがって…傷までみるみるうちに治っていきやがる」

 

次郎坊はというと、その劇的変化を見てやはり内心で感動していた。

かっこいい、と素直に称賛する。男なら誰だってあんな暴走変身してみたいものだ。

 

「なんだアレは…!まさか…あいつもバケモノを飼ってやがるのか…我愛羅と同じように!…そ、そうか…だから我愛羅と戦ってた時に、あれほどの影分身を…!」

 

どいつもこいつもバケモノばっかりだ。ナルトの変身を見たテマリはもうさっさと砂隠れに帰りたくなってきた。

それに、正直テマリはもう戦う力がない。

チャクラも体力も使い果たした。

隣のシカマルもそうだった。

もう影縛りで援護する体力はない。手裏剣一つ投げるのも億劫なぐらいボロボロだった。

こんな調子では、正直言ってもうサスケ追跡は不可能で、我愛羅達がどうにかしてくれる事を祈るしかない。

次郎坊とナルトの視線が激しく衝突し、チャクラもぶつかりあって火花が散った。

風が舞い、どこかの枝がパキリと折れる。

 

「グルアアアアアッ!!」

 

その瞬間、雄叫びを上げて猛然と突っ込んでくるナルト。

 

「忍法〝威嚢笛の術〟!」

 

次郎坊から吐き出されたサウンドビームも、朱きチャクラの鎧が威嚢笛の術の威力で砕けつつも無理やり掻き分けて、真っ直ぐに次郎坊へと突き進んだ。

 

「おおおっ!?」

 

ナルトの拳が次郎坊の土手っ腹に突き刺さるも、豊かな腹はぐにょりと歪んで凹み、次郎坊はゴム毬のようにすっ飛んでいく。

バルンバルンと地面やら岩石やらに当たって跳ねて、そしてその跳弾力を利用し、逆にナルトへと突っ込み返した。

 

「岩撃!!」

 

「グガゥッ!?」

 

次郎坊の鉄拳が直撃し、今度はナルトがすっ飛んだ。

 

「ぐははは!オレの肉遁はよく跳ねるだろ?あのデブの倍化の術とはわけがちがうぜ!!」

 

「――グオオオオオ!!!!!」

 

「っ!?復活が早過――ぐわ!?」

 

瓦礫に突っ込んだと思ったら直ぐ様復帰して、獣同然に再度突っ込むナルト。

尾が増えていた。

ナルトのタックルでまたもすっ飛び、打ち上げられたが、今度は真上…宙に打ち上げるような形となった。

ナルトが大口をパカッと開けて、そして「ゔゔゔゔゔ――」という不穏な唸り声と共に、口腔にチャクラを急速に収束しだしていた。

 

「っ!ま、まさか…!やべェ…――土遁・土流壁の術!!からの、土遁・加重岩の術!!」

 

次郎坊は察した。

尾獣玉だ。

危機感を抱き反撃しつつも、こうも思う。――マジかっこいい…、と。

口から吐いた土流に腕を突っ込むようにして触れた土石流を重くし、眼下のナルトに向かって高速の極太土石流ビームのようにして放つ。

 

 

 

――カッ

 

 

 

朱いチャクラの激流が、土石流ビームをくり抜きつつ宙に浮かされていた次郎坊を飲み込んだ。

 

「うぐあああああああああーーーーーッ!!」

 

幾らか減退されたといえ、次郎坊は渾身の絶叫を上げて光に包まれていく。

悪役冥利に尽きるというものであった。

さすがの肉遁と筋肉の鎧も、尾獣玉の完全無効化など出来やしない。大ダメージを叩き込まれて、そのままの勢いで次郎坊は遥か彼方へとぶっ飛んでいったのだった。

遠いお空のお星さまになっていく最中、今にも意識を失いそうな全員の耳に、「いやなかんじ」とか「ばいばいきーん」と、ドップラー効果を伴う小さな叫び声が空に吸い込まれていった気がするが、きっと疲れ過ぎた故の幻聴…気の所為だと思い込みつつ、皆、意識喪失し…ナルトもまた重く加速した土石流に押し潰されて、今までの消耗も相まって沈黙…尾獣化が解除されて完全に意識を失ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に次郎坊が目覚めた時、そこは見慣れた場所だった。

薄暗い、陰湿な閉鎖空間。

複雑な機器の数々。

そして、ポコポコいいながら液体に浮かんでいる自分。

某7つの願い玉を巡る猿型異星人物語の治療ポッドか?死んで再転生か?そう思ったが、そうではなさそうだ。

 

「お目覚めね、次郎坊。ふふふ…鉄壁の防御を誇るあなたが、これ程やられるなんて…珍しいものが見れたわねェ」

 

かすれた視界に、オカマ言葉の上司がいるから間違いなくここは音隠れのアジトだ。

 

「お、大蛇丸様……こんな無様な姿を晒し…申し訳ありません」

 

「あら、またまた珍しく殊勝な事を言うのね。…でも、別にいいのよ?私は寧ろ喜んでいるのだから」

 

大蛇丸の機嫌の良い理由はこうであった。

まず、サスケのボディは本来の運命の通りに、容態が急速に悪化した大蛇丸には間に合わなかった。

幻幽丸を新ボディとし、不屍転生を使用してしまっていたのだ。

だがそれにも関わらず大蛇丸は機嫌が良いのは、君麻呂率いる音の五人衆が、予想を遥かに超えた成長を遂げているのが確認できたからだ。

次郎坊は、尾獣化したナルトと、4人の木ノ葉忍、そして風影の娘と同時に戦い終始優勢。最後は尾獣化したナルトの全力の一撃を受けたものの生還を果たした。

そしてお次は君麻呂だ。

彼が率いた先行組は、追手である我愛羅とカンクロウ、砂の上忍バキ、その他にも砂の強者数名…そして後々合流してきたロック・リーの全員を撃破し返り討ちにしていた。

砂の増援が本来の運命とは違ってかなり多くなっていたのは、バキが木ノ葉崩しの際に〝音の五人衆〟の様子を遠巻きにだが観察し、「底しれぬ恐ろしさ…」と評価していたかららしい。

聞いた話では、砂の我愛羅は君麻呂を桁外れの強敵と認識し、初手から狸寝入りの術を使用して一尾守鶴を顕現させたとのこと。

だが君麻呂を筆頭に、鬼童丸、左近、多由也も呪印状態2を発動しつつ、連携で対抗。

最後は寝入っている我愛羅に攻撃を命中させ、彼を叩き起こして守鶴を抑え込み、それによってバキは即座に撤退と判断して砂の同盟は這々の体で逃げ帰った……という顛末であった。

思えば、木ノ葉崩しから今回の一連の事件においては砂が一番割りを食っていた。

大蛇丸の策略に嵌められ、風影を暗殺され入れ替わられて…そのまま木ノ葉崩しに参戦させられて多数の優秀な忍を戦死させられ、大蛇丸と縁を切ったと思えば、今度は木ノ葉へのケジメと禊でサスケ奪還作戦に参加させられて、砂の精鋭の何名かを失い、砂の最終兵器・一尾の人柱力までも重傷を負ったのだから悲惨の一言である。

 

「木ノ葉にも砂にも、我ら音忍ここに在り…と知らしめられたでしょうしね…。3年間、不屍転生は使えないけれど、それもサスケ君をより私好みに調教する期間だと思えば悪くない」

 

ベロリと長い舌で血色の悪い唇を舐め回す。やはり大蛇丸はこういう仕草がよく似合う。

 

しかし、最近の大蛇丸は、どこかほんのりと人が丸くなったようでもあった。今回の事にしても、尾を解放し尾獣化した人柱力や、尾獣そのものとの戦闘を強いられるという大トラブルがあったものの、時間に間に合わず任務を完璧にこなす事は出来なかった。だというのに誰も咎められる事もなく、寧ろよくやったと称賛までしている。

これは、大蛇丸が自身でも気づかぬうちに心のずっと奥深い底の部分で、明るく騒がしくなった音の四人衆の雰囲気に少しずつ感化されたからだった。

大蛇丸という人物は、留まるところを知らない探究心と、そして幼少時に経験した両親との死別と、恩師猿飛ヒルゼンへの素直になれぬ愛情・尊敬などなどが、長く続いた忍界大戦によって折れてねじ曲がり、荒み、淀み、腐っていった結果…現在のような邪悪な忍者となってしまっていたが、元来の性質は身内にはどこまでも甘く優しく面倒見が良い。

三忍と称される自来也と綱手には、自分でも認めぬし、誰にも言わぬし言わせぬが、誰よりも強い繋がりを感じてもいて特別な絆を得ていた。自来也などは生涯一の親友であった。

そういった情の厚さや甘さ全てに蓋をし、頑強な封を施しているのが今の大蛇丸なのだが、どこか自来也を彷彿とさせるようになってきた次郎坊と、それに影響され始めている四人衆達との接触は、大蛇丸の心の荒みを徐々に解していっていた。

 

「そういうわけで、私はこれからサスケ君の修行期間に入るから…。しばらくは、里の運営やその他作戦指示はカブトが担うわ。しばらくはカブトの指示で動きなさい。あと、あなたはサスケ君に接触禁止よ。あなたの変態スケベっぷりが彼に感染したら大変だからね…」

 

何やら大変不名誉で不本意な事を言われた気がする次郎坊だった。

大蛇丸は言うだけ言うと、次郎坊をポッドから解放してさっさと部屋を後にしてしまった。

と、思われたが、扉の寸前でくるりと次郎坊へ向き直った。

 

「あぁ、そうそう。多由也がねェ……ククククク……、意識を失っていた貴方を、何度も様子見に来てたわよ?一度礼を言っておいたら?フフフ…」

 

次郎坊、ダッシュで多由也の元へ馳せ参じ候。そのダッシュには、戦いの傷や疲労などを微塵も感じさせぬものがある。

 

「多由也ァ!!」

 

「っ!?じ、次郎坊!!!!????」

 

フルフルニィの顔で多由也の元へ突撃した次郎坊は、ノックも無しに多由也の部屋のドアを開け放っていた。

そこには、あられもない姿の多由也がいた。ベッドの上で、なにやらモゾモゾと忙しく指を動かしていた。むっちりとした太ももの間と、双丘の頂きの上でだ。

下着姿が艶めかしく、風邪でもひいたかのように顔も紅潮していて、部屋の中には…敢えて詳しい表現は省くが濃密な女のすえた匂いが立ち込めていた。

多由也はシーツを引っ掴んで、超高速で身を隠して、そして真っ赤だった顔をさらに赤くしながら、次郎坊としばし無言で見つめ合ってしまった。

言葉を失っているようだった。

 

「…天国はここにあったか―――」

 

「っっっっ!!!!し、し、死ねコラーーーーーッ!!!!」

 

多由也一生の不覚であった。

次郎坊が毎日散々触ってくるせいで、そういう感覚を覚えてしまった多由也は、ポッド内で日に日に回復していく次郎坊を見て…つい()()()()()()になってしまったらしい。しかも想像するのは次郎坊にされるイメージ。

もうすぐ次郎坊が目覚めると思うと、鍵をかけるのも忘れて初めての行為に没頭してしまった。半分は自分のせいであった。

ノックしろ、最低のゲスチン、記憶を消し去ってやる、脳みそ掻き出してやる、目ん玉抉り取ってやる、忘れろ、ブッ殺す、etc、etc…次から次によくもまあ罵声を生み出しながら次郎坊を滅多撃ちにする多由也。

しかし、先程の極楽浄土が如き至福の光景を目にし、かつ大好きな多由也から発せられる大好きな多由也の声で紡がれる大好きな罵倒を浴び続ければ、次郎坊はもう辛坊たまらんという奴である。

 

「た、多由也ァーーーー!!!」

 

「っ!?あっ、ちょ!や、やめ…あっ、んんん~~~ッ!!!?ばっ、バカ…!やめろっ、ン、んん…っ」

 

当初は大人しく頭など抱えて蹲って殴打を受け入れていたが、ガバリと起き上がるとそのままルパンダイブで多由也と共にベッドにもつれ込み、散々にセクハラされまくる。

もはやセクハラというかそれである。

 

「ん、く、ぅ…ぁッ…ゲ、ゲスチンヤローォ…!やめろ、ってェ…ッ!ぁンっ…ん、ンっ、ふ、ぁ…っ…やっ…」

 

「ぬおーー!多由也ーー!」

 

「盛ってんじゃ、ねぇ、よ…っ、デブっ…!おい、マジでやめろ…っ、く…う…っ……っ」

 

「多由也ーーっ!愛しているっ、多由也ーーーっ!」

 

「っ!…う…ぐ……キ、キモい…っ、ぅ…はぁ、はっ、はァ…っ、あっ…クセェから…口、近づけんな……んむっ……ん……ン……」

 

どんどんとそういう雰囲気に流されていき、さすがの多由也も口汚く罵倒しつつも、次郎坊と深い初接吻まで許してしまって…さぁいざ―――という時であった。

 

「おお、やっぱここにいたぜよ。次郎坊ォ、起きたら速攻多由也の部屋とかマジでお前って―――趣味……が………――――」

 

「――…チィ………だから後にしようって言ったんだ、鬼童丸………やべーぞ、こりゃ……」

 

快方祝いに駆けつけてきた鬼童丸と左近が、やはり無遠慮に乙女の部屋の扉を開け放って、大人の階段登る寸前の2人を目撃。

そのショックで理性を取り戻した多由也は、瞬時に状態2へと変じ…そのまま次郎坊とまとめて3人は全力で殴打された挙げ句、口寄せ怒鬼3体にリンチにされるというお仕置きを受ける羽目になる。

 

「どう考えても、部屋に鍵をしてねぇ方が悪いぜよ…」

 

「チィ……前が見えねぇ」

 

「ご褒美でしかない」

 

その後、芸術的な造形に追い込まれた3人が、君麻呂によって食堂で目撃されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サスケの音隠れでの生活が始まった。

サスケが加わった事で、音の五人衆の生活にも新たな彩りが加わったのだ。

当初は、完全なる厨二病を発症し、孤独なロンリーウルフのダークサイド男となっていたサスケ。

しかし、お調子者へと変じていた音の五人衆中の3バカトリオ…左近、鬼童丸、次郎坊らが、フザけたヤロー共である癖に圧倒的にサスケより強かったせいで、サスケの拗らせは多少緩和された。

 

「オレは…貴様らとつるむ気はない。お前達も、オレを誘う時に言っていたはずだ…木ノ葉で友達ごっこをやってるようじゃ強くなれないと…!」

 

「まぁそんな事言うなよ、サスケ様よォ。オレらを見てくれれば分かると思うが…つるんでても、ぬるま湯に浸かっているわけじゃねぇんだな、これが」

 

「そうさァ。寧ろ、オレらのように、仲良し小好ししつつもふつーに殺し合い出来る方が、よけーにイイ感じだろ?ククク…」

 

「まぁサスケ様も、一緒にオレ達の訓練に参加してくれれば分かるさ」

 

そうして参加した、音の五人衆の訓練。

それはサスケには衝撃だった。

彼らは、お互いに軽口を叩き合いながら、とても気さくに話しかけ合いながら、全力で殺し合っていた。

かつてサスケが、このように(ナルト)に殺気を向けられるようになるには、何度も何度も自己暗示し、何度も何度も決意を固めて、イタチの蛮行を思い出し、イタチへの憎悪を燃え滾らせて、そうやってようやくナルトに本気の殺意を向けられたのだ。

だというのに、彼らは心底楽しそうな笑顔を向け合いつつ、間違いなくヒリつく殺気をも向け合っていた。

 

「よっしゃー!もらいぜよ!!死ね、左近!」

 

「もらってねーンだよ、カス!オラァ!頼むぜ右近!」

 

「…二人まとまったな?よし…肉遁・疑似倍加!押し潰し!!」

 

「「うぎゃーーーー!!!!?」」

 

次郎坊の膨れ上がった巨体で押し潰された2人は、本当にぐちゃぐちゃに潰れていて、カブト率いる医療スタッフが慌てて担架を持ってくるくらいには重傷だった。

だが、それを観戦していた多由也は「ククククっ!情けねー!」と大笑いし、君麻呂は無言でせせら笑っている始末。

ゾクリ、とサスケの背に興奮と寒気が混じったものが走っていた。

木ノ葉での修行なぞ、ぬくぬくの温室育ちと言われても納得出来てしまっていた。

 

(確かに…ここでなら、オレは強くなれるかもしれねぇ。…いや、強くなってみせる。オレは…絶対に…でなけりゃ――)

 

なんのために、ナルトとサクラとの縁を切ってここまで来たのか分からなくなってしまう。結果を出すしか、ナルトとサクラに報いる事はできない。

サスケはもう退けない。

ここで、このイカれた連中と共に、笑顔のままに人を殺せるような者になってみせると、そう誓っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時が経つのは早いものだ。

3年が経った。

音の五人衆は皆が生き残り、そして強くなった。

最近は、大蛇丸はサスケとの修行に集中するために、別の場所にサスケ修練を主目的としたアジトを構築しており、彼らの首領はもっぱらそこにいて顔を合わせる機会は激減していた。

次郎坊の身長は2m50cmを越え、そして3年間ものあいだ次郎坊に毎日のようにセクハラを受け続けた多由也は…大人ヒナタ以上・綱手未満の肉体となっており、今現在も成長中である。

次郎坊と多由也…そして君麻呂、鬼童丸、左近も、アジトの食堂にて管を巻いている。

これはいつもの光景でもあった。

 

「あーあ、暇ぜよ。大蛇丸様はサスケ様の相手ばっかでよォ。しかも、サスケ様には戦闘訓練以外では近づくなって厳命まであるから、サスケ様と()()()()()()()し」

 

「言ってもしゃーねーだろ、鬼童丸ゥ。オレらといると、何でも悪影響で美少年っぷりが台無しになるんだってよ……それに、なんてったってサスケ様はもうじき大蛇丸様になんだからな。大蛇丸様にとっちゃ今が追い込み時なんだろーぜ」

 

「…あんな生っちょろいホモ臭ェヤローが大蛇丸様になっても、どーせすぐ死ぬんじゃねーのか?」

 

「…多由也の趣味は、ガタイの良いデブでサスケ様は対極だからな……しかし、大蛇丸様は、僕やサスケ様のようなタイプがお好みだよ」

 

「た、多由也…お前っ」

 

「ち、チゲーよ!何勝手な妄想吐き出してやがる、君麻呂!次郎坊もいちいち反応すんな!てめーじゃねーんだよ、座ってろデブ!!」

 

ステイだ、ステイ!と言われて、一瞬立ち上がったデブはまた座った。興奮(欲情)していない時は忠犬である。

 

「しっかし、サスケ様もまぁスゲーのは認めるがよ…今なら、君麻呂だってイケるんじゃねーの?大蛇丸様の次の体」

 

左近に言われて、君麻呂は一瞬寂しそうな顔となるものの、この3年間で慣れたようで微笑むばかりだった。

 

「僕の病は、僅かとはいえまだ存在しているからな…。月に一度は、次郎坊に悪性チャクラを吸ってもらわないといけないし…本格的な戦闘任務があれば、任務が終わる度にチャクラ吸収が必要だ。とてもじゃないが…こんな無様な体を大蛇丸様に捧げるわけにはいかない。あの御方には、完璧な器こそ相応しい」

 

微笑みは段々と陶酔の笑みへと変わっていく。

他の4人はそれを、うわー…という顔で眺めている。これもいつもの光景だ。君麻呂は、大蛇丸について語っていると段々とエスカレートして自分の世界に旅立つ時がある。

これ以上君麻呂が陶酔して危ない世界に行かないうちに、と鬼童丸が話題を変えた。

 

「…どーせなら、〝暁〟退治をオレに命じてくれりゃあいいんだ。本格的に動き出してるんだろ?攻略しがいがありそうぜよ」

 

「クククク…バカかよ、てめーは。てめー1人程度じゃ、返り討ちだろーぜ。オレなら、2人でかかってバーラバラにできっけどよォ」

 

「相変わらず成長しねーな、ゲスチン共が。3年間でデカくなったのは図体だけか?あァ?ヘナチン共にゃあ無理っつってんだろーが…ウチならやれるけどなァ」

 

「…多由也、お前にもこの3年間いつも言っているが…女の子がそういう言葉は――」

 

「うるせーデカウスノロ。息と脇がくせーんだよ、デブ。こっち見てんじゃねー。見られただけで吐きそーなんだよ、クソ童貞が」

 

「…ぬっ!」

 

「っ!だ、だから〝ぬっ〟してんじゃねー!!クソ…っ、マジで気色悪ィ、こいつ!」

 

食堂のテーブルの上にひらりと飛び乗って、多由也は座っている次郎坊に何度も蹴りを食らわせていた。蹴る度に豊かな胸が揺れて、次郎坊は眼福であった。

これもまた音の五人衆にとっては、ひじょーに長閑ないつもの光景である。

 

「やめろ、多由也…食事中に飛び乗るな。あと次郎坊を蹴るな。食事中に、イカ臭くなられたら食欲も失せる」

 

君麻呂はマイペースに、白米を口に運び続けていた。

ゲシゲシと次郎坊が蹴り続けられている横で、鬼童丸がヘラヘラと笑いながら言った。

 

「まぁ、こいつらは放っておくとして……、で、君麻呂よォ…マジな話、〝暁〟はオレらの中で誰なら攻略できると思うぜよ」

 

ふむ、と少し首を傾げて、箸を置かぬままに君麻呂は答えた。

 

「僕と…次郎坊だ」

 

「…チィ……オレならいけると思わねーのか、君麻呂ォ?」

 

「鬼童丸…左近…多由也…。お前達で〝暁〟に挑むなら、スリーマンセルだな」

 

五人衆一の実力者に宣言されて、左近はぶすぅっという顔になって頬杖をついた。

鬼童丸は、いっぱいある腕を頭の後ろに回して、のんびりと仰け反って天を仰いで欠伸を一つ。

 

「まー、でも…〝暁〟…攻略させてくンねーかな。やりてーぜよ」

 

「無理だろ。大蛇丸様は、他の里が〝暁〟と潰し合うのを狙ってるしな」

 

だらだらと昼の時間が過ぎていく。

今日も音隠れは平和だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある日、音の五人衆はカブトによって集合させられていた。

ちなみに数日前に、別のアジトで修行中であった大蛇丸とサスケは、何でも木ノ葉のカカシ小隊(隊長代理ヤマト)の襲撃を受けて修行場を放棄して、こちらに戻ってきた。

 

「お呼びですか、カブト先生」

 

君麻呂が代表としてカブトと言葉を交わすのが、こういう場合の暗黙の了解となっている。

 

「最近、君達暇そうだね」

 

言われて、君麻呂はチラリと背後の同僚達を見た。

ふぁ~と大あくびをしているのは鬼童丸と左近だ。どう見ても暇そうである。

次郎坊と多由也はというと、またこの短時間に次郎坊が何かしたのか、多由也にヘッドロックをかけられて青い顔で泡を吹き白目を剥きつつある。必死にタップしているが、もう片方の手はそれでも多由也の尻を揉みしだいていたし、何より体格差によってヘッドロックをかけられると大きく育ったHカップの胸がむにゅりと次郎坊の頭部に押し付けられるから、何もかもが次郎坊へのご褒美でしかなかった。

どう見ても日常の一幕である。

 

「…確かに暇そうだ。……本来ならば、一秒すら惜しんで常に大蛇丸様の御為に精進し続けなければならない音の五人衆が…嘆かわしいな」

 

「……まぁ、そうだね。………しかし、割合高めの頻度で大蛇丸様の邪魔者の暗殺任務は入れてあげているだろ?それに、前以上に鍛錬には力を入れているらしいじゃないか。だというのに暇なのかい?」

 

そのタイミングで鬼童丸が割って入った。

 

「カブトさんよォ~、オレ達だって互いを利用して殺し合いして、勘を鈍らせないようにはしてるし、時間は少しも無駄にしてないぜよ。でも、大蛇丸様も最近はサスケ様にかかりきりで、どうしたって修行は一辺倒になっちまう」

 

続けて左近も、

 

「いつも同じメンツだからなァ。…北のアジトの重吾とか、水月あたりを使わせてくれよ。でなけりゃ、もっと楽しー任務が欲しいとこだぜ。たまに舞い込んでくる暗殺任務は、面白くねーふつーの上忍がせいぜいだしな…」

 

首をコキコキ鳴らしながら要求してくる。

カブトはにやっと笑った。

 

「それはちょうどいい。…君達の願いが叶ったようだよ?おめでとう」

 

「どういうことです?」

 

「大蛇丸様から…〝暁〟との交戦許可がでたって事さ」

 

君麻呂の、何事にも動じぬ冷徹な瞳がやや大きくなり、彼の背後では鬼童丸と左近が口笛を吹いて、してやったり…の顔となっていた。

 

「…大蛇丸様は、音の戦力を温存して〝暁〟と各里の共倒れを狙っておられた筈ですが…いいんですか?」

 

「フフ…排除したかったサソリが死んだんだ…それも、木ノ葉と砂の忍達によってね。…きっと、今の君達がどこまで〝暁〟に通用するのかを確認したいんだろう。…それに、勝てるとも思っているんだろうね。でなければ、交戦許可なんておりないよ」

 

木ノ葉と砂に負けられない、というちょっとした競争心もあるのかもね…とカブトは笑った。

なるほど、と君麻呂は頷く。

 

「その代わり…誰とでも戦って良い、というわけじゃない……幾つか条件がある。あと、相手も大蛇丸様が指名している」

 

「…誰です?」

 

「……飛段と角都」

 

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