同じく、変態の次郎坊   作:イチャパラで優勝していくわね

9 / 10
ナンバー9 ラストバトル…!!

この場は最終決戦場だ。

超常的なまでの力を振るうマダラにオビト、そして八尾と九尾のチャクラを一部喰らい、不完全ながらも十尾へと化身した外道魔像と、十尾から生まれし分裂体。

誰もが、この世界の明日を賭けて全身全霊で戦っていた。

戦場は常に緊迫し、全くの予断を許さない。欠片もおふざけは許されぬ非情なる世界であった。……と思いきや。

戦場の空気を一変させる出来事がこれから起きてしまうのである。

 

 

 

 

 

 

九尾モードでチャクラ感知していたナルトの様子がおかしくなった。

穢土転生で増援にやって来てくれた実父ミナトの到着にも冷静に応えてみせたのに、とあるチャクラを感知した途端に、急に顔をくしゃくしゃにしてオロロンと泣き出したものだから、戦場で肩を並べるサスケもサクラもギョッとした。

 

「な、なに!?どうしたのよナルト!どこか痛むの!?」

 

「う、うううっ、ぐずっ、ぐびーーーーッ、ち、違うってばよ、サクラちゃん!こ、このチャクラ…これってッッ」

 

「うわははははっ!!」

 

「えっ!?こ、この声…これって!」

 

穢土転生の歴代火影がやって来た時も誰もが驚天動地であったが、今回の増援もまたインパクト充分。

木ノ葉の忍の誰もが目を見張った。

白髪頭の勇獅子大毛振り、歌舞伎もまっつぁおの大見得喝采。

 

「怪しき(あやかし)ども!!その一つしかねー目ェ根限り開けて良ーーく拝んどけェ!!!有難や!!黄泉より還りし異仙忍者自来也の!天外魔境暴れ舞い!!」

 

「相変わらずうるさい大見得切りね。しかし……ククク…あれが十尾。欲しいわねェ」

 

「油断するなよ、弟子達の手前…カッコ悪いところは見せられん」

 

妙木山の同族同士の争いの手打ちのゴタゴタを投げ捨ててまで、友たる自来也のために駆けつけた巨大蝦蟇ガマブン太。死んだハズの大蛇マンダ。サクラのカツユよりも大分デカいカツユ。それらを乗りこなす伝説の三忍が揃い踏みで参上である。

だが自来也と綱手は、(自来也(ワシ)を蘇らすついでにマンダまで蘇生したな!?)と、密かに大蛇丸に怒りの突っ込みを入れていたが、それを見物人達に悟らせぬのも三忍の長年の連携の為せるスキル…なのかもしれない。

余談だが、綱手達がさっきまでいた戦場と同じ場所にいた五影だが、彼らは治療時間を待つのが惜しい…という大蛇丸の強い主張により、カツユの分裂体を置き土産として三忍に置いてかれた。今頃、我愛羅が一生懸命、砂で運んでいるだろう。

巨大なガマガエルの頭頂から、愛弟子に向かってかんらかんらと笑いかけるドスケベ仙人。

ナルトと自来也の視線が真っ直ぐに交差し、そしてそのすぐ後にミナトにも笑いかける。

 

「いよォナルトォ!すっかり見違えたのォ!!それにミナト!お前まで穢土転生しとるとはな!なんちゅー同窓会だ!わははは!妙木山蝦蟇の精霊仙素道人流三代仙人揃い踏みだのォ!」

 

「え゛っ、え゛っ、っえ゛ろ゛ぜん゛に゛ん゛ん゛ん゛~~~~~っっ!!!!」

 

「自来也先生!!会えてオレも嬉しいです!………って、ナルト…オレと会った時より喜んでない?」

 

見ていたミナトが少し拗ねたように呟くと、いつの間にか彼らの側にスススススとやって来ていた次郎坊がそっとフォローする。大賢者次郎坊(原作知識持ち)であるが故の、色々な心情的事情を知るからこそ出来る妙技であった。気遣いの男、次郎坊。

 

「まァ仕方ないですよ。物心がつく前に死んでた父親より、3年間べったりと親父・爺ポジションやって師匠やって新品ジャージ買ってやった自来也先生の方が好感度高いでしょう」

 

「う…そんな事まで先生はしてくれていたのか…!ん!そうか、そうだね!ふふふ、まっ、ナルトの名付け親だし…さすがオレの先生って事だね!……………君、大蛇丸さんのところの、次コ坊君だっけ?大蛇丸さんも散々自慢してたけど、本当に物知りだなぁ」

 

「次郎坊です」

 

そして何だかんだでミナトも嬉しそうである。

 

「綱手様!――って、あ、あれ…?なんか、もっと若返ってません?こんな状況で若返りにもっとチャクラ使わないでくださいよ!?」

 

「っ!大蛇丸…!向こうの戦場に行ってたはずのお前が、何でこうも早く…!」

 

サクラとサスケも驚きを隠せない。

そしてサスケの疑問ももっともだったが、自来也が、ワハハッと笑って颯爽と答える。

 

「そりゃ単純に超速い瞬身の術でかっ飛んできたのよォ!」

 

「バカな…速すぎる!」

 

言われてもサスケは訝しい目を向けてくるが、大蛇丸も否定するでもなく「事実よ」と薄ら笑って言い添えた。

 

「大蛇丸のヤローが、私達に余計なことしやがってな。体の慣らしも含めて、そのまま激走してきた。…ったく、体が若返って調子が絶好調なのが逆に腹立つな」

 

師匠がデフォで若返ったー!?とビュティばりの驚き顔を披露しているサクラを尻目に、綱手もやや呆れながらもそう肯定していた。

 

「ナルト!お前達は、あの十尾の分裂体の群れを突破したいってわけのよーだが……師の餞別だ!ワシらが道を作ってやる!」

 

「道が拓けたら一気に行きなさい、サスケ君」

 

「元祖三竦み…三忍の名の由来、教えてやるぞ、サクラ!」

 

言い終わった瞬間、三忍はまさに疾風となった。

巨大な口寄せ獣達にすらチャクラを行き渡らせ、巨大な相棒共々瞬身で駆けていた。

 

「土遁・黄泉沼!!」

 

「万蛇羅の陣…!」

 

「蛞蝓大分裂!」

 

十尾から生まれ続ける無限とも思える程の分裂体の軍団。

その前面に展開していた群れ全てを、自来也が召喚した〝見渡す限りの広大な底なし沼〟がズズズ…と飲み込みだして、分裂体達が足を取られて藻掻き出す。

そこに、その沼の周囲を取り囲むようにして、大蛇丸の無数のヘビ。そして綱手の無数の小カツユが取り囲んだ。この一連の連携は、規模に比べてまさに一瞬で完成しており、三忍の強化されたチャクラによる身体強化が、蛇やナメクジ達にも行き渡っているからこそ構築できる代物であった。

 

「ワシら三忍の〝殺し間〟へようこそ…ってやつだのォ!」

 

普段のようにおどけた笑いをしながらも、背筋が凍る程の殺気籠もる眼力で分裂体を睥睨する自来也。

それを合図として、ナメクジ達が動けぬ敵達に向かって一斉に酸を吐き出し、辛うじて跳んで逃げていた分裂体達には、バネのように飛び跳ねたヘビ達が、まるで大津波のように覆い隠して毒牙を突き立てに来る。

みるみる弱り、体表が溶けて脆くなっていく分裂体達。

みるみる体が痺れ、地上に落下し底なし沼に沈む分裂体達。

そして、一気に跳んだガマブン太の頭から、自来也は火遁の印を組み「ブン太ァ、油だ!!」と呼びかければ、「おっしゃー!!」とすぐにブン太も頬をふくらませる。自来也は、ブン太にすらチャクラを分けてやり蝦蟇油をも強化し、その量を桁違いのものへと変えていた。

 

―――蝦蟇油大炎弾!!!

 

動けぬ軍団を飲み込む規模で広がる極大の油と炎。

そして、自来也と同じようにマンダごと跳ねていた大蛇丸が、直後に風遁の印をきった。

 

「風遁・大突破!!」

 

油粘液で燃え盛る炎が、暴風に煽られてさらなる猛火へと成長し、分裂体をもはや炭化させ始めて、分裂体の中でも屈強な個体さえも焼け爛れ苦しんでいた。

 

「焼死は地獄の苦しみだろう?私が消火してやるよ!」

 

綱手が、己が身を預けるカツユ本体にチャクラを注ぐ。

カツユが口腔を大きく開き、そして主から与えられたチャクラを練って、それはもう大量の舌歯粘酸を天へ向かって吐き出した。

それは酸の濁流であり、天から降るそれは酸の豪雨であった。

 

「ギィィィィイッィ!!!?」

 

「グギャオオオオオオオ!!!」

 

「ゲオオゴゴゴゴオオオオッ!!?」

 

猛火を鎮火しつつ、忍連合の行く手を阻む怪物達が、あっという間に屠られていた。

 

「人間相手にやっていた時はちと心が傷んだが、こいつら相手ならまったく良心は傷まんのォ!」

 

「あんたって、戦争になると私以上に容赦ないわよね?この〝殺し間〟の考案もあなただったし…」

 

「ただの戦争ではない。容赦など…端からいらん!」

 

三忍の伝説(パワーアップver)をまざまざと見せつけられた忍連合。

歴代火影にも劣らぬチートっぷりに、目が点になる者多数。

だがナルトなどは目を輝かせて、復活の師の張り切りっぷりに熱狂していた。

 

「エロ仙人!!やっぱすっげーってばよォ!!!!敵がぜーんぶ、焼けて溶けて底なし沼に沈んでいっちまったァ!!!!」

 

「あ、あれが…伝説の三忍が手を組んだ時の……!!こ、怖…殺意高すぎるって…」

 

「あの自分勝手な大蛇丸の真価が、まさかスリーマンセルの連携にあったとはな…」

 

それぞれの弟子達は、それぞれに師の活躍に称賛を送っていた。

 

「おおお!あれは綱に猿飛の弟子達ぞ…!?やるではないか!あの3人と同時に戦ったらオレでもただではすまぬぞ!」

 

「サルめ…弟子を育てる力はワシ以上か?フッ…やるのう」

 

「自来也先生…!腕をさらに上げている!すごい…オレも負けていられないね!」

 

「……っ、自来也…綱手…そして…お、大蛇丸…!まさか…まさか、お前達のその勇姿を…もう一度この目で見られようとは…!!まったく…随分と待たせおって!ワシが生きているうちにそうせぬか!!」

 

歴代火影も称賛し、そしてヒルゼンなどは感動も一入のようで涙ながらに三忍を見守る。

そして、そんな火影達の元に馳せ参じるツワモノ達がさらに登場。

四赤陽陣を貼り続けている彼らの足音に、音も無く頭を垂れた姿で現れていた。

 

「む…先程からオレ達の周りをうろうろしていたが…。オレ達が穢土転生された折、あの場にいたの。確か…」

 

柱間が、うむー…と考えていると、六本腕という異形の音忍・鬼童丸が答えた。

 

「我ら、三忍が一人、大蛇丸様の部下・〝音の七人衆〟にございます。…オレは東門の鬼童丸」

 

「同じく、変態の次郎坊」

 

「同じく、せいじょ…――西門の左近」

 

「同じく、北門の多由也。……少し待っててくれ、火影ども」

 

鬼童丸、左近、多由也が、おもむろにデブを袋にしてボコボコにし始めた。

オラオラ、てめーいい加減にしやがれ、オレまでまた釣られるとこだったろーが、などと言いながらボッコボコだ。

一瞬、柱間はギョッとして、それから止めたほうが良いのか…と思考したが、眼前で発生した袋叩きは、力一杯に敢行されているものの親愛の情に溢れている…という矛盾した性質を持っているのが忍の神(柱間)から見ると分かる。

 

(むゥ…これが今どきの若者達の付き合い方なのやもしれぬぞ)

 

これはジェネレーションギャップぞ!と判断し、そしてガハハ!と笑って「仲が良くて大変結構ぞ!」と斜め上に褒めてくれた。さすが柱間である。そしてそんな様子を、結界の四方の角っこから見ていた扉間は盛大に呆れ顔であった。

音の七人衆達の一種の〝儀式(じゃれ合い)〟が終わって、次郎坊は「何も見えねぇ」状態になりつつも何事も無かったかのように立ち上がると、さっきまでの喧騒がウソのように落ち着き払って、「…失礼しました」とコホンと咳払いしてから柱間に向き合う。

 

「貴方様方の四赤陽陣…この時より我らが引き継ぎます」

 

「……なるほど。お主達も、かなりの強さだの。いやぁ~後進がこうも育っているのは嬉しい限りぞ!」

 

「元々、ウチらは大蛇丸様をお守りするために結界術に長けている。四赤陽陣は、あんたらより上手だ」

 

多由也が全く萎縮せずに、伝説の火影に堂々と言った。

歴代火影達に向かって、「結界術は自分達が上」と面と向かって言い張れる若者は、きっと多由也だけだろう。怖いもの知らずの17歳女子。まさに無敵のお年頃である。

 

「大蛇丸様のご命令です。あなた達は、どうぞ自由に戦場でお暴れ下さい。ここはお任せを!」

 

もはや木ノ葉は敵にあらず…歴代火影に敬意を払うように、と言いつけられていたから、その態度は丁寧であった。それに次郎坊個人としても、歴代火影は好きだったからこういう態度にもなった。

火影達は目で会話し、そして皆が頷きあう。

 

「うむ、任せるぞ!オレは…オレを待っている友がおるのでな」

 

柱間がそう言った瞬間に、結界に少しの揺らぎもなく、火影と音隠れの4人は見事に結界の張り主を引き継いでいき、そして火影達は走り出す。

簡単に引き渡しているように見えるが、そもそも結界の引き渡し行為そのものが高等テクニックである。

そんな中、

 

(いやー全く楽でいい)

 

次郎坊だけはそういう事を考えていた。

さっきからレジェンド達が大暴れしており、しかもその大迫力の戦いを特等席で見続けている。

次郎坊はホクホクであった。

そして今回命じられた任務も、四赤陽陣を火影の代わりに張ることだけだ。楽勝である。

いくら影クラスの実力者4人以上が必要な超結界であろうが、もともと音の七人衆中のこの4人は結界術のプロ中のプロ…エキスパートである。

子供の時でさえ四紫炎陣を張れた次郎坊達だから、成長した今となっては本当に楽勝であった。

状態2無しでもイケるくらいには楽チンであった。

 

「おっ、すっげ。見たか多由也、今の」

 

「…ハッ…ウチだって大蛇丸様が許可してくれたら、あの程度の大暴れくらいできる」

 

「うーん、まさかマダラと柱間の全力サシ勝負を、こんな距離で見れるなんて。金取れるぞ」

 

「くそ…ウチの笛の音がマダラにも通用するって証明できるチャンスなのによー!」

 

こんな戦場でも、音隠れ衆はいつも通りの平常運転であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上のように、味方がこれでもかと強化されて、しかも敵側に輪廻眼がない状態での最終決戦である。

オビトとマダラはこんな悲惨な状況にも関わらず頑張った。十尾も頑張った。

十尾は三忍が抑え込み、オビトは一人でナルト、サスケ、サクラ、カカシ、ヒナタ、ネジ、キバ、シノ、アスマ、シカマル、いの、チョウジ、サイ、ガイ、テンテン、ロック・リーなどの錚々たる原作主人公の面々と戦うことを強いられていたし、マダラは、結界も分身も止めて己だけに注力しだした柱間、扉間、ヒルゼン、ミナト、現場に到着した五影というドリームメンバーと、それはもう素敵な笑顔で戦っていた。笑顔の理由は主に柱間であるが、欲を言えば「柱間とは一対一の決闘をしたかった」だなんて思っていたりしたが、それでも絶望的孤軍をエンジョイしているのは流石マダラであった。

そんな流れの中で、一人孤独に輪廻眼探索を頑張っていた黒ゼツが、真っ黒い顔の血相を変えてマダラとオビトのもとへ帰還し「大蛇丸の目が輪廻眼だったんだよ!」「「な、なんだってー!?」」って感じになったからさァ大変である。

オビトもマダラも輪廻眼を何としても奪取したかったが、このメンツ相手に「ちょっと失礼しますよ」と抜け出して、大蛇丸の目から輪廻眼を分捕るなんて不可能だった。

 

黒ゼツはというと、大暴れする頼れる仲間達の陰に隠れてコソコソと動いた。

やはりこれこそが黒ゼツの真骨頂なわけだが、しかし今回に限っては暗躍しようにも、もう余り打つ手が無かった。

というのも、どれだけ隙を伺おうが、大蛇丸は一切隙を見せないからだ。

常に蛇を数匹身にまとっていて、その蛇達が近寄る全ての敵意を感知しているらしく、こっそり忍び寄っては蛇に見つかって「シャー!」と威嚇されてそのまま草薙の剣へと変化した蛇に刺される。しかも、数百m離れている距離からだ。もうどうしようもなかった。

全然全くこれっぽっちも近づけなかった。

 

そんなふうに黒ゼツが四苦八苦して時間を無為に浪費していく一方で、頼れる仲間達の状況も刻一刻と悪化していたのは当たり前だった。

敵が多すぎる!

敵が強すぎる!

こんなのありか!?

黒ゼツは心で叫んでいた。

 

ここで諦めるわけにはいかなかったが、とうとうマダラの方も危うい。というか既にヤバい。

千手兄弟の見事過ぎる連携に徐々に不利(ジリー・プアー)となり、そこにゴリラパワーで攻め立てるヒルゼン、飛雷神の術連打のミナト、そして五影の的確な援護だ。まさにクソゲー状態。こんな状態で笑顔を維持できるのは、穢土と浄土合わせてもマダラぐらいなものである。

だが、それでも何とか食い下がっていたマダラもとうとう崩れだす。

大蛇丸が口寄せした、黒ゼツも良く知る3人の暁残党が参戦したせいでかなり雲行きが怪しくなってきていた。このハイレベル過ぎる決戦場で、この暁残党のうちの最弱とすら思われたヤツがまさかの活躍をしていたのだ。

 

「ゲハハハハ!ジャシン様の前じゃー、マダラなんて過去の遺物だぜーー!?ククククク!心臓刺したい放題ッ!フィーバータイムだなァァァァッッッ!!あっ、がっ、がァっ…ンぎ、ぎもぢ、イィィ―――!!!!」

 

「ぐ、ガハッ!!?ま、また…あの砂利か!!ここぞというタイミングで…オ、オレの心臓を……!!これで3度目だぞ!!!」

 

柱間とやり合っている最中に、こんな調子で突然心臓が潰される。

なんの前触れもなく、スサノオの鉄壁の装甲も貫通していきなり心臓そのものが潰れるのである。さすがのマダラでも防ぎようがなく、穢土転生体の不死の体でも心臓が潰れると一瞬の隙が生じるから、その間に柱間にぶっ飛ばされる…という事態に陥っていた。

もちろん、心臓以外にも腕や脚が突然切り落ちたり、眼が突然潰れたり、印を結ぼうとしたら指がポロッと落ちたり…散々であった。

しかもこの飛段…大蛇丸の手によって細胞をイジられて、自力再生もするようになったから何度でも切断技を使ってくる。穢土転生体からしても超厄介であった。

 

「…信じられん。飛段如きが、あのマダラを術中にハメるとはな…腐っても暁か……大した奴だ」

 

マダラの恐ろしさをリアルタイム世代として知っていた角都も、消耗した心臓()を廃棄しつつ、大蛇丸からあてがわれていた予備のクローン心臓を口寄せで補充したりしていて、それに並行しつつモブ忍連合達とともに分裂体の雑魚掃除をしながら感心していたし、

 

「そうね……正直言って、評価を改める必要があるかもしれない。血を入手してしまえば、遠距離から一方的に致命傷を与え続けられるとは」

 

君麻呂、重吾、角都とフォーマンセル小隊を組んで雑魚掃除に頑張る小南も、(やっぱり味方ながら嫌な奴…)と思いながら同意せざるを得ず、

 

「不死身なだけの低能だと思ったら…そこそこやるようだ。大蛇丸様の不死実験にも役立ったし…少し見直したな。そう思わないか?重吾」

 

「ああ、本当だな。人は誰しも…必ず役立つ才能があるという事か」

 

君麻呂と重吾もこれには完全同意であった。

大蛇丸がイザナミ世界に陥って停止しているカブトと接触した時…彼の懐から、カブトがマダラの遺体から回収していた〝血〟をクスネていたのが大いに役立ったわけだった。無論、他にもカブトえもんのお役立ちチートグッズは全部クスネているし、大蛇丸謹製のチートグッズも多数持参しているからもうやりたい放題だ。

どれだけのチート無法かというと、大蛇丸に口寄せさせられた際に、暁残党組は〝口寄せ輪廻眼〟によって片目に輪廻眼バフがかかっており、視界共有で死角を無くす…なんてコトまでしていた。戦争で、輪廻眼大蛇丸を使うのはルールで禁止っスよね?

しかしまだ黒ゼツには頼れる仲間がいる!

そう、理性なき(アウト・オブ・コントロール)十尾さんだ!

オビト、マダラは柱間との激戦真っ最中とあいなり、彼らのコントロール下から解き放たれた十尾は、完全に制御不能となってしまったがまだまだ強い。

それに、見渡す限り周りは敵・敵・敵・敵なのだから、見境なく暴れまくるのは大歓迎なのだ。

四赤陽陣に囲まれたリングを所狭しと暴れまくれ!

それいけ十尾!

黒ゼツはめっちゃ応援していた。

しかし現実は非情である。

 

「まだまだこんなもんじゃねーってのォ!」

 

自来也が絶好調だった。

時間切れでガマブン太はもはやいないが、巨大な十尾に巨大な大玉螺旋丸をぶち当てて、その巨体を揺らしていた。

そして、

 

――ギンッ!

 

と目力たっぷりに眼部にチャクラを集中させると、擬態状態が解除された自来也の片目がみるみるうちに多重螺旋の紋様を浮かび上がらせた。

そしてそれを目撃した、すぐ横でサポートをしていた綱手の目が点となるのは当然だった。

 

「は?……はァ!?」

 

え?あれ?輪廻眼が自来也にも?しかし、輪廻眼は大蛇丸が持ってるはずでは?

そんな考えが脳内を駆け巡り、ちょっとしたパニックだ。

 

「あのデカブツはワシらで仕留めるぞ!…完全仙術―――」

 

パンっと手を合わせた自来也の顔にみるみる隈取が刻まれていき、それを見た綱手の頭は「仙人モードか…?いや、仙人モードじゃない…??いや…やはり仙人モードか?…何だアレは?」とハテナでいっぱいになり、その反応とは真逆に大蛇丸は瞳をギラつかせてしたり顔であった。

 

「出たわね…!私考案の…――」

 

「六道スーパー傾奇(カブキ)モード!!!」

 

自来也の背後には求道玉が後光のように生じて、自来也の獅子髪と、紅の陣羽織とが六道のチャクラにあてられ金色に輝いた。

その様はまるで金獅子のように華やかで、そして力強く、豪放磊落な自来也にはこの派手派手な黄金獅子状態は実に似合い()える。

様々な急展開に置いてけぼりで、呆気にとられ続けていた綱手が、思わず見惚れる程だ。

 

「大蛇丸!」

 

「分かってるわよ…――八岐の術!!」

 

十尾の巨体とタメを張れる、マンダよりも大きな八股の大蛇を召喚し、そして8つの首が十尾へと猛烈に噛みつき動きを止め、

 

「忍法・金針地蔵!!」

 

自来也がそう叫ぶと、自来也の頭髪が黄金の極太針の嵐となって射出され、十尾の全身にどんどん風穴を穿っていくと、さすがの十尾も苦しむかのような雄叫びをあげた。

怒り心頭の十尾は、その怒号をそのまま攻撃へと変換し、剥き出しの歯列を開け放つと膨大なチャクラを収束しだす。

巨大な尾獣玉が出現していた。

 

「ガアアアアアアアアッ!!!!」

 

吐き出された巨大な黒球が、猛然と三忍へと迫った。

だが自来也は一向に焦らず、「規模が大きい…餓鬼道〝封術吸引〟では拾い切れぬ」と判断。目にも止まらぬ速さで巻物を取り出すと、

 

「綱手、大蛇丸、ワシの後ろに下がれ!封印術…封()法印!!」

 

なんとジュルジュルジュル…と、尾獣玉が巻物へと垂れ流れる黒墨の如く吸い込まれていき、とうとう黒球は霧散してしまった。

封禍法印…それは封火法印の進化の果ての術といえた。火に限らず、陰陽五行の全ての属性のチャクラを封じてしまう

 

「あ、あの尾獣玉を封印したのか!?」

 

それを目撃していた忍連合の誰もが驚いていたが、十尾も理性など殆ど無いのに〝己の吐き出した攻撃が無反応で終わった〟という事実に本能的に驚愕しているようだった。

大蛇丸と自来也の2人ならば、封術吸引で吸い取れただろうが、自来也1人で防御を担ったことで、大蛇丸は一手解放されて既に攻撃へと移行していた。

 

「自業呪縛の印!」

 

十尾に噛みついていた八股の蛇を通して発動したそれは、十尾の機動力をさらに削ぐ。

かつて志村ダンゾウがサスケに使用した、身動きを封じる術であった。

 

「綱手、併せろ!」

 

「え!?あ、ああ、分かった!」

 

自来也は、己の左腕(義手)を引っこ抜くと、そこから見知らぬ金属の武器らしきものがズルリと姿を表し、そして左腕は3本に増えていた。

綱手はそれに見覚えがある。

ペインによる木ノ葉襲撃の時に、凄まじい存在感を発揮していたタコ入道が如きのペインが振り回していたソレは……。

――どう見てもペイン修羅道だろ!!?本当にいい加減にしろ!どうせあのクソ蛇の仕込みだろ!そして当然、輪廻眼を使いこなしている自来也も共犯なのは確定…!この戦争が終わったら、あの2人を一回全力でぶん殴ってやる!絶対!!

そう決意した綱手であった。

もはや賢明な読者諸氏にはお分かりだろうが、輪廻眼は右目が大蛇丸…左目が自来也へと移植されていたのだ。両目が揃っていないと、術の威力やらインターバルやらが劣化するが、それは大蛇丸、自来也の技術と、大蛇丸細胞によるチャクラ底上げでカバーしていた。そして、大蛇丸は自来也とお揃い且つ、一対の瞳を持つ者同士となったことに少し嬉しそうにもしていた。

 

「長門…お前の技を借りるぞ!修羅道…怪腕の火矢―――改めェ、蝦蟇飛燕の拳!!!」

 

「やっぱどう見ても輪廻眼の能力だろーが!!!!」

 

綱手は怒りのツッコミを十尾にぶつけた。

胸に、自来也式ロケットパンチにミサイルにレーザーの数々が大命中。

土手っ腹に、綱手の桜花衝が直撃。

十尾は雄叫びをあげながら腹と胸を抉られ、見事な大穴を開通されていた。十尾が苦悶に叫ぶ。

 

「今は十尾は動けん!連打でいくぞ、綱手ェ!!大蛇丸!!」

 

「ああもう!こうなったらヤケクソだ!!!」

 

「自業呪縛はまだまだ続くわ…。十尾もただのウドの大木ね…ククク、いくわよ!」

 

見事に巨大なサンドバッグと化した十尾。

三忍の連続猛攻によって、再生が追いつかぬ程に弱り果てて、最後には一切動かぬ巨大な肉塊となってしまった。

今の三忍は、柱間が如き大規模攻撃の脅威と、扉間が如き搦手の豊富さと冷酷な殺気を併せ持ち、まさに一個の生命体のように有機的に連動していた。

オビトと戦いつつも、自来也達の戦闘をちょろちょろ見ていたナルトも、「うわ…よ、容赦ないってばよ…」と、少しだけ十尾が可哀相になる程だったという。

そして、三忍の意識がこれまでに無い程に同調していたまさにその時…大蛇丸にもとある変化がまた生じていた。

変化というよりも、己の原点に気づき、立ち戻ったというべきだった。

 

(ああ……これだったのね)

 

それに気づき、今までの全ての紆余曲折がストンと腑に落ちた。

己の心の底が求めるモノがようやく分かった。

サスケの行く道を見守り、カブトの失敗を見……不老不死、究極の瞳術、優秀な部下・弟子達、思うがままの新術の開発、禁術の解明、歴史の究明。それら全部に手を伸ばして、大蛇丸は悟った。

自分のやりたい事は、これだったのだと。ここにいる事だったのだと。

 

 

――三忍

 

 

それこそが大蛇丸の求めるモノ。原点にして、行き着く先。

 

(そう……そうだったのね……私は―――)

 

自来也がいて、綱手がいて。

自来也がバカをやる度、自分も巻き込まれて、最後には綱手に叱られて。

 

(自来也と綱手に………父母の面影を求めていたのかもしれない)

 

3人でいれば、大蛇丸はいつでも孤独を忘れられた。

両親の死をきっかけとして、不死を探求し道を踏み外した。大蛇丸はそれぐらいには親を愛していた。

だが、親を失っても絶望的な孤独を味わったことはない。それはきっと、いつも騒がしいこの2人が自分の横にいたからだ。

 

(…今、分かった。私は……―――)

 

何よりも自来也と綱手が大切であると気付かされた。

だから、大蛇丸は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(―――自来也と綱手の子供に生まれ直したら面白いかもしれないわねェ)

 

 

 

 

 

 

 

ニンマリ笑顔で、大層気色悪い発想に行き着いた。

どうしてそうなった。

何とも都合の良い事に、自来也と綱手には大蛇丸細胞が移植されており、「あらやだ偶然」とばかりに、後々ちょっとした悪さというか小細工をする事になるが…これはミツキ誕生に繋がるこぼれ秘話である。

推しの子って最高よね?……と、いうことであるらしかった。

やはり大蛇丸は最高に変態であった。

 

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