ひにん生まれの男の娘、剣術が最強なので辻斬りで無双します   作:上殻 点景

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3句目 村を出て、お腹が減って、別の村

[強盗を、したいと思い、柵を切る]

 

暗闇が風景をそめて、月が出かかっている刻。

 

とある山奥の村は夜にも関わらず活気に溢れていた。

村の別名は【才を知る村】。訪れれば自分の才能を知れるという。

 

今日も噂を聞きつけ、多数の人間が昼夜を問わず訪れる。

 

村の入口では夜にも関わらず大行列。

 

そんな入口とは反対方向。

山に面した西側には、男の娘が一人。

村を大きく囲う柵の手前にしゃがみ込む。

 

取り出すは銀筒。行うは────柵の切断作業だ。

 

「ビーム・刀をお願い」

『任された』

 

ジジッ。柵を斬り進めるは極小のビーム刃。

 

目立たない様にゆっくりでの作業は疲れるのだ。

 

なぜこんな作業を? それは昼間に門番に追い返されたからである。

 

「(おいしいご飯、おいしいご飯、おいしいご飯♪)」

 

脳内には村の中にある食い物の事だけ。

漫画知識に支配された脳内は普通の食事では我慢できず。

見つけた村でおいしいご飯を頂こうという算段であった。

 

つまるところ、飯泥棒をする為に柵を切っている。

 

『周囲に同期できる機械があります』

『データリンク開始:失敗』

『一部の機能だけ使用できます』

 

男の娘。耳が機械音を捉える。

 

「銀筒、何か言った?」

『あァ、今それどころじゃねーんだ』

 

銀筒はビームの刃を極小にするで大変のようだ。

 

「私も頑張る」

『おう、頑張れ』

 

半分ほど柵を切断し、あと少し─────

 

「何をなさっているんですか?」

 

穏やかな声が、後方から届く。

 

(バレた⁉)

 

振り向けば少女。背は小さい、齢は十ほど。

言いくるめてしまえば、誤魔化せる年頃か。

 

「わ、私は柵の修理業者」

『それは無理があるだろ』

 

修理業者なら柵を切断したりはしない。

 

あまりにも浅はかないい訳である。

 

男の娘も無理を感じ、覚悟を決める。

 

「ごめん。見られたからには仕方ない」

『おまっ、ちょっ』

 

一閃。ビームの光りは少女の首を─────

 

「アレ?」

「ゴホっ、ゴホっ、何をするんですぅか」

 

少女は五体満足であった。首が斬られるどころか、傷一つ無い。

 

(確かに斬ったはず?)

 

「銀筒、出力弱めた?」

『俺はそんな事はしてないが』

 

ぐー。健気に鳴るは男の娘のお腹。

 

『パワー不足が考えられるな』

「草木はいっぱい食べたのに」

『草木は食べ物じゃないからな』

 

少女は体をまじまじと見つめている。

 

鮮やかな着物は夜によく合っており、髪は丁寧に纏められている。

 

山で遊ぶにしては綺麗がすぎる、一般的な感覚として感じるところだ。

 

「(先までただの少女にしか......)」

 

感覚のズレ。暗闇故に目が曇っていたと結論付ける。

 

「ええっと──────」

 

決心。少女は思い立ったように、男の娘に話しかける。

 

「この事を秘密にする代わりに、頼み事を聞いてくれませんか?」

 

掛けられた言葉は、取引であった。

 

◇◆◇

 

「こっちに来てください」

 

頼み事を聞くことを了承し、案内されたのは、森の中。

 

人手によるものか、地面が開けた場所だ。

 

「ここを掘ることは出来ますか?」

「あの、案内は?」

「その恰好では、少し目立つので」

 

少女から見ても、服装は先進的であったようだ。

 

ボロ服に愛着が湧いていた男の娘は、少々がっかりする。

 

「でもどうやって掘ろう」

『手で少しずつ掘ればいいんじゃねーの』

 

「銀筒......」

『いや俺はスコップじゃないんだけど』

 

「いい感じに頑張って」

『無茶を言うなッ』

 

結局、ビーム刀で地面を焼き切っていくのであった。

 

◇◆◇

[ここを掘れ、中身はなんだ、普通です]

 

バタン。蓋をこじ開ける。

埋まっていたのは五斗(約90L)の木箱。

中には、豪華で綺麗な着物、化粧品、紫の布に包まれた小箱。

 

「ざっくざく」

『人の心とかないんか』

 

「なんで?」

『どー見ても棺桶だろォ』

 

妙にビビっている銀筒。

疑問符を浮かべる男の娘。

 

気にせず中身を漁る、少女。

 

「この服だと目立ちすぎるから、肌着を主にして」

 

手際がいい。墓荒らしの才能がある。

 

男の娘は少女を評価するのであった。

 

「あっ、見繕ってる間に体を洗ってきてもいいですよ」

「体を? 洗う?」

 

「水浴びはご存じですか」

「お風呂は知ってる」

 

「風呂場は村の内部にしかないわね」

「お風呂ないの?」

 

「その代わり、外には川があるわ」

「川があるのっ」

 

ウキウキで水浴びをしに行く、男の娘。

 

銀筒すらほっぽり出して、夜の森を走り出す。

 

「あっ、もう行っちゃった」

『全く、この時期の川は......』

 

ちべたかった。帰ってきた男の娘はそう言い残し、ぶるぶると震えるのであった。

 

◇◆◇

[男の子、女装をすれば、男の娘]

 

服を着替え、身だしなみを整えた男の娘。

少女は案内を、男の娘は後に続き、トンネル内を進む。

 

「ほら、こっち」

「大きな抜け穴......」

 

歩くは洞窟に偽造された抜け穴。

 

ピュウと吹く風が冷たいながらも、繋がっていることを教えてくれる。

 

「昔、山城だった時の名残でね」

「つまりお城がある?」

 

「柵と陣だけの簡素な山城よ」

「お城がなかった」

 

「でも立派なお屋敷があってね」

「立派な、屋敷っ」

 

銀筒は疑問を投げかける。嫌な予感がしたといった所。

 

『まさか盗みに入るつもりか』

「ソンナワケ」

 

『隠す素振りをしたらどうだ』

「少しとってもバレない」

 

『前回ぶっ倒れて捕まったのは誰だ』

「あれはお腹がへったから」

 

冷たい銀筒。言い返す男の娘。傍から見れば独り言のヤバい人。

 

少女は訝しみ、こちらを見る。

 

「そこに誰かいるのかしら?」

「なんでもない」

 

男の娘。大きな野望を、小さな体に隠して答える。

 

ふーん。少女はジロジロ観察、ため息を一つ。

 

「にしても、馬子にも衣装を実感するわね」

 

男の娘が着るは、白肌着に、藍の留袖。

 

袖丈の不一致により、着崩す様子ではあるが。

 

「本当に男の方ですよね」

「うんうん」

 

留袖から覗くは、白い肌着、すべすべの白い肌。

肌着はわずかに盛り上がっているようで、わずかに動くだけで揺れている。

小さな肩は白くつるりとしていて、ぺろりと食べれそうなほど甘美であった。

 

控えめに言って、えっちである。

 

中身がアレでなければ百点。銀筒評価である。

 

「まさか私より似合ってるとは」

「えっへん」

 

ワイワイ。足取りは進む。

抜け穴を抜け、出口を開けると、村の小屋。

 

一歩、外にでると、賑やかな光景。

 

男の娘は好奇心と欲望をもって村に繰り出すのであった。




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