病みの描写ってなんでこんなに難しいんですかね。
どうにも迫力のない描写になってしまう…
第五話 楽しんでいただけることを願っております。
男はゆっくりと体を持ち上げて、日光に照らされて目を覚ました。
朝ごはんの好い匂いが男の鼻に届く。
どうやら友人が男よりも先に起きて、食事を作ってくれているらしい。
彼女には感謝してもしきれないと改めて男は思った。
寝癖に触れることで直しながら、ゆっくりと友人のもとに向かう。
キッチンにまで向かうと、微笑みながら友人が迎えてくれた。
『あぁ、おはよ~』
『よく眠れた?』
そんなことを友人は言い、男も適当に返事をする。
あぁ、よく眠れたよ。
悪いな、ご飯作ってもらっちゃって
『ん~、いいのいいの』
『私が好きでやってることだし~』
そんな風に、自然で緩やかな会話が続く。
もう既に時刻は正午に近づいていたが、微睡みに支配された二人の男女は、早朝かの如くおっとりとした会話を続けていた。
そんなこんなで、二人は夕方ごろまで昨日と同じように笑いあい、お互いの趣味を謳歌し、楽しみながら過ごした。
昨日の噂の話は、結局最後まで持ち出されることはなかった。
友人も男の事を気遣い、何も言わないでいてくれたのだろう。
その優しさが、男にとっては何よりもうれしかった。
しかし、悲しきかな。
出会いがあれば、別れもあるように。始まった時間はすぐに終わってしまう。
友人との楽しい時間はすぐに過ぎ去る。
あっという間にお別れの時間だ。
日が暮れ始める。男としてもそろそろ家に戻らなければいけない。
怪物が待つ、あの家に。
友人と二人で駅まで歩く。
二人は何も話さない。
『ねぇ、あのさ』
友人は、男に話しかける。
何か言いたげな雰囲気だ。
男もそれに返事を返すと、友人が意を決したように言葉を話す。
『本当に、私に何も言ってくれないの?』
『君の友人として、力になりたいんだ』
男の目を見て、友人は直接聞いた。
その眼は真摯なものであり、一片の曇りもない、強い思いが込められていた。
男はその眼を見て一瞬だけ。
本当の事を話してしまおうか
そう思ったが。
直ぐに考え直す。
男と彼女は友人だ。普通の友人関係より、ずっと仲がいいだろう。
しかし、そんな関係だからこそ、面倒なことに巻き込みたくなかった。
男の返事は決まっていた。
何も言うことはないし、何にも困ってないよ。
心配いらない。どうにかなるから。
男はそう答えた。
実際にはそんなことはない。現時点ですらフェイタルの制御は効いていない。
きっと、そう遠くないうちにかなり大変なことになるだろう。
しかし。
いや、だからこそ。
大切な友達を遠ざける選択を男はした。
男の回答を聞いた友人は、少しだけ悲しそうな。
ほんの少しだけ、落胆するような。
そんな悲痛な表情を見せたのち、すぐにいつもの笑顔に戻ってから男に言う。
『…そっか』
『…なら、また来月会おう!』
『もうすぐ年末だから、その時には一緒に年を越そうね!』
そう、雰囲気を一転させた彼女は、駅の方に向かっていく。
そうして、駅に着いた友人は、男に楽しそうな笑顔を向けた。
『それじゃ、また来月会おう!』
『何かあったら、すぐに連絡してね!』
駅に電車がやってくる。
友人は電車に乗り、彼女の住む町へと戻っていった。
そうして、電車が駅からいなくなった時。
夕日に照らされた男は、自分の家の方角を見て、かなり憂鬱な気持ちになるのだった。
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山を登り、木枯らしが男の体から体温を奪う。
しかし、そんなことはどうでもいい。
もっと早く帰るべきだった。
既に日は落ちかけていて、だいぶ暗くなってしまっている。
しかし、なんだかんだ慣れた道だ。
多少暗くとも、日が完全に沈まなければどうにでもなる。
そうして、当初の予定よりだいぶ遅れてしまったが、男は家に帰ることが出来た。
ただいま
男はそう言い、自分の家の扉を開いて。
貼り付けたような笑顔を浮かべた、フェイタルと目が合うのだった。
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『おかえり、お兄さん。遅かったね』
フェイタルが微笑みながら男に話しかけてくる。
笑っているはずなのに、目の奥から光を一切感じない。
こわい。
『ふふ、ご飯できてるよ。一緒に食べよう』
少女は男が靴を脱いでからすぐに、男にテーブルに座るように流した。
声は優しいはずなのに、ひどく冷え切っているような、有無を言わせない圧力を感じさせる。
残念ながら、男に拒否権はなかった。
男は必死に考える。
何かこいつの機嫌を損ねることをしただろうか?
そりゃ、家に一日置き去りにはしましたよ?
しましたけど、双方納得の上だったし?
そこまで怒るようなことじゃないような…。
いくら考えても分からない。
なんかしたっけかな…。
そんなことを考えているうちに、テーブルの前についてしまう。
男が大人しく座ると、フェイタルが男の横に座り、体を寄せてくる。
いつもであれば、彼女は男の対面に座ってくるはずなのだが。
…え、こわ。
物凄く嫌な予感がする。
男が少し距離を開けるため、体を動かそうとした瞬間。
いつの間にかフェイタルの腕が男の体に絡みついた。
男が思わずフェイタルを見ると、少女は当然かのように男を見つめ返す。
『なぁに?何か言いたい事でもある?』
少女の目が、男の目を射抜く。
気圧された男には、フェイタルを注意することなどできなかった。
そして、その状態のまま二人は食事を開始した。
男は友人とご飯を食べていた時とは違って、味をあんまり感じることが出来ない。
あ、あの。
何か怒ってるのか?
男は思い切って、直接聞くことにした。
今のまま食事をしていても、何も味を感じることができなさそうだったから。
少女はニコニコと微笑みながら、男に言葉を返す。
『ん~?うん』
『まぁ、それなりに』
少女は男の言葉を肯定する。
笑顔は崩していなかったが、それが逆に恐怖を増幅している。
な、なぜ?
男は彼女にそう聞くと。
『ふふ、理由?』
『それは貴方が一番理解してると思いますけど…分かってないみたいだし、私から言ってあげますよ』
『私に嘘、つきましたね?』
少女の眼の色が変わる。比喩ではなく、物理的に。
シュル。そんな音を立てて、男の手足に透明な触手が纏わりつく。
男に抵抗という選択肢はない。
フェイタルの腕が男の腕と組みあってしまっているし、触手に対処する術を持っていないから。
触手が男の体を締め付ける。
痛くはないが、ひどく窮屈さを感じさせた。
嘘?嘘ってなんかついたっけ…
焦る男は必死に考える。
そして、一つのウソを思いだした。
しかし、この子にあれがバレるはずがない。
そう思った男が自室の方に目を向けると。
かかっていたはずのカギが開錠されていた。
oh…。
男は自分のカギの管理の甘さを恨んだ。
しかし、過去の自分を恨んでも何も変わりはしない。
取り敢えず、今の修羅場を切り抜ける方法を考えなくては。
そう思った男は、目の前にいる怪物を見やる。
フェイタルの方も、男に声をかけてくる。
『ねぇ、なんで嘘をついたんですか?』
『同性の友人って、言ってましたよね?』
『お兄さんが言ってた友人さん、女性なんですけど』
フェイタルの触手が机の下から男の卒業アルバムを引っ張り出してくる。
あぁやっぱり。
男は彼女が言っている嘘が、自分の考えていた嘘であることを改めて確認した。
なんでそんな嘘をついたのかって?そんなの決まっているだろう。
男女二人で一緒に泊まるなんてことをこの子に正直に言ったら、面倒なことになることが見え透いていたからだ。
この怪物に恋愛観というものがあるのかは定かではないが、この子の自分を見つめる目が熱情を帯びていたからだ。
それだけで、嘘をつくには十分すぎる。
なるべく面倒なことは避けたかったから吐いた嘘だった。
結果的には、それがひどい跳ね返りとなって帰ってきたわけだが。
男は少女と真摯に向き合うことを拒絶し、それは自分の首を絞めていた。
男が答えに詰まるほど、少女の苛立ちと触手の絡みつきは酷くなる。
『ねぇ、教えてくださいよ』
『嘘をついた理由と、本当はあそこで何をしてきたのか』
『ちゃーんと、嘘を吐かずに、誠実に答えてください』
だんだん感情的になってきた。
フェイタルの話す言葉が高圧的になり、男を強く攻め立てるようになる。
ただ仲の良い友人と二人で丸一日昼夜を共にしただけだろうに、なぜそんなにも責められないといけないのか。
というか、居候になんでそんな事を言われなきゃいけないんだよ。
男はそんなことを一瞬思う。
しかし、目と鼻の先に迫る触手を見て、そんな思考は露と消えた。
そもそも、目の前のこれは人間ではない。
人によく似た謎の生き物だ。
それ対して人道を説くこと自体が間違っているのだろう。
それ以前に、激高している相手に対して開き直るのはかなりの悪手だ。
男は誤魔化すのを諦め、正直に全てを話すことにした。
嘘を吐いたところで、彼女の神経を逆なでするだけだろう。
というわけで、男は以下の事をフェイタルに簡潔に説明した。
嘘をついた理由
あの時点でフェイタルに友人が女性であることを伝えるとフェイタルの反発が激化すると思ったから。
あそこでやってきたこと
友人と本を読んで、食事をして、布団を敷いて寝た。もちろん別の布団で。
男はこの二つの事を適当に伝える。
『……』
少女が男の事をじっと見つめる。無機質で、変色した瞳が男を見つめる。
彼の発言が真実か虚偽か。それを見極めているようだった。
しかし、男としては嘘はついていない。
その自信が、彼の所作に現れていたようで。
フェイタルは、先ほどまでの殺気を自らの内にしまい込むことを選択したようだった。
男はふっと、纏わりついていたあの気色悪い感覚が霧散したのを感じた。
少女は男が自らの質問に対して誠実に答えた(全てを話したわけではない)事で、多少は溜飲が下がったようだ。
事実として、彼女の触手はシュルシュルと音を立てて彼女の体に戻っていき、少女の眼はいつもの色に戻る。
ただし、それは怒りが静まったわけではない。
致死圏内から離脱しただけである。
少女は男の言葉を聞いた後、かなり不機嫌そうな瞳を男に向ける。
『…お兄さん、本当にそれが私に嘘をついた理由なんですか?』
少女がジトっとした目で男の事を睨みつける。
しかしそこに先ほどまでの殺気は含まれていない。
先ほどまでの生き物とは思えないような変色をした瞳とは違う、可愛らしい瞳だった。
頬を膨らませ、可愛らしく抗議する。
こうなってしまえば、男だって多少は余裕が出てくる。
うん。だってお前、友人が女性だって言ってたら、絶対一人で行かせてくれなかっただろう。
男がそう言う。一度口に出してしまえば、開き直るまでそう躊躇はしないで済んだ。
その言葉を聞いたフェイタルは、少しだけばつが悪そうに言う。どうやら自覚はあったらしい。
『…ソンナコトナイデスヨ』
少女が少し目をそらし、すぐさま先ほどの発言を訂正した。
『…いや、まぁ。はい。多分外に出さなかったか、意地でも一緒に行こうとしたと思います…』
ほらな!それ見たことか!
男は鬼の首を取ったかのように少女を糾弾する。
自分のしたことは間違っていなかったのだと。そう主張するかのように。
しかし、すぐさま少女も主張をする。
『で、でも!それは私に対して嘘をついていい理由にはなりませんよね!』
『私たち、一緒に暮らす仲間なんですから!お互いに真摯であるべきです!正直であるべきです!』
そんな正論なのかどうかも分からない言葉が飛んでくる。
男がなんて言い返そうか悩んでいると、矢継ぎ早に言葉が飛んできた。
『それに、あ…あなたには、私がいるじゃないですか!』
『私というものがいるのに、そんなの、不誠実です!』
少女が顔を真っ赤にして、支離滅裂なことを言いだした。
男は困惑した。
男にそんなつもりなどない。
確かにフェイタルは顔は綺麗だし、声もいいし、性格、本人の能力共に、一部のひねくれた人間を除けば全ての人間に好まれるだろう。
しかし、しかしだ。
こいつは人ではない。
マイナスポイントがでかすぎるのだ。
他がすべて98点でも、マイナスポイントが1000点だったら意味がないのだ。
絵画の競りに、石像を提出しても評価額が出ないのと同じように。
たとえそれがどれだけの巨匠のものでも、どれだけの価値があろうとも。
そもそも規格が違うのだ。その時点でそれは論外なのだ。
思わず、少女に対してそんな罵詈雑言を飛ばしそうになる。
しかし、瞬間的に思いとどまった。
そうだ、こいつ、自分が人間だと思ってるんだった。
危うく空気感が死ぬところだった。
思いとどまった男は、少女になんて返そうか考える。
その結果、出力された言葉は。
いや、俺子供には興味ないから。勘違いするのはやめてくれ
いつも使っていた、子供だから、という言い訳だった。
少女はそれを聞いてさらに怒りだし、言葉をぶつけてくる。
『…子供子供って!いつもそればっかりじゃないですか!お兄さん!』
『私のどこが子供なんですか!身長だって大きくなりましたし、頭だってよくなりましたもん!』
『いい加減子ども扱いはやめてください!』
そうやって意地を張るところが子供なんだ。
男はそう彼女の言葉を一蹴する。
実際のところ、彼女ほど聡明な子供などいないだろう。
身長も大人とそう大差ない、まだ少し小さいが。
知識量に至っては男が制限している分野の学問を除けば大人並み…いや、大人以上だろう。
スタイルだって、普通の女性とそう変わらない。むしろ普通の人よりもかなり良い部類に入る。
『…この…!』
『…はぁ、まぁいいです。そう遠くないうちに、私は大人になって見せますから』
少女はまだ何か言いたげだったが、この分野に関して今議論するのは不毛だと判断したのか。
この話をするのはやめたようだった。
すぐさま、友人と男がしたことに話が移る。
ただし、この話に関しては、少女も別にそこまで突っ込んでこなかった。
男も変に突っ込まれるととんでもないことになりそうだったので自分から話すのはやめておいた。
そうして、フェイタルの尋問は終わり。
男は何とか生きながらえることが出来たのだった。
その後、二人で食事を済ませ。
諸々やることを済ませた後、眠ろうとした時に事件は起こった。
男が布団を引き、寝ようとしていると。
突然自室の扉が開き、何かを抱えたフェイタルが入ってきた。
男はが寝たふりをしていると。
彼女はその何かを横に敷いて。
無言で男の布団に入ってきた。
抱き着くような形になったため、いろいろと体に当たっている。
邪魔だよ、自分の布団で寝ろ
男が不満げにそう言い、少女を引きはがそうとする。
しかし、フェイタルは離れない。それどころか変なことを言いだした。
『…お兄さん、私の事子供って言いましたよね』
『子供って、家族と一緒に寝るらしいじゃないですか』
男は次に出てくる言葉を察した。
『なので、一緒の布団で寝ます』
少女は恥ずかしげもなく、そう男に宣言した。
ふざけんな、狭いだろ、離れろ
男がそう言うが、少女がそう簡単に離れるわけもなく。
というか力が強すぎて引き剥がせなかった。
『そう言うと思って、布団を横に敷いてあるので大丈夫ですよ!』
『重なってても、私が布団からはみ出ることはないので!』
何も大丈夫じゃないし、その理論はおかしいだろ。
説明になってないぞ。
男はそう思う。
先ほど、フェイタルの事をさも化け物で、女性として見ることが出来ないと堂々と語った(脳内で)男ではあったが。
それはあくまでも男の精神の話である。
本能は残念ながらそう考えてはいないようで。
主に理性とか精神が関係のないところが非常に反応していた。
しかし、そんなことをフェイタルに言えるはずもなく。
男は言うことを聞かず、くっついたまま眠る彼女に対して何の抵抗もできないまま、悶々と眠りにつくのだった。
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少女は男にしがみつき、ゆっくりと目を閉じる。
男の体温と鼓動を感じながら、ゆっくりと思考を巡らす。
男の手足が引き剥がそうとしているが、少女はそれを意にも介さなかった。
ねぇ、お兄さん。
貴方は、私をどう思っているのかな。
邪魔に思ってる?いない方が良かったと思ってる?
もしかして心底邪魔だと思ってるのかな。
…私の恋心は、貴方にとって嫌なものでしかないのかな。
私の想いは、貴方にとって遠ざけたいものなのかな。
子供だと、貴方は言うし、それを理由にしているけれど。
きっと、他の理由があるんだよね。
私にはわかるよ。
貴方は、私に何かを隠しているよね。
嘘をつくのは、氷山の一角でしかなくて。
きっと、本質的に私は何かがおかしいんだよね?
だから、貴方は私を遠ざけようとしている。
何がおかしいのかはよく分からない。
私だって精一杯頑張っているんだけど。
それだけじゃ、どうにもならない問題なのかな。
まぁ、どうでもいいや。
貴方が今、私についてどう思っていようとも。貴方が何を隠していても。
私の想いは変わらないから。
ねぇ、決めたよ。お兄さん。
今までは、この関係のままでもいいかなって、思っていたけれど。
この関係が終わりを告げる可能性があるのなら、私だって形振り構っていられないから。
私を見てくれないのなら。私を直視できるようにしてあげる。
私の事を子供だと言うのなら、子供として貴方の傍で自己を主張し続けるし。
子供でないというのなら、大人として貴方にアプローチをかけるよ。
だけど、今のままでは足りない。
知らないことが、分からないことが多すぎるから。
貴方が私を直視してくれるようになるには、まだ私は未熟だから。
私には多くの知識が必要だ。今以上に賢くなって、成長して。
あの人が、私を跳ね除けられないくらいに完璧になる必要があるのだ。
今のままでは、何一つとして得られない。可能な事に限度がある。だからこそ、もっと多く、もっと良質な知識が必要なのだ。
物事を深く知れば、それは私の力になって、より多くの選択肢を私に与えてくれるから。
その為には、書庫に入らないと。
あの人が何故書庫に入る事を禁止しているのかは分からないし、彼から話してくれることもないだろう。
実際に聞いても答えてくれなかったわけだし。
私だってよくない事なのは理解している。
けれど、貴方は私と誠実に向き合ってくれない。
ならばその分反発されてもしょうがないと思わない?
それに、これは貴方のためでもある。
私が賢くなり、完璧に近づけば。その恩恵を享受できるでしょう?
だからほら、貴方にだってメリットがある。
これは、双方に益がある事なのだ。
愛してくれないのなら、愛してくれるように自分を高めるしかない。
それ以外の選択肢を取るような真似はしたくない。
私には、貴方しかいないんだもの。
貴方と違って、私には縋るものが一つしかないから。
だったら、どんな方法を使っても、自分のものにしなくちゃいけないの。貴方にまで捨てられてしまったら、私、本当に何もなくなっちゃう。
あぁ、だから。どうか。
私から、一つだけお願いをさせて。
私を捨てないで?
私を置いていかないで?
私に、貴方を壊すような真似をさせないで
相手に真摯に向き合うことってとても大切ですよね。
まぁ、この主人公は真正面から対峙する事を拒絶し続けていますが。
第六話 気長に待っていただけると大変助かります。