渦中の二人から離れ、話は別の視点に移ります。
今回かなり読みずらい上に、ヤンデレ要素がないです。
ユルシテ…ユルシテ…。
第六話 お楽しみください。
列車に揺られ、一人の女性が自宅の最寄り駅へとたどり着く。
男との一か月のぶりの相瀬を終え、彼女はいるべき都市へと戻ってきた。
一握りの寂しさと、ちょっとした不安を抱えたまま。
駅から家へと向かう途中。
彼女は頭の中で、男との会話のあれこれを反芻し続けていた。
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家路につきながら、一人で彼との会話を思い返す。
私が彼に問いを投げかけた時、彼は非常に驚いた様子を見せていた。
私が彼に噂について質問を投げかけた時。
彼は、露骨にその質問に対して拒否反応を示し、話題をすぐに逸らそうとした。
相変わらず、物事を誤魔化すのが苦手らしい。
それは彼の美徳でもあり、欠点でもある。まぁ、彼の交友関係では、美徳の方しか発揮されることはないだろうけど。
はっきり言って、あの噂自体は全く信じていなかった。
軍が研究してた怪物が逃げ出した…だったっけ?
そんな眉唾で出どころのはっきりしない噂は、そこら辺のゴシップ雑誌とか、三流雑誌だって取り上げることはないだろう。
それに、その噂を教えてくれた彼女だって、風の噂で聞いた程度だって言ってた。
そんな情報、本来であれば一切信用には値しない。
あの時彼に聞いたのだって、話のタネになればいいな~、くらいの気持ちだった。
…のだが。
彼の反応を見て、その気持ちは変わってしまった。
彼は噂について異様なほど知りたがった。
その割に、私が彼に何かを聞こうとすると彼は露骨に話題を逸らし、大丈夫だと言い張る。
そんな不自然な動きをされて、本気で大丈夫だと信じる人なんていないでしょ?
彼は、友人である私に何かを隠している。
…結構長い付き合いだし、それなりに信頼されてると思ってたんだけど。
私があれほど聞いても、彼は答えてはくれなかった。
辛そうな顔をして、大丈夫だの一点張り。
そんな顔をされたら、こっちだって強く出れないじゃない。
本当は泣き落としでもやってやろうかと思ってたのに、そんな気分ではなくなってしまった。
ただ、あのまま放置するわけにもいかない。
彼は間違いなく何かに困窮している。
友人として、彼が困っているのを黙って見ているわけにはいかないのだ。
きっと、私が知らないところで何かアクシデントが起きたのだろう。
彼は疲れている様子だった。いつもこの時期になれば、彼は農閑期に入るから基本的にゆったりしていることが多いのだけれど。
それにしては異様なほど疲れている様子が見て取れたし。
どことなーく、上の空だったような気もする。
やっぱり、何か問題を抱えているのだろう。
少し真面目に考えてみる。
私に言えない内容で、一人で対処するしかない?
彼の性格を考量するなら、私を巻き込みたくなかった…とかだろうか。
会話の流れから推測するなら、私の話した噂に関連しているのかもしれないけど…。
…まさかね。
本当に怪物が逃げ出して、彼の家にいるなんてことあるはずがない。
きっと、私には言いにくい事で何かしらの問題が発生しているに違いない。
まぁ、一応噂について友達に聞いてみることにしよう。
もしかしたら何かわかるかもしれない。
あとは…。
もう一人、私と彼の共通の友人に助けを乞うてみようか。
私には言いにくい事でも、彼になら話してくれるかもしれないし。
ここのところずっと帰ってなかったみたいだけど。
同性の人でしか、分からないこともあるだろうから。
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そうして、数日経過して。
私は仕事をこなしながら、色々とやりたいことをやっておいた。
まず、噂について教えてくれた友達に話を聞いてみたけど。
彼女も詳しい事は知らないらしい。どうやら彼女が所属している社会人サークルで聞いた話らしかった。
どうやら本人もそこまで信じているわけではないらしい。
唯一分かったこととしては、その噂が指す研究所というのはこの地域にあった。ということだけ。
これについては、ほとんど収穫がなかったと言ってもいい。
まぁ、当たり前だとは思う。仮に本当に軍が関わっているのなら、私たちのような一般市民に本当の情報が出回るわけがない。
仮に出回ったとしても、その噂の存在を『ただの噂』としてしまうだろう。
最初からこっちには期待してなかったし、正直あの噂に焦点を絞るのは馬鹿らしいと感じていた。
どちらかと言えば、重要なのはこっち。
私と彼には共通の友人が一人いる。
私一人では彼を助けることは出来ないかもしれないけど、二人ならば彼を助けることが出来るかもしれない。
そう思って、私はその人物に連絡を取ることにした。
最近連絡を取れていなかったけど、久しぶりに連絡を取ったらすぐに返事をしてくれた。
彼の親友で、私の友達。昔、三人でよく遊んだりもした。
今のその人は、軍関係の仕事についているから、もしも彼が面倒ごとに巻き込まれていても、何かしらの方法で助けてくれるだろう。
彼とは数年間連絡を取り合っていないらしいけど、私の話を聞いてすぐに動くと言っていた。正直なことを言うと、物分かりが良すぎてびっくりしてしまったけど。
まぁ、そんなことはどうでもいい。
大切な友が救われるのなら、一分一秒でも早い方が望ましいし。
こういう時、私は何もできないのが心苦しい。
けれど、このようなちょっとしたことが、少しでも現状をよくすることが出来ると信じて。
大切な友人を助けることになると信じて、私は行動を起こすのだった。
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さて、一方その頃。
修羅場を切り抜け、より苛烈になったフェイタルからのアプローチを一生懸命捌いていた男に、一通の手紙が届く。
送り主は、古い友人。彼と中学時代まで親友だった、とある男からのものだった。
ここ数年間、手紙以外での連絡をしたことはなく、それも年賀状程度のやり取りしかしていなかった。
そんな彼から、速達で手紙が届くなんて。
男は少々違和感を抱きながらその手紙を読むことにする。
フェイタルがその手紙を自分にも見せるように要求してくるがそれは無視しておく。
手紙の内容は簡潔。
久しぶりにそっちに行くから、指定した時間に指定した場所で落ち合おうというもの。
それ以外の内容はほとんどあってないようなものだった。
そんなあまりに淡白な、数年間の情緒を一切感じられないぶっきらぼうな内容に男は辟易してしまう。
しかし、その手紙の内容からは鬼気迫るものが感じられた。
こんなものを昔の親友に送るのだ。
きっと、それだけ重要な事なのだろう。
男はそう考え、その日に外出することにした。
当然、同棲しているこいつは連れて行かない。
そして当たり前の様に反発を食らう。
しょうがないだろ、お前を外に出すといろいろと面倒なんだよ。
出かけることを伝えると、フェイタルはそんなことを言いながら男をじっと見つめ、こんな事を言ってくる。
『その人、本当に男性なんですよね?』
『また、私に嘘をついてませんか?』
どうやら、数日前の事を相当根に持たれているらしい。
男は卒業アルバムからその人物の写真を見せ、彼が男性であること。
そして、久しぶりの友人と話をしてくるだけだと伝える。
するとフェイタルは。
『…はぁ、分かりました』
『日帰りですよね?夕飯は作っておくので、早めに帰ってきてくださいね!』
少女は思いのほか早く、男の外出を許した。
男としてはもう少し粘られると予想していたため、少し拍子抜けしてしまう。
まぁ、粘られて変なことに時間を使う羽目になるよりはマシか。
そう思った男は、少女を家に置いて、親友との待ち合わせ場所に向かうことにした。
そうして、待ち合わせ場所にたどり着くと。
見知った顔が、男の事を待ち構えていた。
『よ、久しぶりだな親友。元気してたか?』
『悪かったな、急に呼び出して』
久しぶり、数年ぶりのあいさつになるな。友よ。
そう、男も目の前の人物に返答を返す。
数年見ない間に、かなりガタイが良くなったな。
男はそんな軽口を叩いた。
『ん、まぁな。俺、今軍に所属してるから』
『ここで立ち話もなんだし、さっさと行こうぜ。話すにはちょうどいい場所がある』
目の前に立つ親友は、そのまま男の前を先導するように歩いていく。
そして、男はそれについていきながら、一つの思考を巡らせていた。
こいつ…軍に入ったんだ。あぁ、そういえば。
中学の終わりに、士官学校に入るとか言ってたような気も…。
そんな思考を巡らせ、そしてからは嫌な考えを思いつく。
待てよ、こいつが軍人なら…。
今の自分の立場は、かなりまずいのでは?
男は今の自分と親友の状況を改めて認識し、かなりまずい状況なのではないかと推測し始めた。
…嫌な予感が当たらないといいんだが。
男はそう思考し、親友の後についていくことしかできなかった。
そうして、暫くついていくと、親友が昔使っていた家にまでたどり着く。
『さぁ、入ってくれ。そして、色々と話をしようぜ、友よ』
親友が手招きし、こちらに入るように促してくる。
もはや、予感は確信に変わっていたが男には拒否権などない。
あぁ、分かったよ。埃がないといいんだが。
男は自らの余裕を偽装しつつ、親友の家に入り、指定された席へと座る。
家の中は想像よりは汚くなかったが、そこまできれいでもなかった。
『ほら、水だ』
『ほかの飲み物が欲しかったら言ってくれ』
親友は男に一杯のコップに入った水と、直ぐ傍の店で買ったであろうお菓子を出してくる。
男は感謝を伝えながら、そのお菓子を貪り始める。
そして、親友は男の目の前に座る。
さっそく口を開き、会話が始まる。
『久しぶりだな、友よ。再会できて嬉しいよ』
あぁ。俺も会えてうれしい。
ところで、随分と急な訪問だったな。
なにか、早急に伝えなきゃいけなくて…手紙じゃ言えないようなことがあったのか?
そう、男が真正面から問いかける。
男と目の前の人物は親友だった。そして、今でもそれは変わっていないと男は信じている。時間は人を変えるが、関係性までは変化させないと信じている。
だからこそ、変に引き延ばすのではなく、面と向かって男は親友に問いかけることにした。
正直、この息の詰まりそうな雰囲気を打破したかったのもある。
男の言葉を聞くと、親友はすぐに口を開く
『いやなに、昔なじみのあの子から相談を受けてな』
『お前が何か思い詰めているようだったから、助けてあげてほしいと』
『自分には言えないようなことで悩んでいるかもしれない』
『もしも本当にそうだったら、俺に代わりにどうにかしてあげてほしいと言われてな』
『だからここまで来た』
そう、親友は男に言った。
しかし、男だってそれで納得するほど無垢ではない。
それだけの理由だったら、ここまで急いでくる必要もないし、あんな手紙を送る必要もないだろう。
もっといくらでもやりようがあったはずだ。
きっと、それ以上の理由を持っているはずなのだ。
男は、親友に今疑問に思ったことを追求する。
色々と不自然な点が多すぎる、と。
なるべく、理路整然と論理を並べ立てて。
誤魔化されない様に親友に問いを投げかけた。
それを聞いた親友は少しバツが悪そうな顔をした後、観念したようにため息をつき。
そして、言葉を紡いだ。
『はぁ…まぁ、そう考えるのが自然だよな』
『勿論、俺が急いでここまで来たのにはちゃんとした理由がある』
親友は、ギロリと目を男に向ける。その眼には先ほどまでとは違った勢いが込められている。
『その理由を、知りたいか?友よ』
知りたいとも。
男は一切臆することなく、そう答えた。
そう言うと、親友はまじめなトーンで、男に話しかける。
『なら、これから会話は口外しないでくれるな?』
男は首を縦に振る。
『よし、いいだろう』
『それなら、まず最初に一つ、質問をさせてくれ』
『お前は、この近辺で人によく似た、人じゃない生き物を見たことはあるか?』
…なんだそれ?知らないな。
男は嘘をついた。
もしかしたら違う生き物のことを言っているのかもしれないが、男の予想が正しければそれはフェイタルの事だろう。
今頃の時間なら家で掃除をしているか、料理の下ごしらえをしているところだ。
本来、今の場面では嘘をつくべきではなかったのかもしれない。
しかし、目の前の親友は、親友である以前に軍人だ。
今の自分の境遇を知られたら、必ず面倒なことになるだろう。
相手の考えも行動原理も分からない以上、嘘を吐いた方がいい。
彼が誠実でも、彼の上司は誠実ではないかもしれないから。
そう思った男は、嘘をつくことにした。
『…そうか、知らないか』
親友は思わせぶりな沈黙の後、すぐに次の言葉を吐き出す。
『なら良かった。これで、俺もいらぬ心配をしないで済む』
『彼女から、お前が謎の噂について異常なほど関心を持っていたと聞かされてな』
『もしかしたら心当たりがあるのかと思って、急いで来てしまったよ』
『あー…良かった。取り越し苦労で』
もしも仮に俺がそれに心当たりがあったとしたとしても。
それがお前に何の関係があるんだ?
男が親友に聞く。
親友は当たり前のように話し始める。
『関係があるに決まってるだろ。お前がもしもその生き物の事を見たり、接触していたりしたら…』
…したら?
『…あー、いや。何も起こらない。うん、接触してないんだろ?なら何も言うことはない』
『知らぬが仏ってやつ』
親友が引き攣った笑みを浮かべる。
…え?接触したら何が起こるんだよ。
怖いよ。その引き攣った笑みをやめてくれよ。
男がしつこく聞く。
すると、親友はこう返した。
『いや、俺もよく分かんないんだよ、下っ端の士官だし』
『ただ、かなりとんでもないことをされるらしい』
男の背中に冷や汗が垂れる。
バリバリ接触してるんですけど。もしかしてもう詰み?
そんな嫌な感覚を抱きながら、男は席に座り続ける
知らないと言ってしまった手前、真実を明かすこともできない。
というか、今明かされた話を聞いて、猶更真実を明かせなくなった。
居てもたってもいられなくなった男は、追加で質問をすることにした。
な、なぁ。じゃあさ。やっぱりその、あいつの言ってた噂って本当なのか?
あの、実験施設から怪物が逃げ出したってやつ。
それを聞いた親友は、顎に手を当て返事をする。
『…まぁ、ノーコメントで。こっちには情報がほとんど回ってきてないから、それがカバーストーリーなのか真実なのかはよく分からん』
『ただ、本来自然界にはいない何かが出現して、それを血眼になって探してるのは本当の話だ』
『これも当然機密だからな、話すなよ』
男は乾いた笑みしか出なかった。
とんでもないことになってる。
親切心で助けた少女が、こんな不幸を呼び寄せるなんて、神というのは相当に自分が嫌いらしい。
男は椅子にもたれかかりながら、自らの不幸を嘆いた。
親友の方も男の嘘を本当だと信じているらしく、先ほどまでの張りつめた空気とは一変して、ゆったりとしたソファーに身を投げ出している。
どうやら、相当急いで故郷に戻ってきたらしい。
あきらめの境地に達した男は、目の前でくつろぐ親友に聞いた。
もしも。俺がそいつと接触してたら、どうするつもりだったんだ
親友は目を閉じたまま、男に返す。
『助けるよ。当たり前だろ?』
『確かに何年も会えていなかったけど、それでも俺たちは親友だ。』
『一人でどうにもならなかったら、あいつにも助けを求める』
『二人で頭を下げて、三人で逃げれば、どうとでもなるさ。な?』
いいのか、俺を助ければ失職待ったなしだってのに。
男はそう問いかける。
『ははは、お前なぁ。親友が困ってるのに、失職だなんだって、そんなこと気にしないさ』
『そりゃ、この地位に就くだけでも大変だった。だがな、それだけの理由でお前を売るほど腐ってないよ』
『何度も言うけどな、俺たちは親友なんだから』
男は思わず言葉に詰まる。
こんなに自分を信じてくれているのに、男は彼に嘘を吐いた。
その事実が、より男を苦しめた。
そんな男の気持ちとは裏腹に、親友は何も気づいていないかのように欠伸をする。
どうやら相当疲れているらしい。
『ふわぁ…すまん、少し寝てもいいか?』
『ここまで来るのに一睡もできて無くてな、悪いが寝させてもらう』
そう言うと、親友は眠りについてしまう。
そうして一人、取り残された男は。
これからの不安と、自分に残された微かな希望に思いを馳せるのだった。
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家に残された少女は男を見送る。
彼女にはちょっとした目的があった。
決意を固めたあの日から、ようやく長時間一人の時間が出来たのだから。
一人の少女が、書庫に向かって歩き始めた。
私は、手段を選ばないことを決めた。
完璧になるためには、知識が足りない。
今ある知識では、これ以上の成長は見込めない。
この世界や生き物についてもっと知る必要がある。
結果を出せば、私の事を見てくれると信じて。
私は扉の前に立つ。
カギの構造はここ何日かで理解してる。
壊してもいいけど、触手を使えば簡単なカギなら開けられる。
…自力で開けられるのなら、なぜ鍵なんてものがあるのだろう。
考えるだけ無駄か。答えをくれる人はここにはいないし。
一分もすれば。
ガチャ。簡単に扉があいた。
それじゃあ、書庫に入らせてもらおう。
中には、本がぎっしり詰まってる。
お兄さんの集めた本がたくさんある。
その中には歴史書・心理学・農業・工学・言語学・生物図鑑もある…。
あぁ、思わず心が躍ってしまう。
ここだけでも、今まで読んできた数の数倍の本が置いてあるだろう。
それを全て読み込めば、きっと多くの知識を獲得できる。
そうすれば、私はもっと完璧になれる。
もっと、色々なことを模倣できるようになる。
そうすれば、彼も私の事を。
大人として、直視に値する存在として認めてくれるはずだ。
愛してくれるようになるはずなのだ。
さて、いったい何の本から読もうかな?
化学の本とかかな?
生物の本とかもいいなぁ。
最近になって気づいたのだが。
私は自分が食べたものなどから成分を流用して毒などを作れるようだ。
あの人に振り向いてもらおうと、いろいろと試してみたら出来てしまった。
厳密な成分などが分からないし、何に作用しているのかの仕組みが不明だから、今は不完全で使い勝手の悪い粗悪品しか作れないけど。
他の生物の使う、成分の生成方法の厳密な仕組みが理解出来れば、自分の体でもっと高出力にして再現できるかも。
そのうち自分でうまみ調味料とかも作れるようになるかもしれない。
そう思うと夢が膨らむ。きっと、そんな風にどんどんと出来ることを増やしていけば。
いつか必ず、彼も私を見てくれるようになるだろう。
私の事を優しく褒めてくれるようになるはずなのだ。
その為にも、今は学習あるのみ。
最初は化学の成分からにしよう、色々と使えることも多そうだし。
もっと賢く、もっと完璧になるのだ。
そうして、少女は本を読み進めていく。
一冊の本を読むたびに、彼女は大きく前進し、出来ることを増やしていく。
それを繰り返し続け、ついに少女の触手は一冊の図鑑を掴んだ。
『これは…人体図鑑?』
そうして、彼女は『人類』を知る。
アイデンティティ・クライシスって、めちゃくちゃかっこいいですよね。
自己同一性の危機って、日本語にしてもかっこいい。
語感がいいですよね、語感が。
第7話 適当に待っていただけると幸いです。