一般通過農民の不運   作:トマトは後ろから呼んでもトマト

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おまけです。

バッドエンドの方も一応書いておいたので、流しておきます。
え?いらない?



あ、かなり人を選ぶ内容になってると思うので、閲覧注意です。



おまけ(番外編)
第八話(バッドエンド)


男は決断をした。

 

目の前で涙を流し、男を抱きしめ続ける少女を放置しながら。

男は逃げ出すための算段を考え始める。

 

彼は選び取った。

一つの結末と、一つの決断を。

 

 

 

この場は適当に誤魔化そう。

男はそう思い、目の前で涙を流す少女の背中をさする。

 

そうして、フェイタルが眠ってから、計画を実行に移すことにした。

 

男に抱き着いたまま、泣き疲れたフェイタルが安らかに寝息を立て始める。

それを確認した男は、そのまま彼女の体を持ち上げて寝室まで歩く。

そして、彼女が起きない様に、優しく布団の上に転がした。

 

 

そうして、男はこっそりとこの家から抜け出すための準備を開始した。

ゴタゴタと、小さく物音を立てながら

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

男がこっそりと部屋から抜け出す。

先ほどまで準備していた大きなバッグを抱えながら。

そのバッグの中には防寒着・懐中電灯・財布、その他もろもろ、ここから立ち去るために絶対に必要ないくつかのものが詰まっていた。

 

はっきり言って、男だってこんな夜更けに山を下りたくはない。

夜の山は危険だ。

今日は月明かりが出ているから、辛うじて目視でも山道を見ることが出来るが、実際問題それでも危険極まりない。

 

しかし、それ以上に彼はフェイタルから一時も早く離れることを望んだ。

いい加減限界だった。これ以上付き合っていられない。

あれは危険だ。あれは怪物だ。

 

どれだけ涙で本性を覆い隠そうと。どれだけ人の言葉を解そうと。

あれは、悍ましいだけの獣でしかない。

 

彼女本人も言っていた。

自分は人ですらない、獣でしかないと。

 

彼女の真意はどうあれ、男はその言葉を真実だと思っている。

気味の悪い、人でない奇妙な化け物だ。

 

フェイタルに対して申し訳ないと思う気持ちもなくはない。

無くはないが、正直そんなこと気にしてられない。

そもそも、彼女を庇っていれば、軍に何かされる可能性があるわけで。

それってつまり、犯罪者になるってことだろう?

 

居候のためだけに犯罪者になってあげるほど男はお人好しでないし、聖人でもない。

ましてや、その居候が人ではないのなら、尚の事だ。

 

それに彼女のメンタルは異常をきたしていた。

 

先ほどは落ち着いたが、またあんな風にヒステリーを起こすかもしれない。

そんなことになれば、次は止められる保証はない。

 

最悪の場合には暴れる触手に首を折られてゲームセットだ。

それは困る。そんなことになれば、本当に終わりなのだから。

 

 

だからこそ、男の選択は一つだけ。

 

 

 

逃走。それが彼の取れる唯一の選択だった。

 

 

 

 

 

男には友がいる。助けてくれる親友がいる。

友人ならば、きっと快く部屋をシェアしてくれるだろうし。就職の手伝いもしてくれるだろう。

親友なら必ず自分を匿ってくれるだろうし、最悪の場合、一緒にどこかに逃げてくれるかもしれない。

 

男には逃げた後にいくらでも選択肢があった。

多くはなくとも、多少の繋がりがあった。

 

 

 

 

故に、男は見誤っていた。

正真正銘、一つしか繋がりのない。

縋るものが一つしかない。

そんな少女の、執念深さを。

 

 

 

 

 

 

 

男はこっそりと部屋から抜け出し。

必要なものが全て詰まった箱を背負い込む。

そして、彼は一切の躊躇なく。

自宅の扉を、音を立てずに開けた。

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

『こんな時間に…お出かけですか?』

 

 

 

後ろから。

とても安らかで、透き通るような声がした。

 

 

男がすぐさま後ろを振り向く。

触手が自分に襲い掛かってくることを想像した。

 

 

 

しかし、実際はそうではなく。

むしろその逆。フェイタルは笑っていた。

 

 

 

少女は優しい微笑みを湛えている。

しかし、そこに感情を一切感じることは出来ない。

 

冷え切った冷たい能面のような笑顔だった。

 

 

二人の視線が交差する。

男はそのまま、ゆっくりと後ろに下がろうとする。

 

それを制止するかのように、少女の綺麗な声が響く。

 

『夜の山は危険ですよ』

『それは、貴方が教えてくれたことでしょう?』

 

『ですから、今すぐその荷物を置いて、一緒に眠りましょう?』

『出かけるのなら、朝が訪れてからにしましょうよ』

『私にだって、準備というものがありますから』

 

男は警戒を一切解かず、少女に言葉を投げかける。

 

それは分かってるが、どうしても行かなきゃいけないんだ

例え、多少の危険があるとしても、これ以上時間をかけるわけにはいかなくてな

安心してくれていい。俺はこの山を知り尽くしているから

 

男はそうフェイタルに説明する。

 

少女はその言葉を聞くと、少し思案した後に。

瞳を薄気味悪い色に変色させながら、こんなことを言った。

 

『…今ならまだ、なかったことに出来ますよ』

『今ならまだ、私は貴方を許せますよ』

 

そんな、意味の分からないことを言った。

 

男にとってはその言葉の意味が分からなかった。

分からなかったので、それを無視してそのまま外に出ようとした。

 

悪いが、どうしても外せない用事なんでな。

帰りには何かおみあげでも買ってきてやるよ。

 

そんな、全く本心ではない事を言いながら。

 

すると、少女の顔から貼り付けられたような笑みが消えていく。

酷く冷え切った、恐ろしい声がする。

 

『…二回目です』

『私を置き去りにしようとしたのは、これで二回目になりますね』

 

『私…言いましたよ?次にやったら本当に怒るって』

『…あなたは学ばないんですね?私と違って』

 

 

男は本能的に怯んでしまう。

目の前の人物の殺気に当てられ、足がすくんでしまった。

 

しかし、体は恐怖すれど。心は怯まない。

ここで止まるわけにもいかない。

 

 

置き去りとは人聞きの悪い

出かけるだけだ。いつもそうだっただろう?

今回も、必ず帰ってくるよ

 

 

男は目の前の怪物を宥める。

けれども、怪物は騙されてはくれない。

 

深夜に、自分に何も言わずに、大きな荷物を背負いこみ外に出る。

その手にはライトが握られていて。

冷や汗を体から流している。

 

そんな状態の人間が、ただ出かける訳ではないことくらい。

フェイタルにだって、理解できることだった。

 

 

『…………』

 

目の前の少女は何も言わない。

しかし、少女から伸びる透明な触手は男の方にどんどんと近づいてきていた。

男はその触手が自分の体に届く前に、家を立ち去ろうとする。

 

 

それじゃ、行ってきます

 

 

そうして、彼が家の扉をくぐった瞬間。

 

 

 

 

何か風を切るような音が後ろから聞こえてくる。

 

 

 

猛烈に嫌な予感がした男は、瞬時に、それでいて不格好に前に飛び込む。

 

そして、体のあちこちを擦り剝きながら地面をゴロゴロと転がった後。

怪物の方に振り向くと。

 

自分が先ほどまで居たはずの場所に。

触手を伸ばす、フェイタルの姿があった。

 

怪物は自身の触手を避けた男に対して、驚くこともなく、憎しみを向ける訳でもなく。

ただ、男を静かに見つめている。

 

 

何のつもりだ!?

怪我をしたらどうする!?

 

 

男が怪物にそう問いただす。

怪物は男の発言に怯むことなく平然と返す。

 

『別に怪我なんてしませんよ。そのくらいの力加減は出来ますから』

『ただ、貴方を繋ぎ止めようと思っただけです』

『だって、あのまま放っておいたら、貴方は行ってしまうでしょう?』

 

男がその返答に絶句していると。

 

 

怪物は少しづつ、男の方に近づいてくる。

 

感情の高ぶりは一切静まっていないようで。

瞳の変色はより顕著になり、服から食み出る触手の数は増えていく。

そして、僅かながらに少女の声は震えていた。

 

纏う雰囲気と、話す言葉の雰囲気がちぐはぐで。

それは、少女の不安定さを顕著に表していた。

 

『ねぇ…お兄さん…少し、お話ししましょう?』

『置き去りにする前に、理由を教えてくださいよ』

『理由も言わず、去っていかないでくださいよ』

 

『もう少しだけ、話をしましょうよ』

『あなたの思うままに、変わって見せますから』

 

一歩、また一歩と、男の傍に近づいてくる。

その姿は先ほどの行動や、その言動とも相まって。

非常に薄気味悪い。

 

 

怪物は、男との対話を望んでいる。

 

しかし、男には対話の選択肢などない。

逃げると決めた以上、この怪物と分かりあうことなど出来やしない。

 

そもそも、男には。

これだけ拒絶されているのに、それでも寄ってくるフェイタルの精神が理解できない。

 

理解できないものに、好感を抱くことなんてなくて。

悍ましい怪物の傍には、一秒だって居たくはない。

 

 

 

故に、男は。

目の前の怪物に、自分の決意を示すことにした。

 

出来れば避けたかった事。

本当の意味で、後戻りが出来ない事。

 

もはや関係の修復は不可能だし、修復したいとも思わない。

そして、このままでは怪物から逃げきることも出来ない。

 

ならば、一か八か。

最後の手段を、行使するほかない。

 

男は怪物に正面から向き直る。

呼吸を整え、発声確認をする。

 

フェイタルもその様子を見て、何かを察したのか。

男の事を見つめた。

 

 

分かった。そこまで理由が知りたいなら教えてやる

フェイタル

俺はもう、お前とは一緒に居られない

…お前の事が、怖いんだ

俺にとって、お前は怪物でしかない

 

そんな怪物と一緒にはいられない

だから、これから先は…

お前ひとりでっ―

 

 

男が最後の言葉を言い終わる前に。

怪物の触手が、先ほどまでとは比べ物にならない速度で男に近づいてくる。

男の口を塞ぎ、手足を絡めとる。

 

男が思わず、怪物を見やると。

彼女は酷く狼狽えていた。瞳孔が開き、呼吸が不安定になっている。

 

『…嘘、嘘ですよね?』

『私、何もかも完璧だったじゃないですか』

『それなのに。人じゃないから、私を捨てるなんて…』

 

『ね、ねぇ』

『お兄さん、貴方…言ってくれましたよね?』

『私は、人だって…そうですよね?』

『それなのに、そんな理由は通じませんよね…?』

 

男の口から触手が離れていく。

男に発言する権利が回ってくる。

 

そして、男は。

思っていたことを、口に出した。

 

いや、俺別にお前が人だなんて一言も言ってない

自分を人だと信じ続けろとは、言ったけど

 

 

その瞬間。

世界が凍り付いたような気がした。

最後の希望が潰された。

目の前の怪物は、そんな顔をしていた。

 

 

 

 

そして、怪物の感情が弾けた。

先ほどまでの落ち着きはどこへやら、急激に表情が変化する。

 

『…無責任』

『無責任です!そんなのはっ!』

 

『貴方は、私を救ったんですよ!?』

『なら、最後まで責任を取ってくださいよ!!!!』

 

怪物は打って変わって激高し、そんな理不尽をぶつけてくる。

男は冷静に返答する。

 

何を言っているんだ?

お前はもう十分一人で生きていけるだろう。

ペットならまだしも、俺はお前を一人で生きていけるまで育てたぞ?

それなら、その責任は果たしたと言えるだろう

 

男の口からスラスラと言葉が出てくる。

 

『…このっ…!』

 

フェイタルは怒りのあまりに言葉を失う。

幾らでも男に対して言い返す方法はあっただろう。

しかし、言い負かした所で何も得られない事くらい、怪物にだって分かっていた。

 

しかし、それでも諦めきれないのか。

怪物は語り始める。

もはやそれはただの自分語りで、怨嗟の声でしかなかった。

 

 

『ねぇ、お兄さん』

『教えてくださいよ』

 

『私がこんなにも、こんなにも願っているのに』

『どうしてここまで拒絶されないといけないんです?』

 

『怪物だから?人じゃないから?』

 

『おかしいですよ。おかしいじゃないですか』

『努力は報われるんじゃないんですか?』

 

『神様が見ているんじゃないんですか?』

 

『私、何もかも完璧にこなしましたよ?』

『少しの失敗もしませんでしたよ?』

 

『それなのに…いったいなぜ?』

『私の何が足りないというのです?』

 

 

男は何も言えない。

 

無理なものは無理なのだ。

生理的に無理。受け付けない。

 

もっと具体的に言うのなら、足りないのではない。

持ちすぎているのだ。完全すぎるのだ。

 

完璧な人間などいない。

しかし、目の前のこれは失敗をしない。

言われたことをすぐ覚え、反抗せず、何をさせても直ぐ一流。

 

それを、人として愛することなど。

男にはできなかった。

 

 

 

『ねぇ…私、頑張りましたよ。貴方のために誠心誠意努力もしましたし、必死に貴方に愛されようとしました』

 

『私の努力を無視して』

『私の誠意を見て見ぬふりして』

『私の事を怪物と決めつけて!!!』

 

『何が不満なんです!?』

『ここまでやったのに!何がダメだったんですか!?』

『答えてくださいよっ!』

 

怒りで茹った頭では、理不尽な言葉をぶつけることしか出来ない。

怪物は狂乱し、男に矛先が向けられる。

 

男は何も言わない。

もはや何を言ったところで。

少女の怒りを逆撫でするだけなことくらい。

男にだって分かっていた。

 

男が理不尽に言葉をぶつけられた後。

 

呼吸を荒くしながらも、言いたいことを言いきったらしい怪物は。

少し落ち着きを取り戻したらしく、男に話しかける。

 

それは、先ほどまでの怒りをぶつけるような声とは全く違う。

何かに縋りつくような。懇願するような。

そんな声色だった。

 

『ねぇ…お兄さん』

『私からの…最後のお願いです』

『もう一度だけ。私にチャンスをくれませんか』

 

『今度こそ、貴方を満足させて見せますから』

『次こそ、何も間違えませんから』

 

『だから、私にもう一度――』

 

 

 

 

――無理

 

それが、男の答えだった。

この問題はフェイタル個人に問題はないのだ。

言うなれば、属する種に問題がある。

 

最初から間違えているのだ。

彼女の産まれから、この質問の答えは決まっているのだ。

故に、この問いは無意味で、無価値なものだった。

 

歯ぎしりの音が、深夜の山に響き渡る。

 

 

 

『…どうして、どうして…なんで!』

『なんでそこまで拒絶するんですか!!!』

 

『こんなに愛しているのに!』

『こんなに望んでいるのに!』

『どうして!!!』

 

『そんなに私が嫌いですか!?』

『私には…あなたしかいないのに!』

 

『私には…あなた以外に…何もないのに!』

 

怪物の慟哭が響き渡る。

 

 

男は手足を縛られながら、それを黙って聞いていた。

しかし、男の回答と気持ちは変わらない。

どれだけ、目の前の少女が嘆こうと。

 

無理なものは無理。

ただ、それだけの事だった。

 

 

 

 

男の様子をじっと見つめていた少女は。

悲しそうに、諦めるようにため息をつく。

 

そうして、フェイタルは吹っ切れたように。

ゆっくりと男の方を向いた。

 

その瞳には光がなく、大きな虚無が広がっていて。

何か黒い決意が込められているような気がした。

 

『えぇ…分かりました。分かりましたよ』

『貴方の想いは、私にしかと伝わりました』

 

『…貴方が、私を人でないという理由で拒絶するのなら』

『どうしようもありません』

 

男はそれを聞いて、目の前の怪物に自分を解放するように主張する。

もはやこの拘束に意味はないだろうと。

さっさと離してほしいと。

 

しかし、触手は微動だにせず。

締め付けは強くなる一方だった。

 

 

『ですが…それは私が普通の人間だったらの話ですよ』

『貴方が、私を怪物だと罵るのなら…私だって手段を選びません』

 

『確かに私が変わることは出来ません。この体は人には成れません』

『ですが、貴方が変わるのなら話は別ですよね』

 

『貴方が心を入れ替え、私を好きになってくれれば、話は変わってくるでしょう?』

 

何もかもを諦めたような笑顔で、フェイタルが笑う。

男はそれを見て、そして彼女の話す言葉を聞いて。

 

背筋に嫌な予感が走った。

今すぐ彼女を制止するため、言葉を投げかけようとするが。

そんな事をする間もなく、触手に口を塞がれる。

 

 

『本当だったら…このような手段は避けるべきなのです』

『こんな方法で、正しい愛を手に入れることは出来ないと理解しています』

 

『ですが…私はこれに縋るしかないんです』

『これ以外に、貴方を繋ぎ止める方法を持ち合わせていないんです』

 

『だから…だから』

『あなたが悪いんです。貴方が生んだ結果なんですよ?』

 

ゆっくりと、フェイタルがこちらに近づいてくる。

その瞳からは、綺麗な涙が流れている。

 

 

動けない。動きたいのに、触手が邪魔をしてくる。

 

『昔、どこかの本の悪役が言っていました』

『【誰かの幸福は、誰かの不幸で成り立っている】、と』

 

『今なら、それを信じれる気がします』

『…ねぇ、お兄さん。私の幸福のために、不幸になってくださいよ』

 

怪物が、纏った衣服のボタンを外す。

彼女の体から奇妙な色の触手が出現する。

その触手が開き、針のような突起が出現する。

 

『私が幸せになるために。貴方を今から不幸にします』

 

男が藻掻く。恥も外聞もなく。

ただ、一心不乱に暴れた。

しかし、体は微動だにしない。

 

『ふ…ふふ、だいじょーぶですよ…痛いのは一瞬です』

『すぐに、気分良くなります』

 

『さぁ、生まれ変わりましょう。私と同じになってください』

 

『私と同じ、怪物になりましょう?』

『同じ種族になれば、同じ生き物になれば、貴方は私に親近感を抱いてくれますよね?』

『人じゃないから愛せない、だなんて、酷い事は言えなくなりますよね?』

 

『もっと深く、貴方を私色に染め上げて』

『もう二度と、私を拒絶できない様にしてあげます』

『ふ…あはっ…アハハハ!!!』

 

男は抵抗できない。

抵抗したくても、体が動かず。針が頭の中に直接入っていく。

どんどんと、自らが汚染されていく感覚に襲われる。

 

そうして、男は頭が漂白されるような、全てを失うような。

そんな奇妙な感覚に飲み込まれていった。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

『あぁ…幸せです』

『本当に…幸せでしょうがない』

『ようやく、私を見てくれましたね?』

 

 

怪物は、愛した人だった何かをギュッと抱きしめて。

幸せだと思い込む。

例え、その幸せが自分だけのものだったとしても。

愛する人からの返事が機械的なものだったとしても。

怪物は、何も気にしない。

 

 

 

 

そうして、完全に男を自分のものにした後。

怪物は一人で言葉をつぶやく。

 

 

 

『ふ…ふふ…あはっ!』

『そうですよ!そうですね!』

『最初からこうすればよかったんです!』

 

『造り変えて、同化させて!』

『何もかも、塗り替えてしまったらよかったんだ!』

 

 

『だって私は!』

 

 

 

 

 

 

 

『怪物なんだから!!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、最後の最後には。

一人の少女は、名実ともに怪物になり果てた。

 

 

 

 

 

 




という訳で、バッドエンドでした。

酷い話だなぁ…。

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