前作は半年かかったけど、今作は半月で仕上げた…!
―教室―
花帆「うわああああ!」
放課後すぐの教室にこだまする花帆の声。どうやら歩夢と四季に見られたくないものを見られてしまったようだ。
花帆「み、見た…?」
歩夢「み、見てないよ!?ぜんぜん!さっぱり!」
四季「ごめん、見た…」
歩夢「四季ちゃん!?」
四季「歩夢、ウソついても仕方ない」
歩夢「う…実は、見ちゃった」
誤魔化そうとする歩夢だが、四季に注意されて本当のことを話した。
花帆「そっか~…」
四季「今の転入届、だったよね…」
歩夢「…花帆ちゃん、学校辞めちゃうの?」
花帆「それは…」
花帆の持っていたものは転入届だった。歩夢と四季に問われた花帆は、しばらく黙り込み、その後語る。
花帆「あたし、たった一度の高校生活…後悔、したくなくて」
歩夢「それって…この学校じゃ、叶えられないのかな?」
花帆「…」
花帆は下を向いて再び黙り込んでしまう。歩夢と四季に見せないようにしていたが、その顔はとても暗かった。
歩夢「花帆ちゃん…私も、何も分からないままここに来ちゃったけど、今はこうしてサッカーで楽しめてるよ。花帆ちゃんも、私と同じようになれないのかな…?あ、もちろんサッカーしようとかそう言うのじゃないけど…!」
四季「サッカー以外でも、花帆がここで楽しめるのはあるかもしれない…」
歩夢「そ、そうそう。とにかく、私、その…花帆ちゃんがいなくなっちゃうと寂しいな、って」
歩夢は友達として、自分の経験も交えて花帆を引き留めてみる。歩夢も四季も、いきなり連れていかれたこの学校で、楽しく過ごすことが出来るきっかけを与えてくれた花帆が去ってしまうのは、寂しいのだ。
四季「私達は花帆が、楽しいことを見つけられるように応援してる」
歩夢「うん。花帆ちゃんがどこにいても、友達だよ、私たち」
花帆「うん…ありがとう」
しかし、あくまで強制はせず、花帆の意志を尊重する。それが、友達として彼女にした方が良いことであると思って…
さやか「大変です!!」
四季「っ!?」
3人を静寂が包む前に、さやかが走り込んできた。かなり焦っている様子だ。
さやか「至急グラウンドに集まって下さい!サッカー部で大変なことが!」
歩夢「お、落ち着いて!海未ちゃんとレアンちゃんは?」
さやか「もう先に向かっています!私達も行きましょう!」
四季「分かった」
花帆「あ、あたしも行くよ!」
ただごとではないさやかの様子に、花帆も放っておけない。サッカー部マネージャーとして一緒にグラウンドに向かった。
―グラウンド―
さやか「すみません、今到着しました!」
圭助「来たか…!みんな、一日早いが試合になるぞ!」
4人が到着する頃には、既にグラウンドにサッカー部は全員集合していた。そして、見慣れぬ人影が2人。
花帆「だ、誰!?」
青熊「グフフ…おれは『ハーデスト』所属のGK、青熊
横好「俺はその竜星学園所属の現ストライカー、田野横好だ!」
ちょっとでかい男性GKが残された竜星学園の選手と共に語る。
恋「あれが『ハーデスト』…」
絵里「やると思ったけれど、スケジュールも守らないで襲ってくるのはいかがなものかしら?」
青熊「ふん!オレ達の戦場にルールもスケジュールもないのだ!お前たちなど一狩りしてくれる!」
梢「意気込んでいるところ申し訳ないのだけれど、あなた達、2人しかいないじゃない…」
レアン「2人でサッカーとか舐めてるの?」
青熊「『ハーデスト』はサッカーの力による地上の支配を目指している!こんな山奥の学校に人員を割いている余裕などない!」
青熊「だが安心しろ。ちゃんと11人揃うようにはしてやる。出て来い、『モーブ』!」
カランカランカラン…!青熊は石を9つばら撒く。
ブワァ!!
モーブ2「…」
花帆「えええーーー!?」
灰色の人型が9人分現れる。その異様な光景に花帆はビックリ仰天!!
横好「けー!けっけっけ!オレ達竜星学園と勝負だ!」
相手はもうポジションにつき始める。いつまでも彼らとしゃべっていても仕方ないため、蓮ノ空サッカー部はミーティングに入ることに。
―MEETING―
花帆「梢センパイ!あれ、一体なんなんですか!」
梢「彼らは『ハーデスト』。サッカーの力で地上を支配する…と言って各地の高校を襲っているのよ」
さやか「こんな風に試合を仕掛けて、負けた学校のサッカー部を乗っ取ってしまうんです」
花帆「サッカー部を乗っ取るって…そこでサッカーしている人たちはどうなっちゃうの!?」
さやか「サッカー部を追い出されるとか、そのまま行方不明になるとか、洗脳されて『ハーデスト』のために動く駒にされてしまうとか…色んな噂が立っています」
果林「洗脳…ね」
『ハーデスト』について梢とさやかが説明。花帆はそんなヤバい集団のことを聞いて顔が真っ青になる。
圭助「さて…あの灰色の『モーブ』とかいうのは調べがついている。見た目こそのっぺらぼうで怖いが、実力は数合わせ程度でからきし。油断せず練習の通りに動けば、シュートまで持っていくのは容易だ」
さやか「あとは…キーパーとストライカーがどう動くか、ですね」
梢「ええ。そこは一度相手の動きを見て対応しましょう。無失点で乗り切ろうと無理はしなくて大丈夫よ」
そして、蓮ノ空サッカー部はフィールドに散らばる。ネームド選手の青熊と横好を警戒しつつ、練習通りのプレーを心掛けることにするぞ。
ーフォーメーションー
GK 青熊
DF モーブ2 モーブ4 モーブ3
DMF モーブ7 モーブ5 モーブ6
OMF モーブ8 モーブ10 モーブ9
FW 横好
FW 果林 歩夢
OMF レアン 梢 絵里
DMF 恋 海未
DF 綴理 塔子 さやか
GK 四季
横好「俺が得た力でお前達なんかシュンサツしてやるー!」
そう言うと横好はオーラを解放。紫色のオーラの次に《螟ァ豬キ鮴堺ケ》という文字のオーラが現れ、横好の髪色を金髪に変える。
横好(Amix)「ケーっ!けっけっけ!」
歩夢「髪型が変わった!」
果林「あれは…?」
圭助「アナザーミキシマックス…他の選手の力を使って強くなるから気を付けるんだ!」
アナザーミキシマックスを使う横好を見て、身構えるみんなにざっとした説明をする圭助。話すと長くなるため、具体的な説明は後だ。
ピー!
横好(Amix)「ふんっ!」パスっ!
竜星学園のボールで試合開始。横好がボールを蹴ってモーブ8にボールをまわす。
モーブ8「…」
果林「私が相手よ!」
梢「朝香さん、焦らず時間をかけて取りに行ってちょうだい」
まずは近くにいる果林が向かってくる。梢がディフェンスの指示を出す。
果林「分かったわ…!」
モーブ8「…」
果林はモーブ8に密着。モーブの動きに合わせて自分も動き、ドリブルで抜かせるスキを与えない。
モーブ8「…」パスっ
果林「あっ」
しかし果林も多少サッカーをしたとはいえ初心者の域を出ていない。ディフェンスの動きはまだまだ未熟で、そのスキを突かれて横好にパスを出されてしまう。
レアン「もらった!」ガチィ
しかしレアンがパスカット。
梢「うまくいったわね」
果林が時間をかけてボールを競り合う最中に梢とレアンでパスコースを塞いでいた。これは梢の作戦だったようだ。
横好(Amix)「このやろーっ!ボールをかえせーっ!」ズサーっ!
レアン「おそい!」ダッ!
横好は後ろからスライディングタックル。しかしレアンはボールと一緒に軽く飛んでかわす。
青熊「えーい、何をしておる!潰せー、潰すのだー!」
モーブ5「…」
青熊は前時代的な悪役みたいにモーブに指示。モーブ達がレアンに向けてプレスをかけ始める。
梢「怖がる必要はないわ。落ち着いてまわしていきましょう」
レアン「ええ。でもその前に…!」
モーブ5「…」
レアンに3体のモーブが向かってくる。梢はパスでかわしていく方針で攻めることを提案するが、レアンはまだボールをキープしている。
モーブ7「…」
レアン「よし!今よ!」パスっ!
レアンはモーブ達を十分引き付けて後ろにパスを出した。これで他の選手に向かうモーブの数を減らすことが出来る。
恋「っと!私も引き寄せた方が…」
梢「無理はしなくて大丈夫よ。とにかくここに蹴れば相手はボールに触れないと意識してまわしましょう」
パスは恋のもとへ。トラップして出来る範囲でモーブを引き寄せてパス回しをしていくことに。
恋「財前さん!」パスっ
塔子「さやか!」パスっ
さやか「梢先輩!」パスっ!
一度DFまで戻して逆サイドから攻める…と思いきやここでさやかが大胆にロングパス。
横好(Amix)「甘い!…ってなに!?」ダっ!
横好がパスカットに飛び掛かるが、ボールの勢いが強く、触れることが出来ず通り過ぎてしまう。ボールは予定通り梢のもとへ。
梢(ここまで強く正確にボールを蹴られるなんて、すごいわね…)
梢は敵陣でトラップしながらそう考える。フィールドの半分を突っ切るこのパス、勢いをつけて正確に蹴られるのは今のこのチームではそうそう出来ない。
青熊「フフフ…!お前らのシュートなど止めてやるー!」
モーブ4「…」
DFラインまで突破されたので出番だと言わんばかりに構える青熊。DFのモーブが襲ってくる。
梢「上原さん!走って!」パスっ
歩夢「え、はい!」
梢はモーブ4を引き付けて歩夢の前にパスを出した。歩夢を走らせたのは、パスを受ける選手が、ボールが蹴られた時点でDFの前に出ている状態だとオフサイドになってボールを強制的に取られてしまうからである。
歩夢「間に合った!」
歩夢はモーブ3を抜いてなんとかボールに追いつく。これでいよいよ青熊と勝負だ。
青熊「グフフ…こい!」
歩夢(この人、強そう…私が正面から挑まない方が良いかも…)
歩夢「果林さん…!」パスっ
青熊は大柄でいかにもパワフルそうなキーパー。歩夢は正面切って戦うのは避け、果林にセンタリング。
果林「いくわよ!」ドンっ!
果林は飛んできたボールを蹴り上げる。そしてボールは彗星のように輝くエネルギーを纏い、果林はそのボールにボレーを放った。
果林「彗星シュート・Ⅴ2!」
ドガァ!彗星シュートが進化していたようだ。より彗星の輝きを纏って青熊に向かっていく。
青熊「こしゃくなー!とうっ!」
青熊は四足歩行で何歩か走った後、勢いよくジャンプ。すると青熊の右腕にでっかい爪が装着され、それをボールに叩きつける!
青熊「ワイルドクロー・Ⅴ3!」
ドスンっ!!彗星シュートは叩きつけられて勢いを失い、でっかい爪の中で止められてしまう。
果林「止められた…!」
梢「技の練度の違いよ。それにあのキーパー自身、力強そうだわ。これは簡単には破れないわね…」
青熊「グフフ…!『ハーデスト』の力を思い知れ!」
必殺技同士のぶつかり合いで勝った青熊は得意げ。その勢いでボールを蹴り出した。
横好「ケーっけっけっけ!俺の出番だ!」
ボールは横好にまわる。今度は竜星学園の攻撃だ。
海未「くっ!いかせません!」
横好はドリブルで蓮ノ空ディフェンスを突っ切り始める。最初は海未が止めにいく。
横好(Amix)「俺の邪魔をする奴は邪魔なのだ!」
ドゴォっ!
海未「うぐぅっ!?」
横好は力任せに海未に突進。競り合う暇もなく海未は弾き飛ばされてしまう。
恋「海未さん!」
塔子「さやか!恋センパイ!綴理センパイ!4人で止めよう!」
さやか「はい!」
綴理「うん…!」
横好(Amix)「けーっけっけ!みんなで集まればスキだらけ!」
モーブの危険度は低いので横好にプレスをかけることに。しかし横好はそれをバカにしたような笑いを見せる。
横好(Amix)「極・ワープドライブ!」
ビリリリリ!手からワープホールが展開され、横好はそこをくぐり抜けてプレスをかけてきたさやか達を大きく突き放して突破。
塔子「あっ!?」
四季「くる…!」
あっという間に後ろに行かれてあっけにとられるDF陣。四季は横好のシュートに備える。
横好(Amix)「俺はお前たちとは違うのだー!」ドゴっ!
横好はボールを打ち上げる。そして横好もジャンプして両足で上からボールを蹴り落とす。
横好(Amix)「メテオアタック・S!」
ドォォォンッ!シュートは大気圏突入したような炎を纏い、流れ星のようなシュートと化して四季に落ちていく。
四季「シュートポケット・V3!」
一方で四季はシュート練習に付き合う内に進化したシュートポケットでバリアを張り、横好のシュートを迎え撃つ。
ドンッ!…フシュゥゥンッ!
四季「うわっ!?」
シュートはバリアに触れて炎が消えるが、すぐに炎が復活。勢い良く突き抜けていき、四季を吹っ飛ばしてしまう。
バシュウゥゥンッ!ピー!
横好「けーっ!ケッケッケ!よっしゃー!!」
ボールは蓮ノ空側のゴールネットを揺らす。『ハーデスト』と化した竜星学園が1点を取ってしまった…
四季「くっ…次は止める…!」
横好(Amix)「けーっ!ケッケッケ!そんなの無理に決まってるでしょ!?ここにいる誰も、俺の本気を受け止められやしませんよってんだ!!」
塔子「くーっ!ムカつくー!」
四季を追い討ちで煽る横好。そんな様子を見て塔子は腹を立てていた…
ーベンチー
圭助「先制されてしまったか…アナザーミキシマックスであの選手の基礎能力も上がっているんだ」
蓮ノ空の試合を観ている圭助と花帆。先制されてこちらも良い表情とは言えない。
花帆(転入するか考えてる時に、こんなの見ちゃうなんて…あたし、どうすれば…!?)
蓮ノ空 0
竜星学園 1
オリキャラ解説
青熊剛州(あおくまごうしゅう)
『ハーデスト』に所属する、ちょっと大柄の男性GK。強くて硬い腕っぷしでシュートを沈める。
ハチミツが大好物。