本日より本格的にこちらの作品の投稿を進めさせていただきます。
よろしくお願いします…!それではご覧ください!
蓮ノ空女学院への入学
(知らないところに来たと思ったら、またどこかに…私、どうなっちゃうの…)
絶望の光景を見せられたと思ったら、今度はその10か月前の過去とやらに飛ばされる【
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「ん…」
【真蹴球戦士】の少女は目を覚ます。長椅子の上に座しており、ブーーーーーン…と車の走る音が聞こえる。どうやらバスの中の様だ。
「あたしは日野下花帆、きょうから蓮ノ空女学院の一年生!」
「…!?」
寝ぼけていた少女だが、向かい側の席にいる別の少女の元気な声、そして目の前の光景で飛び起きるように目を覚ますのだった…
花帆「地元を離れて…大都会、金沢市にやってきたの!この春から、あたしの新しい物語が始まるんだよ!」
花帆「寮生活ってことは、お父さんもお母さんもいない!管理も監視もなし!あたしの夢を阻むものは、なんにもなし!あたしはここで、花咲くんだよ!」
「…え?」
オレンジ色の髪のウサギの髪留めをした少女、日野下花帆が、この1人語りを隣にいる青い髪のおさげをした少女に向けてしていたのである…
(あの人、何やってるんだろう…っ!?あの青い髪の人って確か…!)
花帆のすることにびっくりすると同時に、その隣の少女を見て完全に目を覚ます。
(サッカーでみんなを傷つけてた人だ…それにあの花帆さん…って人はその人にやられて…)
ここに来る前に見せられた、花帆たちが『ハーデスト』なる組織にサッカーでボロボロにされる光景。あの青い髪の少女はそこでシュートを放って花帆達を一方的に蹂躙していた者…「さやか」と呼ばれた少女だったのである。
さやか「あの、どこかで会ったことが」
花帆「ないよ。あ、でも同じ1年生だよね。ほらほら見て見て、あたしも同じ蓮ノ空女子!きょうからよろしくね!」
さやか「す、すっごく喋りますね…」
花帆「うん!今あたしね、開放感に満ちているの!長いことずっと土蔵の中に閉じ込められて…それからようやく開放された気分!」
さやか「そうですか…ではわたしはこれで…」
そう言って席を立つさやか。言葉通り花帆の前から立ち去ろうとしていた。
花帆「待って、どこいくの!?もっとお喋りしようよー!」
しかし花帆がそれを引き留める。
花帆「せっかくバスで隣の席になれたんだよ!?これってもう運命じゃん!」
さやか「全然大した縁じゃないですよね、それ!」
花帆「ね、お名前は?」
さやか「……。村野さやかですけど…あの、日野下、さん」
再び座るさやかと花帆。さやかは一応自己紹介するが、初対面なので固い感じだ。
花帆「花帆でいいよ、さやかちゃん♡」
さやか「…花帆さん。言っておきますけど」
花帆「うん」
さやか「すみません、わたしはこの学校で、あまり人と仲良くする気がないので…ですから、わたしと関わっても、楽しくないと思いますよ」
花帆「そうなんだ!えっ…友達作るの、苦手なの…?」
さやか「違いますっ!」
花帆「大丈夫だよ、さやかちゃんすっごくかわいいから、すぐに友達たくさんできるよ」
どうやらさやかはあまり友達を作ろうとは思わないようだ。しかし花帆は気にせず金沢駅の話やフレンチトーストの話をし出したものなので、さやかの目からハイライトが消えてほけーっとした感じで座っていた。
(なんだろう、ああは言ってるけど冷たい人には感じない…それに、あの時見たような恐ろしさなんて少しもない…)
向い側に座っていた【真蹴球戦士】の少女はこのやりとりを凝視していた。今、目からハイライトが消えているさやかだが、最初に見たあの光景とは雰囲気が全く違う。
「ねえ」
「うえっ!?」
色々考えているうちに自分も見知らぬ少女から話しかけられる。声がした方を向くと、さやかよりは色の薄い青色ショートヘアの少女が立っていた。
「あ、あの…どこかで会ったことが…?」
先程のさやかと同じ返しをする少女。その質問に青色ショートヘアの少女は答える。
「うん、会ったことある。ここに来る前に屋内のサッカーグラウンドにいたはず」
「っ!」
少女は驚きを隠せない。屋内のサッカーグラウンドから過去に飛ばされて今はバスの中…そんな摩訶不思議な自分の状況を理解する人物が現れたことによるものだ。
四季「自己紹介…しておこう。私は若菜四季」
歩夢「上原歩夢…です」
お互いに自己紹介。青色ショートヘアの少女が若菜四季だ。ちなみに歩夢はライトピンクヘアーで右サイドにシニヨンをつけているのが特徴の少女だ。
歩夢「あの、四季さん…ここに来たってことは…私と同じでこれからどうなるか分からないってこと…ですか?」
四季「四季で大丈夫。敬語もナシで。それはともかく、あなたの言う通り、私もこれからどうなるか分からない…」
歩夢「そうなんだ、四季…ちゃん、こっちも歩夢って呼んでくれたら…」
四季「分かった…よろしく、歩夢」
歩夢「うん…よろしくね…」
緊張する歩夢とクールでミステリアスな雰囲気の四季。お互いぎこちないながらもコミュニケーションを取る。
花帆「っていうか、駅からバスが出てるなんて、さすが私立じゃない?蓮ノ空、あたしずっと入学式が楽しみだったんだ」
さやか「そうですか…芸術分野に秀でた、有名な学校ですからね。日野下さんも、なにかやっていたんですか?」
花帆「え?なんにも?」
さやか「なんにもって…それで、よく合格出来ましたね。相当すごいことじゃないですか?」
花帆「勉強すっご~~くがんばったの!校舎だってまだ見てなくて。そのほうが楽しい気持ち、いっぱい膨らむかなって!」
一方で花帆とさやかはいつの間に話せる関係になっていた。さやかも目のハイライトが戻って普通に花帆と会話している。
さやか「あの、どうしてそこまで、蓮ノ空に?」
花帆「実は、お母さんがね、あ、うちの親ってすごく過保護なんだけど、蓮ノ空なら全寮制だから、地元を離れてもいいよって言ってくれたんだ」
花帆「あたし、ようやく、ようやくね、自由になれたの!」
さやか「ええと…自由、ですか…」
さやかは何かが引っかかるような顔をして他の方向を向く。そしてすぐに花帆の方を向きなおした。
花帆「だからね、ふふっ。蓮ノ空女学院でなら、きっとあたしの夢が叶うはずなんだ」
花帆「そう、『花咲く』っていう、あたしのおっきな夢が――!」
そんなさやかに気づかず自分の目標を語る花帆であった…
歩夢「あの人達、もう仲良くなっちゃった…」
四季「あいつがメイを…」
歩夢「え…?」
花帆がさやかと仲良さそうに話せるところを感心しながら見ていた歩夢。四季が何かをつぶやいたのに気付くが、上手く聞き取れなかった…
歩夢「ところで…周りにどんどん自然が増えていくような…?」
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そして…バスは目的地の蓮ノ空女学院に到着した…
花帆「すごーい…わぁ、フレンチトースト食べほうだぁい…」
さやか「花帆さん、つきましたよ、花帆さん」
花帆「へあっ!?わ、あたし寝てた!?」
バスで移動してるとあるあるな、寝てる間に目的地に到着。花帆は目を覚まして立ち上がろうとする。
花帆「ごめん、ありがとうさやかちゃん。ありがと……う?」
立ち上がろう…としたところに、花帆の目には信じられない光景が広がっていたのだった…
花帆「ええと…乗り過ごして、とんでもないところに来ちゃった?」
さやか「いいえ」
とりあえずバスから降りる花帆達。花帆は寝過ごしを疑うが、さやかは首を横に振って否定する。
さやか「こちらが…蓮ノ空女学院です」
花帆「な――。なんで山の中にあるの~~~!?」
そう、この蓮ノ空女学院、都会とはとても縁遠いと言わざるを得ない程の山の中にあったのだ!!
歩夢「どうしよう…前まで住んでた所と全然違う!」
四季「me too」
歩夢(私達、本当にどうなってしまったの…こんなのどうすればいいのか分からないよ…)
【真蹴球戦士】の2人もこの立地にはびっくり仰天。わけも分からないままこんな所に連れていかれ、ますます不安が胸いっぱいに広がるのであった…
そして、入学式を終えて花帆達は寮に入る。寮生は全校集会のように集まり、そこで寮母から説明を受けているところだ。
寮母「というわけで、恵まれた大自然の中で、皆様には厳粛な規律と、確固たる伝統を学んでいただきます。いいですか?規律と伝統、ですよ。どちらが欠けても、蓮ノ空女子としての品位に関わります」
花帆「…」
寮母「寮では、門限厳守でお願いします。夜は明かりがなく、山道は危ないですからね。バスは週末に一度。金沢駅前行きのバスが出ています。必要なものは、そこで買い揃えてください。ただし、事前に外出申請と許可証が必要です。自由行動はできません。ご留意ください」
花帆(――なんで~~~~~~~~~!?)
ここまでの説明で分かるように、蓮ノ空女学院は他の高校と比べて高校生活、ひいては日常生活の自由度が非常に低い学校なのだった…花帆は自由になったとウキウキしていたが、ここにはとてもではないがそれがあるとは思えない。花帆は心の中で頭を抱えていたのだった…
歩夢「はあ……」
歩夢もため息を漏らしていた。わけのわからないまま連れていかれた場所が規律ガチガチで自由が少ない山中の学校。どうしてこんなことに…と考えてしまうのも無理はない。
寮母「それと、今年からこの寮に新しい先生が入ります。先生、どうぞこちらへ!」
歩夢「………!?」
教師側にも新入生がいるようで、寮母の指示でみんなの前に出てくる。…その見覚えのある姿に歩夢は反応するのだった…
圭助「皆さん、初めまして。神圭助です。今年からこの蓮ノ空女学院で寮生の見守りとサッカー部の監督を務めさせていただきます。これから一緒に蓮ノ空ライフを過ごしましょう…!」
前に立っていたのは、自分を屋内のサッカーグラウンドやここに来るまでのバスに飛ばした者であった…