まずは世界観の説明をしなければならないのはどの作品でも共通…
寮母からの説明も済んで、クラス決めと寮の部屋決めが行われて入学初日は終わり。新入生達は決められた部屋に入って夜を過ごすことに。
―歩夢の部屋―
歩夢「ある…」
歩夢は部屋の中でベッドに私物を置いて整理していた。あの屋内のサッカーグラウンドに来た時は何も持っていなかったが、部屋に来て通学用カバンを確認してみると、そこには自分が元居た世界で持っていた衣服やスマホ、財布といった物がちゃんと入っていたのだ。
歩夢(私、本当にとんでもないことに巻き込まれたんだ…)
現実ではあり得ない現象の数々。元居た世界にあった私物が帰って来たにもかかわらず、歩夢はもう自分が元に戻れないことを感じてしまうのであった…
コン!コン!
歩夢「ん…?」
私物の整理を終えたところで、部屋のドアを叩く音が聞こえる。どうやら誰かが訪ねてきたようだ。
歩夢「はい…」ガチャ
圭助「失礼」
歩夢「あ、あなたは…」
ドアを開けると、そこには新入りの寮の先生こと神圭助が立っていた。
圭助「まずは…いきなりこんな所に連れ出したことを謝罪するよ。でも、どういうことか説明したいから、ついてきて欲しい」
歩夢「説明…」
最初に自分をここへ連れてきた者から謝罪される。そして、どうしてこうなったのかの事情を話すため、所定の場所への集合を求められる。
歩夢「分かりました。お願いします…!」
圭助「こんな俺の話をすぐに聞いてくれて助かるよ」
歩夢「私、ここで何やればいいのか、全然分からないから…だから、それが聞きたいんです」
圭助「もちろんそのつもりだよ。いきなりここに連れてきた以上、俺にはキミが何をすればいいのか説明する義務がある。それじゃあ、行こう」
こうして歩夢は部屋を出て圭助についていく。そして、しばらく歩いてサッカー部の部室に移動した…
―蓮ノ空サッカー部部室―
圭助「着いた…!」ガチャ
部室に到着した2人。圭助は早速ドアを開けて中に入る。歩夢もすぐにそれに続いた。
圭助「よし!これでみんな揃ったな」
歩夢「あ、四季ちゃん!」
四季「歩夢…!」
バスの中で知り合った四季もそこにいた。そして…他に6人、サッカー部室の椅子に座っている。
圭助「それでは…ここに来た事情について話させてもらう…」
歩夢も席に着いたところで圭助が話を始める。
圭助「最初にキミ達が集まった時…サッカーで相手を痛めつけている連中を見ただろう…」
歩夢「はい」
圭助「あれは…この世界で起きてしまう未来だ…この世界には『ハーデスト』といって、サッカーのもたらす力で世界の支配を目論む組織が、他の世界まで巻き込んで暴れているんだ…!」
四季「…」
圭助「そして、なぜキミ達を呼び寄せたのかというと、キミ達は【
「リアル…マニ…?」
圭助「早い話が他とは比べ物にならないレベルでキミ達がサッカーの才能を秘めているということだ。これ以上『ハーデスト』を放っておくとこの世界はもちろん、他の世界にもどれだけの被害が出るか分からない…!」
圭助「非常に強引な形でここに連れてきてしまったことは申し訳ないと思っている…それでも…キミ達の力を貸して欲しいんだ!」
「…」
そう言って圭助は頭を下げる。サッカーで世界征服を企む組織…こう文字に表すととても信じられない話。皆状況を未だに飲み込めず、場が沈黙に包まれる…
四季「こっちからも、ぜひお願いします」
歩夢「四季ちゃん…!?」
この沈黙を破ったのは四季。真っ先にこの戦いに参加することを志願した。
四季「メイ…私の親友が『ハーデスト』に攫われたから…絶対に助けたい…!」
「親友を助けるためですか…でしたら私も助太刀します」
親友を助けるために起つ四季に応じるように、青みがかった黒髪ロングヘアーの少女も言葉を発した。
四季「あなたは…」
海未「私は園田海未です。前の世界で謎の連中に幼馴染を攫われてしまい…私なりに立ち向かいましたが、力及ばず命を落としてしまいました」
歩夢「命を落とした…!?」
圭助「彼女は転生という形になる…」
海未「こうしてまた立ち向かう機会を与えてくださってありがとうございます。私にも、親友を救わせてください!」
他の世界で既に大変な目に遭っている者は多い。特に『ハーデスト』が直接関わっている場合は戦う決意は即決であった。
「あたしもやるよ!」
次に声を上げたのはピンク色の髪に丸い帽子を被った少女。
歩夢「あなたは…?」
塔子「あたしは財前塔子。ここに来る前もサッカーやってたんだ」
海未「経験者の方でしたか。心強いですね」
塔子「サッカーで悪いことやってるヤツがいるって聞いたら、他の世界でも放っておけないよ。あたし、サッカー大好きだから!」
塔子は中学生の時からサッカーをやっており、なんでも日本を旅して地上最強のサッカーチームに入ったらしい。
「私もやるわ…!」
次に言葉を発したのは特徴のある前髪オレンジヘアーでツリ目の少女。
レアン「蓮池杏…レアンって呼んでくれたら嬉しいわ。私、世界一のサッカー選手になりたいの。だから、あんな奴がいるなら絶対に許さない…!」
歩夢「世界一のサッカー選手…」
レアンは自分より強いヤツは許さないタイプのサッカー選手のようだ。あの絶望の光景を見せられて、レアンにとっては「コイツに勝ちたい」という気持ちが芽生えている様だ。
四季「それで、歩夢はどうするの?」
歩夢「わ、私!?」
ここで歩夢にやるかどうか質問が飛んでくる。各々が戦う決意を固める中、歩夢はまだ何も意志を表明していなかった。
歩夢「…」
歩夢は黙り込んでしまう。先の4人のようにやると言えない理由…歩夢はそれに気づいていた。
歩夢(私…助けたい友達がいるわけでもないし、サッカーで一番になりたいどころかそもそも好きなわけでもない…みんなみたいに戦おうと思えない…)
そう、歩夢には戦う理由がないのだ。あくまで才能があるだけに過ぎない。ただそれだけで今までの自分の生活を捨てて世界征服を企むような危険な連中の相手をするというのはさすがに無茶である。
圭助(やはりこれが普通の反応だよな…)
圭助「じゃあ、やれる人は明日早速この部室に来て欲しい。ここにいる3人の先輩と一緒に来た方が、キャプテンにも話が通しやすくなるから、3人はよろしく頼む…」
「はい!」
歩夢の悩みを圭助は分かっており、ひとまず自分が発言して話を切り上げる。最後の指示に金髪ポニーテールの少女と、青みがかった黒髪ウルフヘアーの少女、黒髪ポニーテールの少女が返事をした。
絵里「私は絢瀬絵里。こっちの青い髪のお姉さんは朝香果林、黒い髪のお姉さんは葉月恋って名前よ」
果林「よろしく…私達はあなた達より先にこの学校に転校してきたみたいよ」
恋「私達もまだ何が何だか分かりませんが、一緒に戦いましょう…」
この3人は歩夢たちより先に蓮ノ空に来て、先にサッカー部に入っていたようだ。
海未「ところで…あなたは一体何者なのですか?」
圭助「おっとそうだった。ここで言うのが一番良いな…」
ここで海未が圭助に関して質問。自分たちを最初に他の世界、次にその世界の過去に送り出し、元居た世界の私物なども用意してくれた。ただ者ではないのが分かる。
圭助「俺は神圭助。『ハーデスト』の侵略を止めるべくこの世界に派遣された神の使いだ」
果林「とんでもない話だと思っているのだけど…この状況を考えると信じざるを得ないわね」
圭助「信じてくれると助かる。『ハーデスト』が既に他の世界にも危害を加え始めていることはさっきも話したが、その事態を重く見た最高神様が俺を人間にして、必要な道具を持たせて、この蓮ノ空サッカー部の監督としてこの世界に派遣したという訳だ」
レアン「神様が直接止めるとかは出来ないの?」
圭助「神様はキミ達が思うほど全知全能じゃない。キミ達がイラストやアニメの中の世界に干渉できないように、神様が人の世界に干渉するのは不可能だ。もっとも、神様だけあって色んな力は使えるから、それで人間になってすごい道具を持ち込んだり、転生や転移をさせたりすることは可能なのだが…」
海未「それで、私達の力が必要になったという事ですね…説明感謝します」
圭助「キミ達を強制的に連れ出した以上、説明するのは俺の義務だ。ただし…キミ達が他の世界から来たこと、俺が神の使いであることは口外しないでくれ。いらない混乱を招きかねない」
『ハーデスト』は他の世界を巻き込んで暴れているが、この世界自体はパラレルワールドの研究や時間の移動、神による転生などには縁遠い世界だ。そんな世界で今の話をしたら変な目で見られるか混乱を招くことになる。
圭助「それでは…今日はここで解散する。明日の放課後、早速ここに来てくれると嬉しい」
こうして集会は解散となった。【真蹴球戦士】たちは自分の部屋に戻り、明日に備えて眠りにつくのであった…
そして翌日…起床して朝食を済ませ、早速決められたクラスに向かい、所定の席につく歩夢。
四季「歩夢」
歩夢「四季ちゃん…同じクラスなんだね」
四季「うん、席も隣同士」
歩夢「もしかしてあの人が…?」
四季「平等なランダム配置によって導き出されたもの、つまり偶然」
歩夢「そ、そうだよね、考えすぎちゃった…」
昨日の夜に圭助が神の使いだと聞き、すごい力を持っていることが分かった。しかしさすがに学校に入って早々クラス配置をいじる権限などないだろう。
四季「それより、あの人…」
歩夢「ん…?」
四季が向いている方向と同じ方に目を向ける歩夢。そっちには花帆が自分と同じように席に座っていた…
さやか「…はぁ。って、えぇ!?」
花帆「…………」フラフラ…
隣に座っていたさやがが息をつき、ふと自分が向いている方向とは逆の方向を向いてみる。すると、そこには目からハイライトが消えて頭をふらふらさせて座り込む花帆の姿が…
さやか「あの……花帆さん?花帆さん、ですよね?」
花帆「あー……さやかちゃんだー……同じクラスだったんだー……やったねー……あははー……はは……はぁ」
さやか「ど、どうしたんですか、いったい。昨日の元気はどこにいったんですか…」
昨日あんなにバスの中で元気良さそうにさやかに話しかけていた花帆。しかし今はその元気さを全く感じさせない、精気を失ったような表情になっていた…
花帆「人はパンのみにて生きていくにあらず、だよ、さやかちゃん…希望がなくっちゃ、人は生きていけないんだ…」
花帆「…あたし、新生活でぜったい花咲こうって決めてたのに。規則、規則、厳守、規則でさ。このままじゃ、しおれちゃうよぉ…」
花帆は自由な学校生活をとても送れない状況に絶望していた…都会で女子高生らしく放課後にお店に行って満喫…したかったらしいのだが、当然それも無理だ。
花帆「そういえば、ごめんね、さやかちゃん…あたし初対面なのにぐいぐい話しかけて、ずうずうしかったよね…ちゃんと、なるべく関わらないようにするから…ごめんね」
さやか「ああもう!そのことはいいですから!わたしが悪かったですから!」
落ち込んだ勢いで昨日はっちゃけてさやかに迷惑をかけたことを謝る花帆。しかしさやかも昨日の自分の言動にどこか申し訳なかったようだ。
歩夢「あ、あのー…」
花帆「うーん…?」
歩夢「とっても元気無さそうだけど…大…丈夫?」
ここで歩夢が花帆に話しかける。昨日の花帆とさやかのやりとりを見ていた歩夢。このテンションの落差はさすがに心配になっていた。
花帆「大丈夫じゃないよー…そういえば、バスで向い側の席に座ってたよね…騒いじゃって、ごめんね」
歩夢「い、いいよ謝らなくても!それより花帆…ちゃん、私とも仲良くしよ!これも何かの縁だし…ね!」
花帆「うん…」
歩夢は花帆と仲良くしようと試みる。一応仲良くなったが、花帆は相変わらず沈んだままだ。
さやか「ほら、あの、きょうの放課後から、部活紹介とか!あるみたいですよ!」
ここでさやかが話題を変えてみる。規則ガチガチでも高校は高校。青春の象徴の一つである部活動は当然存在している。
花帆「部活かぁ…なにか見つけたら、あたしの牢獄みたいな高校生活にも、ぱーっと光が差し込んでくるのかなぁ…?」
さやか「それはわかりませんけど!でも、動かなくっちゃなにも変わりませんよ!ほら、わたしもご一緒しますから!」
花帆「えっ…さやかちゃんも?いいの?」
さやか「そんな顔でずっと隣にいられても、困ります!」
さやかは花帆が光を見つけることを手伝うことに。こうは言っているが、花帆のことを思っているぞ。
歩夢「私も!私もここで何やればいいか分からないし…一緒に何か探してみよ!」
花帆「そっかぁ…さやかちゃんも歩夢ちゃんも、優しいねぇ…辛い心にしみこむねぇ…あ、泣いちゃいそう」
さやか「なんなんですかあなたは、もう!」
歩夢「あ、あはは…」
こうして3人で部活を見て回る事に決まった。歩夢は自分のいた席に戻って四季と話す。
歩夢「四季ちゃん、ごめんね。私、まだ戦う決意が出来ないよ…」
四季「歩夢…分かった。それに、いずれにせよあの2人と関わるのは必要」
突然蓮ノ空に連れていかれた歩夢も、花帆と同じ境遇と言えるのかもしれない。まだ『ハーデスト』と戦う決意が出来ない彼女は、花帆と一緒に光を探すことにしたのであった…
前書きや後書きで用語やキャラの説明するのと、説明のために個別に話作って解説するのだとどちらがいいんだろう…
ちなみに今作も必殺技辞典は作る予定です。