Link!Like!ラブライナズマイレブン!   作:バシム

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今年最後の投稿でございます。

ぜひお楽しみください。


おんなじ

 

―蓮ノ空女学院―

 

 大会を終えた蓮ノ空。皆が失意にくれながら、バスに乗って自分達の学び舎に帰っていくのであった…

 

 

 

花帆「あたし…自分のせいで、いろんな人の期待を、裏切っちゃった…やっぱり、花咲くなんて、あたしにはムリなのかな…」

 

 

花帆「…ぜんぶ、だめにしちゃったよ…」

 

 バスから降りた花帆は、誰とも顔を合わせず途方にくれていた。そんな中、花帆の目の前に見慣れた人影が…

 

 

 

さやか「花帆さん?」

 

花帆「あ、さ、さやかちゃん」

 

さやか「その…試合、大変でしたね…」

 

花帆「うん…ぜんぶ、あたしのせいで」

 

さやか「そんな、言い方は…」

 

 花帆はまだ今日の試合が最悪の結果に終わってしまったことを、自分の責任だと感じていた。さやかに合わせる顔がないとばかりに、下を向いて首を横に振っていた。

 

 

さやか「花帆さんは、今まであまり激しい運動をしてこなかったんですよね。だったら、自分の限界を見誤ってしまうのだって、仕方ないことかと…」

 

花帆「仕方ないなんて、そんなの…もうちょっとで、大事故になるかもしれなかったんだよ!? あたしなんかのせいで、梢センパイと恋センパイが…」

 

さやか「…そうですね。でも、今回はならなかったんです。だったら、次からは気をつけましょう」

 

花帆「…そんなの…」

 

さやか「…」

 

 花帆が無理をして、それが原因で梢や恋がケガをすることになってしまった。しかし冷静に次からどうすれば良いのかを話すさやか。

 

 

さやか「花帆さん、あんなに朝練も嫌がっていたのに。どうしてそんなにがんばったんですか」

 

花帆「それは…サッカーが楽しくて…でも、それだけじゃなくて。最初は、ちょっとずつ上手になっていくことが、嬉しかったんだ。あたしが一人前のサッカー選手になったら、今度こそ、みんなと一緒に強い相手ともサッカーできるぞ、って思って…」

 

さやか「…」

 

花帆「でも、梢センパイが、あたしのこといっぱい褒めてくれて…あたしと一緒に、夢だった必殺技を一緒にやりたいって言ってくれて。だからあたし、梢センパイの真剣な想いに、応えたいって思って…こんなんじゃぜんぜんだめだから、もっとがんばらないとって…」

 

さやか「花帆さん…」

 

 花帆の想いを噛み締めながら聞くさやか。そして、その上で優しく花帆に伝える。

 

 

さやか「花帆さんは、優しいですね」

 

花帆「そんなことない。あたしなんて、自分勝手で…」

 

さやか「でも、自分が楽しむよりも、乙宗先輩のためにがんばろうと思ったんですよね。厳しい練習の上、自主練習までして。誰にだって、できることじゃありません」

 

花帆「…。でも結局、うまくできなかったよ…いっぱい迷惑かけて、センパイにも、きっと、嫌われちゃった」

 

さやか「…大丈夫ですよ。乙宗先輩は、そんなことで花帆さんを嫌いになったり、しませんよ」

 

花帆「…」

 

 花帆が優しい人間であること、そしてそんな花帆を梢は嫌いになったりしないと、落ち着いて伝えるさやか。それでも、花帆は俯いて首を横に振る。

 

 

さやか「…乙宗先輩が戻ってきたら、あとでしっかりお話ししましょう。今は少し、休みませんか」

 

花帆「…うん」

 

さやか「お部屋まで、送っていきますよ」

 

花帆「…大丈夫。ちょっと部室にかばん忘れてきちゃって…お話聞いてくれて、ありがとうね。おかげでちょっと…落ち着いたから…」

 

さやか「…そうですか。あの、あまり気を落とさないでくださいね!」

 

花帆「うん…ありがとね、さやかちゃん」

 

 そう言って花帆はさやかに背を向け、部室に向けて歩み出す。さやかはその後姿を心配そうに眺めていたのであった…

 

 

 

 

―サッカー部部室―

 

 

花帆「あったあった…って、おわわ!」

 

 部室にカバンを取りに来た花帆…なのだが、何故か部室が散らかっており、転びそうになるところをリズムよく避ける。

 

 

 

花帆「こ、転んじゃうところだった…えっと、段ボール?」

 

 散らかっている原因となっていたのは、床に置かれていた段ボール箱。花帆はその段ボール箱が気になり、そちらに目線を向けているとある物を見つける。

 

 

花帆「あれ、これって…たまに梢センパイが開いているノートだ。ええと…『サッカー部ノート』…?」

 

 見つけたのは梢が開いていることがあったらしいノート。名前の通り蓮ノ空サッカー部のことが記載されており、花帆と梢がやろうとしていた伝統の必殺技のことも、不鮮明ながらもこのノートに書かれている。しかし、そこには必殺技の他にも、目を引く情報が書かれていた…

 

 

花帆「連絡帳…かな? それとも、交換日記…? あたしたちより、もっともっと前の代の人が、使ってたみたい」

 

 

花帆「ひょっとして、これ、ぜんぶ…? センパイのセンパイの、それよりずっと前のセンパイから、ずっと続いているノートなんだ。なに、このヘンな似顔絵…ふふっ、見つかったら怒られるんじゃないかな」

 

 ノートを開いて情報を見ていく花帆。交換日記であるからか、時に微笑ましい絵や文章も見つかり、笑ってしまう花帆。しかし、ページを開いていく中で…

 

 

 

 

『先輩のためになりたかったのに、力不足で悔しくて、ひとりでいっぱい練習した。先輩に迷惑かけたくなくて、だけど先輩は、喜んでくれなかった。私、ばかだった。自分のことしか考えてなくて、本当は先輩ともっと…』

 

 

 

 

花帆「…涙で、にじんでる。この子も、おんなじだ、あたしと…」

 

 今の自分を思わせる文を見つけた花帆。涙でにじんだ文字、ぐしゃぐしゃになったページを見て、その子がどれだけ苦しんだかが見ただけで伝わってくる。

 

 

 

歩夢「花帆ちゃん!」

 

花帆「!」

 

 涙でにじんだページを開いていたところに、後ろから声をかけられる。振り向くとそこには歩夢が立っていた。

 

 

花帆「歩夢ちゃんも、ここに忘れ物してきたの?」

 

歩夢「ううん。花帆ちゃんのことが心配で…バスから出てすぐに走ってどこか行っちゃったし、ずっと探し回ってたんだ…」

 

花帆「そうなの!? ごめんね…。でも、さやかちゃんと話して、少し落ち着いたから、大丈夫だよ!」

 

歩夢「そうなんだ。よかった…」

 

 花帆のことが心配で、ずっと校舎内を探し回っていた歩夢。花帆が無事であることに安堵しながら、彼女が手に持っているノートに目が行く。

 

 

歩夢「それ…花帆ちゃんの忘れ物?」

 

花帆「え? ううん。これは梢センパイよりも前に、サッカー部にいたセンパイ達が描いてたノートなんだ」

 

歩夢「へえー、それって何十年も前から、ずっと書かれてたのかな?」

 

花帆「そうだよ…あ!」

 

 歩夢にノートのことを話す花帆。話す中で何かを思いついたようだ。

 

 

花帆「もしかして、このたくさんのノート…今の代まで続いているんだったら、梢センパイの書き込みも、あったりする…?」

 

歩夢「そうかも…探してみよう!」

 

 おそらくこのノートは昔からずっと書かれている、いわゆる蓮ノ空伝統のノート。梢ならノートを書いて伝統をつないでいるだろうと踏んだ花帆と歩夢は、梢が書いたノートを探し始める。

 

 

花帆「これじゃなくて、これじゃなくて…」

 

歩夢「あった! これだよ!」

 

 2人で梢が書いているノートを探す。今使われているということは間違いなく最新のノート。表紙を見て最新のものであるかどうかを判断しながら探し出し、見つけ出した。

 

 

花帆「これが、最新のサッカー部ノート」

 

歩夢「どんなこと書いてたんだろう、梢先輩…」

 

花帆「…あ」

 

 梢がどんなことを書いていたのか、気になりながらページを開いていく花帆と、それを見守る歩夢。そして、遂に梢が書き込みをしていたページにたどり着く。

 

 

 

花帆「梢センパイ、あたしのために、練習メニューを書いてくれてる…こんなに細かく…なのに、あたしは勝手に…」

 

歩夢「…」

 

 周りが見えていなかった自分を責めるように笑顔が曇る花帆。その様子を、歩夢は同じ表情で見つめる…

 

 

花帆「歩夢ちゃん、これ…」

 

歩夢「梢先輩の日記だ…」

 

 練習メニューの次のページには、梢が大会までの練習について、日記を書いていた。花帆と歩夢はそこに書かれた梢の想いを読んでいった…

 

 

 

梢『後輩の指導は思うようにいかないことばかり。だけど、やりがいがあって、とても楽しい。一日一日と成長していく彼女を見るのは、自分のことのように嬉しい』

 

 

梢『できればずっと、サッカーを続けてほしい。つらいことや、傷つくこともいっぱいあるだろう。だけど、それを乗り越えた先には、きっと今まで以上に、楽しいことが待っているはずだから』

 

 

梢『ひたむきにがんばっているあの子を見ると、胸が熱くなる。こんな気持ちは初めてだ。後輩がこんなに可愛いってことも、知らなかった。あの子のためなら、私はなんでもしてあげたいって思う』

 

 

 

 

花帆「…」

 

 読んでいくうちに、文章に込められた梢の想いに引き込まれていく。全て読んだ頃には、自分が梢に対してどうするべきなのか、決心がついていた。

 

 

花帆「あたし…このまま逃げてちゃ、本当にだめになっちゃう。そんなの、やだ。センパイにしっかり謝って…、それから。ちゃんと、言わなくっちゃ!」

 

歩夢「花帆ちゃん…私にも、一緒に行かせて!」

 

花帆「え!? 歩夢ちゃんはなんにも悪くないよ! 試合だって、流れを変えようと必死に頑張ってたし…」

 

 あくまで自分が勝手をしたせいだと感じている花帆。しかし歩夢は、決して花帆だけのせいではないと語る…

 

 

歩夢「私ね、自分がすっごく上手くなったら、花帆ちゃんのことを助けられるって思って、今まで練習してたんだ。…でも、自分が強くなる事しか考えてなくて、花帆ちゃんが無理してたことに全然気づかなかった…」

 

花帆「それって…歩夢ちゃんも、あたしとおんなじだったんだ…」

 

歩夢「…うん。だから、私も梢先輩に、何より、花帆ちゃんに謝らないとって、思ってる…」

 

 そう言うと、歩夢は花帆に深く頭を下げるのであった。

 

 

歩夢「…花帆ちゃん、本当にごめんなさい!」

 

花帆「歩夢ちゃん!? ま、待って! あたしが梢センパイに謝ってないのに、歩夢ちゃんに謝られるなんて、申し訳ないよ…」

 

歩夢「そ、それは…うぅ…」

 

花帆「と、とりあえず、梢センパイを探しに行こう!」

 

歩夢「うん…」

 

 頭を上げて部室を出る2人。梢に伝えるべきことを伝えるために、2人で廊下を歩んでいく…

 

 

 

 

―廊下―

 

 

 2年生の教室を訪れた2人。しかし梢はおらず、代わりに綴理と鉢合わせる。

 

 

綴理「あ、かほ、あゆ」

 

花帆「あの、梢センパイのこと、見かけませんでしたか!?」

 

歩夢「私達、どうしても梢先輩に伝えたいことがあって…」

 

綴理「えっと。ごめん、見てないや」

 

 梢の居場所を最も知っていそうな綴理に聞いてみる花帆。しかしそう上手くはいかず、現在梢がどこにいるのかは知らないようだ…

 

 

花帆「そうですか…すみません、ありがとうございます!」

 

歩夢「ありがとうございます! …花帆ちゃん、どうやって探そっか」

 

 綴理が知らない以上、梢の現在の居場所の手がかりはゼロ。行き違いの可能性を孕みながら、校内をしらみ潰しに探すことになるという、かなり大変なことをする羽目になりそうだが…

 

 

綴理「あ。もし、校内でこずが見つからなかったら、行く場所には心当たりがあるよ」

 

花帆「えっ、それって?」

 

綴理「大倉庫」

 

花帆「……大倉庫?」

 

 綴理が梢を見つける手がかりを持っていたようだ。2人は早速大倉庫とやらに向かってみる。

 

 

 

 

 

…しかし、これが2人に危機をもたらしてしまうのであった…

 

 

 

 

 

―大倉庫―

 

 

花帆「な、な、なんですかここー!? 蓮ノ空に、なんでこんな場所が!? 迷路!? 迷宮!? 梢センパイどこー!?」

 

 名前の通り、蓮ノ空に関する資料や用具、あらゆるものが段ボールに格納されており、とんでもない広さ。しかもどこを見ても段ボールなので、ほぼ景色が変わらず、迷宮のような構造になっていた…

 

 

 

花帆「ぎゃあ、行き止まり! いったん戻って…あれ、ここさっきも通った!? どうなってるの!? と、とりあえず一度戻って、誰かに応援を求めて…」

 

 

 

 

花帆「出口…どこ…!? それに、歩夢ちゃんともいつの間にはぐれてる…!?」

 

 完全に迷ってしまい、戻ろうにも戻れない状態。歩夢ともはぐれ、大倉庫から出られない状態で孤立してしまった。

 

 

 

花帆「だ、誰か~~~! 誰かいませんか~~~!?」

 

 このままでは大倉庫で野垂れ死んでもおかしくない。本能的に命の危機を感じた花帆は、とにかく叫んで助けを求める…

 

 

 

 

 

「どったのー?」

 

花帆「うわぁ!?」

 

 叫んでいるといきなり見知らぬ人がにっこりとしながら目の前に現れた。蓮ノ空の制服を着ているが、リボンの色が自分のものとも梢のものとも違い、花帆より小柄な緑のロングヘアーの少女だ…

 

 

 

花帆「迷宮の…妖精さん…!?」

 




音声で出せるエモさが、小説だと出せないのは少し大変なところがありますなぁ…

これからの作者の創作、どれが一番楽しみ?

  • この作品
  • キャプ翼サンシャインのスピンオフ
  • スーパーラブライバー大戦
  • 蓮ノ空×ポケモン
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