作者、百合営業に走る。どういうことかはこの話を読んでみてください…
―サッカー部部室―
試合の翌日。選手たちは全員身体を休め、失意が残りながらも、誰一人欠けることなく部室に集まった。
圭助「みんな、まずは初めての大会お疲れ様だ。ということで今日は打ち上げをやろう」
恋「う、打ち上げ…ですか?」
圭助「そうだ。実は出張先でお菓子やケーキを買ったんだ。みんなで一緒に食べようじゃないか」
海未「よろしいの…ですか? 『ハーデスト』も攻めてくる上、何より私達にそんな…」
お菓子パーティで打ち上げを行うことに戸惑いを覚えるみんな。自分のせいで酷い結果になってしまったと思うと、どうしてもパーッとやろうとは感じられない。
圭助「『ハーデスト』は例のスパイから、侵攻を5日後に調整していると連絡があったので大丈夫だ。…それに、どんな結果であれ、大会に出て何か学びがあっただけで万々歳さ。そうだろう、乙宗」
梢「はい。みんな、昨日の大会は確かにいい結果とは言えなかったけれど、そこから学べたことはあったはずよ。だから、今までがんばってきた自分を、ねぎらってあげて」
梢「それに、数日は休んでいなきゃいけない人もいるから…ね?」
花帆「あ…そ、そうでしたね!」
果林「じゃあ、どのみち今日は練習やらない方がいいのね…」
圭助「そういうことさ。それに、ケーキとかは食べないともったいないし、遠慮せずに食べてくれ!」
恋「わかりました。謹んで頂戴します…」
圭助と梢に説得され、みんなありがたくお菓子をいただくことにした。
圭助「しかし、やっぱり練習しないってなると不安だよな…せっかくだからこの打ち上げ自体を練習にしてみよう」
さやか「ど、どういうことですか? リフティングをしながら食べるとかですか…?」
圭助「いやいや。ボールは使わないよ。でも、今のこのチームに一番必要なことだ」
打ち上げをするにあたって、チームのためになる条件を提示することに。その条件というのは…
圭助「お菓子やケーキを食べる時は、黙食じゃなくて色んなメンバーと会話をしてみてくれ。いわゆるガールズトークってやつだな」
四季「ガールズトーク…」
圭那「言い換えると百合だね。女の子同士の絡み…確かに見たい人多そう!」
圭助「こら! そういうのじゃなくてチームワークをだな…」
花帆「百合!? いいですね! 思いっきり花咲かせちゃいましょう!」
圭助「う、うーん、うん。もうその認識でいいぞぉ!」
花の1つである百合に反応して、たちまち乗り気になる花帆。圭助もせっかくなら花咲かせることに協力することにした。
圭助「それで…出来ればいつも仲良くしているメンバーの他よりも、あまり話したことがなさそうなメンバーと話してみてくれ。学年やクラス、ポジションが違うとあんまり話す機会がなかったりするからな…この機会にでも親睦を深めてみるんだ」
圭那「マイナーカプってやつですね」
梢「カプ…あ、ケーキがあるのなら、紅茶を入れなきゃね」
圭助「それはカップだな。そうだ、ケーキは冷蔵庫で保管してるから、今から持ってくるよ」
連想ゲーム形式で打ち上げに必要なものを取りに行く梢と圭助。そうしている間、綴理がマイナーカプとやらの組み合わせを考え出す。
綴理「えーと、たとえばさやとかり…さやかり?」
圭那「そうそう! そんな感じですよ綴理先輩!」
綴理「さやとうみで…さやうみ。さやとこずで…さやこず。さやと…」
さやか「なんで私ばっかりなんですか! ご自分の相手も探してください!」
綴理特有のメンバーの呼び方がうまい感じにカプの名前に。しかしさやか関連ばっかりだ…
圭那「綴理先輩、せっかくなら私と話しましょう!」
綴理「あ、そうだね。ボクと…えーと、けい? いな?」
圭那「うーん?」
言葉に詰まってしまう綴理。どうやら、後から入ってきた圭那に関して、まだ呼び名が決まっていなかったようだ。
圭那(昨日ずっと一緒にベンチにいたんだけどなぁ…本当に全然コミュニケーション取れてなかったんだ…)
圭助「よーし、ケーキ持ってきたぞー!」
綴理「ケーキ…うん、これだ。よろしくね、けーな」
圭那「え、あ、はい! 綴理先輩、よろしくでーす!」
語感が似ているケーキが目の前に来て、呼び名が決まったようだ。距離が縮まったような気がしたからか、お互いさっきよりも笑えている。
圭助「それじゃあ、2つあるケーキを14等分に切っていこう」
花帆「はーい! …って、14等分ってどうやってやるの~!?」
圭助はショートケーキとチョコケーキの2種類を買ってきていた。メンバーの数分切り分けたいところだが、14等分なんて普段やらないものなので、どうすればいいのか分からなくなる。
綴理「答えが分かってるなら、大丈夫。けーな、ボクが指さすから、切って」
圭那「はーい!」
パン切りナイフを手に取る圭那。綴理がケーキを指さして、どこを切るべきか教える。
綴理「まずはケーキを二つにして…」
圭那「はいっ!」
綴理「つぎはここだよ」
圭那「よいしょっと!」
ケーキを2等分した後、半円状のケーキが7等分になるように綴理がケーキを指さしていく。綴理は感覚的にどう切り分ければ良いのか分かっており、圭那はそれを寸分違わず、一直線にナイフを入れる。そして…
圭那「よし! 二つとも切れた!」
花帆「すご~い! どれも同じようにしか見えないよ~!」
圭那「綴理先輩のおかげだよ。ありがとうございます!」
綴理「ありがとうって言うのは、ボクだよ。切ったのは、けーな。だから、けーながすごいんだ」
海未「確かに…どう切れば良いのか分かっていても、その通りに切るのは難しいものです。それを寸分違わず…」
ショートケーキもチョコケーキも、均等に切り分けることに成功。周りが感心する中、綴理と圭那は互いに感謝を伝えあっていた…
圭助「ははは、いいぞ、微笑ましいぞ。こんな感じで、女の子同士どんどん親睦を深めてくれ~。ちなみに2人の組み合わせにこだわらなくてもいいぞ。3人や4人でも話してみるんだ」
花帆「はーいっ! って思ったけど…あまり話したことがない人と話す、か…迷っちゃうな~」
さやか「花帆さんは、誰とでも仲良く出来ますからね。あまり話したことがない方はいないイメージです…」
梢「でも、最近は私との練習が多くて、あまり他の子とは話せていなかったでしょう。だから、私以外の子と話してみましょう」
花帆「そうですね! じゃあ…」
海未「あの…花帆、私と、話しませんか?」
誰と話そうか迷っている花帆に、海未が話をしようと声をかける。海未の表情は、どこか申し訳なさそうであった。
花帆「海未ちゃん…うん、もちろんだよ! 一緒に百合の花を咲かせちゃおう!」
海未「は、はい…」
花帆は快くこれを承諾。自分の椅子とケーキの乗った皿を動かして、海未と隣り合うように座ったのであった…
果林「ねえ、さやかちゃん。いい機会だし、私と話してみないかしら?」
さやか「朝香先輩…はい。せっかくの機会です。よろしくお願いします!」
他のメンバーも普段あまり話さないメンバーとペアや3人組を作り、ケーキやお菓子を食べながらわいわいと話し始めるのであった…
花帆「お~いしい! これ、どこで買ってきたケーキなんだろ」
海未「ホントですね。今までに食べたことがない…いえ、どこに行っても食べられないような…独特ですが濃厚過ぎない、そんなケーキですね」
花帆「ということはまさか…監督の手作り!? いや、でもクリームとかは市販のものだと結局味が変わらないし…監督が隠し味を加えたとか!?」
海未「市販の材料を使っていても、作り方次第で味わいは変わるものですよ。私にも、お菓子を手作りする友達がいましたから…」
花帆「海未ちゃん…?」
食べているケーキの話題を膨らませていく2人。しかし、友達のことを話すと、海未の声が悲しみを纏ったものになってしまう。花帆は話題を変えてみることにした。
花帆「…海未ちゃん、あたしより練習、すっごくがんばってたよね」
海未「! ごめんなさい…先に謝るべきなのに、今の今まで…」
花帆「お、落ち着いて!? ただ、海未ちゃんがすごいなーって思ったのと…海未ちゃんにも、すっごくがんばる理由があったのかなって、気になったんだ」
海未「…この場にふさわしくない話になってしまいますが…よろしいでしょうか?」
花帆「うん。海未ちゃんがどんな想いで練習してたのか、あたし知りたい…!」
海未「分かりました…!」
花帆に無茶をさせる遠因となってしまった、海未の激しい練習。なぜそれをしたのかを、海未は話すことに。
海未「覚えていますか? 前に『ハーデスト』が来た時に、ベージュの髪の女の子がいたことを」
花帆「覚えてるよ。ことりちゃんだよね。海未ちゃんの友達の…」
海未「私は…ことりを一刻も早く救いたくて…そのために強くなりたい一心で練習を重ねました。…それがあなたに無茶をさせることになったことも知らずに」
花帆「それは…無茶な練習をしようって決めたのは、結局あたしだから、大丈夫だよ」
申し訳なさそうにする海未に対して、海未が悪いわけではないと言う花帆。そして、海未の話を聞いて自分が思ったことを話す。
花帆「それに…今の話を聞いて、海未ちゃんもあたしとおんなじだったんだって思ったんだ」
海未「と、言いますと…」
花帆「あたしも、梢センパイに迷惑かけたくなくて、無茶してでも練習をがんばったんだ。だから、誰かのためにがんばる気持ちはわかるよ。友達を救いたいって思っているな、らなおさらもっとがんばると思う」
海未「花帆が無茶をしていたのは、乙宗先輩のためだったのですね…」
花帆「そうだよ。…まぁ、結局梢センパイの言いつけを破って怪我しちゃったし、褒められたことじゃないんだけどね…」
海未「それは私も同じです…友達を助けたいがために、花帆達にまで無茶をさせて…」
花帆「じゃあ、お互いさまってことで、また一緒にがんばろ? あたしは練習も海未ちゃん程はこなせなくて、まだまだだけど…それでも、海未ちゃんとも一緒にサッカーしていたいから」
海未「花帆…分かりました。私も、鍛えることが好きなあまりアツくなりすぎてしまうような人ですが…どうか、これからもよろしくお願いします…!」
お互いの想いを伝え合い、無事に分かり合うことが出来た。1週間の練習の際に生まれてしまったチームの溝が、1つ解消された瞬間である。
果林「おいしいわね。私はこういうものは食べたくても食べられないから、余計にそう思うわ」
さやか「朝香先輩…もしかして、モデルのお仕事をされていたりしたのですか?」
果林「ええ。1年前まで、だけどね。よく気づいたわね…」
さやか「モデルのお仕事でしたら、ケーキを食べる機会に恵まれないのも分かりますので。何より、体つきがとても美しくて…大人のお姉さんと言っても差し支えない程です」
果林「私からすれば、さやかちゃんの体つきがとっても美しく見えるけれどねぇ…正直、とっても羨ましいわよ」
さやか「な…! 私の身体、そんなにセクシーなのですか…!?」
顔を赤くしてしまうさやか。モデルに体つきが良いと言われると、非常にセクシーな意味合いかと思ってしまう。
果林「ええ。サッカー選手としていい身体してるわね」
さやか「…! もう! からかわないでください!」
果林「ふふっ、ごめんなさい。でも、本当に鍛えられてるわね…長年の経験のおかげってところかしら?」
さやか「そうですね。物心ついた頃から、サッカーをしていました。それに、サッカークラブにも通っていましたので…」
果林「じゃあ…少なくとも10年はサッカーのために身体を鍛えていたのね」
さやか「はい」
実際はサッカー選手として鍛えられた身体を羨ましがっていた果林。さやかがどれだけの時間をかけて、その身体を作り上げてきたかを知る。
果林「次の練習、もしよかったらあなたから色々学ばせてもらっていい?」
さやか「どうぞ。…ただし、くれぐれもまた怪我をしたりしないでくださいね」
果林「あなた、本当にハッキリ言っちゃうのね…」
さやかに釘を刺されて耳が痛い果林。しかし昨日の大会の失敗に繋がってしまったのは事実。ちゃんとさやかの言葉を受け入れて、改めて無茶をしないようにすることを決める。
果林「でも、やりたいことや教えて欲しいことは、山ほどあるのよね…」
さやか「一個ずつ確実にこなしていきましょう。それで、朝香先輩がやりたいことというと…」
果林「そうね…サッカー選手向けの身体作りに、最低限役に立つディフェンスに…あ、私に一番必要なことがあったわね」
果林「強いシュートの撃ち方、あなたから是非教わりたいわ」
さやか「…!」
果林は何か勘づいたような表情をさやかに見せる。さやかは、核心を突かれたかのように、ハッと息を吞むのであった…
試合は2話先です。
原作だと前の話のシーンを終えてライブにつながるけど、こっちは描きたいことがあるのだ…
これからの作者の創作、どれが一番楽しみ?
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