涼太の指摘をもとに、各自練習をこなした蓮ノ空。試合の後という事もあって時間はあまりなく、どのように練習するかを確認するのみでほとんど終わった。
……そして、夕日が落ちようとする頃、練習終わりに2人の少女が寮に向かいながら個人的に練習を振り返っていた。
さやか「……今日試合をした相手、とても強かったですね。わたし達とも、『ハーデスト』とも、全く違うサッカーだった気がしました」
綴理「うん。とっても強かった。ボク達もああなれたら、いいね」
さやか「わたしも早く……もっと上手くなりたい。頑張らないと……」
綴理「……さやは、自信なくした?」
さやか「えっ!? それは……そうかもしれません。今日試合したあのチームも涼太って人のチームだったら軽く捻れるって監督はおっしゃってましたし……あの人を見てると、それがウソに思えなくて……」
綴理の質問に対して、思ったことを色々と話してみるさやか。涼太のプレーはまだ詳しくは見れていないものの、彼がかなり上手い選手であることは今日のやりとりで察しているようだ。
さやか「とはいえ、もともと自信なんて有って無いようなものでしたけど。あの、夕霧先輩。わたし、頑張りますから」
綴理「うん? うん。さやは頑張ってる」
さやか「は、はい。頑張ります。って、なんですかねこのやり取り。あはは」
いつの間によく分からないやり取りになってしまい、思わず笑みがこぼれてしまうさやか。
さやか「ゆ、夕霧先輩! えーっと、明日のお弁当は何がいいですか!」
綴理「急に話変わった」
さやか「い、良いじゃないですか! さあほら、お答えください!」
突然明日のお弁当の話になり、綴理にツッコまれてしまう。しかし押し切って、戸惑いながらも綴理から何がいいかを聞き出す。
綴理「う、うん。そうだなぁ……。さやは、どう料理してもおいしいし……」
さやか「まるでわたしが食料みたいな言い方」
綴理「でもさやは、ボクがなんでもいいって言うと……」
さやか「では明日は草です」
綴理「草はやだな……。苦いし……。じゃあ、おでん」
さやか「草食べたことあるみたいな言い方も気になりますが……し、汁物かぁ……! ざ、材料が足りないのでそれはまた今度に……」
草を食べるのはさすがに嫌なので、思いついた食べ物を言ってみる綴理。しかしお弁当にするにはいかんせん難しい料理で、さやかは少し戸惑ってしまう。
綴理「……なんか、いつもごめん」
さやか「いえいえ! なんでも良いと言ったのはわたしですから!」
綴理「じゃなくて、お弁当作ってくれて」
さやか「なんですか急に。初めて言われましたけど」
綴理「え、そっか……ボク、ありがとうも言えない子だったんだね……」
さやか「せ、先輩はちゃんとお弁当を受け取る時に、ありがとうが言える良い子ですよ! というか、だって、作ってるのもわたしの勝手ですし。だからまさか謝られると思わなかっただけで」
綴理「さやが居ないと、ボクはお昼ご飯食べるのも忘れがちだから」
さやか「まあ、はい。だから作るようにしたんですけれども」
綴理「さやが居ないと、ボクは起きるのも忘れがちだから」
さやか「まあ、はい。それは別名お寝坊というんですけれども」
綴理「……さやが居ない時どうしてたっけ」
さやか「さあ……仰る通り居なかったのでわかりません……」
話していくうちに、自分がさやかにお世話してもらわないと日常生活がままならないと気づいた綴理。思い立ったようにさやかに宣言するのであった。
綴理「ボク、明日から頑張って自分で起きる」
―――――翌日……
―二年生の廊下―
梢「あら? 村野さん、おはよう。なんだかお疲れね……」
さやか「あ、乙宗先輩。おはようございます。大丈夫ですよ。起きない人を起こしただけなので……」
一年生のはずのさやかに二年生の廊下で出会う梢。どうやらさやかが綴理を起こしに来た帰りの様だ。
梢「……あの子、昨日の夜はすごく気合入れてたはずなのだけれど。明日は頑張って起きるんだーって……」
さやか「気持ちだけは、嬉しく思っておきます、はい」
梢「かわいそうに」
さやか「かわいそうに!?」
思ったよりも綴理には辛らつな言葉が梢から飛び出してきて驚くさやか。
梢「綴理がごめんなさいね。あの子、たちが悪いでしょう」
さやか「えっ。た、たちが悪いなんて、乙宗先輩も言うんですね……」
梢「ふふっ、綴理とはもう丸一年の付き合いだから。……それで、やっぱりあの子の相手は大変じゃない?」
さやか「いえ、そんな。わたしはただ、夕霧先輩のサッカーをもっと見ていたくて、もっと勉強させてもらいたくて、そのためならやれることは何でもやろうって、そう思っているだけで。……学ばせてもらっている立場ですから」
梢「そうねぇ。綴理のサッカーは、魔性だわ……。一度見た見た技を全て使えて、努力だけでは到達できないと思わせるような……」
さやか「乙宗先輩?」
梢「ああ、ごめんなさい。村野さん、頑張ってね」
綴理とは一年前からの仲である梢。それ故に結構変わり者である綴理と付き合うことは大変であることを知っていた。そして、さやかが憧れるような綴理のすごいところも。
梢「もちろん、困ったことがあったらいつでも聞いて?」
さやか「は、はい……ありがとう、ございます」
梢「これからも大変でしょうけど、私はあなたの苦労が分かると思うから」
さやか「あ、はは。大丈夫ですよ! 好きでやっていることですから! ……それに、夕霧先輩だけじゃなくて、最近は朝香先輩のことも起こしに行ってますし」
梢「朝香さんのことも? あの子、しっかりしているように見えるのに……。私よりも大変みたいだけど、くじけないでね、村野さん」
どうやらお世話している人間がもう1人いた模様。それを聞いた梢の心配に、胸を張った返事で返すさやかであった。
―グラウンド―
放課後になり、いつも通りサッカーの練習に励むサッカー部。今日から涼太の考えた特訓プランを行うことに。
涼太「まず、梢さんと果林さんは俺と一緒にサッカーの試合を見よう。俺の弟が試合を録画してるから、そこからプレーを分析するんだ」
果林「あなたの弟……と言うと、あなたの世界の蓮ノ空のプレーが見られそうね」
梢「参考にさせてもらうわ」
涼太「ああ。俺の知っているあなた達なら、絶対にモノに出来る。そう信じて試合を見せようと思う」
涼太「次に、絵里さんと花帆さんはフィジカルトレーニング。要するに腹筋とかで体を鍛えよう」
花帆「うぅ……ボール蹴りたいよぉ……」
圭助「我慢するんだ。……と言いたいところだが、同じようなトレーニングばかりでは飽きてしまうのも事実だ。せっかく涼太くんがいて、かつ乙宗から離れて特訓するわけだし、ここはまた違ったフィジカルトレーニングをやってみよう」
涼太「ですね。絵里さんと花帆ちゃんにはこれを使って、裏山で特訓してもらおうか」
試合が楽しみな花帆にとって、ボールを使わないフィジカルトレーニングは結構苦痛。せめて少しでも楽しみが出来るようにと、涼太は長いロープと5キロの重りを用意する。
涼太「ロープを木の枝に引っ掛けて、先端に重りを繋げる。そして、逆の先端からロープを引っ張ってみて」
絵里「ロープを使って重りを持ち上げるという訳ね」
花帆「お、重そう……そもそも持ち運べるかなぁ……」
四季「私が重りを運ぶの手伝う。裏山の良さげな木も知ってるから」
花帆「ありがとー! でも四季ちゃんは大丈夫?」
四季「大丈夫。私の練習はシャーペンと筒があればどこでも出来る」
花帆「しゃ、シャーペン!?」
四季「反応速度を上げるために、筒にシャーペンを落としてそれを取る練習やってる。どこでも出来るから、部屋でもやってる」
涼太「いいぞ。じゃあ四季さんにはその練習をしながら花帆ちゃんのサポートをしてもらおう」
手軽に出来る練習であるため、サッカー部の活動が終わっても積極的に練習を行っていた四季。そのおかげで他のメンバーの練習のサポートにも回れるようだ。
涼太「歩夢さん、レアンさん、さやかちゃん、塔子さん、海未さんには2vs3でサッカーバトルしてもらおう。歩夢さんとレアンさんがオフェンス側で、残り3人がディフェンス側で。昨日指摘したことを意識しながら動いてみて」
さやか「サッカーバトル……ですか」
歩夢「2vs3……私が動かなきゃ絶対負けちゃう」
塔子「歩夢、思いっきり動いてみなよ! きっと、あたしが思いもしないすっごいプレーできるからさ!」
海未「歩夢が積極的に動かないと練習が成立しないように出来ていますね。責任重大ですよ、歩夢」
歩夢「う、うぅぅ~~~! 緊張しちゃうよぉ!」
続いて指示されたのはオフェンス側に不利なサッカーバトル。歩夢を筆頭に、昨日の指摘を改善することを求められる環境として出来上がっている。
涼太「圭那ちゃんと恋さんはシュート練習。より強いシュートが撃てるように色々教えるから実践してごらん」
圭那「オッケ!」
恋「まずはシュートから、ですね」
涼太「そして綴理さんだが……」
―裏山―
花帆「ぐぐぐぐぐ……」
ロープで重りを持ち上げる練習を始めた花帆と絵里。腕に力を入れてロープを引っ張り、重りを吊り上げた状態で踏ん張る。
ドスンっ!!
花帆「ふぅっ、なんとか10秒持った……よ」
絵里「これを持ち上げる時間を伸ばしながら、何回もやりたいところね」
重りを持ち上げ続けることで上半身の筋肉に負荷がかかり、フィジカルトレーニングになる寸法だ。より質の良いトレーニングをするなら、持ち上げる時間や、重りの重さを増やしたいところである。
綴理「かほ」
花帆「あっ、綴理センパイ!」
絵里「私達の練習、見に来てくれたのね」
綴理「“ていきてき”に……ってあの人が言ってたから」
綴理が練習をしている花帆達の所に駆けつける。もちろん、綴理もただ練習を見ているだけなわけではない。
絵里「私達の特訓を観察して、どうすればより効率よく特訓できるか考えてみてって言われたのよね」
綴理「うん」
花帆「じゃあ、あたし達の練習、見てくださいね!」
綴理は涼太から「定期的に場所を変えながら練習しているメンバーを観察して、メンバーに必要なことをアドバイスすること」を指示されていた。こうすることで、観察力を養うことができるらしい。
綴理「えっと、先にかほやえりに謝っておくと、ボクはこずみたいにはできないから、そこだけごめん」
花帆「えー、そんなのぜんぜん気にしないでくださいよー」
絵里「そうよ。綴理だって慣れないことやってるんだから」
花帆「そうそう。だから大丈夫! なんでもこい! です!」
そう言うと花帆と絵里は再びロープを引っ張り、腕に力を入れて重りを持ち上げ始める。綴理はそんな2人の練習を見て、口を開く。
綴理「あ。かほ、もっと、えびみたいに……」
花帆「は、はい! ……って、えび!?」
絵里「私みたいにの間違いかしら?」
綴理「ううん。えりじゃなくてえび」
四季「えび、えび、えび……」
綴理がアドバイスをするが、独特で何のことかさっぱりの2人。練習道具を用意していた四季が必死で意味を考えてみる。
四季「わかった。花帆、前屈みになるように腰を捻らせながら引っ張ってみて」
花帆「えっ、えっと……こうかな!?」
花帆は腰を思いっきり捻らせてロープを引っ張った。花帆の姿勢が変わると同時に、勢いよく重りが「ぐいっ!!」と持ち上がる。
綴理「あ、えびになった」
四季「よし。当たり」
絵里「なるほど。言われてみれば……」
綴理の思うような姿勢になったことで、絵里も答えを見て綴理の言う事がピンと来たようだ。要するに身体を捻らせ、上半身をすべて使って引っ張れということである。
綴理「じゃあ、そこからえだまめになって、もっかいえびに……」
花帆「ひーん!!」
絵里「こういうことでしょう?」
絵里は花帆と同じように腰を捻らせて重りを持ち上げた後、少しだけ体勢を戻す。そしてもう一回腰を捻らせて重りを持ち上げる。
綴理「えり。すごい」
四季「正解みたい」
花帆「絵里センパイ、もうどんな感じか分かったんですか!?」
絵里「今のはたまたまよ。腹筋や腕立て伏せみたいに何度も同じ動きをした方がトレーニングになるんじゃないかって考えてて、ピンと来ただけ」
花帆「ああ、なるほど」
絵里に解説されて綴理の意図が理解できた花帆。絵里と同じ動きをしてトレーニングに励む。
花帆「なんだか軽くなってきた……どんどん持ち上げちゃうぞーー!」
絵里「綴理のアドバイスで、力が入りやすくなったおかげね。次はもう少し重くしましょう」
綴理「かほもえりも、やりやすくなったみたい」
花帆「はい! ありがとうございます。綴理センパイ!」
四季の助言がありながらも、綴理のアドバイスのおかげでより質の良い練習がやれるようになった花帆と絵里。綴理自身も2人に何が必要かを見極めることが出来たため、プラスになっている。
綴理「しき、練習手伝っていい?」
四季「はい。お願いします……」
次は四季の練習の観察やサポートをすることにした綴理であった。
綴理のセリフむっちゃ苦労する……
解釈違いとか特に起こりそうで……
この創作にいきづらい部のメンバーを追加するなら、麻生麻衣ちゃんと誰がいい?
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高橋ポルカ
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五桐玲
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駒形花火
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金澤奇跡
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調布のりこ
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春宮ゆくり
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此花輝夜
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山田真緑
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佐々木翔音
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追加メンバーは1人が良い
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メンバーを追加するべきではない