実はボク、ヤドンが大好きですやぁん
―グラウンド―
【真蹴球戦士】の集まりから一夜明けた朝。いつも通りサッカー部の朝練は行われる。しかし、練習の前にまずは圭助からの連絡が行われる。
圭助「圭那と財前と上原だが、事情があって外出をすることになった。既にこちらで外出の許可は出してある。とにかく、しばらく3人は不在だ」
涼太「試合の時は俺が助っ人入ります。一緒にサッカー、頑張りましょう!」
梢「ありがとう。涼太さん」
花帆「サッカー、とーーっても上手そうですし、すごいプレー見せてくれそうですね!」
涼太「お、おい、あくまで主役は花帆さん達なので……歩夢さんと圭那ちゃんの穴埋め程度ですよ、俺のやることは」
さやか「2人分の穴埋めをしている時点で充分過ぎる気がしますが……」
この世界に来た時から花帆達には想像もつかない程強そうなオーラを放っている涼太。事実実力はあるので彼のプレーをとことん見たいところだが、涼太としては蓮ノ空を強くすることが目的であるためそうも言ってられない。
圭助「それで今日の練習だが、オフェンス陣とディフェンス陣に分かれてサッカーバトルだ。オフェンス側はゴールを、ディフェンス側はボールを奪えば勝ちだ。」
涼太「メンバーは固定。DFとGKがディフェンス側にまわってもらいます」
梢「私もディフェンス側にまわった方がいいかしら。財前さんがいないのなら、ディフェンスを指揮する人がいないでしょう?」
涼太「それなんですけど、敢えてディフェンス側の司令塔はなしでいきます」
果林「涼太くん、実はさやかちゃんや綴理に自分で考えてもらって、昨日見た映像みたいなプレーが出来ればって考えてるみたいなの」
梢「ああ、あれね。確かにあれが出来れば、守備の方はかなり動きが良くなりそうだわ」
さやか「なんですか? あれって」
果林「それはね……」
果林は昨日映像で見た、涼太の世界の蓮ノ空のプレーを説明。各自が自分で考え、そのうえで最適な行動を併せて連携していたことを話した。
さやか「そんなことが……」
綴理「ボクがボクの考えで動く……それでさややうみとあわせる……」
涼太「あんまり難しく考えず、とりあえず自分で考えて動くってことを意識してもらえたらいいですよ」
圭助「そうだな。習うより慣れろって事で早速やってみよう」
サッカーバトルの準備を始める蓮ノ空。四季・さやか・綴理・海未がディフェンス側に立ち、オフェンス側には花帆・梢・果林・恋が立つ。
花帆「それじゃあ、いきますよーー!!」
梢「ええ」パスっ
フィールドに立ったところで早速バトル開始。梢が花帆にボールをまわす。
花帆「いっくよ~~!」
さやか「勝負です! 花帆さん!」
綴理「ボクと勝負だよ、かほ」
海未「っ!? 待ってください! この状況でいきなり2人がかりは!」
果林「こっちよ!」
花帆「お願いします、果林センパイ!」パスっ!
ドリブルで突破を図る花帆。それに対してディフェンス陣が動くが、さやかと綴理が2人同時に花帆に突っ込んでしまい、他のメンバーがフリーになってしまう。
果林「取れるかしら!」ドガァっ!!
四季「……!」
ボールを受け取った果林はいきなりシュートをゴール右隅に向けて放った。ゴールからはまだ距離があるが、だからこそ意表を突く一撃となる。
四季「はぁっ!」ガチィ
四季はすぐさま跳躍してシュートをキャッチ。シャーペンを見えない状態で取る特訓の成果が、反応速度という形で出ている。
涼太「ナイスキャッチ。まずはディフェンス側の勝ちですね」
海未「今のはもったいないですよ、果林。私達がミスをしたのですから、あんなに急いでシュートを撃たなくても……」
果林「あ、あれは四季ちゃんの練習の成果を見たかったのよ」
涼太「なるほど。確かにあの局面、普通はいきなりシュートを撃ってきたりはしないだろうってキーパーは考えますからね」
四季「正直、ハッとした」
せっかくの得点チャンスをいきなりのシュートで無駄にしてしまった果林。しかし彼女なりの狙いがあったようで、涼太も肯定的だ。
涼太「それよりも、ディフェンス陣に課題がありますね」
さやか「はい……ごめんなさい。夕霧先輩。先輩が花帆さんの方に向かうと言っていたのに……」
綴理「先にさやが言ってたよ。だからボクが悪い。……ごめん」
海未「誰に誰があたるか、事前に決めておきましょうか?」
四季「それだとパターンを読まれてすぐに抜かれる。ただでさえこっちが人数少ないし」
果林「それに、そのやり方じゃさやかちゃんや綴理が自分で考えているとは言えないでしょう?」
海未「うむ……それもそうですね」
花帆「綴理センパイ、ここは何度もトライですよ! あたしと梢センパイも、それで伝統の技を覚えたんですから!」
梢「何回かやらないことには、どうやって良くしていけばいいかも見えてこないと思うわ」
綴理「うん、わかった。ボクなりにがんばってみる……」
一度のミスだけでは課題点は洗い出しきれない。何度もトライアンドエラーを繰り返して初めて自分に何が足りないかが見えてくるのだ。
……そういうわけで、綴理とさやか、海未は自己判断でディフェンスをしていくのだが……
綴理「……」
さやか(夕霧先輩は花帆さんをマークしてる。……それなら)
さやか「止めます!」
恋「果林さん!」パスっ!
さやか「なっ!? ……このっ!!」ギュンっ!
ボールを持っている恋に向かうが、いつの間にか真横にいた果林に向けてパスを出される。慌てて横に身体を動かす。
さやか「ああっ!?」ドスンっ!
果林「!! ……大丈夫!?」
しかし転倒してしまう。無理のある体勢の変え方だったようだ。
海未「花帆、勝負です!」
花帆「果林センパイのマネして……とりゃあーー!!」ダっ!!
また別の場面。海未が花帆の相手をするところ、花帆はジャンプで海未を跳び越した。
さやか「なっ! 花帆さんにあんなことが!?」
綴理「かほを止めないと!」
花帆のプレーに思わず注目するさやかと綴理。2人とも花帆を止めようと走り出す。
ドンっ!!
さやか「あああっ!」
綴理「ううっ!」
しかし同じ人間のもとに走り込んでしまったことで、2人は激突してしまう。勢いよく身体をぶつけ、お互いに転倒してしまった。
花帆「さやかちゃん! 綴理センパイ! 大丈夫ですか!?」
さやか「は、はい……」
涼太「やめやめ! ちょっと来てください!」
転倒した2人を見て、手を叩いて練習を中断させる涼太。さやかと綴理のプレーに思うところがあるようだ……
涼太「さやかさん、プレーが危なっかしすぎる! あんな動き方してたらケガするぞ!」
果林「そうよ。今までケガしてないのが不思議なくらいよ……」
さやか「ごめんなさい……。綴理センパイ、わたしが未熟なばかりにぶつかってしまって……」
綴理「さや……ううん、ボクがちゃんと見てなかった。ごめん」
自分で考えてプレーするのはいいが、どうしても激突が起こったり、そもそもさやかがケガしかねないプレーをしていたりで、練習どころではないようだ。さやかと綴理が謝る中、圭助は頭を抱える。
圭助「困ったな……練習させようにもこれではケガのリスクが……」
さやか「でも、このままじゃ試合の時に守備が目も当てられないことに……お願いします。もっと、安全に練習しますから……」
圭助「頼んだぞ。とりあえずいきなり方向転換するのだけはやめよう。……とはいえぶつかってしまうのはどうしたものか……」
涼太「さやかさん、綴理さん。同時に走って向かうのはいいですけど、一人が行ったらもう一人はその後ろに控えた方が良いですよ。さやかさんが先に動いたら綴理さんが後ろに、綴理さんが先に動いたらさやかさんが後ろに控えると決めておくんです」
さやか「ありがとうざいます。早速実践しますね」
さやかや綴理のケガにつながりかねないプレーを改善させ、再びサッカーバトルをさせる。今度はぶつかったりしないと思われたが……
ドンっ!!
さやか 綴理「あああっ!」
梢「村野さん! 綴理!」
恋「これで4回目ですね……」
涼太から教わった方法を実践しても、どうしても激突してしまう。方法を決めていても、実際にその通りに身体を動かせるわけではないのだ。
綴理「うみ……うみはどうしてぶつからないの?」
海未「近寄っていないだけです。夕霧先輩とさやかが同じ所に走り込むのですから、その間他の所はがら空きですので」
さやか「そ、そうですね。海未さんにも迷惑をかけてしまって……」
海未「大丈夫ですよ。私なりにどうすれば適切か考えているだけですので」
涼太「……」
海未が自分の行動を説明する中、涼太が歩み寄ってくる。さやかと綴理の衝突が相次ぐことに関して、フィードバックを行うようだ。
涼太「どうやら、意思疎通ができてないみたいですね。だからどうすればいいのか決めていても、実際に行動を起こすタイミングが分からないんですよ」
綴理「いし……そつう?」
海未「自分は今からこうする、ということをさやかに伝えるんです」
涼太「そう、それです。……もっとも、海未さんもただ2人から離れているだけで、意思疎通が出来ているとは言えませんけどね」
海未「む……確かにぶつかることを怖がり過ぎていましたね」
さやかと綴理がどうしてもぶつかってしまう原因。それは意思疎通が出来ていないことにあった。いつもであれば塔子が指示を出すことでDFを動かしてくれるため、ミスでもない限りはぶつかるなんてことは起きないが、自分で考えて動く場合、周りに自分がどう動くかを伝え、周りはどう動くのかを理解しなければならないのだ。
涼太「声掛けとか、アイコンタクトとか、やった方がいいですよ。今までは塔子さんの指示でやれていたかもしれませんけど、一人一人と意思疎通が出来ていないチームプレーは、全国とか世界では通用しませんよ」
綴理「世界……」
涼太「そうです。世界です。俺の知ってる綴理さんなら、世界だって目指せると思いますよ。それに、せっかくサッカー選手になれたなら、とことん上を目指してみたいでしょう?」
綴理「……ごめんね」
涼太「えっ」
綴理の突然の謝罪に戸惑ってしまう涼太。そんな彼をよそに、綴理はさらに言葉を続ける。
綴理「ボクは、キミの世界のボクとは違って、サッカー選手じゃない……だからボクは、キミが思うほど強くなれない」
涼太「な、何言ってんだ! なんでもう諦めてしまってるんですか!」
梢「……」
高みを目指すことを諦めてしまうような綴理の発言に、涼太の語気が強まってしまう。梢は何も言えず、目を細めてその状況を見つめていた。
綴理「だって、ボクは、サッカー選手じゃない……ごめん」
ダっ!
涼太「あっ! 待て!」
どうすればいいのか分からなくなってしまった綴理は走り去ってしまう。練習中であるため涼太は止めようとするも、
圭助「……どのみちもう朝練が終わる時間だ。ひとまず解散しよう」
さやか「はい……」
圭助「それと、夕霧と同じクラスのメンバーは、今は夕霧の事をそっとしておくように。ホームルームとか授業中に問い詰めるなよ」
果林「いいの? 涼太くんがここに来る前からあの子、どう見ても何かあったように思うけれど」
圭助「だからこそだ。きっと相当デリケートな問題なんだろう。こういうものは準備を整えて、然るべきタイミングで話題にしなければ余計にこじれる」
梢「私からもお願いするわ」
果林「……分かったわよ」
監督の圭助だけではなく、キャプテンであり綴理と特に付き合いのある梢にも言われて、大人しくすることにした果林。この世界に来てまだ1ヶ月程度の自分が、勝手に詮索するのは違うと感じているようだ。
さやか「ごめんなさい……わたしがうまくやれないせいで……」
花帆「さやかちゃんは悪くないよ! 綴理センパイや海未ちゃんと一緒に、うまくなる途中なんだから!」
涼太「……」
綴理の様子がおかしいのは自分のせいだと思っているさやか。そんな彼女を花帆が励ます中、涼太もさやかに何か言おうとするが、話すどころか近づくこともしなかった。
涼太(さやかさん……ハッキリ言ってDFに向いていない。あのサッカーは完全にストライカー向けのサッカーだ)
涼太(ディフェンスの当て方が悪いのは前ばかりを向いているから。綴理さんとの接触が多いのは、意思疎通の問題の他にもボールに向かって突っ込むのが非常に早いから。これは両方ともストライカーの習性だ)
涼太はさやかのプレーを見て、彼女がDFに向いていないと確信していた。彼も自分の世界で王者雷門のストライカーを務めているからこそ、さやかのプレーからにじみ出るストライカーの習性を見抜いたのである。
涼太(しかし、DFに向いていないとか、ポジションを変えろとか、外野の俺が言うのはさすがに出しゃばり過ぎだな。……さやかさんのことは圭助さんに伝えはするが、このことはこの世界の蓮ノ空のみんなに、どうするか決めてもらうか)
この創作にいきづらい部のメンバーを追加するなら、麻生麻衣ちゃんと誰がいい?
-
高橋ポルカ
-
五桐玲
-
駒形花火
-
金澤奇跡
-
調布のりこ
-
春宮ゆくり
-
此花輝夜
-
山田真緑
-
佐々木翔音
-
追加メンバーは1人が良い
-
メンバーを追加するべきではない