これを足掛かりに、さらに躍進できるよう精進します。
翌日。花帆達はその日の授業を受けた。そして放課後…
歩夢「さやかちゃん、四季ちゃん、サッカー部、行こ」
さやか「分かりました。改めて、今日からよろしくお願いします」
四季「うん…」
サッカー部に入った3人は早速サッカー部へ。さやかを仲間として迎える決心はついたが、四季の反応はまだぎこちない。
歩夢「四季ちゃん…」
四季「大丈夫。歩夢の言ってることは間違ってないから…」
さやか「どうかされましたか?」
歩夢「ううん。…あ」
歩夢が四季と昨日のことも交えた話をする。その最中に見覚えのある人影が。
さやか「乙宗先輩!」
梢「あら。村野さんに、若菜さんに、上原さん。日野下さんはこの教室で合ってるかしら」
歩夢「はい。私達、4人は同じクラスです」
四季「多分まだ教室の中にいると思う…」
人影の正体は2年生の梢。自分たちの教室から花帆を迎えに来たようだ。そしてそのまま教室の中に入っていった…
花帆「こ、梢センパイ!ど、どうしたんですか!?」
席に座って何かを考えていた花帆はひょこっ、と現れた梢にびっくりして立ち上がる。梢はすぐに要件を話す。
梢「こんにちは、日野下さん。早速、先日言っていたお手伝いの件なのだけれど、きょうはどうかしら?」
花帆「だ、大丈夫です」
梢「それはよかったわ」
花帆には断る理由もないため、お手伝いを承諾。2人で教室から出ていった。
―倉庫―
梢「日野下さん、せっかくの一人の時間を邪魔しちゃって、ごめんなさいね」
花帆「あ、いえ、そんなぜんぜん。なんというかー…現実逃避していただけなのでー…」
花帆の時間を割いたことを最初に謝る梢。しかし花帆は理由をつけてそんなことはないといった感じに返す。
梢「あら、なにか嫌なことがあったの?」
花帆「うえっ!?そ、それは…あの、その…」
梢は花帆が現実逃避したいほどの事があったのかと心配する。聞かれた花帆は少し焦ってしまうが、その後に話す。
花帆「その、実は…クラスの子のひとりが、もしかしたら学校辞めたいって思ってて…あ、いや、思っているみたいで」
梢「まあ、そうなの。どうしてそんな風に思うのかしら」
花帆「えっと…どうも入ってみたら、ぜんぜん思ってるのと違ったみたいで。それで、他の学校のパンフレットとか取り寄せてるらしくて…」
梢「確かに、年頃の女の子が三年間過ごすには、なかなか窮屈な環境をしているものねえ。クラスメイトさんの気持ちも、少しわかるわ」
花帆「で、ですよね…」
花帆の話すことに理解を示す梢。ちなみにこれは本当の話ではない。…厳密には花帆がやろうとしていることを架空のクラスメイトに置き換えて話している。
梢「その子は、どんな学校で過ごしたかったのかしら」
花帆「どんな学校が、っていうか…たぶん、どういう風に過ごしたかったのか、だと思うんです。もっと毎日が華やかで、キラキラしてて、楽しそうな友達に囲まれて、楽しそうに過ごしてて…」
梢「その子にとって、蓮ノ空はそうじゃなかった、のね」
梢はそこから考えるポーズをとる。そして、すぐに考えが浮かんできたようだ。
梢「ねえ、だったらこういうのはどうかしら。日野下さんがその子のために、この学校を楽しくしてみせる、っていうのは」
花帆「えっ、この学校を!?そ、そんなこと、ムリですよ!」
梢「あら、どうして?案外ね、自分の好きっていう気持ちは、思ったより周りの人に伝わるものなのよ」
花帆「好きな気持ち…確かに、センパイのサッカーは、とっても素敵でした、けど…」
梢の提案に乗ることが出来ない花帆。それもそのはず、そのクラスメイトとは自分の事なのだから…
―グラウンド―
梢「よいしょ、と。ああ、カラーコーンはその辺りに適当に積み上げてもらって大丈夫よ」
梢と話した後、当初の予定通り梢の手伝いをする花帆。歩夢やさやかがウォーミングアップをしている間に、練習に使う備品をグラウンドに用意する。
花帆「これは何に使うんですか?」
梢「それはね…これからみんなに伝えようと思うわ」
そう言うと梢はサッカー部のメンバーのもとへ。サッカー部の監督となった圭助も来て、ミーティングを始める。
梢「みんな…改めて、この蓮ノ空サッカー部に入ってくれてありがとうね」
綴理「ちょっと前まで2人だったのに、すごくにぎやかになった」
梢「特に葉月さん達は…転校してきたのにすぐに新入部員を勧誘できるなんて、本当にすごいわね。私はまだ一人も勧誘出来ていないというのに…」
恋「え、ええ…」
圭助「…」
初日に圭助に連絡されてサッカー部に入った《真蹴球戦士》の1年生たち。しかし、さすがに監督が直々に5人誘ったなど不自然なので、絵里が海未と塔子、果林が歩夢とレアン、恋が四季を勧誘したということで話をまとめている。
梢「2年生の勧誘と、1年生のみんなの関心と熱意のおかげで、今年はこんなに早く試合に必要な人数を揃えることが出来たわ。これをぜひ活かしたいと思って、来週、早速練習試合を行うことにしたわ」
圭助「この練習試合、蓮ノ空サッカー部として、チームで戦うことに関して経験が得られるはずだ。これは早ければ早い程プラスになると判断している」
さやか「11人で試合してどのようなプレーになるかを確認するには、練習試合しかありませんからね」
梢「村野さんの言うとおりね。もっと大所帯のサッカー部なら紅白戦で手っ取り早く確認できるのだけれど…そうもいかないから、他校と練習試合をする形になったわ」
歩夢「緊張する…」
海未「1週間で実戦…ですからね」
練習試合の連絡に初心者組は特に緊張していた。サッカーを始めていきなり試合。サッカーでなくともそういった状況になれば緊張するだろう。
圭助「そんなに気負う必要はない。このメンバーで試合をしたらどうなるか、それを確認するのが今回の練習試合の目的だ」
梢「上原さんと園田さんは、最初に基礎を固めましょう。そこで使うのが日野下さんが持ってきてくれたこのコーンよ。日野下さん、コーンを一列に並べてちょうだい」
花帆「あ、はい!」
ここで花帆が持ってきたコーンの出番となる。梢は花帆にコーンを並べさせて、この練習について解説。
梢「これは“コーンドリブル”といって、身体の動き創りを目的とした練習よ」
レアン「自分の身体も上手く動かせないんじゃ、ボールを操るなんてムリ。そのための練習って事」
海未「確かに。武器をただ持っていてもしっかりした動きが伴わなくては力を発揮できませんからね」
梢「そう…かしら。とにかく、この1列に並べられたコーンを、どちらの方向からでもいいから、ジグザグにボールを持って走り抜けてみてちょうだい。最初は失敗しても気にせず走り抜けてみるのよ」
歩夢「はい…!」
初心者2人はまずはコーンドリブルで体を上手く動かせるようにする。早速ボールを持ってコーンをジグザグに駆け抜けてみるぞ。
梢「言い忘れていたわ。ドリブルする時はボールではなく前を見るのよ」
歩夢「えっ、ボールはトモダチってテレビで聞いた事ある気がしますけど…」
梢「確かにボールはトモダチなのだけれど、ボールを蹴る事ばかり考えて周りが見えなくなると良くないわ」
海未「剣を振るう際に、自分の剣ばかり見ていても相手に当たりにくいですからね」
歩夢「わ、分かりそうで分からないー…」
花帆「じゃあ…あたしが歩夢ちゃんだけじゃなくて、さやかちゃんや四季ちゃんとも、友達になるみたいな感じだよ!」
梢「良い例えね、日野下さん。サッカー選手たるもの、ボールだけじゃなくてフィールドや他のプレーヤーともトモダチになるのよ。だからこそ、前を見て視野を広げる必要があるというわけね」
梢からボールを操る際のコツを教えてもらう。ボールを見る癖がついてしまうと後々大変なので、最初のうちに前を見ることが出来るようにしておきたい。
歩夢「よし…!」ポンッ
歩夢はボールを蹴り出して早速練習を始める。前を見ることを意識して、コーンを避けながら…
ポンッ!
歩夢「あっ!」
しかしボールをあらぬ方向へ蹴り出してしまう。初心者だとボールに意識を向けていないとこうなってしまう。
海未「おっと!」
歩夢「あ!海未ちゃん、ごめんなさい…」
海未「大丈夫です。気にせず前に進みますよ」
ボールは同じ練習をしていた海未のところに転がってしまう。海未はすぐに歩夢にボールを返し、ドリブルを続ける。
海未「…」ギュンっギュンっ
歩夢「すごい…」
歩夢はそんな海未を見てその技術に惚れる。海未は華麗な身のこなしで、ボールを操りつつコーンをジグザグに突破していた。
花帆「すごーい!海未ちゃん、とってもスムーズ!」
海未「ここに来る前は剣道や弓道の指導を頂いていましたので。身のこなしは心得ているつもりです」
歩夢「だからさっき剣の話をしてたんだね…」
海未は前の世界では園田流という武術に関する習い事をしていた。足で蹴るボールは手に持つ武器とは少し勝手が違うが、体術は身に付けているため、コツさえ教えてもらえばすぐにボールを操って動けるようになったようだ。
歩夢(四季ちゃんもレアンちゃんも塔子ちゃんも経験者…海未ちゃんも習い事してる…私だけ完全に出遅れてる…)
梢「…日野下さん」
花帆「は、はい」
自分より実力が上の同級生しかいないことに悩む歩夢。それを見た梢はケアする方法を考え付いた。
梢「日野下さんも、せっかくだからあの練習、やってみてちょうだい」
花帆「えっ、あたしもですか!?」
梢「身体の動かし方を覚える練習だから、新しいことを始めるにしても日野下さんにとってもムダにならないわ。それに…園田さんは次の練習をさせた方がいいのだけど、それだと上原さんが一人寂しく練習することになってしまうでしょう?」
海未は身体を思うように動かせるようになっているため、他の先輩や経験者と同じ練習をさせた方が適切だと判断される。しかし、それでは歩夢が一人寂しく練習することになってしまうため、花帆もそばにいてあげて欲しいようだ。
花帆「分かりました…それは確かに辛いですからね!」
梢「ありがとう。園田さん、こっちに来てもらえるかしら」
海未「はい」
花帆は了承する。梢に呼び出された海未と入れ替わる形で歩夢の隣に立つ。
歩夢「花帆ちゃん!?…花帆ちゃんも一緒に練習するの?」
花帆「うん!うさぎさんは寂しいととってもストレスになっちゃうからね」
歩夢「う、うさぎさん…?」
花帆「うん。あゆぴょんだよ!」
歩夢「ぴょーん!?」
うさぎに例えられて混乱する歩夢。それはそうと、お互いにコーンをボールキープしながら駆け抜けるぞ。
花帆「前を見て…うおおー!」
がこんっ!がこんっ!前向きに花帆は元気よく走ってみる。うまくカーブできずコーンにぶつかってはいるが…
花帆「ついたー!」
歩夢「花帆ちゃん、すごくコーンにぶつかってたよ…」
花帆「センパイも最初は失敗しても気にしないでって言ってたし。最初はこれくらい楽しく、元気よくだよ!」
歩夢「そっか…私もそうしてみるね。えいっ!」
慎重に慣れようとする歩夢とは対照的に、元気よく駆け抜ける花帆。歩夢もその元気の良さに感化されて、一緒に元気よく駆け抜けてみる。
花帆「…」
…のだが、何回か走る内に、花帆は立ち止まって向こう側をじっと見つめてしまう。
花帆「さやかちゃん…」
歩夢「花帆ちゃん、どうしたの?」
花帆「…」
歩夢に話しかけられるも、そちらを向かず向こう側…梢達が練習しているところを見つめている花帆であった…
さやか「乙宗先輩、お願いします!」パスっ!
梢「ナイスパスよ、村野さん」パスっ
果林「ありがと、上手くつながったわ!」ドガァっ!
花帆と歩夢が基礎練習をしている間、残ったメンバーはフォーメーションを組んでパス練習と、FWが必殺シュートを編み出す練習をしていた。チームワークの強化、そしてそれを活かした攻めの練習を早くも行っており、もう綺麗にシュートまでつなげている。
花帆「ごめんね、歩夢ちゃん。あたし、歩夢ちゃんの気持ち、分かる気がするよ…」
歩夢「花帆ちゃん…」
その後、全員同じことをしてその日の練習は終わりとなった。
梢「日野下さん、今日はありがとう」
花帆「はい!…梢センパイやさやかちゃんが練習してるところ見てましたけど、もう色んなことが出来て、確かにすごかったです」
梢「なんだか、一歩先を行かれた気分?」
花帆「そっ、そういうわけじゃ、ない……と思います、けど」
梢「ふふっ、ごめんなさい、ヘンなことを言ってしまって」
梢は花帆に協力してくれたことに感謝を伝える。そして、花帆が練習を見た感想に関して少し気になったようだ。
梢「というわけでね、来週の練習試合は、ちょっと例年より気合を入れてるの。せっかく日野下さんがお手伝いしてくれているんだもの。絶対に実りある練習試合にして、勝ってみせないとね」
花帆「そんな、あたしなんてぜんぜん。その、新しいことを始めるまでの、途中、みたいな感じですから」
梢「そう、でも嬉しいわ。いいところを見せなくっちゃね。あなたにも、そして」
梢「学校を辞めたがっているっていう、その子にも」
花帆「…」
梢の決意に花帆は目を閉じて複雑な表情をする。そしてそこに秘められた感情を隠そうとするように、少ししてから口を開く。
花帆「はい、あの、あたし、せめて一生懸命、手伝いますね!」
梢「とっても助かるわ。まるで、サッカー部のマネージャーさんみたいね」
花帆「じゃあそれです!」
梢「うふふ、それじゃあまたしばらく、よろしくね、花帆さん」
花帆「…はい!」
お互いににっこりしながら明日からもお世話になる約束をする。そして、この日は解散となり、花帆は自分の部屋に戻っていく。
花帆(センパイ、きれいに花咲いてて、素敵だった…あたしは…!)
その道中で、再び思い悩む花帆であった…
レジェンドラブライブ×イナイレ選手による、リアルテクニック講座をやろうと考えています。
リアルテクニックは今作は色々採用したいのですが、ただ用語だけ出ても何をしてるか分かりませんからね…