先史文明研究員がテラ人になって転生し続けている話   作:Calく

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テラ歴1030年〜:バベル
【幕間】魔王と炎魔の、あるフェリーンに関しての会話


知っておられたのですか、殿下。

 ……あのフェリーンがこのカズデルを灰にしたというのに。

 いえ……それどころか私の……深い秘密まで、貴方はご存知のようだ。

 魔王は、サルカズのすべてを知り得るとは言え――やはり、貴方は強大な魔王の一人と言えるでしょう。

 貴方はあの時、私の全てを知り得ていたのですか、殿下。

 ……わずかな記憶といえど、私と……あのフェリーンのわずかな繋がりを……関係性を……知っていたと?

 貴方はやはり恐ろしいお方だ、魔王殿下。

 それを知り得ていた上で、スヴェルドフレムという男を見極めようとなさるなど。

 あの時、貴方が止めていなければ――私の剣はあのフェリーンの首を落としていた。

 あれは私に仇を討たせるものではない――貴方から私への試練だった。

 あの一瞬の記憶の繋がりを経て、敵意を失わなければ。

 ――殿下は一瞬で私の命を絶っていたことでしょう。

 

 

 

 記憶の繋がりを経たとしても、あのフェリーンがサルカズの……我らの怨敵、カズデルを滅ぼした元凶であることに変わりないというのに。

 

 それでも尚、奴の手を取れと?

 

『確かに彼女は、……あの侵攻の主導者とも言えるわ。けれど、ケルシーが積上げてきたこれまでの信頼は裏切らないわ』

『……かつて灰燼になったこのカズデルを築き上げることができたのも、彼女の協力があったから。

 だから、どうか――許せとは言わないわ。あなたの目で見て、判断して欲しいの。私の騎士さん?』

 

 殿下の……ご命令とあらば。

 これからあのフェリーンにあうのですか?

 サルカズと異族が対等な話し合いですか……。

 ああ、なるほど。

 以前の私と奴の関係は、顔見知り程度のものです。

 そう実りある会話など……いえ。

 殿下がそう望まれるのならば――。

 

 念の為、この会話記録は自動的に破棄されるようにしましょう。

 旧い巫術の応用ですが、それでも他国のモノ程度にはマシでしょう。

 

 この話し合いを、貴方はどう捉えられているのでしょうか、殿下。

 カズデルが、より良い国になる為に、ですか。

 あのフェリーンは最早カズデルの敵ではないと?

 ……百年ほど共に過ごした殿下と異なり、私は数年足らず。

 信用も信頼も、到底持ち得る程の時間を過ごした訳ではありません。

 私は一介のサルカズに過ぎませんが、それでもこのカズデルは私の故郷です。

 サルカズの敵が、我らの敵がこのカズデルを襲うのならば。

 私は貴方に振るわれる刃となりましょう。

 テレジア殿下。

 ……カズデルが滅び去るまで、私は同胞の為に力を尽くしましょう。






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