先史文明研究員がテラ人になって転生し続けている話 作:Calく
【幕間】魔王と炎魔の、あるフェリーンに関しての会話
知っておられたのですか、殿下。
……あのフェリーンがこのカズデルを灰にしたというのに。
いえ……それどころか私の……深い秘密まで、貴方はご存知のようだ。
魔王は、サルカズのすべてを知り得るとは言え――やはり、貴方は強大な魔王の一人と言えるでしょう。
貴方はあの時、私の全てを知り得ていたのですか、殿下。
……わずかな記憶といえど、私と……あのフェリーンのわずかな繋がりを……関係性を……知っていたと?
貴方はやはり恐ろしいお方だ、魔王殿下。
それを知り得ていた上で、スヴェルドフレムという男を見極めようとなさるなど。
あの時、貴方が止めていなければ――私の剣はあのフェリーンの首を落としていた。
あれは私に仇を討たせるものではない――貴方から私への試練だった。
あの一瞬の記憶の繋がりを経て、敵意を失わなければ。
――殿下は一瞬で私の命を絶っていたことでしょう。
記憶の繋がりを経たとしても、あのフェリーンがサルカズの……我らの怨敵、カズデルを滅ぼした元凶であることに変わりないというのに。
それでも尚、奴の手を取れと?
『確かに彼女は、……あの侵攻の主導者とも言えるわ。けれど、ケルシーが積上げてきたこれまでの信頼は裏切らないわ』
『……かつて灰燼になったこのカズデルを築き上げることができたのも、彼女の協力があったから。
だから、どうか――許せとは言わないわ。あなたの目で見て、判断して欲しいの。私の騎士さん?』
殿下の……ご命令とあらば。
これからあのフェリーンにあうのですか?
サルカズと異族が対等な話し合いですか……。
ああ、なるほど。
以前の私と奴の関係は、顔見知り程度のものです。
そう実りある会話など……いえ。
殿下がそう望まれるのならば――。
念の為、この会話記録は自動的に破棄されるようにしましょう。
旧い巫術の応用ですが、それでも他国のモノ程度にはマシでしょう。
この話し合いを、貴方はどう捉えられているのでしょうか、殿下。
カズデルが、より良い国になる為に、ですか。
あのフェリーンは最早カズデルの敵ではないと?
……百年ほど共に過ごした殿下と異なり、私は数年足らず。
信用も信頼も、到底持ち得る程の時間を過ごした訳ではありません。
私は一介のサルカズに過ぎませんが、それでもこのカズデルは私の故郷です。
サルカズの敵が、我らの敵がこのカズデルを襲うのならば。
私は貴方に振るわれる刃となりましょう。
テレジア殿下。
……カズデルが滅び去るまで、私は同胞の為に力を尽くしましょう。