先史文明研究員がテラ人になって転生し続けている話   作:Calく

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社会人になってしまったのでこれからの投稿はさらに不定期かつ遅くなります



主人公くんは武器はなんでも使えますが、1番手に馴染むのは剣です。傭兵時代は刀を使っていましたが、テレジアから剣を賜った後は剣を使ってます。
主人公の炎魔としての力を組み合わせたサルカズ剣術式の戦い方します。カズデル侵攻時には蒸気騎士を中の異族含め鎧ごとぶった切りました。

でもめちゃくちゃ目立つので滅多に使わず、普段は剣術、飛び道具、源石爆弾とかで頑張ってます。
たまに暗器も使います。



【閑話】未来への希望的観測

 

ハンドラーと呼ばれたリーベリの男が死んだ。老衰によるものであり、安らかな死に顔だったという。

葬儀は僅かな親族のみで行われ、それがスヴェルドフレムに知らされたのは、クルビアとカズデルを繋ぐ連絡員のアースラの報告によって、数ヶ月も後のことだった。

 

「――奴の年齢もそれなりだったとはいえ……。そうか――死んだか。……異族の寿命はこうも短いことを、忘れていたな」

「……あのリーベリを拾ってから、半世紀が既に過ぎていたのだな」

「安らかに逝けたのならば、それで良い」

 

その男は、かつてスヴェルドフレムが拾った異族の子供であり――クルビア支部の支部長でもあった。その席を息子に譲るまで、長年「エルデル」とクルビアの勢力との交渉役を務めていた。

後に結婚を経て、生まれた子が成人を機に引退した後は、スヴェルドフレムと直接会うことも少なくなり、ここ数十年姿を見ることはなかった。

「サルカズと異族の隔たりは、両者の寿命の差も関係している」

その命がもう長くないことはスヴェルドフレムも理解していた。まさか、数ヶ月もその知らせが遅れるとは思いもしなかったが。

 

「いや。これも、奴の息子の気遣いか」

 

この大地の人々――サルカズを除く異族にとって、五十年の月日がたった今も「サルカズ」そのものの認識はほとんど変化していない。

 

「奴が『エルデル』以外の者と築いた関係を考えれば、我らにとっても奴にとっても望ましくない結果となるだろう」

 

「我らの道のりは、こうも遠いのだな」

 

 

 

テラ歴107█年、春。

カズデル地区、議長室前の廊下にて。

 

「――隊長。時間があるなら、私に稽古をつけてくれないか」

「私がか?」

そんな一言を告げたのは、紫紅の髪をした少女……かつてテレシスに拾われた「嵐の子」たるアスカロンによるものだ。

「ふむ。だが、両殿下の許しが無ければ、叱りを受けるのはお前たちの方ではないか?」

「確かにそうだが、し…「待て!アスカロン。両殿下にも止められていたのを忘れたのか?」」

後を追うようにして、幼さの残る少年の言葉が被さった。ふと視線を向ければ、軍事委員会の元で育てられている子供の一人――そして両殿下の元で同じく鍛錬を受ける相弟子でもあるマンフレッドだ。

「マンフレッド。何故おまえは、いつも私の後をおいかけるんだ? それに、両殿下からは昨日、許可を貰っている」

鬱陶し気な対応を見せるアスカロンに、マンフレッドは驚きをみせた。

「いつの間に? ……何故って、君がいつも無茶な行動をして、私にも被害が及ぶからに決まってるだろう!」

「現に、隊長に急な稽古をせがむなんて無茶をしてるじゃないか」

 

幼さの残る子供たちの掛け合いに、スヴェルドフレムは微笑ましさから目を細めた。子供とは希望だ。

命を繋ぐ次世代は素晴らしい存在であり、祝福であり、未来への希望であもある。

「お前達の仲が変わっていないようで何よりだ」

スヴェルドフレムがかつて持った家庭もまた、目の前のそうした暖かさに満ちていたことを思い出す。

希望とは暖かさが必要なものであり、孤独を強いられる苦痛であっては行けない。希望を持ちえるからこそ、人は前を向くことが出来る。

微笑ましい光景を眺めていたスヴェルドフレムだが、子供たちの口論が激化する前に、声をかけた。

「両殿下の許可があるのなら、問題はない。私の稽古を望む者は……アスカロン、お前だけか?」

隊長、と呼ばれているのは、「エルデル」がテレジアとの繋がりから度々合同訓練に参加しており、その際、いくつかの部隊を率いているからだ。

テレジアが戯れにスヴェルドフレムを訓練の見本として挙げたからか、それ以来この子供達に度々纏わりつかれている。

「隊長、良ければ私も」

マンフレッドが口論を辞めて、スヴェルドフレムへと体を向けた。その目には、未来への希望にみちた光が宿っている。

 

「そうか。お前達二人が、どれ程力をつけたのか――私に示して見せると良い」

 





あるバンシーの元へ届いた手紙。
バンシーの女王の許可を得た特殊な巫術がこめられている。

【親愛なる友人へ】
カズデルの魂の炉は無事燃え続けているように、俺の命もまだ続いている。
お前の手紙は受け取った、イストリコス。子が生まれたと聞いた。随分遅くなってしまったが、約束したリターニアの品だ。
バンシーの谷ならば必要ないだろうが、念の為用意した。バンシーの女王も身籠ったという。機会があると良いが。使わなければ他の親子に譲っても構わない。
加筆修正を加えたサルカズ語の指南書、巫術の学術書、歴史書も同封して置いた。子の将来に役立てるも良し、バンシーの谷に寄付するも良し、お前の自由にすると良い。
お前の夫君にも宜しく伝えておいてくれ。また機会があれば、夫君も連れてカズデルを訪れてくれると殿下も喜ばれるだろう。
生まれた希望に祝福を。
――スヴェルドフレム
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