先史文明研究員がテラ人になって転生し続けている話   作:Calく

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プロローグ
感動の再会を待っている誰かの話(一部内容変更)


文明の存続――かつて高度な文明を持ちながら、滅びから逃れられないと悟った人類は、ある計画を立てた。

どれほど力を尽くそうと、迫り来る滅びからは逃れることができなかった私たちは、源石を通じて世界を再構築しようと試みた。

全ての情報を取り込み、増殖させた源石によって世界を創造し、今を生きる私たちとは異なる新たな生命を育むことで「文明の存続」を試みたのだ。

あるひとりの研究員が打ち出したその名は――源石計画。

その計画が立てられ、研究が行われ続けて○○年。

関わる研究員の一人であった私は、その計画が成功するかどうかなんてどうでもよかった。

高度な文明を持っていた当時でも治せない、己を蝕む不治の病に苦しんでいたから。

それでも、科学に携わる人間として、己が関わったプロジェクトに最後まで付き添いたい――あわよくば見届けたいと、日に日に悪化する体調を騙し騙して、必死に食らいついた。

 

まぁ結局、見届けるどころか志半ばで、限界が来た。

 

そうして呆気なく研究員は死んだ。

 

 

 

 

死んだはずだった。

気付けば私は、テラと呼ばれるようになるその星の生命体として生まれ変わっていた。

ティカズと呼ばれる種族で、黒い角が生えた異形の姿――まさに悪魔のような姿をした存在に。

幸い一神教では無かったので、特に取り乱すことなく人外になったことには驚いたが、兵士としてそれなりに平和な日々を過ごした。

まぁそれも、母国たるカズデルの崩壊で終わりを迎えた。生き残りの兵士と共に逃げ延びたが、味方を逃がすために囮となり、そのまま殺されてしまった。

 

それから何度もティカズの生を繰り返した。

 

その次もまたティカズとして生まれ、長きに渡る放浪を続ける部族に生まれた。望んでその生き方を選んだのではなく、異族に追い立てられた末にそうなったのだ。

ティカズの安穏の地を探していたある時、兄たちが楽園を見つけたのだと言った。

「兄弟はとうとうイカれたのか?」

楽園。

ティカズを憎む大地に、そのような場所があるわけが無いとわらえば、兄達は私をとある場所へ連れて行った。

そこは地下だった。

あらゆる存在から忘れ去られ、時が止まったような古びた道を進む。

 

そして、兄達が語る楽園の、アレを見た。

 

あれはあらゆるものと違う、ティカズでもなく先民でもなく神民でもなかった。

あれはただそこに在るものだった。

あれは来るべきものを待つものだった。

 

あれは我らの理解の及ばぬものだと兄が言った。

「だが、あれはきっと我らに◾︎◾︎をもたらすものだ」

あれに目を惹き付けられていたことに気づき、兄たちへと目を向ける。

先に扉をくぐっていた兄達には、既に光輪と羽が生えていた。

眩く輝く光輪に、羽獣とは違う、奇妙な形をした羽。

あれがもたらした変化なのだと直ぐに気づいた。

兄達が私へと語り掛ける。

「その扉をくぐれ。我らとともに行こう」

それは、あれのもたらす変化を受け入れるということだ。

兄達の姿は、もはやティカズとは呼べないだろう。

だがあれを受け入れれば、安穏の地を手に入れることが出来るかもしれない。

兄達が私を急かすように言う。

「我らと共に生きよう」

生きる。

兄達とは生まれた時から同じように育った。ティカズとして大地を放浪した時も、我らは皆同じだった。

血の繋がった肉親と共に生きる。

きっとそれが正しいのだろう。

だが、私はそれを選ばなかった。

「すまない。私は扉をくぐらない」

そう告げれば、兄達は私の選択を拒絶した。

同族へと引き入れる為に、私へ剣を向ける兄たち。

 

そうして一人のティカズの骸を前に、二人のサンクタの始祖が生まれた。

 

それから数回転生を繰り返し、

 

次は遊牧民として生きる、後にナイツモラと呼ばれる種族として生まれた。

そうして順当に生きて、部族をまとめあげ、国をも呑み込む遠征に参加し、戦場で死んだ。死の間際、本能的に私にアーツが宿っていることに気づいた。男として生まれ戦士として死んだのだから、その人生はそれなりに満足することが出来た。

 

その後もまた数回転生を繰り返して、時に殺し殺され、感染者として追われることや、平凡な人生を送ることもあった。

しかしどこまでも源石が存在するこの大地では、鉱石病からは逃れられなかった。

その後も私は転生し続け、記憶を保持したまま繰り返した。

感染者と知られれば、撲殺されかねない――死への恐怖がいつもあった。

長い転生を繰り返す中で、ここがかつての私が参加していた、あの源石計画の土地ではないかと疑うようになった。

時に感染者となり、或いは平凡な人生を過ごし、戦乱を生きのびながら、やがて世界を放浪するようになった。

そうして崩れた先史文明の残り香を辿るうちに、やはりそうなのだと確信した。

しかし同時に、テラの大地を生きる中で、計画を立案した研究者が恨めしいと思うようになった。

私が過ごした文明はもはや骸と化して、新たな文明が築かれてしまっている。そしてそこに生きる一人の生命体として、随分長い時をすごしてしまった。

今を生きるものを縛る、負の遺産と化してしまっているのだ。

鉱石病――右袖を捲り上げると、艶々と光沢のある源石が、皮膚を突破っているのが見える。

思わず舌打ちを漏らし、髪をかき乱す。

「くそったれ……!」

かつてのお上品さから程遠い、罵倒が口をついて出た。

恐ろしい。私は死にたくない。感染者になるのも、もう嫌だ。差別が嫌だ。人間――テラ人が嫌いだ。土地が嫌いだ。国が嫌いだ。

だがそれでも、テラの大地を生きている。

不意に、脳裏をよぎる過去の記憶。遠い昔日の記憶。

石棺計画。

それが実行される直前に、私は死んだ。

だが。

あの計画は、コールドスリープ――生命維持装置である石棺の中へ“保存”し、いつの日から災いが消え去った後で復活させるというもの。

もし、もしまだかつての文明を知る者が生きていたなら。

かつての計画に参加したものとして――或いは今を生きるものとして恨み言をほざいても、悪くはなかろう。

「クソッタレな神様が、テラに居るんなら――俺の願いを叶えてくれよ」

「ああ――目標ができたな。ずいぶんでけぇが」

「感動の再会って奴を、アンタに見せてやる」











ある男のプロフィール


サルカズの男は、先史文明時代の研究員としての記憶を持つ輪廻転生者だ。
転生を繰り返しており、その膨大な記憶を全て保存しているという。
アーツ適正は【 】となっている。
テラ人になる前の"私"は元々上流階級の出身で、不治の病を克服したいと研究者を諦め医者の道をめざした。
しかし余命を宣告され、研究者としての道を再び目指すことに。
源石計画、文明の存続プロジェクトに携わり、そこでドクターと出会うもあまり関わりはなかった。
ただし本名は知ってる。
しかし志半ばで死に、テラに生まれ変わる。
最初はティカズ――サルカズとして生まれたが、最初期のカズデル崩壊の混乱で若くして死んだ。
その後原作時間軸まで8000年以上かけて転生を繰り返してきた。
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