先史文明研究員がテラ人になって転生し続けている話 作:Calく
無冑盟が牙を剥いたのは、もはや「勝負」の域ではなかった。
彼らは最初から、マーガレット・ニアールを殺すつもりで来ていた。
刃は四方から迫り、観衆の歓声はいつしか悲鳴に変わる。
だが、その殺意の奔流に割って入ったのは、ロドスのオペレーターたちと、レッドパイン騎士団の面々だった。
盾がぶつかり、術式が交錯し、騎士たちは己の誇りを賭けて無冑盟の刃を受け止める。
それでもなお、戦況を決定づけたのは――銀槍のペガサスであった。
その姿は武力ではなく、象徴だった。
「騎士とは何か」を、誰よりも鮮烈に示す存在。
かくてマーガレットの命は守られた。
そして同時に、騎士という称号が、血と裏取引で踏みにじられることもなかった。
チャンピオンウォール。
戦いの余韻がまだ石畳に残るその場所で、ラッセルはドクターに向かって深く頭を下げた。
「感謝します。あなたが動いてくれなければ、ここまで辿り着けなかった」
その声には、騎士としてではなく、一人の人間としての安堵が滲んでいた。
いくつかの企業が零号地に関する申請を行ったことで、監査会は正式に調査へ踏み込む口実を得た。
商業連合が独占してきた闇に、ようやく光が差し込んだのだ。
「それは……ドクター、あなたの功績でしょう」
最終的に、零号地の管理権は商業連合から監査会へと移管され、征戦騎士が巡回する体制が敷かれた。
もはや無冑盟は、影から容易に手を伸ばすことはできない。
完全な勝利ではない。
だが確かに、流れは変わった。
未だに権謀術数渦巻く都市と言えど、確かに変わったものがあったのだ。
◇
エルデルのカジミエーシュでの活動は、静かに幕を下ろした。
エルデルの尽力によって、実験と使役の果てに生み出されたサルカズ騎士たちは保護され、名も記録も失った失踪者たちもまた、表の光の下へと連れ戻された。
表向きに語られることは少なく、功績として刻まれることもない。
だが、確かに救われた命があった。
騎士競技と商業、栄誉と暴力が絡み合うこの国において、それは奇跡に近い結末だったと言える。
こうして、エルデルのカジミエーシュでの活動は、血を広げることなく、無事に終えることができた。
「もう行っちまうのか、アンタ」
「……あのサルカズ騎士の奴らの治療も、俺たちへの支援もよ。正直な話、随分助けられちまった」
それは感謝に近い言葉だったが、トーランドは礼の形に整える気はなかった。
借りを作ったままにしておくには、相手が厄介すぎる。
スヴェルドフレムは振り返らないまま、低く応じる。
「必要だっただけだ」
それだけ言えば済む、とでも言うように。
「必要、ねえ……」
トーランドは鼻で笑った。
「そう言える立場の奴ほど、周りを無茶苦茶に動かすんだぜ」
「角を折られた連中が生き延びてるのも、俺たちが今ここで息してるのも――全部“必要”の一言で片付けられちまう」
しばしの沈黙。
風に煽られ、マントの端が揺れる。
「……だがよ」
トーランドは続けた。
「それでも、俺は覚えとく。名や肩書きなんてモンがなくても、あんたが何をしたかくらいはな」
ようやく、スヴェルドフレムがわずかに首を巡らせる。
「覚える必要はない」
「そう言うと思ったぜ」
トーランドは肩をすくめた。
「だが、忘れねえ奴が一人くらいいたって、罰は当たらねえだろ」
スヴェルドフレムは答えなかった。
ただ、再び歩き出す。
その背中を見送りながら、トーランドは小さく呟いた。
「……厄介な奴だ。ほんとによ」
だが、その声には、確かな敬意が滲んでいた。
原作コラボと言うと、シージコラボが実現したなら、アサクリもいけるのでは?と。
リバース19xxはエツィオとコラボしたし……。
まぁアークナイツは大地の範囲が広すぎるけど。
私事ですが、アサクリの二次創作書き始めました。
アサクリ初代原作軸です。
もうちょっと設定固まったら、その設定を流用したアクナイクロスオーバーを書くかもしれません。