先史文明研究員がテラ人になって転生し続けている話   作:Calく

80 / 100





終幕①

 無冑盟が牙を剥いたのは、もはや「勝負」の域ではなかった。

 彼らは最初から、マーガレット・ニアールを殺すつもりで来ていた。

 刃は四方から迫り、観衆の歓声はいつしか悲鳴に変わる。

 だが、その殺意の奔流に割って入ったのは、ロドスのオペレーターたちと、レッドパイン騎士団の面々だった。

 盾がぶつかり、術式が交錯し、騎士たちは己の誇りを賭けて無冑盟の刃を受け止める。

 それでもなお、戦況を決定づけたのは――銀槍のペガサスであった。

 その姿は武力ではなく、象徴だった。

「騎士とは何か」を、誰よりも鮮烈に示す存在。

 かくてマーガレットの命は守られた。

 そして同時に、騎士という称号が、血と裏取引で踏みにじられることもなかった。

 

 チャンピオンウォール。

 戦いの余韻がまだ石畳に残るその場所で、ラッセルはドクターに向かって深く頭を下げた。

「感謝します。あなたが動いてくれなければ、ここまで辿り着けなかった」

 その声には、騎士としてではなく、一人の人間としての安堵が滲んでいた。

 いくつかの企業が零号地に関する申請を行ったことで、監査会は正式に調査へ踏み込む口実を得た。

 商業連合が独占してきた闇に、ようやく光が差し込んだのだ。

「それは……ドクター、あなたの功績でしょう」

 最終的に、零号地の管理権は商業連合から監査会へと移管され、征戦騎士が巡回する体制が敷かれた。

 もはや無冑盟は、影から容易に手を伸ばすことはできない。

 完全な勝利ではない。

 だが確かに、流れは変わった。

 未だに権謀術数渦巻く都市と言えど、確かに変わったものがあったのだ。

 

 

 

  ◇

 

 エルデルのカジミエーシュでの活動は、静かに幕を下ろした。

 エルデルの尽力によって、実験と使役の果てに生み出されたサルカズ騎士たちは保護され、名も記録も失った失踪者たちもまた、表の光の下へと連れ戻された。

 表向きに語られることは少なく、功績として刻まれることもない。

 だが、確かに救われた命があった。

 騎士競技と商業、栄誉と暴力が絡み合うこの国において、それは奇跡に近い結末だったと言える。

 こうして、エルデルのカジミエーシュでの活動は、血を広げることなく、無事に終えることができた。

 

「もう行っちまうのか、アンタ」

「……あのサルカズ騎士の奴らの治療も、俺たちへの支援もよ。正直な話、随分助けられちまった」

 それは感謝に近い言葉だったが、トーランドは礼の形に整える気はなかった。

 借りを作ったままにしておくには、相手が厄介すぎる。

 スヴェルドフレムは振り返らないまま、低く応じる。

「必要だっただけだ」

 それだけ言えば済む、とでも言うように。

「必要、ねえ……」

トーランドは鼻で笑った。

「そう言える立場の奴ほど、周りを無茶苦茶に動かすんだぜ」

「角を折られた連中が生き延びてるのも、俺たちが今ここで息してるのも――全部“必要”の一言で片付けられちまう」

 しばしの沈黙。

 風に煽られ、マントの端が揺れる。

「……だがよ」

 トーランドは続けた。

「それでも、俺は覚えとく。名や肩書きなんてモンがなくても、あんたが何をしたかくらいはな」

 ようやく、スヴェルドフレムがわずかに首を巡らせる。

「覚える必要はない」

「そう言うと思ったぜ」

 トーランドは肩をすくめた。

「だが、忘れねえ奴が一人くらいいたって、罰は当たらねえだろ」

 スヴェルドフレムは答えなかった。

 ただ、再び歩き出す。

 その背中を見送りながら、トーランドは小さく呟いた。

「……厄介な奴だ。ほんとによ」

だが、その声には、確かな敬意が滲んでいた。

 





原作コラボと言うと、シージコラボが実現したなら、アサクリもいけるのでは?と。
リバース19xxはエツィオとコラボしたし……。
まぁアークナイツは大地の範囲が広すぎるけど。

私事ですが、アサクリの二次創作書き始めました。
アサクリ初代原作軸です。
もうちょっと設定固まったら、その設定を流用したアクナイクロスオーバーを書くかもしれません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。