太った方の十神白夜は、高度育成高等学校に入学する   作:超高校級の御曹司

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学校の謎

 

 

 俺は学校についての説明を聞いていると、とある疑問が浮かんできた。それは『ポイントではなんでも買うことができる』という発言に対してのものだ。何でもとは一体どこまでを指すのか、物質的な物に対してなのか、それとも概念や権利、はたまた人間まで買うことができるのか、非常に気になる。

 

 

「ポイントは毎月1日にそれぞれの口座に振り込まれることになっているわ。今月は、さっき手元に届いた学生証端末の電源を入れればいくら入金されているか分かるから、みんな自分の端末の電源を入れて確認してみて」

 

 

 俺たちは言われた通りに電源を入れ、端末を操作する。するとそこには『100000ポイント』と表示さており、かなりの大金が入金されていた。この事実に生徒の大半は驚き、クラス内に大きな動揺が走る。

 

 

「1ポイント1円の価値があるわ。ポイントという名が付いているけれど、言わばこれは君たちの生活資金よ。欲しい物に使っても良いけれど、生活必需品を買うのにも必要だから、無駄遣いは先生としてはおすすめできない、かな。10万ポイントは、我が校に入学を果たしたあなた達に、それだけの価値と可能性があると判断されたということ。そのことを念頭に置いて、3年間頑張って過ごしてちょうだい。無駄遣いはせず、しっかりポイントを管理してね」

 

 

 俺は星之宮の発言を聞き、確信した。やはり、この学校には何かが隠されているのだと。そしてその何かに注意しなければ、俺たちに不利に働くかもしれない、ということを。

 

 

(……星之宮は毎月支給されるポイント額については触れていない。そして、ポイントでは何でも買うことができるが、無駄遣いこれらを考慮し、考えられるのは……)

 

 

①ポイントが0になると退学する

②毎月支給されるポイント額は変動する

③毎月10万ポイントが支給される

④ポイントの使い方も評価対象になる

 

 

 俺は星之宮の発言を思い出し、ようやく結論が出た。ポイントというワードをいやに強調し、無駄遣いをするなと念を押す。そして来月支払われるポイント額については一言も話していない。つまり、答えはこれしかない。

 

 

(……そうか!分かったぞ!正解は②だ。毎月1日に支給されるポイント額が10万ポイントであれば、無駄遣いをするなと念押しする必要はない。何故なら、水道光熱費、家賃を払わずに済む学校なのだから、食費と諸々の生活必需品を買ったところでポイントは絶対に余る。なのに何度も念を押すように無駄遣いに対して注意を呼びかけている。ならば、答えはひとつしかない。ポイントの支給額は確実に変動する。しかし、何故ポイントは変動するんだ?何か理由があるのだろうが、今のままじゃ分からないな)

 

 

俺はそう結論付け、星之宮に視線を向けて話の続きを聞く。

 

 

「……この学校は実力主義を掲げているわ。みんな、勉強や運動、部活や学校行事、色んなことを頑張ってクラスを盛り上げて行きましょうね!」

 

 

 星之宮はそう言い、入学式についての並びや時間について話し、教室を去っていった。

 

 

(……実力主義、か。星之宮がそう言った瞬間、彼女は非常に悔しそうな顔をしていたが、一体何故だ?その後何事も無かったかのように、今まで通り温和な笑みを浮かべていたが、これについても気になるな。時間があれば、調べてみるとしよう。実力主義がポイントの変動に関係しているとするのなら、普段の勉強や試験を頑張れば良いのだろうか?まあ、今の状況ではこれ以上考えるのは難しいな。本物であれば、全て見抜いてしまっていたのかもしれないが、生憎俺は偽物だ。これ以上は、調査をしてからでなくては考察も伸びないな)

 

 

 俺はそう決め、鞄の中からメモ帳を取り出した。そこに、先程星之宮が話していた内容や、自分の考察を書いていく。それから数分後、教室内に大きな声が響いた。

 

 

「ねぇ、みんな!良かったら自己紹介をして親睦を深めない?私、早くみんなと仲良くなりたいんだ!」

 

 

 声のする方向を見ると、そこには1人の女子生徒が立っていた。その生徒は爽やかな雰囲気を纏い、クラス内の生徒たちに明るく活発な印象を与えていた。

 

 

「賛成だ!俺たち、まだみんなの名前とか全然分からないし、みんなのことを知るには、一番良い方法だと思うぜ!」

 

 

するとそれに賛同するように、男子生徒の1人が手を挙げる。そして自己紹介が始まる流れになったので、俺も立ち上がり彼らに同調することにした。

 

 

「フン……まあ良いだろう。自己紹介をしておけば、すぐに全員の顔と名前を覚えられるからな。まずは、言い出しっぺのお前から始めろ」

 

 

 そう言い前に立つ女子生徒の方へ視線を移す。すると彼女は苦笑いをしながらも、自己紹介を始めた。

 

 

「う、うん、分かったよ。私の名前は、一之瀬帆波です。中学では、生徒会に所属していました。高校でも生徒会に入って、学校を活気づけていけたらなって思ってます。みんなよろしくね!早く仲良くなりたいから、勉強や遊びのお誘いを沢山してくれたら嬉しいな!」

 

 

一之瀬の自己紹介が終わると、次は隣に立っていた男子が立ち上がる。彼もまた爽やかな雰囲気を纏っており、人当たりも良さそうな人物だと感じた。

 

 

「俺は柴田颯!中学ではサッカーをやってて、高校でもサッカーをするつもりだぜ!よろしくな!サッカーに興味があるやつ、サッカー部に入りたいやつ、音楽が好きなやつ、どんなやつでも大歓迎だ!仲良くしようぜ!」

 

 

 柴田はそう自己紹介を終えると、席に座る。そしてその後すぐに次の生徒が立ち上がった。

 

 

「俺は神崎隆二だ。特に部活動に入るつもりはないが、説明会は行こうと思ってる。まあ、よろしくたのむ」

 

 

神崎が自己紹介を終えると、次は女子が立ち上がる。彼女の立ち振る舞いや身に纏う雰囲気からは、育ちの良さを感じさせた。

 

 

「私は姫野ユキ。よろしく」

 

 

 前言撤回だ。愛想の悪い生徒である。

 

 

「よ、よろしくね!姫野さん!」

 

 

「よろしくな、姫野!」

 

 

 空気を変えるように一之瀬と柴田が声をかけ、次の人の番になる。そしてそれから数人が自己紹介をし、ついに俺の番がやってきた。

 

 

「じゃあ、次の人お願いしても良いかな?」

 

 

「……フン、まあ良いだろう。俺の名は、十神白夜だ。知っている者もいるだろうが、俺は十神財閥の御曹司……時期後継者だ。愚民、せいぜい俺の役に立て。そうすれば、お前たちを導いてやる」

 

 

 俺がそう言うと、突然教室内でわあっと声が上がった。

 

 

「やっぱり本物の十神白夜なのか?!」

 

 

「ふ、太ってるけど、本当に本物なの?」

 

 

「朝リムジンが止まってたけど、もしかしてそれに乗ってたのって十神なのか?!」

 

 

(まあ、この反応は想定内だ。さて、ここまで目立てば今後の学校生活について、俺が考えていることを伝えやすい)

 

 

 俺は椅子から立ち上がり、手を上げる。そして教室内に響く声で彼らを静止する。

 

 

「鎮まれ!愚民!」

 

 

 すると、教室内は瞬く間に静かになる。生徒たちは、一体俺が何を言うのかと目を輝かせて待っている。ならば、演者としてそれに応えてやるのも俺の勤めである。

 

 

「……今から、俺がこの学校に来て星之宮の説明を聞いて疑問に思ったこと、それについての考察、結論について話す。お前たちが俺の考えについてどう思うかは自由だ。反対しても良いし、肯定しても良い。だが、忘れるな。この学校は実力主義を掲げている。ならばどんな行動を取るべきか、俺のクラスメイトに選ばれるような人間ならば、理解してくれると信じて話すぞ」

 

 

 俺はそう言い、手もとのメモをちらりと見てから話し始める。

 

 

「結論から言おう。俺は星之宮の話を聞いて、この学校は毎月支給されるポイントの額が変動すると確信した。」

 

 

「えぇ、ど、どうしてなの?」

 

 

「理由は2つだ。1つは、星之宮の言動と態度にあった。星之宮は無駄遣いするなと念押しをした。毎月支給されるポイント額が10万ポイントであれば、無駄遣いをするなと念押しする必要はない。何故なら、水道光熱費、家賃を払わずに済む学校なのだから、食費と諸々の生活必需品を買ったところでポイントは絶対に余る。なのに無駄遣いをするなと言うのは不自然だ。2つ目は、星之宮が最後に実力主義と言い放ったことだ。実力主義とは何を指すのか。星之宮は最後に勉強や運動、部活動や学校行事と具体的な名を挙げて頑張ろうと俺たちを鼓舞した。ポイントが変動するのなら、それには勿論理由がある。そして実力主義を掲げる学校だという事実も存在する。この2つから、俺は支給されるポイント額は俺たちに対する評価そのものなんじゃないか、と考えたんだ」

 

 

 俺の発言を聞いた生徒たちは、複雑そうな面持ちで、お互い顔を見合わせる。そして数秒後、活発な女子生徒、一之瀬帆波が手を挙げた。

 

 

「……なんだ?一之瀬」

 

 

「あのね、私思い出したんだ。そういえば、星之宮先生は10万ポイントは私たちにそれだけの価値と可能性があるからって話していたよね。なら、十神君の言っている通り、支給されるポイントが変動するのなら、それって評価が変わるからって考えられないかな?」

 

 

 一之瀬の発言を聞いた生徒たちは、確かにそうだと言わんばかりに頷き合う。彼らの発言に同意を示したのは神崎だった。

 

 

「……一之瀬の言う通りだ。毎月支給されるポイント額が10万だとしても、それは俺たちに対する評価ならば、変動するのも頷ける。十神の考察の裏付けにもなる。なら、少し学校生活や普段の授業態度も気を付けた方が良さそうだな」

 

 

「ああ、俺も神崎の意見に賛成だぜ。十神、お前の考察は的を射ていると思うぜ!みんな!神崎の言うように、これからは少し慎重に行動していこう!」

 

 

柴田も俺の意見を認め、神崎の発言に同意し、更には今後の生活について考え始める。そしてその後、姫野ユキが口を開いた。

 

 

「……突然太ったって聞いたから、一体どれだけの怠け者なのかと思ったけど、意外とやるわね、十神君って」

 

 

彼女はそう言い終えると席に座る。どうやらこれ以上話すことはないらしい。

 

 

(……口も態度も悪いが、彼女は意外とキレ者のようだ。今後は少し注意した方が良さそうだな)

 

 

 こうして、Bクラスは入学初日にしてクラス一丸となって団結し、学校生活を真面目に頑張ることになったのだった。

 

 

 しかし、十神白夜にとって今日という日は誤算だらけだ。想定内と言えど、気を抜いて良い場面ではない。卒業するその日までが勝負……いや、卒業しても尚この学校にいた十神白夜が本物だと思わせなければならないのだから、非常に難しいミッションなのかもしれない。

 

 

 

(難しい、非常に難しいミッションだ。だが、こんな人生も悪くない。これこそが俺のアイデンティティであり、俺が望んだ世界なんだからな)

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