前世の記憶を持つSRTの生徒が先生と頑張る話   作:MGFFM15

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お待たせしました第7話です!

昨日から突然アクセス数とお気に入り登録者数が増えて、昨日から今日にかけて1時間で約100人程の人達が読みに来て下さっていて、更にお気に入り登録者数も爆増して400人を突破しました!本当に嬉しいです。

ふとした思い付きがきっかけで書き始めたこの小説ではありますが、こんなにも沢山の人に読んでもらえて居るのは本当に嬉しいです。

これからも皆さんのご期待に応えれる様に頑張って書いて行きたいなと思っています!


第7話 ブラックマーケット

アビドス高校を発ってから数時間。ボク達はブラックマーケット内に居た。高層建築物などは無く、殆ど全部の建物がトタンや木材、または廃墟を再利用した物だったりで、そう言った平屋の建物がずっと奥の方までひしめき合っている。人の往来は激しく、それでいて譲り合いの精神はない様で、すれ違う人達は避けようともせずに狭い道を歩いて来るから肩がぶつかりまくる。でも人の量は本当に多くて活気に満ちている。目つきの悪い奴らばっかだけど。

 

「ここがブラックマーケット・・・」

 

「わあ⭐︎すっごい賑わってますね?」

 

セリカとノノミは物珍しそうに辺りをキョロキョロと見回している。ボクもこう言うところは初めてだから、人のこと言えないくらい視線をあちこちに向けている。

 

「本当に。小さな市場を想像していたけど、街ひとつぐらいの規模だなんて。連邦生徒会の手が及ばないエリアが、ここまで巨大化してるとは思わなかった」

 

「うへ~、普段私たちはアビドスにばっかりいるからねー。学区外は結構変な場所が多いんだよ-」

 

「D.U.とか来てみろよ。あそこも大都会なだけはあって色々あるから観光しているだけでも楽しいぞ」

 

「今度サイクリングする時に行ってみる」

 

「いや結構距離あるぞ・・?」

 

「ん、大丈夫」

 

出店には絶対に正規のルートで仕入れてはいないであろう品物が、法外な値段で売られていたりしている。売っている物も千差万別で、武器は勿論日用品からジャンク品にしか見えない物など色々。そしてシロコの言う通りこのブラックマーケットは街一つ分の広さは余裕でありそう。全部の店を全部見て回ろうと思ったら何日掛かることやら。

 

「ホシノ先輩、ここに来たことあるの?」

 

「いんやー、私も初めてだねー。でも他の学区には、へんちくりんなものがたくさんあるんだってさー。ちょーデカい水族館もあるんだって。アクアリウムっていうの!今度行ってみたいなー。うへ、魚・・・お刺身・・・」

 

流石お魚好きのホシノと言うべきか、水族館の話をしている時は本当に楽しそうに話している。にしても、ホシノは水族館の魚を見て美味しそうって思っちゃうタイプの人か〜。

 

「よくわかんないけど、アクアリウムってそういうのじゃないような・・・」

 

「まぁそれも一種の楽しみ方かも?」

 

「魚かぁ最近食べてないな。久しぶりに海鮮丼とか食べたくなって来たな。serval4は魚は何が好なんだ?」

 

《私はサーモンかなぁ》

 

「良いねぇ」

 

「ボクはマグロかな」

 

本当は甘エビの方が好きなんだけど、魚じゃないから今回は除外する。

 

「私は・・アジかなぁ。塩焼き美味しいし」

 

「皆んなでお寿司屋さんに行ってみたいですね」

 

「お、ノノミちゃん良いアイディア」

 

「でもお寿司屋さんって高いんじゃないの?」

 

《皆さん、アリナさんも。油断しないでください。そこは違法な武器や兵器が取引される場所です。何が起こるかわからないんですよ》

 

アヤネからお叱りの無線が来る。因みに今回アヤネはいつもの対策委員会室では無く、アリナが使っているGCS(地上管制センター)を使っている。元々複数人で使うことを前提に作られているからアヤネが加わってもアリナには何の支障にもならない。むしろ、後方支援組が隣同士になったことにより連携が取りやすくなったと思う。

 

それはアヤネは自分の使うドローンだけじゃ無くてアリナが飛ばしているドローンの情報を得ることが出来るから、今までよりも多くの情報を見ることが出来る。

 

「大丈夫だぜアヤネちゃん。ブラックマーケットに居る連中も基本的に面倒事は好まないから下手な事しない限りは向こうから仕掛けて来ることは無い」

 

「まぁ警戒しておくことに越した事は無いけどね」

 

「それでどうです?アヤネさん。GCSを使ってみた感想は?」

 

《凄いですね・・想像以上に色んな機能が搭載されていて、多機能過ぎてまだ全部の機能を効率的には使えてませんね》

 

《そうは言ってるけど、本当に初めて使うの?って思うくらい使いこなしているよ》

 

「流石ですね」

 

《それとserval1、便利屋についてちょっと》

 

「仕掛けて来そうな感じ?」

 

《ううん。そう言うのじゃなくて、1時間前くらいから全員で拠点を出発してブラックマーケットの中央にあるビルに入って行って》

 

「便利屋もブラックマーケットに何度も行っているって言う話があったし、偶々行くタイミングが重なったのかな?」

 

本当は便利屋の皆んなは融資を受ける為に闇銀行へ向かっただけの話なんだけどね。

 

「こっちの動きに気がついて攻撃しようとしている可能性はねーの?」

 

《それにしては移動し始めるタイミングが遅過ぎると思うし、外出時の武装が必要最低限でこれから襲撃しようとしている様には見えなかった。それにビルに入って待ち続ける理由が無い。多分、小隊長の言う通り偶々同じタイミングでブラックマーケットに来ただけなんだと思う》

 

「その便利屋が入って行ったビルについて調べといて」

 

《それについては私に任せて下さい。こう言うのを調べるのは得意なので》

 

「それじゃぁお願いします。アヤネさん」

 

それから暫く雑談しながらお目当ての物の情報が無いか探し回っていたが、めぼしい情報は全く出て来なかった。探し始めてから30分程経った頃、状況が動いた。

 

《serval1、前方100メートルで何が騒動が発生してる》

 

《誰かがそちらに向かって走って来ていますね》

 

そうアリナとアヤネが報告した後に、タタタタッ!と恐らく5.56ミリ弾を使ったアサルトライフルの発砲音と思われる銃声がブラックマーケットに響いた。その瞬間SERVAL小隊全員は瞬時に戦闘体制に入る。

 

「銃声だ」

 

そう言ったシロコも険しい表情になり、対策委員会の皆んなも直ぐに戦える様に用意する。

 

「待て!」

 

少し離れた所から誰かを追う声が聞こえて来る。そして人混みを掻き分けて1人の少女がこっちに走って来る。

 

「う、うわああ!まずっ、まずいですー!!つ、ついてこないでくださいー!!」

 

ブラックマーケットには見合わない綺麗で可愛らしいセーラー服を着た少女。リュックにペロログッズを付けているあれは間違い無い。阿慈谷ヒフミだ。遂に会えたね。

 

「そうは行くか!」

 

そのヒフミの後ろから複数人のチンピラが追いかけて来る。

 

《あれ・・あの制服は・・・・》

 

「わわわっ、そこどいてくださいー!!」

 

追いかけて来るチンピラ達ばかりに注意が向いていたせいで、前方にいるシロコに気づくのが遅れて、減速するこも出来ずにそのまま激突する。シロコはぶつかって来たヒフミをそっと受け止めてあげた。

 

「い、いたた・・、ご、ごめんなさい!」

 

「大丈夫?・・なわけないか、追われてるみたいだし」

 

面白そう(面倒事)な気配がするねぇ」

 

「そ・・それが・・・・」

 

ヒフミが振り返って事情を説明しようすると、チンピラがこっちに追い付いて来た。

 

「何だおまえらは。どけ!アタシ達はそこのトリニティの生徒に用がある」

 

「あ、あうう・・・わ、私の方は特に用はないのですけど・・・・」

 

銃を構えて、荒々しい口調で脅して来るチンピラにはヒフミはシロコの後ろに隠れながら言う。ナツキとユイ、そしてボクはスッとヒフミの前に立って守る。そして、ユイはいつものserval-23式対物狙撃銃では無く、serval-17式短小銃を構える。この狭くて交戦距離の短いブラックマーケット内だと全長が2メートルオーバーで1発ずつ装填する必要のあるserval-23式対物狙撃銃は使い難いからね。

 

だからユイはこう言う近距離戦闘に備えてserval-17式短小銃を持っていて、近距離戦闘の時に使っている。そして、ナツキの方も昨日とは違う機関銃を構えている。

 

今回ナツキが持って来たのはserval-8式軽機関銃。ドラムマガジンを付けたアサルトライフルの様な見た目で、その見た目の通り普通の機関銃よりも軽量で扱い易いと言うことで今回持って来ていた。

 

一方、トリニティと言う単語を聞いてアヤネは思い出した。

 

「あっ!思い出しました。その制服・・・キヴォトスいちのマンモス校の一つ、トリニティ総合学園です!」

 

「そう、そしてキヴォトスで一番金を持ってる学校でもある! だから拉致って身代金をたんまり頂こうってわけさ!」

 

「拉致って交渉! なかなかの財テクだろう? くくくくっ」

 

「どうだ、おまえらも興味があるなら計画に乗るか? 身代金の分け前はー」

 

チンピラが言い終わる前に、素早く近づいたノノミとシロコが銃で2人よチンピラの後頭部を殴って一撃で気絶させた。流石だね。

 

「悪人は懲らしめないとです⭐︎」

 

「うん」

 

「小隊各員、民間人の安全確保を優先。不良生徒を排除する。戦闘開始」

 

「「《了解!》」」

 

「あ・・・えっ? えっ?」

 

突然対策委員会とSERVAL小隊が連携して残りのチンピラ達を倒し始めたのを見て、ヒフミは何が起きているのか分からずにただ驚くことしか出来ていなかった。チンピラの数が少なかったことと、圧倒的な実力差によって瞬時に戦闘は終わった。

 

「あ、ありがとうございました。みなさんがいなかったら、学園に迷惑をかけちゃうところでした・・・」

 

礼儀正しく御礼を言いながら頭を下げるヒフミ。流石お嬢様学校に通っている娘なだけはあって、綺麗なお辞儀だなぁ。

 

「それに、こっそり抜け出して来たので、何か問題を起こしたら・・・あうう・・想像しただけでも・・・」

 

それでも推しの為にこんな所に来ているんだから凄いよな。ボクでもそこまでの行動力は無い。

 

「お!自分と同じ奴が居たな。良いねぇお前とは仲良く出来そうだ」

 

同じく推し(機関銃)の為に学園にバレない様にこっそりブラックマーケットに出入りしていたナツキが、ニコニコ笑いながらヒフミと肩を組む。

 

「え⁉︎えっと・・・どう言うことですかね?」

 

「コイツも学園に内緒でブラックマーケットに出入りしてるの。って言うか初対面相手に馴れ馴れしいわ!」

 

ユイがナツキの頭に拳骨を食らわせようとしたが、その前に肩を組むのをやめて拳骨を避けた。

 

「な、成る程、私以外にも居たんですね・・でも、こんな危ない所にはあんまり来ない方が良いと思いますよ」

 

「その言葉はそのまま前にお返しするぞ」

 

お前が言うなよ、とでも言いたそうな目でナツキはヒフミを見る。やっぱりヒフミってちょっとズレている所があるとボクは思う。一見普通そうなんだけど、普通じゃない。

 

「あ、そう言えば自己紹介がまだでしたね。トリニティ総合学園の2年生、阿慈谷ヒフミです。助けていただいて本当にありがとうございます」

 

またお礼を言って深々と頭を下げるヒフミ。本当、礼儀正しい娘なんだなぁ。だからナギサも気に入っているんだろうね。こっちの方も簡単に学園と名前を教えて自己紹介をしていると、ボク達がSRT特殊学園の生徒だって聞いた瞬間に驚いていた。

 

「えぇー⁉︎SRTの方だったんですか⁉︎・・でもそれならあの強さも納得です。話は聞いたことありましたけど、実際にSRTの方を見るのは初めてですね」

 

話しながらボク達の姿を興味津々と言った感じで見て来るヒフミ。まぁ確かに任務に出る機会は少ないし、制服は基本的にオーソドックスなセーラー服を元にした戦闘服だから街中で歩いていても、SRTです!って自分達から名乗ることがない限り気づかれることも無いからね。

 

「と言うかSRTの方が無断でブラックマーケットに行くのはダメじゃないですか⁉︎」

 

「いやだからお前が言うなって」

 

若干呆れつつナツキがツッコミを入れる。大体機関銃絡みでボケに回ることが多いナツキをツッコませるとは・・流石だ。

 

「それでえっとー、ヒフミちゃんだっけ?トリニティのお嬢様がこんな所で何してるの?」

 

「あ・・あはは・・・それはですね・・実は、探し物がありまして」

 

遂に!遂にヒフミの生あははを聞けたぞ!ブルアカオタクとしてかなり嬉しいなこれ!でも努めて表情には出さない様にする。そうしないといきなりニヤニヤと怪しい笑みを浮かべることになるからね。

 

「もう販売されていないので買うこともできないものなのですが、ブラックマーケットではひそかに取引されているらしくて・・・」

 

「もしかして・・・戦車?」

 

「もしくは違法な火器?」

 

「化学兵器とかですか?」

 

「いや機関銃だろ」

 

「言うと思った。トリニティなんだから高級な化粧品とかじゃない?」

 

「じゃぁボクは高級な紅茶の茶葉と予想」

 

対策委員会に続きナツキとユイ、そしてボクと言いたくなったのでボクも含めてそれぞれ予想を言うと、ヒフミはブンブンと首を横に振って否定する。

 

「えっ!? い、いいえ、違うんです!・・えっとですね、ペロロ様の限定グッズなんです」

 

「ペロロ?」

 

「限定グッズ?」

 

「ペロロってアレだよね。今朝話してた」

 

「それだね」

 

「これです!ペロロ様とアイス屋さんがコラボした、限定のぬいぐるみ!」

 

と言って満面の笑みでリュックから取り出してボク達の前に出して見せたのは、目がまるで気絶した人みたいに上方向に向いて、そして口に無理矢理アイスクリームを押し込まれているペロロのぬいぐるみだった。うーん実物を初めて見たけど私としてもコレはそんなに可愛いとは思えないなぁ。

 

「限定生産で100体しか作られていないグッズなんですよ。ね? 可愛いでしょう?」

 

「・・・・」

 

反応に困って視線をこっちに向けて来るシロコ。でもボク達の方も想定外の物が出て来て反応に困ってしまっている。そんな中で、ノノミが直ぐに動いた。

 

「わあ。モモフレンズですね! 私も大好きです!ペロロちゃん可愛いですよね!私はミスター・ニコライが好きなんです」

 

「分かります! ニコライさんも哲学的なところがカッコよくて。最近出たニコライさんの本[善悪の彼方]も買いましたよ!それも初版で!」

 

同じモモフレンズ仲間が居てテンションが上がったヒフミが気持ち2倍速位のスピードで話し始めた。成る程、これが側から見たオタク特有の早口ってやつか。

 

「善悪の彼方って・・・逆にどんな内容か気になる題名してるね」

 

「いやマジでそれな。一応あんなナリでも可愛い系のキャラなんだろ?それの本のタイトルが善悪の彼方って・・・serval4はモモフレンズは詳しかったりする?」

 

《私もそんなに・・・名前を知っている程度で》

 

《私も知らないですね・・・》

 

ユイとナツキは本の題名を書いて困惑していた。映像の世紀とかの題名でありそうだよね。

 

「いやぁー何の話だか、おじさんにはさっぱりだなー」

 

「ホシノ先輩はこういうファンシー系にはまったく興味ないでしょ」

 

「ふむ、最近の若いやつにはついていけん」

 

「歳の差、ほぼないじゃん・・・」

 

「というわけで、グッズを買いに来たのですが、先ほどの人たちに絡まれて・・・みなさんがいなかったら今頃どうなっていたことやら。・・・ところで、アビドスとSRTの皆さんは、何故こちらに?」

 

「その質問を答える前に。ヒフミさん。ここではボク達がSRTだって言わない様にお願いします。バレたら面倒なことになるので」

 

口の前で人差し指を立てて静かにと言うジェスチャーをしながらお願いすると、ヒフミは首を縦に振ってくれた。

 

「あっ・・そうでしたね。すいません。それで、皆さんはこので何を?」

 

「私達も似た様なもんだよ。探し物があるんだー」

 

「そう。今は生産されていなくて手に入れにくいものなんだけど、ここにあるって話を聞いて」

 

「そうなんですか。似た様な感じなんですね」

 

《皆さん、大変です!四方から武装した人達が向かって来ています!》

 

《2時、5時、8時、10時方向からそれぞれ一個分隊規模。武装は全員軽火器。直ぐに接敵するよ!》

 

「何っ⁉︎」

 

「小隊各員戦闘用意!十字砲火を食らわない様に気をつけて!」

 

「いたぞ!アイツらだ!」

 

「よくもやってくれたな!痛い目に合わせてやるぜ!」

 

《先程撃退したチンピラの仲間の様です!完全に敵対モードです!》

 

「望むところ」

 

「まったく、何でこわなのばっかり絡んでくるんだろうね?私達、何か悪いことした?」

 

「まぁフルボッコにしたから恨みは買われているだろうね」

 

「アイツらの自業自得じゃん!」

 

《愚痴は後にして下さい。来ますよ!》

 

“このままだと囲まれちゃうね・・・よし、対策委員会の皆んなは走って逃げながら反撃。SERVAL小隊は対策委員会を追いかけて来る敵を後ろから攻撃して”

 

「了解。流石、良い考えですね」

 

「それじゃぁおじさん達は逃げよっか。走るよ〜」

 

「え⁉︎ちょ、ちょっと皆さん待って下さい〜!」

 

先生の指示に従って対策委員会+ヒフミは通路に沿って、走って包囲網の穴を潜り抜けて逃げ始める。当然、チンピラ達はその後を「待てやこらぁ!」と怒鳴りながら追いかける訳だけど、そうすると自然と敵は全員対策委員会の後ろと言う1箇所に集まることになる。

 

それが先生の狙いだ。囲まれて四方から十字砲火を浴びるよりは敵を1箇所に集めて戦った方が火力も集中させて戦い易いからね。

 

と言うことでブラックマーケットのど真ん中で追いかけっこをしながらの激しい銃撃戦が始まった。ボク達は大きく回り込んで敵の背後に付く。

 

チンピラ達は前に戦った便利屋や傭兵達の様な戦闘能力を持っている訳じゃ無い。ただ毎日喧嘩に明け暮れているだけの奴らだから滅茶苦茶簡単に後ろに回り込むことが出来た。後ろを警戒している奴なんておらず、自分達が回り込まれるなんて思っていないみたいだ。

 

「先生、準備完了」

 

《“分かった。対策委員会の皆んなは止まって反撃その間にSERVAL小隊は背後から攻撃。挟み撃ちにするよ”》

 

「了解」

 

走って逃げていた対策委員会が走るのをやめて、追いかけて来ていたチンピラ達と撃ち合いが始まる。何だかんだであわあわあしていたヒフミもちゃんと銃を持って戦っているし、めっちゃ上手い!とまでは行かないけど、それなりに戦い慣れている感じの戦い方をしている。

 

伊達にブラックマーケットに1人で来ていないってことなのか、マジでお前普通の女子高生なのかよって言いたくなる。

 

敵が前方の銃撃戦に集中して背後が無防備になっている隙にボク達は容赦無く弾丸を撃ち込んで倒して行く。ナツキも元気にserval-8式軽機関銃で乱射してチンピラ達に7.62×51mm弾を叩き込む。前回の便利屋との戦いよりも圧倒的に楽で一方的な戦いだ。だから隣で戦っているユイに話しかける余裕もあった。

 

「何だかんだで久しぶりだね。2人で一緒にCQB(近距離戦闘)するの」

 

「確かにね」

 

ユイはスナイパーだからこう言う時じゃない限りお互いに肩を並べて戦うって事はない。ユイの性格で強力無比な狙撃は頼りになるけど、やっぱり一緒に肩を並べて戦いたいなとも思う訳で、だから今こうして戦えているのが嬉しい。

 

「腕鈍ってるんじゃないの?」

 

「舐めんなっての。CQBもCQCもちゃんと訓練してるわ!」

 

スナイパーは遠距離の狙撃が専門だから近距離戦闘は弱いとよく思われるけど、実際はそうじゃない。もしもの時の弾にしっかりと近距離戦闘も訓練し、普通の隊員と変わらないレベルの戦闘能力を持っている。僕が居た地球でも、シモ・ヘイヘって言う有名なスナイパーがいたけど彼も狙撃だけじゃ無くてサブマシンガンでもなかなりの数の敵を倒した記録があったりするくらいだしね。

 

「リロード!」

 

「カバー!」

 

そしてボクとユイの自然と息の合った連携で、どちらか片方がリロードしている間にもう片方が撃つと言う方法で弾幕を絶やさない。

 

「レディ!」

 

「カバー!」

 

リロードし終えたボクの代わりに次はユイがserval-17式短小銃の空になったマガジンを新しいのに交換する。チンピラ達はやっと自分たちが挟撃されている事に気がついていたけど、どっちを攻撃すれば良いか分からずにオロオロとし始め、連携が全く取れなくなって行った。そうしている間にどんどん倒されて行き、最終的に最後の1人をシロコがヘッドショットして終わった。

 

腕時計を確認してみると戦闘開始から終了まで3分ほどしか経っていなかった。

 

「うーん・・・流石にチンピラ相手だとワンサイドゲームになっちまったな」

 

「うへ、撃ちたり無いって顔してるね」

 

「たった2マガジンしか使ってないからな。消化不良だよ。寸止め食らっごふっ!あでっ⁉︎」

 

「もうちょっと言葉を選べ!」

 

「寸止め・・・何それ?」

 

ナツキのとんでもない発言に対してホシノが素早い手刀でナツキの腹を刺し、ユイはナツキの頭を思いっきり殴り、セリカは何のことか分からずに首を傾げていた。

 

「セリカちゃんは知らなくて良いんだよ」

 

「ですね。セリカさんはそのままでいて下さい」

 

「え、何?なんでそんな優しい目で見て来るのよ?」

 

「ごほっ、ごほっ・・・な、なる、ほどね。セリカちゃんは純朴少女だったかっ・・・・」

 

2人の攻撃、特にホシノの手刀が結構効いたみたいで苦しむナツキ。ここ最近で一番ダメージ受けてるね。

 

《serval1、更に敵増援が4時と6時の方向から接近中》

 

「アイツら性懲りも無く!」

 

「ま、待って下さい!これ以上戦うのは不味いです!」

 

「ん?どうして?」

 

戦う気満々だったシロコが銃を下ろしてヒフミに聞く。ヒフミはワタワタと慌てながら説明をする。

 

「だ、だって・・ブラックマーケットで騒ぎを起こしたら、ここを管理している治安機関に見つかってしまうかもしれません!あうう・・そうなったら本当に大ごとです・・・・先ずはこの場から離れた方が良いです」

 

「あーね。マーケットガードを気にしてんのか」

 

「マーケットガード?」

 

「ヒフミが言った通りのここの治安機関だよ。一度目を付けられたらしつこく追いかけて来るぞ」

 

「ふむ・・・分かった。ここはヒフミちゃんの言う通りにした方が良さそうだね」

 

“だね。皆んな、ヒフミの言う通りに逃げよっか ”

 

「ちぇっ、運のいいやつらめ!」

 

ナツキも好戦的なヤツだけど、こうして舌打ちしているセリカをみると彼女も結構好戦的だよなぁと思う、

 

「こっちです!」

 

ヒフミが先導して走ってその場を後にする。更にアリナが上空からビジちゃん(ティルトローター式無人攻撃機)で周辺や道中にマーケットガードが居ないかを確認してくれたからマーケットガードには全く見つからずに逃げることに成功した。

 

「ここまで来れば大丈夫でしょう」

 

ヒフミの後をついて逃げて来た結果、歓楽街の様な所に行き着いた。ブラックマーケットと普通の街が融合した様な場所だ。

 

「ふむ・・・ここをかなり危険な場所だって認知しているんだね」

 

「えっ? と、当然です。連邦生徒会の手が及ばない場所の一つですから。ブラックマーケットだけでも、学園数個分の規模に匹敵しますし、決して無視はできないかと・・・」

 

「へぇ。広いとは思ってたけどそんなに」

 

「学園数個分って・・・下手な学園自治区より広いってことじゃない!」

 

学園数個分と言う果てしない広さを聞いてユイが驚く、対策委員会のメンバーも驚いていた。

 

「それに様々な[企業]が、この場所で違法な事柄を巡って利権争いをしていると聞きました。それだけじゃありません。ここ専用の金融機関や治安機関があるほどですから・・・」

 

「銀行や警察があるってこと・・!? そ、それってもちろん、認可されていない違法な団体だよね!?」

 

「はい・・・そうです」

 

正義感が強いセリカはそんな無法地帯なブラックマーケットの現状に怒りを覚えている様だった。

 

「スケールが桁違いですね・・・」

 

「社会から弾かれた人達による独自の社会が生み出されているって訳ね・・・」

 

「だな。非認可の学園自治区って感じだ」

 

“凄いね”

 

「中でも特に治安機関は、とにかく避けるのが一番です・・・騒ぎを起こしたら、まずは身を潜めるべきです・・・」

 

「さっきのマーケットガードって奴のことよね?」

 

「はい・・そうです」

 

「ふ~ん。ヒフミちゃん、ここのことに意外と詳しいんだねー」

 

「えっ?そうですか? 危険な場所なので、事前調査をしっかりしたせいでしょうか・・・」

 

それにしても色々と知り過ぎている気がするけどね。やっぱり普通じゃないよ。

 

「よし、決めたー」

 

「・・・?」

 

何を決めたのか分からず首を傾げるヒフミにホシノは笑顔で言った。

 

「助けてあげたお礼に、私たちの探し物が手に入るまで一緒に行動してもらうねー♪」

 

「え?ええっ?」

 

「わあ⭐︎いいアイデアですね!」

 

「成る程、誘拐だね」

 

「はいっ⁉︎」

 

「誘拐じゃなくて、案内をお願いしたいだけでしょ?もちろん、ヒフミさんが良ければ、だけど」

 

“ここについて詳しい人がこっちには1人しか居ないからヒフミも来てくれると嬉しいんだけど・・ ”

 

「あ、あうう・・私なんかでお役にたてるか分かりませんが・・・アビドスの皆さんにはお世話になりましたし、喜んで引き受けます」

 

ここで断っても良かったのにお願いを引き受けちゃうのが、真面目なヒフミらしいところだよね。まぁそのせいで厄介ごとに巻き込まられることも多いんだけどさ。

 

「ヒフミってちょっとリナと似てるね」

 

「え?何処が?」

 

「面倒事に巻き込まれるところが」

 

「う〜ん・・・」

 

確かにそう言われると完全には否定出来ない・・・でもボクの場合は人助けの為に望んで面倒事に巻き込まれに行くことが多いから完全に一緒って訳でもないと思うんだけど。

 

「よーし。それじゃぁ、ちょっとだけ同行頼むねー」

 

こうしてヒフミも加えて改めて情報探しが再開された。




前書きで書きそびれていましたが、ご感想と誤字報告ありがとうございます。とても助かってます。面白かった。次回も楽しみにしているなどと言われるだけで嬉しくなってモチベーションも向上しています。


さて、それでは今回新たに登場した武器の簡単な解説をしますね。

・serval-17式短小銃
ユイが大型の狙撃銃が使えないブラックマーケット内で使用したショートカービンライフルですね。元ネタはロシアがAKS-74Uの後継として開発したAM-17と言うカービンライフルで、同じ様なコンパクトカービン(又はショートカービン)の中でも小柄です。見た目も今までのAK系統から変わって近代化された見た目なのでカッコよくて好きな銃です。

元々前からユイに待たせる近距離戦闘用の銃は何にしようかって悩んでいたんですが、色んな候補の中からAM-17にしました。

・serval-8式軽機関銃
今回ナツキが使用した軽機関銃で、元ネタはドイツが開発したH&K G8A1と言う物で、元々はG3と言うバトルライフルを元に軽機関銃化させたH&K HK21と言う軽機関銃を元に、ベルト給弾機構を無くして銃身を短縮させた物になります。つまり、取り回しが良くなったと思って頂ければ良いです、G3って傑作なだけはあって派生型が凄い多い銃の一つですよね。


さて、解説は以上となります。次回はいよいよ強盗の時間ですよ。お楽しみに!
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