前世の記憶を持つSRTの生徒が先生と頑張る話   作:MGFFM15

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お待たせしました第8話です!私の書きたかった銀行強盗シーンが書けて私は大満足です。

そして沢山のお気に入り登録と、高評価、感想を書いて下さりありがとうございます。本当に嬉しいです。


話は変わりますが、皆さんはガンダムジークアクス見てますか?個人的に結構ハマっているアニメなので見ていない人は見てみることをおすすめします。


第8話 オペレーション トゥルース・スナッチ

ヒフミを新たに仲間に加えてヘルメット団が使っていた兵器に関する情報が無いか、ブラックマーケット中を歩き回って武器屋やジャンク屋、乗り物屋などなど、情報がありそうな所を片っ端から調べたけど欲しい情報は欠けらも出て来なかった。既に探し始めてから数時間が経っており、長期間の野外訓練に慣れているSERVAL小隊はまだしも、対策委員会の人達には疲れが見え始めていた。そして誰よりも体力の無いと思われる先生も流石に疲れている様子。

 

「はぁ・・・しんど」

 

「もう数時間は歩きましたよね・・・」

 

長時間歩き続けた疲労もそうだし、精神的にもなかなか収穫が無いままだから疲れて来る。これはSERVAL小隊にも言えることだった。

 

「これはさすがに、おじさんも参ったなー。腰も膝も悲鳴を上げているよー」

 

「えっ・・・ホシノさんはおいくつなのですか・・・・?」

 

ふぇ〜と疲れたアピールをするホシノ。そしておじさんネタを真に受けたヒフミが驚いて年齢を聞いて来た。

 

「ほぼ同年代っ!」

 

そして直ぐにセリカが突っ込んだ。

 

「と言うか本当に腰と膝が悲鳴を上げてそうなのはこっちだろ」

 

と親指で一番後ろを歩いている先生をナツキは指差した。先生は汗を滲ませながらも笑って答えた。

 

“大丈夫・・まだそんなに歳は取ってないから”

 

「でも私達よりは年取ってるし、先生はキヴォトスの外から来た人なんだから無理はダメですよ」

 

“心配してくれてありがとうね。ユイ ”

 

「いざとなったらコイツにおんぶして貰えよ。コイツ無駄に力はあるメスゴリラだから・・・さっと!へへっ、そう何度も食らわないぜ?」

 

「逃げんなクソガキっ!」

 

ナツキのメスゴリラ発言にユイが怒って頭に拳骨を食らわせようとしたが、予め来るのは分かっていたので直ぐに回避。それからユイとナツキの追いかけっこが始まった。

 

“元気だね・・・”

 

「まぁ普段からキツイ訓練ばっかしてますし、長期間の任務に備えて、野外で1週間60キロオーバーの重い荷物と自分の武器や装備を持った状態で敵役のチームから逃げ続ける訓練とかありますからね。自然と体力は付きます」

 

“それはキツそうだね”

 

「えぇ。マーージでキツイですよ。1週間野外で〇〇をやるシリーズは他にも色々あって全部キツイ訓練なのでヘルウィークって皆んな呼んでます」

 

そうやって先生も話している間に、追いかけっこはユイがナツキの足にスライディングを食らわせて転倒させて頭に拳骨を食らわせることで終了した。

 

「はぁ・・・無駄な体力使わせんなっての」

 

「いてて・・・お前がムキになって追い掛けなければ良い話だろ」

 

「残念ながら悪口言われて無視出来るほど私の器は大きく無いんでね」

 

「別に悪口として言ってる訳じゃねーよ。愛称だ」

 

「ならもうちょっとマシなものにしてよ」

 

「良いか?愛称ってのはその対象の特徴とかを反映した名前にすることが多い。そしてお前の特徴は?まず一番に思い付くのはそのデカい乳だ。そして次に思いつくのがそのデケェ身長。そして最後に馬鹿力だ。それらの特徴を総合した結果、メスゴリラって言う愛称がピッタリって話だ」

 

ナツキはユイの胸を指差し、次に頭から足までを指差し、そして最後に背負っている大型のガンケースを指して言った。まぁ確かにユイの特徴ではあるけど、見事にユイの気にしている部分を突いているね。十中八九わざとなんだろうけどさ。

 

「いや意味分かんないし」

 

「なら自分が考えてた初期案のデカ乳メスゴリラに変更してやろうか?」

 

「それこそ喧嘩売ってるでしょ⁉︎」

 

「はいはい。イチャつくのは後にしようか」

 

「イチャついては無いんだけどね⁉︎」

 

「凸凹コンビって感じで良いですね⭐︎」

 

まぁ何だかんだ言ってSERVAL小隊は全員仲が良い。と言うか仲良くなきゃやって行けないからね。互いに信頼して背中を預け合うことが出来ないとチームとして最高のパフォーマンスは発揮出来ない。仲が悪い同士の人間で作られたチームが上手く連携して戦える訳ないからね。

 

「あれ?あそこにあるのってたい焼き屋さんじゃないですか?」

 

「あ、本当だ」

 

ノノミが指差した方向には祭りで見る出店みたいな感じでたい焼きを売っている店があった。

 

「たい焼きかー。最近食べてなかったなぁ」

 

「あそこでちょっと一休みしましょうか? たい焼き、私がご馳走します!」

 

「えっ!? ノノミ先輩、またカード使うの!?」

 

「先生の[大人のカード]もあるよ~」

 

“任せて”

 

と言って先生はガードを入れている財布が入っているポケットをポンポンとか叩いてみせた。

 

「つか自分が払おうか?新しい出会いがあった(機関銃を見つけた)時に備えてある程度の金は持ってきてるし」

 

「ううん、私が食べたいからいいんですよ。皆で食べましょう、ねっ?」

 

「それじゃぁお言葉に甘えて良いですか?」

 

「はい⭐︎それじゃぁ皆んなの分買って来るのでちょっと待ってて下さいね〜♪」

 

「数が多いし私も持つよ」

 

ユイも手伝って屋台から対策委員会とSERVAL小隊、そして先生の分のたい焼きをノノミが買ってきて、暫しの休憩時間になった。近くに座れる場所は無いかなと思ったけど、残念ながら無かったので適当に日陰になっている場所に移動して食べ始める。

 

「うん、おいしい!」

 

たい焼きを一口食べたセリカが満面の笑みになる。

 

「中の餡子が熱いから気をつけてね」

 

「いやボクはそんな子供じゃないんだから」

 

「うん。普通に美味いな!」

 

「いやぁ、ちょうど甘いモノが欲しかったところだったんだー」

 

「あはは・・・いただきます」

 

「ん・・・先生も」

 

“いただきます”

 

全員がたい焼きを美味しそうに食べている中、シロコは先生にアーンを迫る。先生は先生で特に拒否せずに差し出されたたい焼きを食べている。

 

「アヤネちゃんとアリナさんには、戻ったらちゃんとご馳走しますね。私達だけでごめんなさい・・・」

 

《あはは。大丈夫ですよ、ノノミ先輩。私はここでアリナさんの持ってたお菓子を貰ってつまんでますし》

 

《ストックはそれなりにあるから、気にしないで良いですよ》

 

アリナは甘い物が好きだから、GCS内にはアリナがストックしているお菓子がある。お菓子をつまみながらドローンの操縦をしているアリナの姿を見てナツキが「楽な仕事だねぇ」と言ってこともあったね。まぁ実際は偵察任務とかの単調な任務の時くらいしかお菓子を摘める暇は無いってアリナが言ってたけど。

 

「しばしブレイクタイムだねー」

 

適当に座れそうな場所に腰を下ろして、たい焼きをパクつきながら雑談に花を咲かせる。ヒフミも加えた対策委員会の皆んなと一緒にこうして話が出来るのは本当に嬉しいね。更に、予定通りならこの後にはあのビッグイベントも控えているから楽しみだ。

 

「ん〜♪やっぱり出来立ては美味しいね」

 

「だね」

 

焼きたてのたい焼きは外の生地はサクッとしていて中はふんわりしていて、餡も甘過ぎずに丁度良い。

 

「そう言えばSRTは甘い物を全く食べれないって言う噂を聞きますが本当なんですか?」

 

「え、そうなの?」

 

ヒフミの質問を聞いたセリカが驚きボクの方を向いて聞いて来た。

 

「よく聞く噂話ですけど、それは違いますよ。だって今アヤネさんはアリナからお菓子を貰って食べているじゃないですか」

 

「あ、確かに」

 

「あはは・・言われてみればそうでしたね。失礼しました」

 

「長期の野外訓練とかだとカバンに邪魔にならない程度にお菓子とか軽食を入れることもありますよ。飴とかチョコとかグミとかそう言う手軽に持ち運べて、長期の保存が出来るものが好まれますね」

 

「後は魚肉ソーセージとかサラミとかカルパスとかも人気だな。あのヘトヘトになって状態で簡易陣地で貪り食うカルパスの美味さは、どんな高級飯よりも美味いね」

 

「分かる〜」

 

よく訓練中の小休憩時間にナツキやボクが買って来たカルパスを小隊の皆んなで分け合って食べてたけど、あれはあれで良い思い出だよ。

 

「でもDレーションは不味いよな」

 

「分かる。不味いよね」

 

「数あるレーションの中でも上位に入る不人気商品だからねぇ」

 

「Dレーションってなんですか?」

 

「SRTが作ってる携帯非常食で、携帯非常食D号って言う名前のチョコが出ているんだけどさ、それが不味いんだよ」

 

「え、チョコなのに不味いの?」

 

「よく言われる表現が茹でたジャガイモよりややマシな程度ですね」

 

「ゆ、茹でたジャガイモ・・・」

 

「逆に想像し難い味だねー」

 

携帯非常食D号はポケットサイズの高エネルギー非常食として開発されたチョコで、長期保存と高カロリー摂取に重きをおいて作られていて、味は日々厳しい訓練で甘味に飢えている生徒達が食べ過ぎないようにってことで、食べれない程じゃ無いけど進んで食べようとはしない味に調整されている。

 

「まぁそんな味だから誰も食べようとしないんですよね。それに馬鹿みたいに硬いですし。なのでコンビニで買って来たチョコを隠し持って来ることが多いです。甘いお菓子は士気の向上にもなりますしね」

 

味も最悪な上に、硬いから噛み難い。Dレーションの硬さを擬音語で表すとガリッゴリッて感じ。硬いし不味いから、本当にどうしようもない時にしか食べないね。

 

「ま、でもだからと言ってバカみてぇにお菓子を沢山持って来ていたりしたら怒られるけどな」

 

「へぇ〜」

 

“ そんなに不味いと聞くと、逆にそのDレーションって言うを食べてみてみたくなるね”

 

「おすすめはしねぇぞ〜」

 

「にしても・・・ここまで情報がないなんてありえません・・妙ですね。お探しの戦車の情報・・・絶対どこかにあるはずなのに、探しても探しても出てきませんね・・・。販売ルート、保管記録・・・全て何者かが意図的に隠している様な、そんな気がします」

 

「まぁこれだけ探して全く情報が出て来ないって言うのは逆に怪しいよね」

 

ユイの言う通り、余りにも情報が無さ過ぎて怪しい。誰かが徹底して情報を外部に流れない様にしているとしか思えない。

 

「だれかが隠してるって感じだね」

 

「ですが、幾らここを牛耳っている企業でも、このまで徹底してブラックマーケットを統制することは不可能なはず・・・・」

 

「そんなに異常なことなの?」

 

「異常と言うよりかは、普通ここまでやりますか?って言う感じですね。ここに集まってる企業は、ある意味開き直って悪さをしていますから、逆に変に隠したりしないんです」

 

「赤信号、皆んなで渡れば怖く無いってな」

 

「ある意味そう言う感じとも言えますね。例えば、あそこのビル。あれがブラックマーケットに名をはせる闇銀行です」

 

「闇銀行?」

 

銀行、と言う単語にシロコの狼の耳がピクリと反応した。

 

「ブラックマーケットで最も大きな銀行の一つです。聞いた話だと、キヴォトスで行われる犯罪の15%の盗品があそこに流されているそうです・・・横領、強盗、誘拐などなど、様々な犯罪によって獲得した財貨が、違法な武器や兵器に変えられてまた別の犯罪に使われる・・そんな悪循環が続いているのです」

 

《こちらでも調べた結果同じ様な情報が出て来ました。どうやらとても高い守秘性が特徴の様で、噂によると銀行員が信用出来ると判断したお客さんの情報は絶対に外部に漏らさないのだとか。そのお客さんが例え犯罪者であっても》

 

僕の世界で言うとスイス銀行みたいな感じだな。お客様の情報は決して外部に漏らさない高度な守秘性。訳アリのお客さんにとっては嬉しい銀行だね。

 

「・・そんなの、銀行が犯罪を煽っているようなものじゃないですか」

 

ノノミが呆れたよに、少し悲しそうに言ってヒフミが頷く。

 

「その通りです。まさに銀行も犯罪組織なのです・・・」

 

「ひどい! 連邦生徒会は一体何やってんの!?」

 

そんな現状を聞いたセリカが怒りを露わにする。

 

「理由はいろいろあるんだろうけどねー、どこもそれなりの事情があるだろうからさ」

 

「まぁ理由の一部を言うと、今の連邦生徒会にそこまで手を回す余裕が無い。規模が大き過ぎて一掃するのが困難。もしここを潰せてもまた別の所に同じ様な場所が生まれるだけでイタチごっこになる。とかだな」

 

「現実は、思った以上に汚れてるんだね・・・私達はアビドスばかりに気を取られすぎて、外のことをあまりにも知らなさ過ぎたかも・・・」

 

「キヴォトスは広いからね・・・」

 

ホシノ達が暗い顔をしていると、アヤネから慌てた様子で連絡して来た。

 

《お取込み中失礼します!そちらに武装した集団が接近中!》

 

《3時方向から接近中。皆んなに気がついた様子は無いけど注意して》

 

「急いで隠れましょう!」

 

「だね。そこの物陰に隠れよっか」

 

全員が一斉に銃を持って近くの遮蔽物になりそうな所に隠れて、通過して行く車両を確認する。武装集団がやって来ると、そこにトラックが合流して行く。

 

「トラックを護送している・・・・現金輸送車だね」

 

「あれ・・・あっちは・・・・・銀行に入りましたね?」

 

闇銀行に入って行った現金輸送車は一度止まると、中から人が降りて来て警備員から渡された書類にサインをしていた。その書類をサインしている人を見たノノミは気がついた。

 

「見てください・・・あの人・・」

 

言われてセリカも直ぐに気がついた。

 

「あれ・・・?な、何で⁉︎あいつは毎月うちに来て利息を受け取っているあの銀行員・・・?」

 

「あれ、ホントだ」

 

「えっ⁉︎ええっ・・・?」

 

「・・・どう言うこと?」

 

《ほ、本当ですね!車もカイザーローンの物です!》

 

ビジちゃんからの高画質空撮映像を見ていたアヤネも、その車両が今朝利息を受け取りに来た現金輸送車と同じ物だと確認していた。

 

「か、カイザーローンですか!?」

 

ヒフミが驚いた様に声を上げた。

 

「ヒフミちゃん、知ってるのー?」

 

「カイザーローンと言えば、かの有名なカイザーコーポレーションが運営する高利金融業者です・・・」

 

「うへ。有名な・・・? そこって、マズいところなのー?」

 

「あ、いえ・・・カイザーグループ自体は犯罪を起こしてはいません・・・しかし合法と違法の間のグレーゾーンで上手く振舞っている多角化企業で・・・カイザーは私達トリニティの区画にもかなり進出しているのですが、生徒たちへの悪影響を考慮し[ティーパーティー]でも目を光らせてます」

 

「ティーパーティー・・・あのトリニティの生徒会がねぇ・・・」

 

「ところでみなさんの借金とはもしかして・・・・アビドスはカイザーローンから融資を・・・?」

 

「借りたのは私達じゃないんですけどね・・・」

 

「話すと長くなるんだよねー。アヤネちゃん、さっき入って来た現金輸送車の走行ルート、調べられる?」

 

《少々お待ちください・・・・ダメですね。すべてのデータをオフラインで管理している様です。全然ヒットしません》

 

「だろうねー」

 

「そう言えば、いつも返済は現金だけでしたよね。それはつまり・・・」

 

「私達が支払ったお金が、ブラックマーケットの闇銀行に流れ込んでいた?」

 

「じゃあ何?私達はブラックマーケットに、犯罪資金を提供していたってこと⁉︎」

 

「「「・・・・・・」」」

 

対策委員会の皆んなが悔しそうな表情のまま黙り込む。毎日必死になって稼いで来たお金が犯罪資金に使われていたと分かったら、そりゃそうなるよね。

 

《ま、まだそうハッキリとは・・・証拠もありませんし。あの輸送車の動線を把握するまでは・・・》

 

「・・・あ!さっきサインしていた集金確認の書類・・・。それを見れば証拠になりませんか?」

 

「さすが」

 

「おお、そりゃナイスアイデアだねー、ヒフミちゃん」

 

「でもどうやってその書類を確認するの?」

 

「あはは・・確かにそうですね。書類はもう銀行の中ですし・・・無理ですね。ブラックマーケットでも最も強固なセキュリティを誇ると言われている銀行の中となると・・・。それにあれだけの数のマーケットガードが目を光らせていますし・・・。それ以外に輸送車の集金ルートを確認する方法は・・・ええっと・・・う〜ん・・・・」

 

「うん、他に方法は無いよ」

 

「えっ?」

 

・・ついに来ましたか。この瞬間が。ブルアカには数々の名場面、迷場面があるわけでけどこのイベントは逃すことは出来ないよね。

 

「ホシノ先輩、ここは例の方法しか」

 

「なるほど、あれかー。あれなのかー」

 

「ふっ、まさかSRTに入ってからこんな事をするとは思ったなかったけど、一度はやってみたかったんだよな〜」

 

「実はボクも」

 

「アンタら自分達がSRTだって言う自覚ある?」

 

「・・・えぇ?」

 

「・・・あ!そうですね、あの方法なら!」

 

「何?どう言うこと?・・・・まさか、あれ?まさか、私が思っているあの方法じゃないよね?」

 

そうセリカがシロコに聞くと、シロコは無言で首を縦に振って見せた。

 

「う、嘘っ!本気で⁉︎」

 

一人だけ話について行けずにいたヒフミが恐る恐る手を上げて質問して来た。

 

「・・・あ、あのう。全然話が見えないんですけど・・・[あの方法]って何ですか?」

 

「残された方法はたった一つ」

 

スッと鞄から取り出した覆面をシロコは慣れた手つきで被って言った。

 

「銀行を襲う」

 

「はいっ⁉︎」

 

「だよねー、そう言う展開になるよねー」

 

「はいいいっ⁉︎」

 

「わぁ☆そしてら悪い銀行をやっつけるとしましょう!」

 

シロコに続いてホシノとノノミも以前にシロコから貰っていた覆面を被っていた。

 

「えええっ‼︎⁇ちょ、ちょっと待って下さい!」

 

「はぁ・・・・マジで?マジなんだよね・・・?ふぅ・・・それなら・・・とことんまでやるしかないか!」

 

何だかんだ言ってセリカも覆面を被っていつでも銀行を襲える様に準備する。

 

「あ、うあ・・・?あわわわ・・・?」

 

勝手に話が進んで行き、ついて行けずにただあわあわすることしか出来なくなっているヒフミ。

 

《・・・・はぁ、了解です。こうなったら止めても聞く耳持たないでしょうし・・・SERVAL小隊の皆さんも居るのでどうにかなる、筈・・・》

 

《あ、私達も参加する前提なんだ・・・》

 

無線機からに小声で突っ込むアリナの声が聞こえて来た。ナチュラルに銀行強盗の仲間にされたってことは、アヤネからボク達も仲間だって思われていることなのかな?それなら嬉しいけど。

 

「ごめんヒフミ。貴方の分の覆面は無い」

 

「うへー、ってことは、バレたら全部トリニティのせいだって言うしかないねー」

 

「ええっ⁉︎そ、そんな・・・覆面・・・何で・・えっと、だから・・・あ、あう・・・」

 

何とか状況を整理して解決策を探そうとしたみたいだけど、情報量が多過ぎたみたいだね。

 

「さらっとエゲツないこと考えるね。ホシノさん」

 

「本当にね」

 

「それは可哀そう過ぎます。ヒフミちゃん、取り敢えずこれどうぞ☆」

 

そう言ってノノミがヒフミに手渡したのはさっきまでたい焼きが入っていた紙袋。中はたい焼きの油とか匂いでヤバそうだけど、無いよりは良いのかな?

 

「たい焼きの紙袋?おお!それなら大丈夫そうー!」

 

「え?ちょ、ちょっと待ってください、みなさん・・・・」

 

ボクは困惑し続けるヒフミの肩をポンと叩いて話しかけた。

 

「ヒフミさん・・・どんまいです」

 

「あ、あうう・・・ううう・・・・」

 

紙袋の目の部分を切り抜き、番号も書かれた紙袋をなされるがまま被せられるヒフミ。

 

「ん、完璧」

 

「番号も振っておきました。ヒフミちゃんは5番です⭐︎」

 

「見た目はラスボス級じゃない?悪の根源だねー、親分だねー」

 

「やっぱりヒフミに責任を押し付けようとしてねぇか?」

 

「いやいやまさか〜」

 

「わ、私もご一緒するんですか?銀行の襲撃に・・・?」

 

「さっき約束したじゃーん?ヒフミちゃん、今日は私達と一緒に行動するって」

 

「う、うああ・・・わ、私、もう生徒会の人達に合わせる顔がありません・・・」

 

「問題ないよ!私らは悪くないし!悪いのはあっち!だから襲うの!」

 

「いやその考えもおかしいと思うけど」

 

「セリカちゃんは血気盛んだね」

 

「なによ!間違ってことは言ってないでしょ!」

 

「まぁ正義感があって良いんじゃね?」

 

「それじゃぁ先生、例のセリフを」

 

“じゃぁ皆んなで銀行を襲うよ!”

 

「いや、仮にも教師が銀行を襲おうとは言うのはダメでしょ」

 

「はいっ!出発しましょう!」

 

「あ、あうう・・・・」

 

《ふぅ、では覆面水着団、出撃しましょうか!》

 

対策委員会改め覆面水着の皆は仲良く「おー!」と言って襲撃の準備を始めた。その光景を見ながらナツキが聞いて来た。

 

「で、こっちはどうするんだ?小隊長?」

 

「そりゃ行くに決まってるでしょ」

 

フッと笑ってそう答えて見せると、ナツキの方も嬉しそうにニヤッと笑った。

 

「アンタならそう言ってくれると思っていたぜ」

 

2人仲良く「「いえ〜い」」と言いながらボクとナツキはお互いに拳をぶつけ合った。その光景をユイが呆れた様子で見ていた。

 

「さっきも言ったけど、2人とも自分がSRTだって言う意識ある?」

 

「大丈夫だって。他のSRT生でもバカやってる奴は居るし。誰だっけな、無差別乱射で商店街を半壊させた奴も居たよな」

 

「まぁ、今回は事情が特殊だからさ。それにアビドスを助ける為には必要で仕方ないことだから」

 

「はぁ・・・まぁここはブラックマーケットだし、記章も外しているからある程度暴れても私達の正体がバレて学園に報告が行くなんてことにはならないよね」

 

「それじゃぁ先ず服を買いに行こっか」

 

「え?何で服なのよ」

 

ボク達の会話を聞いていたセリカが首を傾げながら聞いて来る。

 

「一応記章は外してますけど、もしこの服装からSRTだってバレて最悪学園に報告されたら、ボク達は何の許可無くブラックマーケットに入ったとして厳罰に処さちゃうので、それを避ける為ですね。セリカさん達も着替えます?」

 

「私はいい。面倒だし」

 

「ならボク達の分だけ買いに行きますね。その間対策委員会の皆さんはゆっくりしてて下さい」

 

そう言い残してボク達はブラックマーケットの衣服を取り扱っている場所へナツキに案内されながら向かった。

 

それから15分程経って、変装用の服を買って着替えて来たボク達は紅茶を飲んだり、強盗計画を見直したりして待ってた対策委員会の元へ戻って来た。

 

「お待たせしました」

 

「お?お〜結構印象変わるね〜」

 

「皆さん似合ってます☆」

 

SERVAL小隊の服装は以下の通り。ボクは玄龍門のモブが来ているグレーのスーツ。サングラスもちゃんと付けている。それなりに様になってるんじゃないかなって自分では思う。それに有名な銀行強盗映画でもスーツで強盗していたしね。

 

ユイは百鬼夜行連合学院の自分の髪色に似せた緑みの黄緑色の和服風の制服で、デザインはカホの物に似ている。そう、つまり横乳が出ているってこと。でも残念かな、サラシを巻いているから素肌を見ることは出来ない。でも、小隊一胸のデカいユイがそんな服を着ているんだから、ツバキみたいなとんでもない横乳の見え方になっている。本人は気にしていないみたいだから良いけど。

 

ナツキは薄紫色シャツと赤色のネクタイ、そして黒色のスカートと言うゲヘナのオーソドックスな制服をチョイス。つまりゲヘナのモブ生徒の制服だね。ナツキの男勝りで好戦的な性格とカッコいい寄りの見た目に似合っている。

 

“リナはスーツなんだね。似合ってるよ”

 

「銀行強盗の服装はスーツって相場が決まってますからね」

 

「いや決まってないでしょ」

 

すかさずセリカがツッコミを入れて来る。ふっ、君はもっと銀行強盗を主題にした映画を見るべきだね。

 

《良いなぁ私も他の学園の制服着てみたかったな》

 

アビドス高校の|GCS《地上管制センター)内に居るアリナは別に着替える必要もないからそのままだけど、どうやら着てみたかったらしい。

 

「何かご所望の服があるなら買って来てやるぞ」

 

《え、良いの⁉︎ならハイランダーの乗務員の服が良い!可愛いから着たいと思ってたんだ〜》

 

アリナが言っているハイランダーの乗務員の制服って言うのは、あのハイランダー構文を生み出したモブの娘の服だろうね。確かに可愛いと思うし、アリナにとても似合うと思う。

 

「ユイさんも似合ってますね⭐︎」

 

「でしょ〜?一度着てみたかったんだよね。百鬼夜行の制服」

 

「他にはないデザインですしね」

 

「ナツキはもうちょっと冒険すれば良かったのに。それじゃいつもの制服と殆ど変わらないじゃん」

 

「でも似合うだろ?」

 

と言って片手を腰にを当ててポーズを取るナツキ。

 

「それは・・・・まぁ確かに似合ってるけど、そのドヤ顔で言われると認めたくなくなる」

 

「さて、それじゃぁブリーフィングを始めましょうか。シロコさん、説明宜しくお願いします」

 

「ん、任せて」

 

ボクがシロコに銀行強盗の説明を求めると、待ってましたと言う感じでとてもイキイキした状態で説明をし始めた。

 


 

ブリーフィングの結果、シロコの考えた作戦を元にボクがちょっとだけ手を加えた銀行強盗の作戦が出来上がった。シロコの考えていた強盗計画は普通に文句無しのものだったから恐ろしい。これがメインヒロインの考えることなのかな?

 

まぁそれはさておき、作戦会議も終わったボク達はそれぞれ所定の位置に着いた。

 

sierra(シエラ)3、sierra4。準備は?」

 

今回の銀行強盗ではSERVAL小隊だとバレない様に、無線を使う時のコールサインもservalからsierraに変えた。なんでsierraかって言うと特に深い意味は無くて、servalの頭文字のSをファネステックコードで呼んだだけ。

 

《こちらsierra3警報システム及び監視カメラ、そして電話線はいつでも潰せる》

 

今回ユイは襲撃する闇銀行は外からは殆ど中の様子を伺うことが出来ないようになっているから狙撃や監視がし難いと言うことで、下水道から闇銀行の地下にある配電盤室へ侵入していた。

 

《こちらsierra4、ヒヨちゃん(ランチャードローン)5機を銀行周辺に展開完了。いつでもECMを展開可能》

 

「了解。1号は合図をしたらブレーカーを落として下さい。sierra3の方もボクの指示で警報システムと監視カメラ、電話線を潰して。sierra4はECMを展開。ブレーカーが落ちると同時に突入部隊は突入。予備電源が稼働して電気が点くまでの間にマーケットガードを無力化。対策・・じゃなかった。覆面水着団の皆さん準備は?」

 

「ん。いつでも」

 

「やってやるわ!」

 

「オッケーです☆」

 

「いつでも良いよ〜」

 

「ナツキの方は?」

 

「さっさと始めようぜ!」

 

ナツキがサムズアップしたのを見て覆面水着団の皆んなが準備完了したことを確認する。全員己の愛銃を構えていつでも突入出来る様に正面玄関を見据える。

 

「それじゃぁ、オペレーション トゥルース・スナッチを開始するよ。さっきも言ったけど、何か不測の事態が発生して作戦続行が不可能になったと判断したら、迷わずに直ぐに逃げて30秒以内に全員撤退するように」

 

出来る限りの準備はした。後は実行するだけだ。まぁ対策委員会だけでもこの強盗は成功するのは確定しているのにボク達まで加勢したら、相当なヘマをしない限り失敗はしない。でも、だからと言って慢心はダメだ。きちんと警戒しながら始めよう。

 

因みに今回の作戦名であるトゥルース・スナッチはボクが即興で考えた。集金記録という真実を奪取する訳だからそのままの意味だけど、良い名前じゃないかなと自負してる。ナツキにも「良いんじゃね?」と言ってもらえたしね。

 

ボクが先頭に立って静かに素早く移動してアヤネ見つけてくれた裏口の方へ向かう。情報通り裏口にはマーケットガードが2人暇そうに立っている。

 

「sierra3、外部の監視カメラを落として」

 

《ちょい待ち・・・・完了》

 

ここからは時間との勝負だ。外部の監視カメラが全部ダウンしたことを絶対にマーケットガードは不審に思うだろうから対応する前に侵入する必要がある。

 

「sierra2は右を。左はこっちがやる」

 

「了解。一番槍は?」

 

「ボクが」

 

「オーケー」

 

ナツキとボクはそれぞれの目標に狙いを定める。ボクの銃もナツキの銃も予めサプレッサーを付けたから発砲音の問題は無い。今回は相手が無線機を使って異常を報告する前に倒す必要があるから頭の眉間を狙う。そして静かに3回トリガーを引いた。ナツキもそれに続いて撃つ。大口径弾を頭に数発食らったマーケットガードを「うっ⁉︎」と短い呻き声を上げて倒れた。

 

「クリアー」

 

他に誰もいないことを確認しつつ裏口に近づいてドアノブを捻って引く。が、開かない。押してみても開かない。流石に施錠されているか。

 

「やっぱり裏口は施錠されてる」

 

「おじさんが開けようか?」

 

ホシノがやろうとしているのはショットガンを使ってドアブリーチングをしようとしているみたいだけど、ショットガンで開けようとすると数発撃ってドアをこじ開ける必要があって、大きい銃声が複数回鳴るから他のマーケットガードにバレる可能性が高い。だから今回はボクが持って来た便利アイテムを使う。

 

「いえ、大丈夫です」

 

ボクはリュックから円柱形の物を取り出す。大きさは運動会で使うバトンくらいの大きさのコレはテックトーチと言う物で、テルミット反応を使って一瞬で金属部品などを溶断することが出来る。それに銃声よりも小さい音でドアを開けれる優れ物。

 

テックトーチの先端を鍵の部分、デッドボルトに押し当ててボタンを押す。金属酸化物と金属アルミニウムの混合物に着火して、2000度以上になる高温の炎を先端のノズルから噴射する。このテックトーチの炎は僅か2秒しか続かないけど、その2秒の間に高い圧力と熱によって20mm厚の金属を溶かすことが出来る。つまり、そこら辺のドアの鍵なんて簡単に溶かして開けることが出来る。

 

燃焼が終わったテックトーチを離すと、デッドボルトのあった場所は熱で完全に溶けて穴が空いていて、ドアを引くとそのまま開いた。

 

「流石SRT、便利な物持ってるねぇ」

 

「便利なので買ってみたらどうです?そこそこ高いですけど。sierra3、警報システムと監視カメラと電話線、全部切って」

 

《了解・・・・・完了!》

 

「了解。ここからは時間との勝負。行くよ!」

 

周囲の警戒をしながら静かに素早く室内に侵入して行く。テックトーチの燃焼音は銃声よりは小さいと言っても無音って訳じゃない。バシュー!って言う音が鳴るからある程度うるさい。その音に気がついてこっちに来ている人が居るかなと思ったけど裏口から廊下は人気が全く無かった。

 

そもそもブラックマーケットの中でも警備が厳しいと言われている銀行を強盗しようとする奴が居らとは普通思わないし、警備も必要最低限なのかもしれないね。人件費だって安く無いし。

 

道中邪魔なマーケットガードは直ぐに無力化して結束バンドで手足を拘束して動けなくしておく。そして記憶した通路図を思い出しつつ早歩きで進んだ結果、2分も掛からずにロビーに到着した。

 

「1号、ブレーカーを」

 

《ブレーカー、落とします!》

 

《ECM、起動!》

 

ぶつん、と言う音と共に銀行内の灯りが一斉に消えて窓から僅かに差し込む太陽光以外の灯りが無くなり室内が薄暗くなる。突然の停電で銀行員やマーケットガードが慌てふてめいており、静かに背後から近づいて来るボク達の存在に誰も気づいていない。

 

「な、何事ですか? 停電!?」

 

「い、一体だれが!? パソコンの電源も落ちてるじゃないか!」

 

それぞれが銃を構えてマーケットガードの頭に銃口を向ける。そしてさっきと同じ様に先ずボクが引き金を引き、全員がそれに続いてマーケットガードを次々と倒して行く。

 

「うわっ! ああああっ!」

 

「うわああっ!」

 

「ぐあっ⁉︎」

 

マーケットガードは一発も撃ち返すことが出来ずに無力化されて行った。完全なる背後からの奇襲攻撃。流石のマーケットガードも対処は出来なかったみたいだね。

 

「銃声っ!? なっ、何が起きて・・・うああっ!」

 

非常電源が稼働して灯りが点き、姿を現した覆面水着団とsierra隊に銀行にいた人達は驚き悲鳴を上げる。頼みの綱だった筈のマーケットガードのは既に倒された状態で、銀行員はオロオロとするしかない。

 

「全員その場に伏せなさい! 持っている武器はすべて捨てて!」

 

「言うこと聞かないと、痛い目にあいますよー⭐︎」

 

セリカとノノミは銃を構えて周囲を警戒しながら威嚇する。なんだかセリカは様になってるな。

 

「あ、あはは・・・みなさん、ケガしちゃいけないので・・・・伏せてくださいね・・」

 

銀行強盗らしく無い申し訳なさそうな声音でヒフミも周囲の人達に警告する。申し訳なさそうにしながらもちゃんと銃口は銀行員の人達に向いているのは彼女の真面目さなのかな。

 

「ぎ、銀行強盗!?」

 

「非常事態発生!非常事態発生!」

 

銀行審査官が非常事態を宣言しながら机の下側に隠されていた警報装置のボタンを押す。が、何も鳴らない。連打しても何も鳴らない。

 

「くそっ!」

 

ならばと銀行監査官はポケットからスマホを取り出して緊急連絡先に電話しようとしたが、これも繋がらない。いつもはやって来た客を上から目線で罵って来る傲慢な態度の銀行監査官にも焦りの表情が出る。そして、いろんな場所に連絡しようと画面を操作していると、背後から近づいて来たホシノがそのスマホを奪い取って、銀行監査官に銃口を向けた。

 

「うへ~無駄無駄ー。外部に通報される警備システムの電源は落としちゃったし、携帯電話も固定電話も、ネットも、外部に連絡する手段は全部遮断したからね〜」

 

「ひ、ひいっ!」

 

最早何も出来ないことを悟った銀行監査官は目の前に迫る銃口に怯えることしか出来なかった。両手を上げて、降参した。ドローンから発せられるECM、簡単に言うと妨害電波とユイによる破壊工作で外部に緊急事態を知らせる手段は誰かが直接知らせに行くしか無い。でも、ここにいる奴らは全員ボク達が見張っているから誰も外に出ることは許さない。

 

一方ボクの方は相手に威圧感を与えて、こっちに反抗しようと思えない様にする為に動いていた。ぶっちゃけ人数差だとこっちが少ない。銀行員と客が一致団結して襲い掛かって来たらこっちもタダじゃ済まない。

 

だから強めの言葉と行動で警告する必要があるから、ボクは受付の上に登って机の上に置いてあった物を蹴飛ばす。そして周囲を見渡しながら銀行に居る人達に警告する。

 

「動くんじゃない!伏せろ!ヘイローを壊されたくなかったら言うことを聞け!床に伏せて手は頭の上に!武器は投げ捨てろ!そこ!キョロキョロするな!地面だけ見てろ!お前らの汚い金に興味は無い!1円たりとも取る気はないから安心しろ。我々の狙いは銀行の集金記録だけだ!死にたくないだろ⁉︎これからも平穏に暮らしたいなら何もするな!英雄ぶろうともするな!痛い目に合うだけだからな!」

 

忠実に仕事をこなそうと反抗してこようとする銀行員はウチのsierra隊と覆面水着団が瞬時に無力化して、素早く結束バンドで両手と両足を縛って動けない様に拘束する。その他の銀行員達は突然の銀行強盗に怯えて指示通りに床に伏せて手を頭の上に組んでいる。

 

「よーし、全員そのまま動くな!床に伏せて地面を見とけば直ぐに終わる!その間、気分が悪かったり、持病を持っているヤツは楽な姿勢で良い。お前らに恨みは無いが、もしこっちの言うことを無視したら容赦はしないからな‼︎」

 

「ほら、そこ!!伏せてってば!下手に動くとあの世行きだよ!?」

 

「みなさん、お願いだからジッとしててください・・あうう・・・・」

 

この時点でロビーの制圧は完了した。面倒なマーケットガードと反抗して来ようとする銀行員は無力化した後に拘束して、他の人達は地面に伏せさせて持っていた武器は、用意していた袋にノノミが回収して入れて行く。

 

「うへ~。ここまでは計画通り! 次のステップに進もうー!リーダーのファウストさん!指示を願う!」

 

ホシノの発言にヒフミは驚き振り返る。突然銀行強盗の片棒を担がされたと思ったら次はまさかのリーダーに仕立て上げられるなんてヒフミも不憫だね。

 

「えっ⁉えっ!?ファウストって、わ、私ですか?リーダーですか? 私が!?」

 

「リーダーです! ボスです!ちなみに私は・・・覆面水着団のクリスティーナだお♧」

 

「うわ、何それ! いつから覆面水着団なんて名前になったの!?それにダサすぎだし!」

 

今は銀行強盗しているって言うのにいつもの対策委員会のノリになり始める。以外と皆んな余裕あるよね。

 

「うへ、ファウストさんは怒ると怖いんだよー? 言うこと聞かないと怒られるぞー?」

 

もういくら講義しても意味が無いんだろうなと悟ったヒフミは溜め息を吐いた。ドンマイ。

 

「あう・・・リーダーになっちゃいました・・これじゃあ、ティーパーティーの名の泥を塗る羽目に・・・いえ・・・止められなかったのがそもそもの・・・・うぅ」

 

ボク達が銀行員と客が不審な動きをしていないか監視ている間に、シロコが銀行監査官に集金記録の在処を書き出し、そしてそれを用意した鞄の中に入れて行く。怯えた銀行監査官は集金記録とは別に現金までもこれでもかと詰め込んでいるけど、このお金は回り回って柴関ラーメンの役に立つから指摘はしない。

 

そう言えばアルちゃんはどうしてるかなって思って周囲を見渡して探してみると、直ぐに見つけることが出来た。伏せて地面を見てろって言った筈なのに、まるで小さい子供がヒーローアニメを見ている時みたいな憧れ、尊敬、期待などの感情が混ざったキラキラとした目でこっちを見ていた。

 

「おの、シロ・・・いや、ブルー先輩!ブツは手に入った?」

 

「あ、う、うん。確保した」

 

「それじゃ逃げるよー!全員撤収!」

 

「アディオ〜ス⭐︎」

 

「け、怪我人はいないようですし・・・すみませんでした、さよならっ‼︎」

 

「sierra小隊、ORP(目標集結地点)へ撤収。ヒヨちゃんはそのままこっちが撤収するまで銀行周辺を飛んでECMを継続」

 

《 《 《了解》 》 》

 

覆面水着団の皆んなが先に銀行からそそくさと撤収して行き、その後にボク達が銀行員達が反撃して来ないか警戒しながら撤収した。

 

「や、奴らを捕えろ‼︎道路を封鎖!マーケットガードに通報だ!1人も逃すな!」

 

銀行強盗全員が銀行から出て行った途端に銀行監査官は立ち上がって部下に指示を飛ばす。闇銀行のプライドに掛けて絶対に捕まえてやると言う気概で指示していたが、直ぐに部下から悲痛は報告が来る。

 

「ダメです!電話もネットも繋がりません!」

 

「固定電話もです!」

 

「警報システムも落ちてます!」

 

「なっ⁉︎」

 

銀行員達が自分のスマホやパソコン、無線機を使ってなんとか外部への通信を試みるが、銀行周辺を飛行している5機のドローンから発せられ続けているECMによってあらゆる通信は遮断されていた。

 

「くそっ!なら走れ!走って周辺のマーケットガードに応援を要請しろ!早く!」

 

役に立たない無線機を床に投げ捨てて怒りを露わにした銀行監査官は部下に走って外にいるマーケットガードに応援を要請する様に指示をしま。

 

「は、はい!」

 

慌てて命令された部下数人が銀行の正面玄関から外に出ようと玄関を通り抜けた瞬間、ダメ押しの一手としてナツキとボクで設置していたブービートラップに引っかかって部下達は手榴弾の爆発に巻き込まれた。手榴弾の安全ピンにパラコードを結んでおいて、パラコードを玄関前のくるぶし位の高さに張っておいた。これで誰かが玄関を通過してパラコードに引っ掛かったらパラコードが引っ張られて安全ピンが抜けて、手榴弾が爆発する仕組みだ。このトラップによって、銀行が外部に情報を伝えるのが更に遅くなってしまうのであった。

 


 

相手の連絡手段を徹底的に潰したお陰で、銀行から逃げたボク達を追って来るマーケットガードは居なかった。追っ手に追い掛けられる事も無く、無事ブラックマーケットから脱出することに成功した。

 

《追っ手の姿も確認出来ません。この先も特に検問なども無いのでもう安全だと思います》

 

各種ドローンからの情報を収集していたアヤネからの通信で完全に逃げ切ったことが知らされた。

 

「やった!大成功!息苦しいし、もう脱いでいいよね?」

 

「リナさん達のお陰で楽に逃げることが出来ましたね⭐︎」

 

「うへ、でも油断は禁物だよ〜」

 

「ふぅ。結構蒸れるなこれ」

 

「確かに」

 

対策委員会とSERVAL小隊の皆んなはもう顔を隠す必要も無いと言うことで次々と覆面を取っていくけど、1人だけ覆面を取ろうとしない人が居た。

 

「あの、シロコ先輩・・・覆面脱がないの?邪魔じゃない?」

 

「天職を感じちゃったって言うか、もう魂の一部みたいなものになっちゃって、脱ぎたくないんじゃなーい?」

 

「シロコ先輩はアビドスに来て正解だわ・・・他の学校だったら、ものすごい事をやらかしてたかも・・・」

 

「それには同意見」

 

「右に同じく」

 

「もしかしたらSRTと戦っていたかもな」

 

「そ、そうかな・・・」

 

散々な言われ様に流石のシロコも覆面を取った。でも、ちょっとだけ寂しそうな表情をしている様に見えた。まぁ銀行強盗をしている間、分かりやすくはしゃいでいた訳じゃないけど、イキイキしていたからなぁ。

 

《本当にブラックマーケットの闇銀行を襲っちゃうなんて・・・・ふぅ・・・》

 

「シロコちゃん、集金記録の書類はちゃんと持っているよね?」

 

「う、うん。バックの中に」

 

そう言って肩に掛けていたバックを地面に下ろして中身をみんなに見せた。バックの中には、ぎっちりと札束が詰まっていた。それを見たホシノは数秒間フリーズしていた。

 

「・・・・へ?なんじゃこりゃ⁉︎カバンの中に・・・札束が・・・⁉︎」

 

「うええええっ⁉︎シロコ先輩、現金を盗んじゃったの⁉︎」

 

「やりそうだなとは思っていたけど、本当にやるなんてね・・・」

 

「ち、違う・・・目当ての書類はちゃんとある。このお金は、銀行の人が勘違いして入れただけで・・・」

 

「どれどれ・・・うへ、軽く1億はあるね。本当に5分で1億稼いじゃったよー」

 

「やったぁ!何ぼーっとしてるのよ!運ぶわよ!」

 

喜んで現金の入ったバックを持って行こうとするセリカをアヤネが止める。

 

《ちょ、ちょっと待ってください!そのお金、使うつもりですか⁉︎》

 

「なんで?借金を返さなきゃ!」

 

「セリカちゃん。その方法はダメだ」

 

ナツキがセリカの肩に手を当てて、優しい声音で諭す様に言った。

 

「なんでよ!借金を一気に返すチャンスなのに!」

 

《そんなことしたら・・・本当に犯罪だよ!セリカちゃん》

 

「でもこのお金はそもそも、私達が汗水流して稼いだお金なんだよ!それがあの闇銀行に流れて行ったんだよ!それに、そのままにしていたら、犯罪者の武器や兵器に変えられていたかもしれない!悪人のお金を盗んで、何が悪いの⁉︎」

 

「んまぁ気持ちは分かるんだけどさ、相手が悪者だからってなんでもして良い訳じゃない。それはヒーローアニメだけの話だ。自分達は正しいことをしていると盲目的に信じて行動するのはとても危ねぇ。正義ほど万人に愛されて、万人を傷付けて来たものもねぇからな」

 

いつもはっちゃけているナツキらしく無い、真剣な表情と声音でセリカに話す。それにホシノが言葉を続けた。

 

「それにさ、今回盗んだのは約1億な訳だけど、借金は9億もある。なら後8億はどうやって返すの?また似た様な銀行から盗むの?今回はSERVAL小隊の支援とかがあったお陰で簡単に盗むことが出来たけど、何度もこう上手く行く訳がない。それに、こんな方法に慣れちゃったら・・・ゆくゆくは、きっと平気で同じ様なことをする様になるよ。そして慣れて来たら、次はもっと大変な事をしようとする。「仕方ないかよね」って言いながら、やっちゃいけないことに手を出すと思う。うへ〜、このおじさんとしては、カワイイ後輩がそうなっちゃうのはイヤだなぁー。・・・・・そんな方法で守った学校に、何の意味があるのさ」

 

「・・・・・」

 

対策委員会の全員が何も言えなくなり静かにホシノの話を聞いていて、セリカはバツが悪そうに目線をホシノから逸らしている。

 

「そんな方法で借金を返済するくらいなら、最初からノノミちゃんが持っている燦然と輝くゴールドカードに頼ってたはずー」

 

「最初私がそう提案しましたが、ホシノ先輩が反対されて・・・。でも、先輩の気持ち、分かります。いくら頑張ったって、きちんとした方法で返済をしない限り、アビドスはアビドスじゃなくなってしまう・・・・」

 

「うへ、そう言うこと」

 

「だから、このバックは置いてくよ。頂くのは書類だけね。これは委員長としての命令だよー」

 

「ん、委員長の命令なら」

 

「うわああっ!もどかしい!皆んな変なところで真面目なんだから!一気に1億返すチャンスなのに!」

 

「私はアビドスさんの事情をよく知りませんが・・・このお金を持っていると、何がトラブルに巻き込まれるかもしれません。災いの種、みたいなものでしょうから・・・」

 

「あは・・・仕方ないですよね。このバックは私が適当に処分しておきます」

 

「ほい、頼んだよー」

 

ホシノがノノミに現金の入ったバックを手渡そうとした時、セリカとアリナから通信が来た。

 

《・・・・‼︎待ってください!何者かがそちらに接近しています!》

 

《便利屋68だよ!》

 

「便利屋⁉︎」

 

「もしかして正体がバレて⁉︎」

 

《ですが敵意は無い様に見えます》

 

「取り敢えず覆面を被ろう!」

 

全員が慌てて覆面を被り直した直後に、息を切らしたアルがやって来た。全速力で走って来たんだろうね。一度立ち止まって呼吸を整えながら話しかけて来た。全員がいつでも反撃出来るように銃を構える。

 

「はぁはぁ・・げほっ・・・はぁ・・・ふぅ・・・・ま、待って!あ、落ち着いて。私は敵じゃ無いから」

 

「何であいつが・・・?」

 

「撃退する?」

 

「どうかな。見た感じ敵意は無さそうだけど・・・」

 

「皆さんのお知り合いですか・・・・?」

 

「まぁねー。そこそこー」

 

アルに聞こえない様に小声で対策委員会の皆んながどうするか話し合っていると、アルの方から話しかけて来た。

 

「あ、あの・・・えっと、た、大したことじゃないんだけど・・・・。銀行の襲撃、見せてもらったわ。ブラックマーケットの銀行をものの5分で攻略して、応援が呼ばれない内に見事に撤収・・・・貴方達、稀に見るアウトローっぷりだったわ」

 

「⁉︎」

 

「思っていたのと違う感じになって来たね・・・・?」

 

予想外のアルの言葉にシロコは驚き、ユイは困惑していた。他の皆んなも困惑している。

 

「正直、凄く衝撃的だったと言うか、このご時世にあんな大胆なことが出来るだなんて・・・感動的と言うか・・・・。わ、私も頑張るわ!法律や規律に囚われない、本当の意味での自由な魂!そんなアウトローになりたいから!」

 

「一体・・・何の話?」

 

「あーこの感じはアレだ。ヒーローショーを見に来てテンション上がっている子供だ。将来は僕もヒーローになる!って言うタイプの」

 

「そ、そう言うことだから・・・・な、名前を教えて‼︎」

 

「名前・・・⁉︎」

 

「その、組織って言うかチーム名とかあるでしょ?正式な名称じゃなくてもいいから・・・私が今日の雄姿を心に深く刻んでおけるように!」

 

「うへ・・・なんか盛大に勘違いしているみたいだねー」

 

全員がどう返答しようかと悩んでいると、ノノミが出張って来た。

 

「はい!おっしゃることは、よーく分かりました!」

 

「のっ、ノノミ先輩⁉︎」

 

「私達は、人呼んで・・・覆面水着団!」

 

「あ、その名前を名乗るんだ」

 

「名乗るなら、もうちょっとカッコいい名前が良いと思うんだけどなぁ・・、」

 

「覆面水着団⁉︎や、ヤバい・・・‼︎超クール‼︎カッコ良過ぎるわ‼︎」

 

「えぇ・・・」

 

「う〜ん・・・」

 

ぶっちゃけ超クールでカッコいい名前だとは思えないけど、感じ方は人それぞれだから口には出さない方が良いよね。

 

「うへ〜本来スクール水着に覆面が正装なんだけどね。ちょっと緊急だったもんで、今日は覆面だけなんだー」

 

更にホシノが悪ノリし始めて服装のことまで話し始めた。しかもその格好がスクール水着に覆面って言うエロ同人誌にワンチャンで出来そうな格好だし。

 

「何か変な設定を付け足してる⁉︎」

 

「その格好はもう唯の変態だと思うんだけど」

 

ユイもボクと同じことを考えた様で呆れた様に呟いた。更にノノミがノリノリで話を続ける。

 

「そうなんです!普段はアイドルとして活動していて、夜になると悪人を倒す正義の怪盗に変身するんです!そして私はクリスティーナだお♧」

 

「あーもう滅茶苦茶だよ」

 

「だ、だお♧・・・⁉︎きゃ、キャラも立ってる・・・⁉︎」

 

「うへ、目には目を、歯には歯を。無慈悲に、孤高に、我が道の如く魔境を行く。これが私らのモットーだよ‼︎」

 

「な、なんですってー‼︎」

 

滅茶苦茶テンションが上がっているアルの後ろの方に、呆れた顔のカヨコと楽しそうに笑っているムツキの姿が確認出来た。そろそろ撤収しないとだね。

 

「皆さん。そろそろ撤収しないと」

 

「そうですね。それじゃあこの辺で。アディオス〜♧」

 

「行こう!夕日に向かって!」

 

「それはどっちかと言うと青春作品のセリフじゃね?」

 

「夕日、まだですけど・・・・」

 

それぞれツッコミを入れつつもボク達は走ってその場を後にした。遠ざかって行くボク達の後ろ姿を、アルは見えなくなるまで手を振って見送った。

 

「・・・・よし!我が道の如く魔境を・・その言葉、胸に刻むわ!私も頑張る!」

 

そんなアルが覆面水着団の正体がアビドスだと言うことを知るのは、数時間後の話。




当初の予定ですと銀行強盗シーンはドンパチ賑やかにしようかなと考えていたんですが、特殊部隊ならそう言うドンパチは起こさずにスマートにやりだろって言う考えの元、今回の様な感じになりました。

SERVAL小隊の着替えは、皆んなに来て欲しい服を着させました。巨乳キャラに百鬼夜行の制服を着せたくなるのは仕方ないと思うんですよね。


と言うことで今回新たに登場した装備を簡単に解説しますね。

・テックトーチ(TEC Torch)

リナが施錠されていたドアを開けるときに使った装備ですね。現実ではアメリカ軍や消防士が使っていたりします。市販もされていますが、流石に日本での購入は無理ですね。名前は特に変更せずそのまま登場させました。今後も登場する可能性のあるアイテムですね。

以上、装備の解説でした。


ご感想などがありましたら、お気軽に書いて行って下さい。次回もお楽しみに!
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