前世の記憶を持つSRTの生徒が先生と頑張る話 作:MGFFM15
そして感想、評価、誤字報告ありがとうございます!感想などはいつも見返してニヤニヤしたり、小説を書くモチベを貰っています。
風紀委員会への攻撃を開始して約10分が経過した。風紀委員会への攻撃と連絡手段の無効化は上手く行き、後方待機中だった本隊、前線の部隊を援護する為の擲弾兵部隊をそれぞれ攻撃して、
先行して対策委員会と戦っている風紀委員会の部隊はまさか本隊と擲弾兵部隊がどちらも攻撃を受けて大損害を被っているなんて想像もしてないだろうね。
《こちらserval2、敵迫撃砲陣地の制圧を完了。いやぁ〜久々に12.7ミリを大量に当てたから大満足だよ》
《こちらserval3。敵本隊は伝令を行かせるのは完全に諦めて仲間の救助活動に専念し始めた)
それぞれの部隊の攻撃をしていたナツキとユイからの報告が来る。ユイの方に関してはボクも観察していたから状況は分かってる。結局念の為にと用意していたこの40式グレネードランチャーを使うことは無かったね。
本隊の方は運良くCBU-103の攻撃を免れた奴らがまだ残ってはいるけど、その生徒達は仲間を助けるのに手一杯になっているから別にこれ以上攻撃する必要は無い。
「serval3、そっちの攻撃は終了してランデブーポイントに向かって。ボクも今からそっちに向かうから合流したら対策委員会の援護に向かうよ。serval2はそのまま監視と狙撃を続行。serval4は
《了解。片付けてからランデブーポイントに向かう》
《プーちゃんの到着は1分後を予定》
「了解。最後の一押しだ。気合い入れていくよ!」
風紀委員会との最初の戦闘は対策委員会の必死の防衛戦で風紀委員会の部隊がその防衛ラインを突破出来ずに終わった。風紀委員会の部隊は一度態勢を立て直す為に攻撃を中断し、対策委員会もそれに合わせて攻撃をやめたので戦闘が一時中断となった。
「な、なに⁉︎私達が負けただと⁉︎」
たった5人しか居ない田舎の学園の生徒相手にゲヘナが誇る風紀委員会の部隊が負けたと言うことにイオリはとても驚いていた。
“久しぶり、チナツ”
「先生・・・・こんな形でお目にかかるとは・・・。先生がいらっしゃることを知った瞬間、勝ち目はないと判断して後退するべきでした・・・私達の失策です」
《結果は見ての通りです。申し訳ありませんが、今回は手を引いて頂けませんか?》
「それは・・・」
《申し訳ありませんが、それは出来ません》
イオリが返答に困っていると、風紀委員会の通信機から別の生徒の声が聞こえて来た。
《通信・・・?》
「アコちゃん・・・?」
「アコ行政官・・・?」
《こんにちは、アビドスの皆様。私はゲヘナ学園所属の行政官、アコと申します。この状況について少し説明させて頂きたいと思いますが、よろしいでしょうか?》
「アコちゃん・・・その・・・・」
さっきまでの高圧的な態度は何処へやら。アコが通信機越しとは言え出てきた途端、悪いことをしてそれが親に発覚した時の子供の様に萎縮していた。
《イオリ、反省文のテンプレートは私の机の、左の引き出しにあります。ご存知ですよね?》
「・・・・」
アコの登場によって全員の意識が便利屋から逸れた時、少し前から意識を取り戻していたハルカは小声で「許せない・・・許せない・・・許せない・・・」とブツブツ言いながら動き始めた。一瞬、先生と目が合ったが、お互い軽く会釈しただけでお互い見なかったことにした。
「行政官ということは・・・風紀委員会のナンバー2・・・」
「あら、実際はそんな大したものではありません。あくまで風紀委員長を補佐する秘書みたいなものでして・・・」
「本当にそうなら、そこの風紀委員たちがそんなに緊張するとは思えない」
「だ、誰が緊張してるって⁉︎」
指摘されたイオリが頑張って反論しようとするが、声は裏返ってしまっていた。
《なるほど、素晴らしい洞察力です。確か・・・砂狼シロコさん、でしたか?》
お前らのことは全部調べ尽くしているんだぞと言うことを誇示する様にわざとらしくフルネームで言うアコ。
「・・・・」
《アビドスに生徒会の面々だけが残ってると聞きましたが、皆さんのことのようですね。アビドスの生徒会は5名と聞いていましたが、後1人はどちらに?》
《今はおりません。そして私たちは生徒会ではなく対策委員会です、行政官》
《奥空さん・・・でしたよね?それでは、生徒会の方はいらっしゃらないということでしょうか?私は、生徒会の方と話がしたいのですが》
「アビドスの生徒会はずっと前に解散したの!事実上私たちが生徒会の代理みたいなものだから、言いたいことがあるなら私らに言いなさい!」
セリカがイライラした様に声を荒げる。
「こんなに包囲して銃を向けられたまま『お話をしましょうか〜』なんていうのは、お話の態度としてはどうかと思いますけどね?」
《ふふ、それもそうですね・・・失礼しました。全員、武器を下ろして下さい》
アコがそう命令すると対策委員会を囲んでいた風紀委員会の生徒達が一斉に構えていた銃を下ろした。その命令一つで一糸乱れない動きを見せる風紀委員会の動きは高度に訓練された組織だと言うことを察することが出来た。
「あら・・・」
思ったよりも大人しくこちらの話を聞いてくれたことに少し以外思い、ノノミは驚いた。
「本当に武器を下ろした・・・?」
「・・・・」
《先ほどまでの愚行は、私の方から謝罪させていただきます》
「なっ、私は命令通りにやったんだけど!?アコちゃん!?」
《命令に、『相手の話も聞かずに問答無用で発砲せよ』なんて言葉が含まれてましたか?》
「い、いや・・・状況を鑑みて必要な範囲で火力支援、その後に歩兵の投入・・・戦術の基本通りにって」
《ましてや他の学園自治区の付近なのだから、きちんとその辺りは注意するのが当然でしょう?・・・失礼しました、対策委員会のみなさん。私たちゲヘナの風紀委員会はあくまで、私たちの学園の校則違反をした方々を逮捕するために来ました。あまり望ましくない出来事もありましたが、まだ違法行為とは言いきれないでしょうし・・・やむを得なかったということでご理解いただけますと幸いです。風紀委員会としての活動に、ご協力をお願いできませんか?》
《先ほども言いましたが・・そうはいきません!》
一度軽く息を吸ってから、アヤネはキッパリと言い切って見せた。
《あらっ・・?》
《他の学校が別の学校の敷地内で、堂々と勝手に戦闘行為をするなんて!自治権の観点からして、明確な違反です!便利屋の処遇は、私たちが決めます!まさか、ゲヘナほどの大きな学園がこんな暴挙に出るとは思ってもみませんでしたが、ここは譲れません》
《・・・・ならほど。そちらの方々も、同じ考えのようですね。ふう、この兵力を前にしても忙まないだなんて・・・これだけ自信に満ちているのは・・・やはり、信頼できる大人の方がいるからでしょうか?・・・ねえ、先生?シャーレの先生。あなたも、対策委員会と同じご意見ですか?》
“便利屋は困った子たちかもだけど、悪人じゃないから”
「いやいやいや!悪人に決まってるでしょ!ラーメン屋を爆発させたのよ!?」
「多分だけど・・・あれは、間違って爆破させちゃって、そのまま言い出せずに見栄を張ったんだと思う」
アコにも褒められた鋭い洞察力でシロコは冷静に状況を判断していた。
「はぁ⁉︎」
「私達を狙ってたのなら、誰もいないタイミングで爆破する理由がない。一度やったら警戒されるあんな大掛かりな手段を、あの状況で使う意味も無いはず」
「・・・た、確かに、それはそうね。罠を準備している最中に、間違えて爆硪させたってこと・・・.?どんだけバカなのよ、あいつらは・・・」
「でも、結果的に柴関ラーメンを攻撃したのは事実。このまま大人しく引き渡すわけにはいかない」
「そうですね、彼女たちの背後にいる方の正体もまだ分かっていませんし。先にお話を聞かせてもらいませんと」
《そういうわけで、交渉は決裂です!ゲヘナの風紀委員会、あなた方に退去を要求します‼︎》
《・・・これは困りましたね・・・うーん・・・こうなったら仕方ありません。本当は穏便に済ませたかったのですが・・・…・ヤるしかなさそうですね?》
と言ってアコが取り囲んでいた風紀委員会に命令を下そうとしたが、風紀委員会の後ろ側から発砲音が響き、風紀委員会の1人が倒れた。
「うわぁ⁉︎」
「な、なんだ⁉︎」
「許せない・・・・!
「はっ⁉︎」
ヌッと背後から怨霊の様に現れたハルカに気がついたらイオリは驚き飛び退いた。
「許せない!許せない!許せない!許せない!許せない!許せない!許せない!許せない!許せない!許せない!うあああああああああっ‼︎」
正に乱射。ある程度狙いを定めて連射しているナツキの撃ち方とは違い、半狂乱状態で弾切れになるまでイオリにショットガンを撃ち続け、弾を切れるとショットガンのストック部分で倒れたイオリの顔面に殴り付け、イオリが完全に意識を失うまで殴り続けた。
「ぐっ⁉︎うぅ・・・っ!」
「嘘をつかないで、天雨アコ」
ハルカに続いて意識を取り戻していたカヨコが姿を現して話し始めた。
《あら?》
「偶然なんかじゃないでしょ、最初からあんたが狙ってたのはこの状況だった」
《カヨコさん・・・》
「ハルカちゃんナ〜イス★」
カヨコの後に続いてやって来たムツキが笑顔でハルカを褒めた。一方褒められたハルカは凄い勢いで頭を下げた。
「す、すみません!助けに来るのが遅くなりました・・・!わ、私のせいで…..!計画が全部、全部台無しに…...!し、死んでもいいですか?死にますっっ!!!」
弾を込めたショットガンの銃口を口に咥えて撃とうとするハルカの手を優しく掴んでムツキは銃を下ろさせた。
「うん、確かにハルカちゃんのせいだけど、まあ面白いから死ななくていいんじゃない?」
《あらっ、包囲網を抜けて・・・?》
「あいつら、いつの間にあんなところに・・・・」
「・・・やるね」
風紀委員会も対策委員会も気付かない内に風紀委員会の包囲網を突破して背後からの奇襲攻撃を成功させている便利屋68の実力にセリカとシロコは驚いていた。
「申し訳ありません、行政官。視線を逸らされた隙に・・・今から、もう一度包囲をー」
《いえ、大丈夫です。大した問題でもありませんし。・・・それより、面白い話をしますね、カヨコさん?》
アコに聞き返されたカヨコはパーカーのポケットに左手を無造作に入れて話し始めた。
「・・・最初はどうして風紀委員会がここに現れたのか、理解できなかった。風紀委員会が他の自治区まで追ってくる理由、それも私たちを狙って?こんな非効率的な運用、風紀委員長のいつものやり方じゃない。だからアコ、これはあんたの独断的な行動に違いない。それに、私たちを相手するにしてはあまりにも多すぎるこの兵力。他の集団との戦闘を想定していたとすれば、説明がつく。とはいえ、このアビドスは全校生徒集めても5人しかいない・・・・なら結論は一つ」
カヨコは少し間を置いてからハッキリと言ってみせた。
「アコ、あんたの目的はシャーレ。最初から、先生を狙ってここまで来たんだ」
そのカヨコの発言に対策委員会と先生全員が驚に、なんで先生を狙うか分からず困惑してちた。
「⁉︎」
「な、何ですって⁉︎」
「先生を、ですか・・・⁉︎」
“私?”
《・・・ふふっ、なるほど。便利屋にカヨコさんがいることをすっかり忘れてました。のんきに雑談なんてしている場合ではありませんでしたね・・・。まぁ、構いません)
アコが手信号で部下に命令すると、カヨコ達の後方から更に風紀委員会の部隊がやって来た。
「⁉︎」
《12時の方向、それから6時の方向・・・.3時、9時・・・風紀委員会のさらなる兵力が四方から集結しています!》
「・・・・増員」
《アリナさんが先行した部隊は200人は居るって言ってましたが・・、その殆どが来ている様です!》
《うーん・・・少々やりすぎかとも思いましたが・・・シャーレを相手にするのですから、これくらいあっても困らないでしょうし・・・・まぁ大は小を兼ねると言いますからね⭐︎》
「包囲は抜けたと思ったけど・・・二重だったか・・・」
《はい、そうです。それにしても、さすがカヨコさんですね。先ほどのお話は正解で・・いえ、得点としては半分くらいでしょうか?確かに私は、シャーレと衝突するという最悪のシチュエーションも想定していました。しかし、この状況を意図的に作り出したわけではありません。それだけは信じていただきたいのですが・・・どうやら、難しそうですね。仕方ありませんね。事の次第をお話ししましょう・・・きっかけは、ティーパーティーでした。もちろんご存知ですよね、ゲヘナ学園と長きにわたって敵対関係にある、トリニティ総合学園の生徒会のことです。そのティーパーティーが、シャーレに関する報告書を手にしている・・・と。そんな話がうちの情報部から上がってきまして》
その話を聞いて対策委員会の皆んなは一緒にブラックマーケットの銀行を襲った仲間であるヒフミの姿と言葉を思い出していた。彼女は「戻ったら、この事実をティーパーティーに報告します!」と言っていた。どう考えてもヒフミが原因だったが、勿論彼女に悪気があった訳ではない。彼女は純粋にお世話になった対策委員会を助けようとしていただけだったから。
《当初は私も「シャーレ」とは一体何なのか、全く知りませんでしたが・・・ティーパーティーが知っている情報となれば、私たちも知る必要があります。それで、チナツさんが書いた報告書を確認しました》
チナツの報告書と言うのは先生がキヴォトスにやって来て初日の時のものだった。既にその報告者を出してからかなりの日数が過ぎていたので遅過ぎる報告書の確認にチナツは内心不満を漏らしていた。
《連邦生徒会長が残した正体不明の組織・・・大人の先生が担当している、超法規的な部活。どう考えても怪しい匂いがしませんか?シャーレという組織は、とても危険な不確定要素に見えます。これからのトリニティとの条約にも、どんな影響を及ぼすのか分かったものではありません。ですからせめて条約が無事締結されるまでは、私たち風紀委員会の庇護下に先生をお迎えさせていただきたいのです。ついでに、居合わせた不良生徒たちも処理した上で・・・といった形で》
「ん、むしろ状況が分かりやすくなって良いかも」
「・・・先生を連れて行くって?私たちがそれで「はいそうですか」って言うとでも思った?」
《・・・ふふ、やっぱりこういう展開になりますか。では仕方ありませんね、奥空アヤネさん?》
《・・・・?》
《ゲヘナの風紀委員会は、必要でしたら戦力を行使することもあります。私たちは一度その判断をすれば、一切の遠慮をしません》
《っ‼︎》
対策委員会とアコが話している傍ら、便利屋68は小声で話し合っていた。
「社長、逃げるなら今しかないよ。戦闘が始まったら、もう後戻りはできない。風紀委員会はきっと、アビドスと私たちを同時に殲滅するつもり。でもアビドスがあっちの気を引いてる間になら、包囲網が薄いところから突磯・・・」
カヨコの話はアルの笑い声で遮られた。突然不敵に笑い始めたアルにカヨコは首を傾げた。
「ふふ、ふふふふっ」
「・・・社長?」
「・・・ねえカヨコ、あなたはもうとっくに私の性格、分かってるんじゃなくて?こんな状況で、こんな扱いをされておいて.・・・背中を向けて逃げる?そんな三流の悪党みたいなこと、私たち便利屋がするわけないじゃない!!!」
「・・・あはー」
その言葉を待ってましたと言わんばかりの獰猛な笑顔を浮かべるムツキ。
「あの生意気な風紀委員会に一発食らわせないと気が済まないわ‼︎」
その宣言を聞いて「アル様・・・・・・っ」と神様でも見る様な眼差しでアルを見るハルカ。
「ふう・・・それは良いけど、あの兵力と真っ向から戦う気?アビドスと力を合わせてもギリギリだと思うけど・・・いや、あのSRTの部隊が居れば何とかなるかも・・・?でもこの状況になっても現れないし、今居ない戦力を頼ってもダメだ。そもそもアビドスが私たちに協力してくれるとは思えないし・・・・となると・・・」
カヨコが残存戦力でどう風紀委員会の部隊と戦おうか悩んでいると、セリカが話かけて来た。
「よしっ、便利屋っ!挟み撃ちするわよ!この風紀委員会、コテンパンにしてやらないと‼︎」
「先生の盾になってもらう」
「⁉︎」
「先生をみんなで守ります、いいですね?」
「話が早いな・・・・」
「ふふっ・・・あははははははっ!当たり前よ!この私を誰だと思ってるの?心配は無用!信頼には信頼で報いるわ!それが私たち、便利屋68のモットーだもの!」
対策委員会との共闘にニッコニコの笑顔になるアル。
「はい!!先生には私たちも色々とお世話になりましたので!絶対に成功させます!」
「あとせっかくだから言っておくけど!間違えて爆破させたわけじゃないから!狙い通りだから!私みたいな冷徹なアウトローでもないと実行できない、高度な心理戦っていうか・・・・!」
「うわぁ、墓穴」
アルの早口の言い訳に苦笑いするムツキ。
《うーん・・・まあ、これはこれで想定していた状況ではありましたが・・・・それにしても、ここまで意気投合が早いとは・・・・その点は想定外でした。・・・・・まぁいいでしょう。それでは。風紀委員会、攻撃を開始します。対策委員会と便利屋を制圧して、先生を安全に確保して下さい。先生はキヴォトスの外部の人なので、怪我をさせないように十分注意を》
「よくもショットガンの乱射なんて決めてくれたな・・・覚悟しろ‼︎」
《敵、包囲を始めています!突破してください!先生!私たちと便利屋68の指揮、お願いします!》
“分かった。便利屋の皆んなはそのままだと風紀委員会に前後を挟まれるから一旦下がって。シロコは右に展開して側面から回り込んでこようとする敵を倒すか、押し留めて。ノノミは前の敵部隊に対して攻撃。セリカはノノミの援護をお願い”
「ん、分かった」
「了解です⭐︎」
「分かったわ!」
2度目となる風紀委員会との戦いが始まった。しかし先程と違うのは対策委員会に加えて便利屋68も仲間に加わったことだった。人数が増えたことにより先程戦った時よりも若干余裕のある戦い方が出来ていた。
“ハルカ、ちょっと前に出過ぎだから下がって。 カヨコは左端の敵をお願い。アルは重武装な敵を優先的に狙って倒して。ムツキはノノミと協力して敵部隊に対してありったけの火力を浴びせて”
「す、すいません。分かりました!」
「了解」
「分かったわ!待たせて頂戴!」
「オッケー!」
先生の指示に従い便利屋68の面々は対策委員会と協力して迫り来る風紀委員会を倒して行く。ノノミとムツキの2人のミニガンと軽機関銃を使った集中攻撃によって風紀委員会部隊の隊列の一部が崩れた。
“よし、穴が空いた。シロコ、ハルカ、カヨコ!あの隊列の崩れた所から突っ込んで内側から引っ掻き回して。でも敵は多いからある程度やっつけたら直ぐに引いて”
「ん、お先に」
「足速っ⁉︎」
「ま、待ってください!」
シロコ、カヨコ、ハルカの順番で集中砲火を受けて隊列が崩れた箇所に殴り込む。シロコは身体能力の高さを生かしたアクロバティックな動きをしつつ敵を次々と倒して行き、カヨコは
“よし、3人ともそろそろ引いて。シロコはドローンを使って追撃して来ようとして来る敵を攻撃。アルとセリカが援護射撃。ノノミとムツキはそのまま撃ちまくって敵の侵攻を遅らせて”
「ん、分かった」
シロコが逃げつつコントローラーを操作してドローンをから小型のロケット弾を発射させる。発射されたロケット弾はシロコ達の後を追いかけようとしていた生徒達に当たったまとめて吹っ飛ばす。更にセリカとアルの援護射撃によって3人は敵に捕まったら攻撃されることなくみんなの元に帰ることに成功した。
風紀委員会の方も崩れた隊列を直ぐに組み直して攻撃して来た。負傷したりして戦闘不能になったら味方を直ぐに下げさせて新しく後ろで待機していた人と交代する。これを素早く行って風紀委員会は前線を維持していた。一気に1個中隊、200人全員を動員せずに実際に戦うのは数十人でその後ろに交代要員を待機させて戦闘不能になった者が出たら交代し、戦力の低下を抑えていた。
これは戦闘はちょっと長引いちゃうかなっと先生は内心思っていると、風紀委員会の部隊の後ろ側が慌ただしくなっているのに気がついた。何だ?と思いその慌ただしくなっている方を注意深く見ると、風紀委員会の部員達を吹っ飛ばしながら一台の装甲車が現れた。
アクセルを踏み込んでL-ATVに搭載してある400馬力を発揮する6.6リッターのV6エンジンが唸る。6.4トンもの重さのある車体を4輪のタイヤを駆動させてグングンと力強く加速し、直ぐに50キロ近い速度になる。
ボクはアクセルを緩める事なくエンジン音に気がついて後ろを振り向いてビックリしている様子の風紀委員会達に向かって突っ込む。
「serval2!撃ちまくれ!」
「ヒャッハー!周りは敵だらけ!何処に撃っても当たるぜこれ!」
L-ATVの天井にある銃座に居たナツキは銃座に設置したserval -171式重機関銃のコッキングレバーを引いてから撃ちまくる。その間にも目の前にナツキの銃撃を受けて逃げ惑う風紀委員会の部員達の姿が迫って来る。
「serval2!目の前に鹿が飛び出して来たらどうする?」
「加速する!」
「そう言う事っ‼︎」
ボクの方も更にアクセルを踏んでL-ATVを加速させる。そしてそのまま隊列の中にL-ATVを突っ込ませる。
「おらおらおらァ‼︎ぶつかったらタダじゃ済まないぞゴラァ‼︎」
ガン!ゴン!ゴンッ!と言う鈍い音と共に何人も風紀委員会の部員を轢いて行く。6.4トンの鉄の塊が時速50キロ程で突っ込んで来たら幾ら丈夫なキヴォトス人でも無事では済まない。
「何だこいつら⁉︎」
「撃て撃て!」
風紀委員会達も驚きつつも反撃して来た。L-ATVの周囲にアサルトライフルなどの弾丸が当たるけど、そんな豆鉄砲でコイツの装甲を貫通することなんて出来ないよ!
「くそっ!どいつもこいつも私達の邪魔しやがって!何者か知らないけどお前も執行対象だ!覚悟しろ!」
突然現れて仲間を轢きながら突っ込んで来たL-ATVに対してイオリが勇敢にも前に出て、クラックショットを構え運転席に座るボクを狙って撃って来た。
「お、イオリちゃーん♪」
L-ATVのガラスは勿論防弾ガラスだからイオリが撃った7.92ミリ弾も完全に防ぐ。ボクは推しの1人であるイオリに対してアクセルを踏み込んで銃撃に応える。
「くっ!」
轢かれる直前、イオリはジャンプした。そしてL-ATVのボンネットに着地してもう一度ジャンプ。空中で前転しつつクラックショットを構えて銃座に居るナツキに対して撃った。
「い゛っった⁉︎ヤッベェなアイツ⁉︎」
「大丈夫?」
「あぁ。肩に当たっただけだ!」
サイドミラーで確認するとナツキに一撃加えたイオリは着地して諦めずにこっちに向かって撃ちまくって来ていた。いやぁ〜流石の身のこなしだね。惚れ惚れするよ。
もっとイオリと戦ってみたい気持ちもあるけど、今は風紀委員会の部隊をやっつけるのが先だから残念だけどイオリばっかり狙う訳には行かない。L-ATVを右に左にとあちこちに走らせてナツキが撃ってボクが轢き回った。
風紀委員会達はアサルトライフルとかじゃ有効弾を与えることを出来ないからと言うことで手榴弾を投げて来た。L-ATVの周りで何個も手榴弾が爆発するけど残念ながらそれもコイツには効かない。L-ATVは銃弾だけじゃ無くて
と言うかL-ATVの周りで何個も手榴弾が爆発するからその近くに居た風紀委員会が爆発に巻き込まれている状況だから味方を攻撃しているだけなんだよなぁ。
「流石に攻撃が激しくなって来たから外に体を出し過ぎない様に!」
「わーってるよ!」
ナツキといる銃座には射手を守る為の装甲類は無い。だから上半身を天井から出して撃っている状態だから狙われ易いし、撃たれやすい。だから普通はこんな状況だと銃座に行きたがる人は少ないけど、ナツキはそんなことよりも機関銃を撃つのを優先している様で被弾することを恐れずに撃ち続ける。
L-ATVを暴れさせながらチラッと対策委員会と方を見てみると、ボク達が風紀委員会の隊列のど真ん中で暴れて混乱状態を作ったのが効いているみたいでボク達の方に風紀委員会が気を取られている隙に攻撃していた。
「スモーク!」
ボクがボタンを押し、L-ATVの四方に装備された発煙弾発射機からバスバスバスッ!と連続で12発の発煙弾が周囲に射出されて空中で真っ白な煙を吹き出し周りが真っ白になる。
「煙幕だ!」
「わっ⁉︎バカこっち撃つな!味方だ!」
「こっちだ!撃て!」
隊列のど真ん中で大量のスモークが発射されて視界が奪われた風紀委員会は大混乱。周囲に仲間が多い状況下で視界が塞がれると適当に撃つと同仕撃ちが頻発して、それを敵からの攻撃と思ってさらに同仕撃ちが加速する悪循環が発生する。
その間にボクはL-ATVで風紀委員会の連中を轢きながら煙幕の中から脱出してそのまま対策委員会の元へ向かった。そしてL-ATVを停車させて降りた。
「お待たせしました」
“随分と派手な登場だったね”
「どうせならカッコよく登場したいじゃないですか」
「風紀委員会の部隊の方はどうなったの?」
「クラスター爆弾で粗方吹っ飛ばしたんでこれ以上ここに増員を出すことは出来ませんよ」
「なら後はコイツらをやっつければ良いってことね!」
「そう言うことですね」
L-ATVを盾にしながらボクもserval-7式小銃で撃ち始める。敵はスモークで視界が遮られている状態だから殆どこっちが一方的に撃っている状態だ。
「serval1!銃身交換するからカバー頼む!」
「了解!」
ナツキの使っているserval-171式重機関銃の銃身を見てみると、その銃身は連続で撃ち過ぎて真っ赤に赤熱していた。もうあの銃身は使えなくなったな。
“ノノミ、ムツキ!ナツキの援護をしてあげて!”
「はい!」
「まっかせて〜!」
ノノミとムツキが敵部隊に制圧射撃を加えて、その間にナツキは作業を進める。serval-171式重機関銃に限らず最近の機関銃は簡単に銃身交換ができる様になっている。serval-171式重機関銃もワンタッチでロックを外して、「熱っ!」とか言いながらも持ち手の部分を持って使えなくなった銃身を捨てて、新しい銃身を車内から取り出して付けた。
「しゃぁ!復活だオラァ!」
銃身とついでに弾も新しく装填してナツキは再び元気良く撃ち始める。風紀委員会の方も混乱が収まって来た様で撃ち返して来る生徒達が増えて来た。そんな奴らに負けない様に撃ち返していると、隣にカヨコが来て話しかけて来た。突然隣に美し過ぎる横顔と喋るASMRと呼ばれる声を至近距離で聞いたボクは「ひょ⁉︎」って言う変な声を出して驚いてしまった。
「え、何?」
「え、い、いや、突然隣から良い声で囁かれたからビックリしちゃって」
「ごめんちょっと何言ってるか分からない」
「お気になさらず。それで、何の御用ですか?」
「さっき『クラスター爆弾で攻撃したからこれ以上の増援は来ない』って言ってたけど、もしかして今まで後方に待機していた風紀委員会の部隊を攻撃してたの?」
「まぁそうですね」
カヨコもボクも話しながらも攻撃は続ける。ボクとしては片耳に常時カヨコの声が聞こえてASMRを聞いている気分でちょっとこそばゆい。
「だから来るのが遅かったんだ。でも、そうだとしたら何でアイツらは撤退とかしないの?」
「それはこっちがECMを使って通信を妨害しているからですね」
「え、なら直ぐに通信妨害を解除すればコイツらは後方の部隊が壊滅したってことを知って撤退してくれるんじゃないの?」
「まぁそうなんですが、どうせならもう2度とこっちに喧嘩を売ろうと考えない様にコテンパンにしてやろうかなって思いまして」
本当は直ぐにこの戦闘を終わらせてしまったらあの人が来ることが無くなっちゃうから、その人が来るまで時間を稼いでいるんだけどね。
「・・・意外と良い性格してるね。君」
「それ程でも」
そんなことを話している間にも前方に展開する風紀委員会の被害はどんどん大きくなって行く。すると、徐々に風紀委員会からの攻撃が弱くなって来た。既に対策委員会と便利屋68がそれなりの数を倒していたし、それに加えてボク達の攻撃もあって先行部隊は結構な数の部員を失っていた。
基本的に戦闘部隊って言うのは部隊の3割がやられた時点で全滅判定となり、それ以上の損害を出さない様に撤退するのがセオリー。そうしないと3割以上戦力を失うと、部隊として組織的な戦闘能力を失って完全に再起不能になるからね。
今回で言うと先行部隊は一個中隊、つまり200人来ているからその3割、60人以上失うと不味いと言うことになる。そして既に60人はみんなの協力で倒しているからそろそろ引き時ってことだね。となれば後方に待機していた部隊と入れ替えを行おうと考えるだろうから、無線が通じないことに気がつく頃だね。
「第1中隊全滅です!退却し、再設備に入ります!」
《分かりました。第2、第3中隊。後方待機をやめて、突入して下さい。・・・・・ん?第2中隊、聞こえていますか?・・・・第3中隊!聞こえているなら応答しなさい!・・・・第2大隊!応答しなさい‼︎・・・・誰でも良いので後方待機している部隊は応答しなさい‼︎・・・・・通信兵っ‼︎やはく通信を復活させなさい‼︎》
アコは通信兵に怒鳴って直ぐに原因を究明して、通信の回復をさせようとしているけど、勿論通信が回復する訳は無い。ECMを搭載した
「ダメです!通信繋がりません!」
《繋がりませんじゃないでしょう⁉︎貴方達は通信を専門に扱う通信兵ではないんですか!何とかしなさい!》
にしても良い感じに混乱しているねぇ。まさか無線が通じないどころか壊滅状態になっているなんて想像もしていないだろうからね。結局既存の戦力で何とか戦線が崩壊しない様に頑張っているけど、風紀委員会の攻撃はこちらを攻める為の攻撃から、守る為の攻撃に切り替わった。だからさっきまでの積極性が感じられないね。
「向こうが通信が繋がらないことに気が付いたみたいですね」
“だね。これ以上戦う必要は無いしネタバラシしてあげたら?”
「うーんもうちょい時間を稼ぎたかったんですが、まぁこれ以上引っ張るのは無理か」
“対策委員会、便利屋68、SERVAL小隊。みんな戦闘をやめて”
先生の命令によって全員が攻撃を中止する。暫く風紀委員会からの攻撃が続いたけど、こっちからの攻撃が止んだことに気が付いた風紀委員会の生徒達が撃つのをやめて行ってやがて全員が撃つのをやめた。
《何で撃つのをやめているんです⁉︎数ではまだこちらが有利です!まだ私達は負けていないんです。攻撃しなさい‼︎》
「ですが敵が攻撃を止めています」
《だから何です!それなら尚更攻め落とすチャンスでしょう⁉︎容赦する必要はありません!殲滅しなさい‼︎)
通信が繋がらず、自分の思い通りに部隊を動かさせないことに苛立っていたアコは現存戦力で何とかこっちを攻略しようとしているみたいで部下に怒鳴り散らしている。
「アコ行政官。残念ですがそちらの負けですよ」
《誰ですか貴方は‼︎》
「その記章・・・そしてその装甲車に描かれているマーク・・もしかして貴方達はSRTですか?」
冷静にボク達の格好を見てボクの制服の肩やL-ATVに描かれているマークを見てチナツがボク達が何処に所属しているか気づいた。
「ご名答。私達はSRT特殊学園1年生部隊、SERVAL小隊です」
ボクがそう名乗ると前に傭兵相手に戦った時と同じ様に風紀委員会の人達からどよめきが起こった。
「SRTの生徒がこんな所で何してるんだ!」
イオリが威嚇する様にボクの方を睨んで来る。まぁさっき思いっきり轢こうとしたし、自分達の仕事の邪魔をして来た存在だからこう言う反応するのは仕方ないね。
「アビドスの皆さんとは個人的に付き合いがありましてね。ちょっと困っている状況だそうなので手を貸しているんですよ。それに、シャーレからの支援要請もあったのでね」
《SRTの部隊まで動かせるなんて・・・!やはりシャーレは危険な存在ですね。尚更今ここで先生を確保する必要がありますね》
「全滅状態の1個中隊で対策委員会と便利屋68とボク達のSERVAL小隊を相手にするのはちょっと無理だと思いますよ」
《ふんっ、貴方は知らないでしょうがまだまだ戦力は残っています。幾らエリート部隊でも圧倒的な物量で押し潰してやりますよ‼︎第1中隊、攻撃を再開して下さい‼︎》
《アコ、そこまで》
《・・・え?》
突然別の通信が割り込んで来た。その声はまだボクは会ったことは無いけども、聞き覚えのある声だった。
《ひ、ひ、ヒナ委員長⁉︎》
よしっ!来てくれた!間に合って良かったよ〜。そして会いたかったよ。空崎ヒナさん。
「委員長?」
「あの通信相手が・・・?と言うことは、風紀委員会のトップ・・・?」
《い、い、委員長がどうしてこんな時間に・・・?出張中だったのでは?》
《さっき帰って来た》
《そ、そうでしたか・・・・!その、私、今すぐ迅速に処理しないといけない用事がありまして・・・後ほどまたご連絡いたします!い、今はちょっと立て込んでいまして・・・!》
《まぁ確かに立て込んでいるでしょうね。・・・・他の学園の自治区で、委員会のメンバーを独断で運用した挙句その殆どを失っている状況なんだから》
《・・・・え?》
裏路地から、小さな人影が現れた。日に照らされてその姿を表したその人物は、低い身長に真っ白な髪と大きな羽、頭から生えている悪魔を思わせるツノが特徴的な少女。風紀委員会のトップであり、キヴォトス最強格の1人である空崎ヒナご本人だった。全員が突然現れたヒナに驚いて固まる。
《・・・・えっ?》
「っ⁉︎」
「え、あれっ⁉︎」
「い、い、い、委員長⁉︎い、一体いつから⁉︎」
《え・・・・えええええっ⁉︎》
しかも現れたヒナな明らかにキレている様子で、なんかヤバいオーラを纏っている様に見える。ボクが命令しといてなんだけど、ちょっとやり過ぎちゃったかな?と思って冷や汗かいちゃってる。風紀委員会の部員達は誰に命令されるでもなく整列してヒナに向かって敬礼した。
「・・・・アコ、2個大隊も勝手に動かした挙句、その殆どをやられた責任。キチンととって貰うから」
《ゲヘナの風紀委員会・・・空崎ヒナ。外見情報も一致します。間違いなく本人のようです。ですが、ゲヘナ風紀委員長ということは・・・ゲヘナにおいてトップの戦闘力・・・この状況でこんな人物まで・・・》
《そ、その・・・確かに先行した1個中隊は全滅状態ですが、まだ後方待機している2個大隊はまだ健在ですので・・・!》
「私が言っているのはその2個大隊のことを言っているんだけど?』
《え・・・?それは・・・どう言うことでしょうか?》
「・・・・はぁ。通信がジャミングされていたとは言え、前線しか見えてないのは指揮官として失格よ。貴方が先行部隊を指揮して戦っている間に、後方待機していた部隊は攻撃を受けて部隊の約6割がやられて壊滅している。擲弾兵部隊も同じ状況」
《えぇ⁉︎》
本日何度目か分からないアコの驚いた声が響いた。もうこれ以上通信を妨害する必要も無いからアリナに命令してヒヨちゃんのECMを切らせた。
「あ、もうジャミングは解除したので今なら他の部隊とも連絡取れますよ」
《第1、第2大隊!状況を報告して下さい!》
アコは後方待機していた部隊と擲弾兵部隊からそれぞれ報告を聞き、やっと後方で何があったのかを知ってアコは徐々に青ざめて行った。
《あ・・・な・・・・な・・・・に、2個・・大隊が・・・・全滅・・・?》
「もうこっちで救援部隊は呼んであるから。アコは一旦校舎で謹慎してなさい」
《え、えっとですね・・・その、これは、元々素行の悪い生徒達を捕まえようとした結果でして・・・・》
同様し過ぎたのか、アコはヒナに対して言い訳になっていない言い訳を言い始めた。
「便利屋68のこと?どこにいるの?今はシャーレとアビドスと、SRTと対峙している様に見えるけど」
《え、便利屋ならそこに・・・・》
とアコはさっきまで便利屋68がいた場所を見ると、そこには誰もいなかった。ヒナが通信機越しに現れた段階で便利屋68は即座に撤退していた。逃げの判断が早いね。
《い、いつの間に逃げたのですか⁉︎さ、さっきまでそこにいたはず・・・・え、えっと・・・そ、そうです!今後こちらの脅威になりそうなシャーレを確保する為にですね「もういい大体把握したから」はい・・・》
アコの必死の言い訳はヒナの言葉によって止められた。アコは項垂れてそれ以上喋ろうとはしなくなった。
「察するに、ゲヘナにとっての不安要素の確認及び排除。そう言う政治的な活動の一環ってところね。でもアコ、私たちは風紀委員会であって、生徒会じゃない。シャーレ、ティーパーティー、それに連邦生徒会長。そう言うのは『
何も言い返すこともできず、アコは項垂れたまま黙ってヒナの話を聞いている。
「一時の間、2個大隊も使えなくなるとどうなるか分かるでしょう?ただでさえ難しいゲヘナの治安維持がもっと難しくなる。それに風紀委員会の部隊が2個大隊も動けなくなったって知れ渡ったら治安悪化は必至よ。部隊を勝手に運用したこと、その部隊を壊滅させたこと、それによって起こるであろう色んな問題・・・それ相応の責任を取って貰うから覚悟して。分かったら通信を切って校舎で謹慎していなさい、アコ」
《・・・・はい。申し訳ありませんでした・・・》
完全に意気消沈した様子でヒナに謝ってからアコは通信を切った。そして、ヒナはこっちに視線を向けて来た。お互い無言のまま見つめ合う時間が数秒続く。相手が相手だからこっちから変な事をすることもできず嫌な緊張感に包まれる。そんな人じゃないと分かっているけど、もし風紀委員会の部隊を壊滅させた腹いせに攻撃して来たりしたらどうしようと思ってしまう。
「じゃあ、あらためてやろうか」
シロコが先にそんなことを言って戦闘態勢に入ったのを見て、皆んな驚いた。こうして見ただけでもヤバイやつだと分かるのに戦いを挑もうとするなんて凄いよな。
《ま、待ってください!ゲヘナの風紀委員長と言ったら、キヴォトスでも匹敵する人物を見つけるのが難しいほどの、強者の中の強者ですよ!ここは下手に動かず、一旦交渉するのが吉です!どうしてそんなに戦うのが好きなんですかっ!》
「ご、ごめん・・・」
アヤネに怒られて素直に謝るシロコ。まぁああ言う普段大人しい人程怒らせた時は怖いからね。アヤネは一度咳払いをしてからヒナに対して話し始めた。
《こちらアビドスの対策委員会です。ゲヘナの風紀委員長ですね、初めまして。この状況については理解されてますでしょうか?》
「もちろん。事前通達無しでの他校自治区における無断兵力運用、及び他校生徒たちとの衝突。・・・けれど、そちらが風紀委員会の公務を妨害したのも事実。違う?」
「妨害したのは事実だけど、こっちは戦う前にちゃんと話し合おうとした。そこの銀髪の子は話を聞かないで撃って来たけど」
「はぁ⁉︎話はちゃんと聞いてたろ!」
「向こうが攻撃して来たからこっちも攻撃しただけだし!」
「何を言われても私たちの意見は変わりませんよ?」
シロコとセリカとナナミは必要があれば攻撃するぞと言う意思を込めてそれぞれ戦闘態勢に入る。
《ちょっと待ってください!便利屋の人たちも居ない状態で、キヴォトスでも上位の強者の風紀委員長と戦うのは無謀です!私たちにはもう先生とSERVAL小隊の皆さんしか居ませんし、それでも勝てるかは怪しいって言うのに・・・どういうわけか味方を止めるのも大変だし・・・!あうぅ、こういう時にホシノ先輩がいたら・・・!》
ホシノ先輩と言う言葉にヒナがピクリと側から見ても分かりやすく反応した。
「・・・ホシノ?アビドスのホシノって・・・もしかして、小鳥遊ホシノ・・・?」
《はい?》
予想外の人物に反応したヒナを見て困惑するアヤネ。すると、ボク達の後方から足音が聞こえて来た。
「うへ〜、こいつはまた何があったんだか。すごいことになってるじゃ〜ん」
「‼︎」
「⁉︎」
「ほ、ホシノ先輩⁉︎」
突然のホシノの登場に驚く対策委員会と目を見開いて驚くヒナ。でもホシノ本人はいつも通りの眠たげな感じで歩いて来た。
「ごめんごめん。ちょっと昼寝しててね〜、少し遅れちゃった」
「昼寝え!?こっちは色々大変だったのに!ゲヘナのやつらが・・・!」
「でも、もう全員撃退した」
「まだ全員ではないですが・・・SERVAL小隊の皆さんのお陰もあってまあ大体は」
「ゲヘナの風紀委員会かぁ・・・便利屋を追ってここまで来たの?」
ヒナは驚いたまま固まっており、ホシノの問いには答えなかった。
「うーん、事情はよく分からないけど、対策委員会はこれで勢揃いだよ。ということで、改めてやり合ってみる?風紀委員長ちゃん?」
言い方はいつもと変わらないちょっと気怠げな感じだったけど、その目はマジだった。そっちがそのつもりならやってやると言う意思を感じる。
「・・・1年生の時とはすいぶん変わった、人違いじゃないかと思うくらいに」
「・・・ん?私のこと知ってるの?」
「情報部にいた頃、各自治区の要注意生徒たちをある程度把握してたから。特に小鳥遊ホシノ・・・あなたのことを忘れるはずがない。あの事件の後、アビドスを去ったと思ってたけど・・・そうか、そういうことか・・だからシャーレが・・・・」
ヒナは何かを思いついたのか顎に手を当てて独り言を言いながら考えごとをし始めた。
「まあいい、私も戦うためにここに来たわけじゃないから。・・・・イオリ、チナツ」
「・・・委員長」
「・・・はい」
「撤収準備、帰るよ」
「えっ⁉︎」
《帰るんですか⁉︎》
イオリとアヤネが驚く。他の面々も少し意外に思ったのは驚いている。ナツキは「まぁこれ以上戦う必要は無いしな」と納得している様子だつた。ヒナは一歩前に出ると、スッと頭を下げた。この行動にはボク以外の全員が驚いていた。
「えっ?」
「頭を下げました・・・・⁉︎」
「事前通達無しでの無断兵力運用、そして他校の自治区で騒ぎを起こしたこと。このことについては私、空崎ヒナより、ゲヘナの風紀委員会の委員長として、アビドスの対策委員会に対して公式に謝罪する。今後、ゲヘナの風紀委員会がここに無断で侵入することは無いと約束する。どうか許してほしい」
「委員長・・・」
「ま、待って委員長!あの校則違反者たち…••・便利屋はどうするんだ!?」
「・・・壊滅状態の部隊でどうやって追うつもりなの?」
ジロッとイオリを睨みつけながらそう聞いて来るヒナ。確かに、大量の重軽傷者を抱えた状態で動ける訳も無いしね。
「そ、それは・・・その・・・・うぅ・・・・」
「ほら、帰るよ」
その一言で風紀委員会は撤収を始めた。その間、ヒナが先生を呼んで他の人には聞こえない様に小声で何かを話していた。まぁ十中八九アビドス砂漠の話だろう。風紀委員会はやっぱり統制はきちんと取れていて撤収作業もスムーズに進んで、負傷した仲間も連れてあっという間に居なくなった。
《風紀委員会の全兵力・・・すごい速さでアビドスの郊外へと消えていきました・・・あれほど大規模な兵力を、一糸乱れずに・・・風紀委員長、すごい方ですね。》
《本隊の方も救援部隊と思われる部隊と合流して負傷者を収容して撤収して行ったね》
「了解。serval3は今から回収に向かうから撤収準備しといて。serval4はプーちゃんと
《了解。皆さんお疲れ様でした》
《了解。serval1もお疲れ。怪我は無い?》
「珍しくね」
《それは良かった》
「もったいない、強い人と戦えるチャンスだったのに」
「シロコ先輩、どこかの戦闘民族みたいだね・・・まあ私だって、もちろん喧嘩を売られたら逃げるようなことはしないけど」
セリカが呆れながらそう言うとシロコは「そうかな?」と言って首を傾げた。学園が違ったら、シロコは便利屋68みたいに問題を起こしては風紀委員会みたいな治安組織に追われる毎日を送っていたのかもしれないな。
「うへ〜、結局おじさんは状況が全然分かってないんだけど、何があったの?」
「説明したいところなのですが、私達もまだ分かっていないことが多く・・・・風紀委員長は、なぜここまで来たのでしょうか?」
「まぁ今回の戦闘についてはドローンで撮影した映像もありますので後で説明しますよ」
《分からないのは私たちも同じなんですよ!そもそもホシノ先輩はこんなタイミングまでいったいどこで・・・・!》
「ごめんごめん」
《はぁ・・・なんだか、さらに大事になってきている気がします。慌ただしいことばっかりで・・・分かっていないことだらけです》
はぁ〜と溜め息を吐いて疲れた様子のアヤネ。その様子を見てセリカが心配そうな表情になる。
「アヤネちゃん・・・」
「そうですね、今日も色んなことがありましたし・・・無理せず、私達も休憩した方が良いかもしれません」
「まぁ今日はそれなりに激しい戦いだったしな。こいつも撃ちまくったから整備してやらないとだし」
ナツキは今までの頑張りを労う様に銃身から薄く煙が立ち昇っているserval-171式重機関銃を撫でた。
「はい。では今日は一旦解散して、また明日学校で状況の整理をしましょう。」
「・・・うん、そうだね〜、アヤネちゃんの言う通りだよ。今日はもう解散、明日また教室で」
「そうしましょうか」
「早くシャワーが浴びたい・・・」
「先生。風紀委員長が最後、先生に何か話しかけてたけど・・・何の話?」
“うん。それについては後で一旦落ち着いてみんなが集まった時に話すね ”
「うん、分かった。じゃぁ帰ろっか先生」
「じゃぁボク達はユイを回収してから撤収するので。皆さん。今回はお疲れ様でした」
先生と対策委員会の皆んなとお別れの挨拶をしてから、ボクとナツキはL-ATVに乗ってユイを迎えに行った。
本当はもっと対策委員会の戦闘シーンを盛り沢山にする予定だったんですが、それをし始めると文字数がとんでもない事になりそうだったので泣く泣く省略。対策委員会の活躍が見たかった読者の皆さん申し訳ないです。
ご感想などがありましたらお気軽に書いていってください。今回も最後まで読んで下さってありがとうございました!次回もお楽しみに!
それと、今後SERVAL小隊の装備増強時に新たに大型無人戦闘攻撃機を2機、登場させようかなと画策しているんですが、流石に2機も無人戦闘攻撃機を登場させるのはやり過ぎかなーとも思っている訳でして、なのでちょっとアンケートを取ってみようかなと思います。期限は私が最新話を書き終えるまでとします。
無人戦闘攻撃機を追加で2機登場させるのはやり過ぎ?
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やり過ぎだ思う
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やり過ぎだとは思わない