前世の記憶を持つSRTの生徒が先生と頑張る話   作:MGFFM15

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本当はプロローグは一つに纏める予定だったんですが、思った以上に文字数が多くなり2つに分けることにしました。

自分のこだわりとして、ウチの SERVAL小隊が持っている武器や装備品は基本的に実際にある物(軍や特殊部隊に採用されている物や採用予定の物)を登場させて行きたいなと思っています。

そして、後書きの所で簡単なその武器や装備の解説を書ければ良いなと思っています。


プロローグ1

現在時刻1433(14時33分)。SRT特殊学園自治区内第3演習場。時折り鳥のさえずりも聞こえて来る木々からの木漏れ日が綺麗な森林。そこを完全武装の灰色の制服を着たボクたちは静かに周囲を警戒しながら歩いて行く。

 

《こちらserval3(サーバル スリー)。ポイントB(ブラボー)に到着》

 

耳に付けていたヘッドセットからserval3こと鷹空(たかそら)ユイの報告が聞こえて来る。彼女とは中学からの付き合いで、親友とも呼べる仲だ。ボクが率いてるserval小隊ではスナイパーをやっている。滅茶苦茶狙撃の腕が良いって訳じゃ無くて狙撃試験の評価は平均的だけど、普通の人よりも力持ちなのを活かしてかなりの威力を持っている大口径の対物ライフルを使っている。

 

「こちらserval1。目標は見つけた?」

 

《ネガティブ。ぜんぜん平和だよ〜》

 

「了解。暇な気持ちは分かるけど気を抜かないように」

 

《おーけー》

 

ユイとの通信を終えたボクは少し考える。今回の演習内容は単純で森林の中の遭遇戦。二つの部隊に分かれてそれぞれだだっ広い第3演習場のランダムな位置から移動開始。敵の人数や居場所が全く分からない状態からのスタートになる。勝利条件は敵部隊を壊滅させるか、降伏させること。単純なルールだけど侮ることは出来ない。相手はこっちと同じく厳しい訓練を受けて最新装備で身を固めているSRTの生徒。舐めれる相手じゃ無い。

 

それにこの演習はそれぞれの部隊の対応能力を見ると同時にチーム対抗戦としての側面もある。負けたチームに何か罰があったりする訳では無いけど、苦楽を共にして来たチームが負けるととてもショックだし悔しい。だから負けたく無いと言う気持ちがある。

 

ボクはユイに先行してもらって敵が来そうな場所に行ってもらっていたけどポイントA(アルファ)B(ブラボー)の2つとも敵の姿を見つけきれていなかった。

 

こう言う戦闘だと基本的に先に敵を見つけた方が有利に動ける。だから何としても相手よりも先に見つけたいと言う気持ちが出て焦って来てしまう。でもここで焦ったらダメだ。落ち着いて状況を分析して行動する必要がある。

 

「serval4、空からは何も見えない感じ?」

 

話しながらボクはチラッと上を向いた。木々の間から青空が見える。

 

《こちらserval4。第3演習場名物の凄い生い茂っている木のせいで空からは赤外線カメラを使ってもそんなに見えなくて・・ごめんなさい》

 

「まぁ仕方ないよ。じゃあ。上空からの監視と並行して今から飛ばすランチャードローンを使った偵察もお願い」

 

《任せて》

 

serval4こと柚木アリナは後方支援を担当してるserval小隊のかわいい枠。かわいいって言うのは見た目がってことで、その見た目だけで言うならSRTじゃなくてトリニティとかにいる方が似合ってそうとボクは思っている。彼女は悲しいことに射撃やCQC(近接格闘)が不得意で成績がそんなに良く無い。でもその代わりに彼女は凄い特技を持っている。それがドローンなどの無人兵器の操縦技術の高さ。なんと1人で種類の違う複数機のドローンを同時操作することが出来ちゃうのだ。

 

操作している姿を何度か見たけど可愛らしい見た目とは裏腹にまるで映画やアニメとかで見るようなハッカーみたいに忙しなく手と目を動かして無人機を操縦していた。

 

今もボク達の前を走行している武装型UGV(無人地上車両)と上空約4000メールを飛行して偵察活動をしているティルトローター式大型UCAV(無人攻撃機)の2つを操作している。でも上空からの偵察は密林のせいで視界が悪く期待していた様な偵察活動は出来ていなかった。だから今からアリナの能力を借りて目を増やすことにした。

 

ボクは専用のポーチに入れていた黒色の円筒形の物を取り出す。これは40ミリ口径のグレネードランチャーからの発射も可能な小型ドローン。今回は偵察用にしているけど中身を入れ替えればジャミングや自爆攻撃なども出来るようになってる。でも敵が何処に居るか分からない状況でグレネードランチャーから発射させると派手な発射音でこっちの位置がバレる危険性があるから今回は手で投げて発進させる。起動ボタンを押して起動を確認してから2つ同時に上に投げる。すると瞬時に収納されていたプロペラが展開し飛行を開始する。ボクの隣に居たserval2こと機関銃手で褐色の肌が特徴の如月ナツキも同じ様に2つランチャードローンを投げる。

 

合計4機のドローンが木々を避けて飛んで行く。このランチャードローンはAIによる自律飛行も可能でアリナがずっと操縦しなくても勝手に飛んで行ってくれる。ランチャードローンが飛んで行って索敵してくれている間、ボク達は周囲を警戒しながら森の中を進んで行く。

 

やっぱり戦闘している時よりも、今みたいな何処に敵が居るのか分からない状況で探し回っている時の方が緊張するな。常に周囲を警戒しないとだから疲れるし。だからと言って戦闘中に緊張感がない訳じゃない。特にボクの場合はきちんと情報を収集して状況を判断して、小隊の皆んなを指揮して勝たせなゃならないからその責任感は重大だ。

 

「もうちょっと視界が開けていたらこんな地道に探さなくても良いのになぁ」

 

「何でも最新の物に頼り過ぎるのは良くないって授業でも言われたでしょ。索敵で最後に物を言うのはドローンとかに搭載された光学機器とかじゃ無くて人の目なんだよ」

 

「そう言ってる割にはMRゴーグルなんて使ってるんだね」

 

「別に使わないとは言ってないし。頼り過ぎるのが良くないって言っただけだからね。使えるのもは使い倒すよ。ナツキも使えば?結構便利だよ?」

 

「うーん。前に試着してみた時に色々と情報が画面に表示され過ぎて見難いなぁと思ったんだよね」

 

「そこら辺は設定で必要な情報以外表示しない様にとか出来るよ」

 

「一々そう言う設定するのが面倒臭いんだよね。もっと機関銃みたいに分かりやすかったら良いんだけど」

 

「その機関銃みたいに分かりやすいって言うのがボクには分からないけどね」

 

機関銃狂いのナツキは時々意味が分からないことを言う。ナツキは兎に角機関銃が大好きで、私用と言って色んな機関銃を買い集めている程。彼女は自身の資金の9割を機関銃関連で消費していると言っても過言じゃないと思う。一体彼女が何丁の機関銃達を持っているのかは予想も出来ない。

 

「分からないで言うなら、せっかくフルオートで撃てる銃をセミオートで撃つ隊長の気持ちが自分には分からないけどね」

 

「いや、普通に遠・中距離で当てやすいからだけど?」

 

「いやいや、遠距離も中距離も機関銃で撃ちまくれば十分敵を倒せるし。隊長も一応ってことで25発入りの拡張マガジンも2つ持ってきてるんだから、撃ちまくっちゃえば良いじゃん!」

 

「いや、そんなことやってたら速攻で持って来てた弾を全部使っちゃうから」

 

ボクが今回持って来ている弾数は250発。普段は200発前後なんだけど念の為にってことで拡張マガジンを持って来て弾数を増やしている。それでも調子に乗ってフルオートで撃ち続けていれば250発なんて直ぐに無くなってしまう。

 

じゃぁもっと沢山持って行けば良いじゃんと思われそうだけど、SRT生は弾薬以外にも色んな装備品を身に付けている。だからその総重量は結構な重さになっているし、マガジンを入れておく場所の問題とかも発生する。そう言う諸々の事情を考慮しててこの弾数に落ち着いている。

 

そんなこんなでナツキと雑談を挟みながら敵の捜索をしているとドローンで偵察していたナツキから通信が来た。

 

《こちらserval4。ヒヨちゃん(ランチャードローン)3号が敵を発見。人数は3。武装はアサルトライフル1とサブマシンガン2。位置はポイントE(エコー)ミロちゃん(武装型UGV)から見て11時方向、距離約650。位置情報を送ります》

 

アリナは自分が使っているドローン達にそれぞれ名前を付けて呼んでいる。ナツキはアリナの考える名前がカッコ悪いから嫌だと言っているけど、もし無線を傍受されても何のことを言っているのか分かり難くもなって秘匿性が上がると考えて、ボクは作戦中もドローンをアリナのつけた名前で呼ぶことを許可している。

 

アリナとの通信が終わってから数秒で掛けていたゴーグルの画面にFPSゲームなどで見る様に敵の位置がピンで表示される。このゴーグルはただ目を保護するだけが機能じゃなくて、なんとAR技術とVR技術を組み合わせたMR技術を使ってゲームの様に色んな情報を視界に写すことが出来る。今はヒヨちゃんことランチャードローンからの情報を元に敵のいる位置と味方の位置が画面左下のマップに。自分から敵までの距離が画面上に表示されている。

 

「こちらserval1、確信した。敵にドローンの存在が悟られない様に距離を保ちつつ監視を続行。プランBに備えてCAS(近接航空支援)の用意もしといて」

 

《了解》

 

「serval3、聞こえていたと思うけどポイントEに行って敵の背後に回り込んだら報告して」

 

《りょーかい。って言うかさっきから走ってばっかりなんだけど》

 

「体力バカなんだしこの位大丈夫でしょ」

 

《花の女子高生相手に体力バカって言うのは酷くない?》

 

「喋ってる暇があったら早く移動した方が良いと思うよ」

 

《こんなに長くて重いライフルを持って森の中を走り回るのって大変なんだからね!》

 

「その銃を好んで使ってるのはアンタでしょ?それと、敵のスナイパーが居るかもだから注意して」

 

《はいはーい》

 

そう言ってユイは無線を切った。ポイントB(ブラボー)からE(エコー)まで最短距離で向かったとして約3分ってとこかな。でも敵スナイパーを警戒しながら行くからもっとかかるかも。

 

「ナツキ、戦闘になったら人数不利のこっちはアンタの火力が頼りだから任せたよ」

 

ボクと行動を共にしているナツキが持っているのはアンダーバレルに40ミリグレネードランチャーを装備したserval-46式軽機関銃。その火力はとても頼りになる。

 

「ふふっ、お任せあれ!」

 

ナツキは嬉しそうに笑って軽機関銃を構え直しながら答えた。これはいざ撃ち合いになったらまたとんでもない数の弾が消費される感じだなぁ。

 

いっぱい撃つのが楽しみでウキウキのナツキとボクはランチャードローン(ヒヨちゃん)から送られて来る情報を元に敵の側面に先回りしてアンブッシュ(待ち伏せ)に徹する。

 

こっちが2人で向こうが3人。基本的に少数精鋭の戦闘部隊であるSRTは人数不利で戦う状況が実戦でも高確率で発生する。だからそう言う場合の訓練もみっちり仕込まれている。

 

それにこっちにはアリナが操作しているミロちゃんこと武装型UGVもいる。7.62ミリ口径の軽機関銃と6連装40ミリグレネードランチャーを装備しているから火力は十分。

 

「serval4、プランAで行く予定だからミロちゃんを今から指定する座標に移動させて」

 

ボクはアリナに説明しながらポケットから端末を取り出して、画面を素早くタップして位置情報を送った。

 

《serval4了解。位置情報も確認。今から向かいます》

 

ボク達の前を走行していた武装型UGVが速度を上げて指示した場所へ走り始める。こっちも丁度良い待ち伏せの場所へ移動した後、ナツキは倒木に隠れてボクはその近くの地面の窪みに身を隠した。敵との距離を確認してみると約400メートル。ボク達の持っている銃の性能ならもう有効射程内だけど木々が生い茂るここだと視界が悪くてまだ敵の姿を確認出来ない。

 

《ふぃ〜。お待たせ!いやー全力疾走したから疲れたよ。serval3狙撃位置に付いたよ。既に敵はスコープに捉えてる》

 

若干息切れしながらユイが報告して来た。良かった。敵に気づかれる前に攻撃の準備が出来そうだ。これでこっちが先制攻撃を出来る。

 

「敵スナイパーは確認出来た?」

 

《いやぁそれっぽい気配も痕跡も無し》

 

「了解。serval3は敵と一定の距離を取りつつ追跡。serval4、ミロちゃん(武装UGV)の準備は?」

 

《移動完了。敵の姿はサーマルカメラで捉えてるよ》

 

「了解」

 

敵部隊が前に居る3人だけとは思えない。確実にあと1人かもしくは2人、何処かに隠れている筈。ボクは死角からの突然の狙撃に警戒してスナイパーを探しているけど、もしかしたらスナイパーじゃ無いアサルトライフルとかを持った敵の可能性だってある。となるとその残りの見つけれていない人達は背後に回り込んで挟撃して来るかもしれない。

 

「全隊員傾注。これより戦闘を開始する。作戦は事前に考えていたプランAを元に臨機応変に対応。こちらが射程では有利だからある程度距離をとりつつ攻撃、CQB(近接戦闘)に持ち込まれたらこっちが不利になるよ。だから比較的視界が開けているポイントD(デルタ)E(エコー)の境界付近の所に誘い込む。それと、今確認している3人とは別に1〜2人の別働隊が居る可能性があるからserval4はボク達の後方と両側面にヒヨちゃん(ランチャードローン)を展開、ボク達から半径200メートル圏内を監視させといて」

 

「了解」

 

《了解》

 

《りょーかい》

 

全員が返事をしたのを確認して、ボクは手に持っているserval-7式小銃の安全装置が解除してあるかの確認とチャンバーチェックを済ませる。隣のナツキも同じ様に安全装置とチャンバーチェックをして倒木の上に軽機関銃を置いていつでも撃てる体勢になる。ゴーグルに表示されている敵との距離は約360メートルになっていた。

 

serval-7式小銃を構えて多機能スコープを覗き込んで倍率を上げて敵の姿を探してみると木々の隙間から少しだけ歩いている姿が見えた。セレクターをセミオートに変更する。

 

「こちらでもスコープ越しに確認」

 

「良いなぁこっちはドットサイトだから見えないや」

 

ナツキの使っている機関銃にはスコープを付けての銃撃なんて想定していないからドットサイトしか付いていない。だからまだ敵の姿は捉えられていない。でも、それで問題無い。

 

「大体の位置はゴーグルで分かるでしょ。アンタの好きな弾をばら撒く時間だよ」

 

「イヒヒッ。待ってました〜。じゃぁタイムカードを切っても?」

 

「良いよ。派手にやっちゃってよ」

 

「りょーかいっ!」

 

嬉しそうにトリガーを引くと、毎分725発の早さで5.56ミリ弾がけたたましい発砲音と共に発射されて行く。途中木の枝などを端折りながら弾は飛んで行き、敵の居る方向へ殺到する。数秒前まで草が擦れる音すら聞こえる程静かだった森は一気に大音量の銃声によって支配された。ボクも銃を構えてスコープを覗き、敵の居る方へ適当に3発撃った。勿論、適当に撃ったから弾が敵に当たることはなかったけど虚仮威し(こけおどし)にはなる。ボクはわざと敵から見える位置に移動してからトリガーを連続で引いて撃つ。

 

勿論そんなことをするれば敵に直ぐに見つかる。タンッ!タンッ!タンッ!と言う5.56ミリ弾を使うアサルトライフルの特有銃声が聞こえて来て同時に弾丸が近くを飛んで来る。直ぐに近くの木の幹に身を隠し、多機能スコープを操作してゴーグルにスコープの映像を投影させる。

 

木の幹に身を隠したまま銃を外に出して銃口を敵の方に向ける。ゴーグルに映るスコープの映像を頼りに狙いを定めて撃ち返す。するとお返しにパララッ!パラララッ!って言う高レートサブマシンガン特有の銃声が複数聞こえて無数の弾丸が飛んで来た。

 

《serval4からserval1へ。敵部隊は制圧射撃と移動を交互にしながらそちらに徐々に接近中》

 

「こっちでも確認。もっと引き付けてから次の段階に入る」

 

「制圧射撃ならこっちも負けないぞ‼︎」

 

そう言ってナツキは弾丸が飛んで来ている状況にも怯まずに敵の方に弾をばら撒く。

 

《serval1、あまり無茶はしない様にね》

 

心配したユイが通信に割り込んで来た。中学の頃からユイは無茶をしようとするボクを心配をしていたなぁ。まぁ中学の頃に色々とあったから心配する気持ちは分かる。

 

「分かってるって」

 

通信を終えてもう一度同じ様に銃だけを出して撃ち返し、そして走って別の木へ移動して隠れ再び撃つ。その時、狙ってかたまたまか分からないけど銃を持っていた右手に弾丸が掠って袖辺りが少し破れた。

 

「ひぇ〜あっぶな」

 

僕の住んでいた世界と違ってここキヴォトスに住む生徒達は皆銃弾を至近距離か身体も体に穴が開くことはない。でも、秒速900メートル程で飛んで来る5.56ミリ弾とかが当たれば死ぬことはないけど結構痛い。だから余り食らいたくはない。

 

「リロード!」

 

「カバー!」

 

派手に撃ちまくったお陰で早速ナツキは弾切れを起こした。リロードをしている間今までの様な圧倒的な弾幕を張れなくなる。その間ボクがセミオートで敵の方向に弾をばら撒く。でも軽機関銃と比べるとどうしても制圧能力に劣る。火力が落ちた今の隙に攻めて来るのは目に見えている。

 

予想通り敵からの攻撃が激しくなり、ボクの方も必死に反撃するけど人数不利で劣勢になり、火力で圧倒しながら比嘉の距離を縮めて来る。途中、ボクの方も弾切れした。

 

「ごめん。こっちもリロード!」

 

「りょーかい!カバーする!」

 

ナツキは一旦時間のかかる軽機関銃のリロードをやめてホルスターから、拳銃を取り出す。彼女だけが使用しているこのserval-75式機関拳銃は拳銃としては珍しく毎分1000発の速さで9ミリ弾をフルオートで撃ち出すことが出来る。代物。しかもナツキは「やっぱ少しでも装弾数が多い方が良いでしょ!」と言ってギリギリ携帯できるマガジンの長さとして25発入りの拡張マガジンを使っている。

 

そんな拳銃で弾をばら撒いている間にボクはアサルトライフルのリロードを素早く終わらせる。この銃も長いこと使って来たからリロードも使い始めた頃と比べると格段に早くできる様になった。数秒でリロードを終わらせたボクは再び制圧射撃を始める。ナツキの方は弾切れになった拳銃をホルスターに仕舞って軽機関銃のリロードを再開する。

 

「ナツキ、リロードが終わったらボクの後退の支援を宜しく」

 

「了解!」

 

ナツキは慣れた手つきで素早くリロードを終わらせるとボクの背中を叩いて叫んだ。

 

「GOッ!」

 

その声が聞こえた瞬間、撃つのをやめてボクは全速力で後ろに下がる。直後、真後ろからナツキの軽機関銃の銃声が聞こえて来る。元いた所から30メートル程下がった所で後退するのをやめて近くの木の幹に身を隠し、銃を構えスコープを直接覗き込む。さっきみたいにスコープの映像をゴーグルに表示させて撃つのも良いけど、こうしてちゃんと構えて撃つ方がやっぱり撃ち易いし、命中率も上がる。こっちの準備が終わったのを知らせる為に合図を出す。

 

「レディ!」

 

ナツキは直ぐに射撃をやめてこっちの方に向かって全速力で走って来る。適当に弾をばら撒いていたさっきとは違いその間ナツキが撃たれない様にナツキを狙おうとする奴を狙って撃つ。そのまま被弾して無力化出来れば御の字なんだけど、相手の方もSRTの生徒。1箇所にとどまらず不規則に動いて物陰に隠れたりしているからなかなか当たらない。でも、ボクの射撃が邪魔でナツキを狙い撃ちにすることは出来ずに無事ナツキは背中を撃たれること無くボクのいるところまで走り切り、スライディングする様にして止まるとそのまま地面に伏せて撃ち始める。

 

その後も片方が撃っている間にもう片方が後退すると言う動きを続けて敵を目標地点へ誘導する。でも相手チームの方もバカじゃない。ボク達を追って進んで行く内に木々が少なくなって開けて来たことで、自分達が戦いに不利な場所に誘い込まれている事に気がついたみたいで、追って来るのをやめてしまった。

 

でも、ここまで来てくれたらこっちのもんだ。最初に戦っていた所と比べて木が少なくて開けたこの場合はある程度距離を置いた撃ち合いがし易い。もし相手が追って来ないなら、有効射程の長い銃を持っているこっちが有利だ。距離を置きつつ一方的に撃ち込むこともできる。

 

もし無理に距離を詰めてこようとするならさっきよりも視界が広く、隠れることの出来る木の数が減っているこの場所だと今までの様に全く被害を出さずにこっちまで来ることは無理だろう。そして、動くのをやめてお互い距離を置いて撃ち合う今の状況なら彼女の出番だ。

 

「serval3、準備は?」

 

《いつでも。って言うか待ちくたびれたよ》

 

「動きからしてアサルトライフルを持っている奴が隊長だと思うからそいつを狙って」

 

《了解》

 

「serval4はserval3が目標の無力化後、ミロちゃんで攻撃開始」

 

《了解》

 

「ナツキ、撃ちまくって相手を釘付けにして」

 

「おりゃあぁぁ‼︎」

 

返事の代わりにナツキは銃身が焼けてしまうんじゃないかって思う程、休みなく撃ちまくる。ボクの方も負けじと撃って相手が下手に動けない様にする。そして次の瞬間、森の奥の方からダドォンッ‼︎って言う大きな銃声が聞こえると同時に、アサルトライフルを持ってこっちを撃って来ていた奴の後頭部に狙いすまされた1発の弾丸が命中。被弾した生徒は前のめりに撃たれた衝撃で勢い良く倒れて動かなくなった。

 

ユイの愛用するserval-23式対物狙撃銃はなんと23ミリ弾を発射する化け物の様な対物狙撃銃だ。薬莢の長さも152ミリと一般的な対物ライフルが99ミリや108ミリなのと比べると化け物みたいな多きさになっている。無論、そんな弾薬なら威力もかなりのものになっていて、一般的なキヴォトスの生徒なら急所に当てれば一撃で無力化させることも可能な程。

 

Tango down(タンゴ・ダウン)

 

「ナイスショット。serval4、射撃開始」

 

《了解!》

 

ボク達から少し離れた所からダダダダダダダダッ!と言うナツキの使う軽機関銃よりも重い軽機関銃の連射音が聞こえて来た。相手の方からすると突然右後方から機関銃の掃射を受けるんだからたまったもんじゃないだろうな。

 

前方からはボクとナツキによる攻撃、右後方からは武装UGV、ミロちゃんからの攻撃、後方からはユイの狙撃。こっちが圧倒的に優位な状況になった。

 

でも、こう言う自分に有利な状況こそ慢心せずに冷静になる必要があるとSRTの授業で教えられた。

 

ダアァンッ!と言う銃声が何処からか聞こえた。同時にミロちゃんが配置されていた場所辺りで派手な爆発音が聞こえて来て、それに続いてアリナの《えっ⁉︎》と言う驚く声が無線機から聞こえて来た。

 

「serval4、状況報告」

 

《み、ミロちゃんの信号途絶・・・破壊されたんだと、思います》

 

アリナ自身も今起こったことが分からないと言う様子で、困惑しながらも報告してくれた。今聞こえて来た銃声、明らかにユイが使っている対物狙撃銃の音じゃ無かった。って言うことは!

 

「全員遮蔽物に隠れて‼︎敵スナイパー!」

 

ミロちゃんがあんなに派手に爆発したのは多分、搭載してあった6連装グレネードランチャーが爆発したからだと思う。でも幾らグレネードランチャーと言っても撃たれたら直ぐに爆発する訳じゃない。となると敵が使っているスナイパーライフルはそれなりに口径がデカいやつの可能性が高い。

 

「serval4、今あるドローン全部使って敵スナイパーの捜索!serval3は今すぐ場所を移動して!」

 

《了解》

 

《ドローンで監視してたんじゃ無かったの⁉︎》

 

《ごめん。多分監視していた範囲外から撃って来たみたいで》

 

《じゃぁ200メートル以上先から狙撃して来たってこと⁉︎この森の中で?良い腕してんじゃん》

 

「相手を褒める暇があったらさっさと移動して!頭に撃ち込まれても知らないよ!」

 

《今移動してる最中だっての!》

 

「ナツキ、制圧射撃は続けるけど頭は出し過ぎない様に」

 

「了解」

 

ナツキが撃っている間にボクは再びスコープの映像をゴーグルに表示さて銃だけを外に出して敵スナイパーの位置を探る。このスコープは1〜8倍までズーム出来るからある程度の距離の索敵も可能。でも、木々が生い茂るここだと遠くまで見通せない。だからこっちはわざわざ比較的視界が開けているここに敵を誘導したって言うのに敵は森の中に隠れていたUGVを狙撃して破壊した。何処にいるんだ?と考えていると、また銃声が森の中から聞こえて来た。

 

「うわっ⁉︎」

 

バギャン!と言う金属がはしゃげる様な音と同時に軽機関銃を撃っていたナツキが声を上げて後ろに倒れた。慌てて倒れたナツキの方に駆け寄て状態を確認する。

 

「大丈夫⁉︎」

 

「自分は大丈夫。でも・・・・」

 

ナツキが今にも泣きそうな表情で手に持っていた軽機関銃に視線を落とす。ボクもつられて見てみると、幸か不幸かナツキを狙って飛んで来た弾丸はナツキの愛用していたserval-46式軽機関銃に命中していて、機関部に大穴が空いていた。

 

「・・悪いけど、今は戦闘が優先だから」

 

今は余りこっちに余裕が無い状態だから慰めてあげる時間も無い。ナツキには悪いけど直ぐに戦いに復帰して貰う必要がある。

 

「分かってる」

 

静かにそう言ってナツキは小声で謝りながらserval-46式軽機関銃をそっと地面に置くと背負っていたリュックの中を漁り始めた。そして何かを引っ張り出し叫んだ。

 

「ならコイツの出番だなぁ⁉︎」

 

ナツキがリュックから取り出したのはパッと見は普通のサブマシンガンに見える銃。でもその銃にはマガジンでは無く7.62ミリ弾が繋がったベルトが中からぶら下がっていた。serval-51式B型軽機関銃。元々バトルライフルだった物をサブマシンガンサイズにまで小型化させた挙句、マガジン給弾方式だったのをベルト給弾方式に改造したゲテモノ銃。

 

ナツキは機関銃達を集めまくるのが趣味の一つで、この銃も少し前にどっかから買って来て、嬉しそうに銃のすごい所なんかの話をしていたのを覚えている。でも、まさかメインウェポンの軽機関銃の予備に軽機関銃を持って来ているなんて予想外だった。機関銃好き過ぎるでしょ。

 

serval-51式B型軽機関銃を構えたナツキはさっきまでの悲しそうな表情は何処はやら。ニッコニコの笑顔で撃ち始めた。その銃の銃声のうるささもさることながら、サブマシンガン並みまで短縮化された銃身からフルサイズの弾丸を発射しているせいでマズルフラッシュがとても派手。つまり毎分700回滅茶苦茶光りまくる。余りにも眩しいからずっと見ていたら目がチカチカして痛くなって来る程。

 

「えぇ・・・・」

 

色々とツッコミ所が多過ぎる状況に困惑してしまうボク。って言うかこんなに光りまくっていたら敵スナイパーからもバッチリ見えていそうなんだけど。

 

「ちょ、ナツキ、ナツキ!そんなに撃ちまくってたらまた狙撃されるよってば!」

 

「おっとそうだったそうだった」

 

どうやら撃ちまくることしか考えてなかったみたいでボクが注意すると直ぐに撃つのをやめて隠れてくれた。

 

《serval4から総員へ!北西側を飛んでいたヴィジーちゃん(無人攻撃機)が敵ドローンを2機確認。機種は131に酷似。方位serval1から見て約25度。距離600!》

 

「了解。総員警戒!自爆ドローンの可能性が高いよ!」

 

この今のタイミングで索敵ドローンをわざわざ飛ばして来るともあんまり考えられない。なら爆薬を搭載した自爆ドローンとかの何らかの攻撃手段を持ったドローンの可能性の方が高いとボクは考えた。と言うか機種が131に酷似しているならほぼ敵ドローンは徘徊型自爆ドローンで確定している様な物。距離的に十数秒後には来る。目の前の敵と交戦しつつアリナの報告してくれた方向を警戒していつでも対処できる様に用意する。

 

「来た!」

 

銃のスコープを最大倍率にしてそのドローンを姿を見る。あの特徴的なデルタ翼のドローンは間違い無く徘徊型自爆ドローンの131だ。となるとマズいぞ。かのドローンには15キロの爆薬が搭載してある。今ここに突っ込んで来たらボクもナツキも纏めて吹き飛ばされてしまう。

 

ドローン2機は水平飛行をやめてこっちに目掛けて緩降下して来る。このserval-7式小銃とナツキの軽機関銃だけで2機とも撃ち落とせるかどうか怪しいけど、ここで吹き飛ばされない為にはやるしかない。今使っていたマガジンを外して念の為にと持って来ていた25発弾が入っている拡張マガジンを入れる。セレクターレバーをセミオートからフルオートに変更して、スコープを覗き込んで狙いすます。

 

「落ちろッ!」

 

毎分700発の速度で6.8ミリ弾が発射されてこっちに向かって突っ込んだからドローンへと飛んで行く。数発は当たっている感じだけど、完全に撃墜するには至らない。そうこうしている内にドローンは直ぐそこにまで近づいて来る。これは撃つのをやめて走って近くの丈夫そうな物陰に隠れた方が良いかなと思ってナツキの方を向くと、いつの間にか彼女は壊れたserval-46式軽機関銃を構えていた。そしてアンダーバレルに装備していたグレネードランチャーのトリガーに指を掛けていた。

 

「食らえ!とっておきのエア・バーストッ‼︎」

 

そう叫んでドローンに向かってグレネード弾を発射。バンッ!と撃ち出された40ミリグレネード弾はそのまま真っ直ぐ飛んで行き2機のドローンとすれ違う。そして、完全にすれ違う前にグレネード弾は自爆。周辺に破片を散らばせた。至近距離からグレネード弾の破片を浴びたドローン2機は主翼が破壊されてコントロールを失って目の前に落下。派手に爆発した。ボクとナツキは伏せておいたから爆発の破片で負傷することもなかった。

 

「すっげ〜。グレネードランチャーでドローン撃ち落とせるもんなんだね」

 

「信管の設定とか適当に勘でやったからまさかここまで上手く行くなんて思わなかった」

 

《serval1!Check Six(後方注意)‼︎》

 

「っ⁉︎」

 

奇跡的にドローンを撃ち落とせたことで安堵しているとアリナから凄い逼迫した様子の声が聞こえて来た。明らかに只事では無い感じがしたから急いで振り返ると、そこには左手にバリステックシールド、もう片方の手にショートカービンライフルの21式短小銃を持った敵が目の前にまで接近して来ていた。

 

日々の厳しい訓練のお陰か、考えるよりも先に体が動いてserval-7式小銃の残弾十数発全弾をフルオートで叩き込んだ。でも、その全弾が構えたシールドによって防がれてしまった。弾切れになったserval-7式小銃のリロードをする暇も無く距離をあっという間に詰められて、バリステックシールドをまるで剣の様に振り回してボクの右手に直撃させる。

 

「くっぁ⁉︎」

 

なかなかの重量物の盾をフルスイングする様にして手に当たったから頭で思わず手に持っていたserval-7式小銃を離してしまい、そのまま銃を遠くの方へ吹き飛ばされた。

 

「っの!」

 

敵が武器を無くしたボクにトドメを刺そうと敵は銃口を頭に向ける。ボクは撃たれる前に左手の甲で敵の銃の右側面を叩き、射線を横にずらす。ボクの真横を弾丸が掠め飛んで行く音が聞こえるが今はそんなのに気にしている暇は無い。右手で敵の銃を持っている右手の手首を掴み、思いっきり引っ張る。そのまま近接格闘に入ろうとしたけど敵は盾を勢い良く突き出してボクの顔面にゴン!と当てて来た。

 

「あでっ!」

 

そうして怯んだ隙に敵は強力な回し蹴りをボクの首を狙って放って来た。ボクは咄嗟に腕を出して首を守る。

 

「ぐっ!」

 

それでも衝撃はかなりのものでボクは斜め後ろに吹っ飛んで転んだ。でも吹っ飛んだお陰で落としたserval-7式小銃の近くに来れた。転がってserval-7式小銃の方に行こうとするけど、敵はその進行方向にフルオートで撃って来た。反対方向に転がって銃撃を回避して、そしてネックスプリングの要領で立ち上がり、全速力で敵の方に走って接近する。

 

敵は一旦撃つのをやめてから狙い直し撃って来た。ボクは銃口をこっちに向けて来た時点でスライディングして銃撃を回避。そしてスライディングしながらホルスターから中学時代から使っていたリボルバー、serval-8式回転式拳銃を取り出す。

 

スライディングで避けてから前掃腿の様な動きで敵の足を払って体勢を崩し、転倒させる。すかさずリボルバーを構えて3発撃つけど敵は盾を構えて防いだ。そしてショートカービンライフルで撃ち返して来る。

 

それをボクは横に飛び退いて回避。敵が右手に銃を持っているのを利用して右側へ走る。右腕を右側90度以上曲げるなんて無理だから相手は狙えなくなる。その隙に敵の背中に狙って3発撃ち込む。

 

「ふっ!」

 

でも敵はボクのやろうとしていたことを読んでいたみたいで、転んだ状態のまままで一回転して盾を構えてまた銃撃を防いだ。また反撃される前にボクは走って距離を詰めて敵がショートカービンを構えると同時に銃を持っている腕を思いっきり蹴って銃を吹き飛ばすことに成功させる。そして敵が次の行動を起こす前にリボルバーを構えて撃つが、敵は盾をリボルバーの目の前に突き出して弾丸を防ぐ。

 

「盾邪魔なんだよッ!」

 

盾を思いっきり蹴って、敵は後ろに少しよろめく。その隙に再びリボルバーを構えて頭に狙いを定め引き金を引く。が、敵は直ぐに体勢を立て直してこっちに接近するとボクがトリガーを引く直前にリボルバーの銃身を掴んで力任せに明後日の方向に銃口を向かせて弾を外させた。

 

「チッ!」

 

最悪なことに今の1発でリボルバーの弾が切れた。敵もそれは分かっている様でホルスターからオートマチックの拳銃を取り出し構える。

 

「食らえ!」

 

「させるかっ‼︎」

 

ボクは弾切れになったリボルバーを相手の顔面に目掛けて渾身の力を込めて投げつける。

 

「きゃっ⁉︎」

 

流石に約1キロの重さのある鉄の塊を顔面に全力で投げつけらると相手も怯む。思ったよりも可愛らしい悲鳴を上げて相手は一瞬怯んでくれた。その隙に手を伸ばして敵の持っていた拳銃を掴んでマガジンリリースボタンを押してマガジンを自重で地面に落下させ、足で蹴飛ばす。

 

「こっ・・のっ!離せっ!」

 

「断るっ!」

 

敵は渾身の力を込めて無理やり銃口をボクの顔面に向けて引き金を引こうとする。ボクは咄嗟に手の力を抜く。すると渾身の力を込めていた敵は勢い余って照準がズレて発砲。弾はボクの顔の横を通過した。これで敵の拳銃も弾切れ。お互い睨み合う状態で動きが止まる。ここで初めてお互いにお互いの顔をちゃんと見た。

 

「よぉケミちゃん。元気そうだね。って言うかどっから現れて来たの?周囲はドローンで見張っていた筈なんだけど」

 

「あのドローン、真上はカメラの画角外でしょ?」

 

「・・もしかして、木から木に飛び移って来た?」

 

「正解」

 

「やば。猿かよ」

 

重くて嵩張るバリステックシールドを持ったまま木から木へ、ジャンプして移動して来たってことでしょ?凄いことするなぁ。

 

「勝つ為に必死だねぇ」

 

「そっちこそ。拳銃投げてまで勝とうとするなんて必死過ぎて滑稽だよ」

 

「使える物はなんでも使って勝つべしって習わなかった?もしかして勉強は苦手かな?」

 

「前の座学のテストの点数そっちより高かったんだけど?それに、見境が無く拳銃投げちゃたせいで今アンタ武器が無いじゃん。バカじゃ無い?」

 

「実技の試験でボクより点数低かったくせに。それに、こうすれば条件は、同じだよッ!」

 

「ちょ⁉︎」

 

一気に近づいてケミが咄嗟に放ったパンチを避けつつ再びケミが持っていた弾切れの拳銃を握ると、スライドストップを指で下に下げてもう片方の手でスライドを外し、投げ飛ばす。

 

「あぁー⁉︎何すんの!」

 

「へへっ、これでお互い武器が無くなったね。ナツキ!そっちは大丈夫?」

 

ボクとケミが戦っている間ナツキは1人で他の敵と戦ってくれていた。問いかけに対してナツキは撃ち続けながら「大丈夫!」と言ってサムズアップしてみせた。

 

「serval3、4!敵スナイパーを見つけ次第攻撃!一々こっちに発見の報告とかしなくて良いから!撃破報告だけして!」

 

《了解!》

 

《了解。って言うかserval1は大丈夫なの?》

 

「今から大丈夫にする」

 

《ちょ、それって今は大丈夫じゃ無いって言っている様なもんじゃ無い⁉︎》

 

「とにかくこっちは気にしなくて良いから」

 

《ちょっと!》

 

目の前の敵に集中する為にユイからの通信は無視してケミと睨み合うお互い相手が動いた瞬間、自分も動ける様に警戒は緩めない。

 

「因みにさ、そっちのスナイパーが何処にいるのか教えてくれない?」

 

「アンタ何かには絶対に見つけきれない場所に居るよ。頭を撃ち抜かれない様に気をつけた方が良いんじゃない?」

 

「こうして突っ立っているボクが撃たれて無いってことは、そっちのスナイパーはこっちに射線が通っていないか、ケミちゃんが撃たないように指示しているか。まぁ十中八九答えは後者だろうね」

 

ケミちゃんはタイマンで勝負したがる。他の人の助けなど借りずに自分一人だけの力で倒したいと思った奴を倒すことを目標としている人だからね。

 

「そっちこそボクのところのスナイパーに撃たれない様に気をつけた方が良いよ。果たしてそのご自慢のシールドで防げるかな?」

 

「その前にこっちのスナイパーがやっつけるから」

 

挑発し合いながらどう動くか考える。お互いに銃は持ってない。CQC(近接格闘)に入るのも一つの手だけど、それだとなかなか決め手に欠ける。敵を瞬時に無力化するならやっぱり銃が欲しい。

 

となるとお互いさっき落としたまま地面に転がっている銃を拾いに行く必要がある。ボクの場合さっき投げたリボルバーが1番近くにある。ケミの場合は拳銃は分解したから少し離れた所にあるショートカービンライフルを取りに行く必要がある。お互いに自分の落とした銃の場所にチラッと視線を向けてから睨み合う。

 

「どっちが先に撃てるかな?」

 

「もしかして、あのリボルバーを拾って撃ち合おうって考えてる?リボルバーなんて今どき流行らないってのに」

 

「確かに、最近のオートマチックピストルの方が使い易いし、装弾数も多いし、色々と利点があるけど、ボクに言わせるとロマンが足りないねっ!」

 

前世の僕が見ていたアニメ作品の好きな名言を引用して叫んだボクはリボルバーの方へ走った。同時にケミもショートカービンライフルが落ちている方へ走る。リボルバーに向かって飛び込む様にして拾い、飛び込んだ勢いのまま前転して、シリンダーをスリングアウトして空薬莢を排出。ポーチからムーンクリップに装着された予備弾を取り出して、シリンダーに入れる。この銃は全弾を一気に装填出来るムーンクリップに弾を装着した状態のままシリンダーに装填できる用になっている。だから普通のリボルバーよりも素早い再装填が可能!

 

シリンダーを元の位置に戻して構えて、同じく銃を拾って構えていたケミの頭を狙い引き金を引く。ケミはバリステックシールドを構えるが、それとほぼ同時に357マグナム弾が飛んで来る。

 

「あぐっ⁉︎」

 

バリステックシールドの上側に当たって軌道を上方向に変えつつも357マグナム弾はケミの頭に当たった。ケミは後ろによろめいたけど、体勢を立て直してお返しにとケミはフルオートで撃ち返して来る。何とか避けようと動くが、流石に避け切れずに何発か当たってしまう。

 

「うっ、ぐあっ⁉︎ごふっ・・・」

 

5.56ミリ弾が腹部を中心に数発当たりかなりの衝撃が腹部を襲う。更に左足にも被弾して膝を突いてしまう。

 

「いてて・・・もぉ〜絶対痣が出来るじゃんこれ。でも、勝負あったね」

 

ボクが顔を上げた時には、ケミは銃口をボクの額に向けて勝ち誇った顔をしていた。少しでも爪痕を残そうとリボルバーを構えて反撃しようとした時、ケミが持っていた盾に高速で飛んで来た何かが当たり、ガギャン!と言う派手な音が鳴り響き、花火の様に火花が散った。ケミは「ごはっ⁉︎」と苦しそうな声を上げながら後ろによろめき、そのまま仰向けに倒れてしまう。

 

《本当、私が助けてあげないとダメなんだから》

 

一瞬何が起きた中分からなかったけど、無線機から聞こえて来た声で全てを悟った。心配したユイがこっちを狙える狙撃地点に移動して援護射撃してくれたみたいだ。

 

「サンキュー!」

 

まだ撃たれた箇所は痛むが、動かない程じゃない。立ち上がって倒れているケミに駆け寄ってリボルバーの銃口を頭に向ける。

 

「げほっ、ごほっ・・・・クッソ・・・っ!」

 

「タイマン勝負も良いけど、もっと仲間を頼った方が良いと思うよ」

 

至近距離から頭に残り7発全弾を撃ち込む。更にリロードしてからもう8発頭に撃ち込んで無力化した。ケミが意識を失ったのを確認してから彼女が持っていた盾を見る。普通のライフル弾でも再現できない様な大きな穴が空いていた。間違い無くユイが撃った23ミリ弾が当たって貫通した跡だ。ライフル弾も防ぐ彼女が使うバリステックシールドを貫通しても尚、彼女が痛みから動けなくなる程の威力を維持していたのは流石の威力だとしか言えない。

 

ケミが使っていた盾を拝借して身を守りつつボクの愛銃のserval-7式小銃を回収して、ナツキの元へ戻り状況を確認する。どうやらナツキは派手に撃ちまくって1人倒したらしい。残り2人もサブマシンガン対軽機関銃と言う火力の差に押されている状況だった。

 

「ありがとうね。ナツキが制圧してくれているお陰でこっちも全力でケミの相手を出来た」

 

「お礼なんて良いよ。こっちも沢山撃てて楽しかったし」

 

「あはは。それは良かったね。serval3の方も、援護ありがとう。助かった。・・・・・・・serval3?」

 

ユイの方にお礼を言ったが一向に返事が来ない。まさか⁉︎と思っているとアリナから通信が来た。

 

《serval3はserval1の援護の為に見つかるのも気にせずに動いて撃った結果、位置を悟られてやられちゃった。でも、serval3が囮になってくれたお陰で敵スナイパーの位置を特定したよ》

 

ボクには無茶するなって言っときながらボクを助ける為に無茶しちゃって。人のこと言えないじゃん。

 

「分かった。それじゃぁ準備ができ次第敵スナi」ドゴオォォォン‼︎

 

敵スナイパーを排除してと言い終わる前に森の他の方から打ち上げ花火が爆発した時の様な、腹に響く爆発音が森を震わせた。

 

《ごめんなさい。もうJDAM(誘導爆弾)落としちゃいました・・・》

 

「いや、良いよ。報告しなくて良いって言ったのはボクの方だし。それで、戦果の方は?」

 

《スナイパーさんには申し訳ないけど、500ポンド爆弾が直撃したから保健室行きは確定だね》

 

「了解。ありがとうね」

 

アリナとの通信を終える頃にはナツキとサブマシンガン待ちの残り1人との戦闘も収まっていた。どうやら、虎の子のケミちゃんとスナイパーが負けて、残存戦力の残り1人になったことでもう勝てないと判断して白旗を上げていた。

 

こうして約1時間に渡って行われた演習が終了した。




と言うことで小説でで登場した装備や武器の簡単な解説をします。

・MRゴーグル
リナが付けていたゴーグルですね。現実では米軍が複合現実統合視覚増強システム「IVAS」と言う名前で実用化に向けて研究中です。機能としては小説で書いた通りで、色んな機能をてんこ盛りにした凄いゴーグルです。気になる方は調べてみると面白いですよ。

・serval-7式小銃
リナが愛用しているアサルトライフルで、現実では米軍がM4カービンライフルの後継機として配備予定の新型ライフル。最新鋭の6.8ミリ弾は新型のボディーアーマーを遠距離からでも撃ち抜ける様にと開発された弾丸ですね。XM157射撃統制装置(多機能スコープ)と言う物を合わせて使うとその性能は更に向上し、作中でもやった様にMRゴーグルにスコープの映像を投影することも出来ます。

・serval-23式対物狙撃銃
ユイが使用している対物狙撃銃。現実ではイランが開発したバヘル対物狙撃銃と言う物で、対空機関砲で使用される23ミリ弾を使用する化け物ライフル。私の知る限りちゃんと量産された対物ライフルの中では最大口径の銃ですね。その重量は三脚込みで約64キロ!普通なら人1人で持ち運ぶことは絶対に無理な銃ですね。そしてこの銃、ネットに殆ど情報が落ちてない謎に包まれた銃としても有名です。自分も調べようとしたんですが本当に情報が無くてびっくりしました。

・serval-46式軽機関銃
ナツキが撃ちまくって途中で狙撃されてぶっ壊れた軽機関銃。現実では米軍が特殊部隊用にとM249軽機関銃を元に改良を施したMk46と言う名前の軽機関銃。個人的に見た目が好きな軽機関銃の一つですね。

・serval-51式B型軽機関銃
ナツキがserval-46式軽機関銃がぶっ壊れた後に予備として取り出した軽機関銃。現実ではHK51Bと言う名前で、この銃は軍や特殊部隊などが採用していない武器で、アメリカのガンスミスがG3バトルライフルを元にサブマシンガンレベルまで小型化した上、ベルト給弾しにの軽機関銃にしちゃったゲテモノ機関銃。現実だと使い難さの極みと言われていますね。

・serval-75式機関拳銃
ナツキが使用したサイドアーム。現実ではCZ75 FullAutoと言う名前で、Cz75を元に法執行機関用に改造して作られたフルオートモデル。でも結局どの法執行機関にも採用されずに終わった悲しき拳銃ですね。

・serval-8式回転式拳銃
リナが終盤で使ったサイドアーム。現実ではTRR8と言う名前で、アメリカのSWAT用に開発された近代のリボルバー。拡張性の高さと装弾数の多さが特徴。古き良き見た目も良いですが、こう言う近代化されは見た目のリボルバーも良いなと思います。

・21式短小銃
ケミちゃんが使用したショートカービン。現実ではACE21と言う名前の銃。時々海外の警察やPMCが持っているのをネットの画像で見ますね。盾持ちのキャラに持たせる銃で何が良いかなーと悩んだ結果コイツにしました。多分これ以降登場する事はないであろう銃です。

・ティルトローター式大型UCAV(無人攻撃機)「ビジちゃん」
アリナが使用した超大型ドローン。現実ではV-247と言う名前でアメリカ海兵隊に採用に向けて開発されている無人機。その見た目を分かりやすく説明するなら無人オスプレイ。色んなミッションに対応出来る高性能なやつで、今後もそれなりの頻度で登場予定なのでお楽しみに。

・武装型UGV(地上無人車両)「ミロみゃん」
あんまり活躍するシーンが無かったアリナが使用したUGV。現実ではUGV ミロシュと言う名前でセルビア軍で運用されています。ある程度の火力があって森の中でも使えそうな小柄なUGVを探してコイツを見つけたので登場させました。軽機関銃とグレネードランチャーを搭載しているのでなかなかの火力持ちです。今後も登場するかは微妙です。

・ランチャードローン「ヒヨちゃん」
リナ、ナツキが飛ばしてアリナが操作した偵察ドローン。現実ですとオーストラリアが開発したDrone40と言う名前のドローンになります。現実でも小説と同じ様にグレネードランチャーや投げたりして発進させることが出来ます。中身を変えることで偵察以外にも様々な任務に対応可能。今後も小隊を支えてくれる予定のドローンです。

・131型自爆ドローン
ケミちゃんチームが使用した自爆ドローンの一つ。現実ではイランが開発したシャハド131と言う名前のデルタ翼が特徴の飛行機型のドローンで、実際に戦争でも使用された記録のあるドローンですね。横幅が2.2メートルと皆んなのイメージするドローンよりも結構大きいです。作中ではナツキがグレネードランチャーで撃墜していましたが、現実ですとほぼ無理ですね。

以上。武器と装備の説明でした。

プロローグ2も同時投稿するので続けて読んで下さい。
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