前世の記憶を持つSRTの生徒が先生と頑張る話   作:MGFFM15

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と言うことでプロローグ1の続きです。


プロローグ2

ボク・・いや、私に俗に言う前世の記憶と言うものを思い出したのは中学3年生の後期頃だった。風邪なんて殆ど引いたことのなかったのに、その日は珍しく高熱と激しい頭痛に襲われた。そうして丸2日苦しんだ末に頭痛と共に突然やって来たのが前世の「僕」としての記憶。

 

突然性別も性格も住んでいた世界も違うもう1人の人間の記憶が蘇ったから当時は凄い驚いたし、どっちが本当の自分なのか分からなくなって混乱して数日間家に引きこもった。

 

そんな状態だった私を助けてくれたのは友達のユイだった。学校にも行かず家に引きこもって居た私を心配して、気分転換にとパンケーキが美味しいと話題のカフェに私を少し強引に連れて行った。

 

そして美味しいふわふわのパンケーキを食べながら、私はユイに相談することにした。と言っても、馬鹿正直に前世の記憶が蘇ったと言う訳にも行かなかったから、高熱の影響で二重人格みたいな症状が出てしまって、どっちが本当の自分か分からなくなったと話した。

 

突飛な話だったし、信じてもらえるか不安だったけどユイは私の話を真剣に聞いてくれた。そして、私が話し合えるとユイは優しく笑ってこう言った。

 

「別にどっちか選ばなくても良いんじゃない?私はアンタの言うもう1人の人格がどんな人なのかは知らないけど、どっちも私の大切な友達のリナである事には変わらないよ。それにほら、私って人と直ぐに仲良くなれるからそのもう1人の人格とも直ぐに仲良くなれるって」

 

ずっと自分は「私」と「僕」どっちかを選ばないとダメだと言う考えに囚われて悩んでいたから、ユイのその言葉にハッとさせられた。前世の「僕」の記憶も、ここキヴォトスで10年以上生きて来た「私」としての記憶も、どちらも捨て難い大切な記憶。別にどっちか片方を否定して捨てる必要も無いんだ。そう気付かされた。

 

それからは最初の頃みたいに私か僕、どっちとして生きて行くのかではなく、どっちも受け入れて生きて行くことにした。そうやって過ごして行く内に私と僕が自然に混ざり合って行った。

 

僕と私が混ざったことで色々と変化もあった。例えば一人称が僕の記憶に影響されて「私」から「ボク」になったり、僕は甘い物がそんなに好きじゃなかったんだけど私の影響で甘い物が好きになったり、元々私は長い髪の方が好みだったから伸ばしていたんだけど僕的には邪魔に思えて、でもせっかくここまで伸ばしたのを切るのは私的に嫌だったからポニーテールにして纏めるようになったり。

 

そんな感じで私と僕がごちゃ混ぜになって、今のボクと言う人格を形作った。

 

そんな中学時代から時が経ち現在。ボクは高校生になっていた。どこの学園に入学したかと言うと、聞いて驚くなかれその名もSRT特殊学園!馬鹿みたいに厳しい選抜試験をなんとか合格し入学することに成功した。本当、僕の頃でもこんなに必死になって勉強とかをしたことは無かったよ。

 

にしてもなんでSRT特殊学園に入学しようと思ったのか疑問に思うと思う。私の時なら入学しようとは全く考えもしなかった学園だしね。それはこれからこのキヴォトスで起きる色んな出来事に備える為。

 

と言うのも、前世の僕はブルーアーカイブと言う名前のゲームがとても大好きだった。そして驚くべきことに今ボクとして暮らしているここキヴォトスはそのブルーアーカイブの舞台になっていた場所だ。つまり、今ボクは前世でゲームだった世界に居ると言うこと。ある意味、転生なのかもしれない。

 

と言っても世界が同じだけでゲームと同じ歴史を絶対に辿ると言う確信も無かったんだけど、同じ歴史を辿るんじゃないのかって言う予感がしていた。

 

だから、これからキヴォトスで起きる色んな事件に備えて、自分も先生と一緒に少女達を助ける手助けをしたいと思った。ゲームの歴史通りなら先生がやって来て、色々ありながらも何とかハッピーエンドを掴んで見せてるからボクが何かしなくても大丈夫だと思う。でも、この世界がゲームのハッピーエンドルートじゃ無くてバッドエンドルートの可能性もあって、もしそうなら微力かもしれないけど頑張ってハッピーエンドのルートに修正したい。

 

それにハッピーエンドルートだったとしても私としての性格上困ってる人が居るのが分かっているのに知らん振りして自分だけ楽しい学園生活を送るのも嫌だった。それに、僕としてもブルアカの物語に自分も参加したいと言う欲望があった。

 

ならこれからどうするかと考えた結果、これから起きる色んな出来事に備えて自分を鍛え上げる必要があると思った。これから色んな出来事に首を突っ込むならある程度戦えないと付いて行けないと思ったから。

 

ならばどうすれば良いかなと考えた末に選んだのがSRT特殊学園。厳しい訓練で鍛え上げられた身体と最新鋭の武器や装備品を持ち、並の武装集団では絶対に太刀打ち出来ない程の戦闘能力を持つと言われているSRTなら丁度良いんじゃないかなと思った。それに僕の趣味として軍事関連が好きだったし。

 

そう決めてからは必死だった。先ずは入学出来ないと何も始まらない訳だから、僕の頃の高校や大学受験の時よりも必死に勉強した。その際にビックリしたのが、ボクを助けてくれたユイもSRT行くと言い始めたこと。

 

ボクの勝手な想像でトリニティに行くもんだと思っていたし、SRTなんて興味無いと思っていた。

 

なんでSRTに入ろうと思ったのかと本人に聞いてみると、「中学の頃はずっと同じクラスで仲良くやってたのに高校生になったら別の学園に行ってバラバラになるとか嫌じゃん。それに、ちょっとだけだけどSRTにも興味があったしね」と答えた。ボクとしては親友のユイが一緒に来てくれると言うのはとても嬉しいけど、「SRTじゃなくてトリニティに来なよ」とか言わずに自分がわざわざSRTに入学しようとするのは予想外だった。

 

そして、元々ユイは頭が良かったことと、普通の生徒よりも力持ちだったこともあってか無事にボクと一緒に選抜試験に合格した。ユイの頭の良さを舐めていた訳じゃないけど、まさかあの厳しい選抜試験を合格するなんてと驚いた。

 

とまぁ色々あって、ボクとユイはSRTの生徒になった。

 


 

そして現在。第3演習場での激しい戦闘演習を終えたボク達はある場所に来ていた。キツい野外演習が終わり、その後に特に追加の授業や訓練が無いとなると皆行く場所は同じ。野外演習で身体中に付いた汗や泥とかの汚れを洗い流せる浴場だ。制服を脱いで、頭と体を洗い流してから仲良く全員で浴槽に入る。

 

「ふぃ〜疲れた〜」

 

ユイの太ももの上に座ったボクはそう言って背伸びをする。何で自然な流れでボクはユイの膝の上に座っているのかと言うと、まだ自分がボクじゃなくて私だった中学の頃から休み時間とかにはユイの膝の上に座ったりしていて、それが今も続いている感じ。ユイの良い感じの太さの太ももと背もたれにしている巨乳が良い感じの柔らかさで座り心地が良いんだよね。

 

それに、ボクは悲しいことに身長と胸の大きさが小隊の中で1番小さい。だから逆に小隊内で1番身長と胸が大きいユイにボクが座ると良い感じのサイズ感でフィットするって言う理由もある。ユイは何をどうしたらあんなに大きく育ってるのな気になるけど、本人は特に何もしていないと言う。解せぬ。

 

胸の大きさはまだしも、身長が小隊内で1番小さいって言うのは小隊長としての威厳にも関わる問題だからどうにかしたいと考えている。小さくて可愛いと言われることもあるアリナでさえ身長は152センチだから148センチのボクよりも高い。因みにユイは173センチもある。

 

そんな状況だから、SERVAL小隊を初めて見た人達はだいたい身長の高いユイが隊長なのかと勘違いされることがしばしばある。

 

「援護射撃ありがとうね。怪我は大丈夫?」

 

ボクは顔を上に向けて、ユイにお礼を言う。あの時ユイが援護射撃してくれなかったら確実に負けていた。本当に良いタイミングで狙撃してくれた。

 

「まぁまだちょっと痛むけど大丈夫」

 

ボクを援護する為に発砲した結果ユイは敵スナイパーに位置を悟られて頭に12.7ミリ弾を食らった。弾が当たった所には痣が出来ていた。

 

「怪我の心配するなら500ポンド爆弾で吹っ飛ばされたこっちのスナイパーの方を心配して欲しいけどね」

 

突然聞こえて来たSERVAL小隊隊員以外の声に反応して後ろにある更衣室の方を見てみると、さっきの演習で戦っていたケミが率いる小隊員が居た。今回お互いに戦ったけど、別にケミ達とは仲が悪いって訳じゃないから小隊員同士気さくに挨拶をし合う。そして体を洗い始めたケミにボクは話しかける。

 

「その噂のスナイパーの姿が見えないけど保健室?」

 

まぁ500ポンド爆弾の直撃を食らったんだから軽傷だった方が驚くけどね。

 

「お陰様で体のあちこちに包帯巻いた状態で気を失ってる」

 

と言いながらケミはこっちの方を見て来たからボクは「ごめんて」とか片手を上げて謝る。

 

「ごめなさい。今度何かお詫びの品を持って行きますね」

 

UCAV(無人攻撃機)を操縦して500ポンド爆弾を当てた本人であるアリナも謝った。

 

「お詫びの品までくれなくて良いから。そこまでされると何か私が無理矢理謝らせた嫌な奴みたいになるし」

 

「まぁお互いある程度怪我をするのは覚悟の上での実戦形式の演習だった訳だし、恨み合うのも謝り合うのも無し!お互いの健闘を讃え合う位が丁度いいよ」

 

ユイがそう言うと全員が「確かに」とか「そうだね」などと同意して、それからは今回の戦いを通してお互いに良かったところ、反省すべき所を話し合った。

 

「そう言えばアリナは良くこっちのスナイパーを見つけたよね。UAVで上空から監視していたとは言え木が邪魔でそんなに視界も良くなかった筈だけど」

 

「ユイちゃんが撃たれた方向から300メートル範囲内に居ると想定して後はサーマルで。でも木が邪魔で探すのには苦労しました」

 

話を聞いた結果、どう頑張ってもあの森の中では長距離狙撃は木が邪魔で出来ないから長く見積もって300メートルだとスナイパーのユイが考えて、それを元にアリナが探したらしい。でも、高性能なサーマルカメラがあったとは言え木で視界が遮られる森の中に潜んでいるスナイパー1人を探し出すのは結構難しい。見つけ出せたのは本当に凄い。

 

「本当凄いね。ウチにもアリナちゃんみたいな優秀なドローンを使った索敵係が居ればなぁ」

 

髪と身体と洗い終えてボク達と一緒に浴槽に浸かっていたケミがそうボヤく。

 

「確かにアリナちゃんは無人機を違った任務では超活躍するけど、射撃とかCQC(近接格闘術)はダメダメなんだよねぇ」

 

ナツキの言う通り、アリナは無人機を対象使う技術は卓越しているけど、天は二物を与えずと言うことなのか射撃や格闘は本当にダメで、普通ならSRTどころかそこら辺の不良生徒でもちゃんと当てられる近距離でも何発か外してしまったり、格闘も純粋に弱くて格闘訓練の時アリナは可哀想になるくらい相手にボコボコにされている。だからアリナが銃をもって前線で戦うことは全く無い。だから基本的にボクとユイとナツキの3人で戦うことになるんだけどユイはスナイパーだから今回の演習みたいに別行動することもある。となるとボクとナツキの2人っきりになるから人手が欲しい時に困ることもある。

 

アリナもその事は分かっているから自分が直接戦えない分、多種多様なUGV(無人地上車両)UAV(無人航空機)を使って戦ってくれている。そのお陰で助かっている場面も今回みたいに何度もあるからアリナの努力には感謝しかない。

 

「でも、それ以上にアリナの動かすドローンのお陰で助かる場面の方が多いけどね。本当、アリナが居てくれて良かった〜って思う時が何度あったことか」

 

「えへへ・・そう言ってもらえると嬉しいです」

 

アリナはそう言って少し照れ臭そうに微笑んだ。

 

「そう言えばそっちはいつの間にあんな自爆ドローンを使う様になったの?前まで使ってなかったよね?」

 

今回戦っている時にケミ達の小隊が飛ばして来た中型の自爆ドローン。前はあんな物使ってなかったのに。

 

「少し前から実験的に導入して使ってみてるんだよね。でも使い方が難しくてね。思った様に戦果は出せてないのが現状かな。でも、まさかグレネードランチャーで撃ち落とされるとは思ってなかったけど」

 

「あれは自分もあんなに上手く行くとは思って無かったよ」

 

「ボクも」

 

「ケミさんみたいな近距離で主に戦う小隊なら今回使った様な長距離攻撃用の中型自爆ドローンじゃなくて、もっと小型のドローンを使った方が使い勝手が良いと思います。種類によっては完全自立飛行で飛んで、敵を見つけたら攻撃を仕掛けるのとかもあるし、無理に自爆ドローンみたいな攻撃ドローンを使わなくても、例えば小型の偵察ドローンを使って敵の位置を把握して、ドローンの情報を元に死角から接近して戦ったりしたりするのとかケミさんの戦闘スタイルにも合っているんじゃないんですかね」

 

「成る程ね〜流石アリナちゃん。詳しいね」

 

「あはは・・これ位しか取り柄が無いんですけどね・・・」

 

「何かに特化しているのはそれはそれで良いことだと思うけど」

 

「そうそう。そんなに卑下する事はないよ」

 

アリナは自分がドローン関連以外で活躍出来ていないことをずっと気にしている。ボクとしては別に気にしてないし、と言うか寧ろ色々と助けてもらっているから感謝しているくらいだ。

 

「今度ドローンを新調する時はアリナちゃんに聞くことにするから、その時は宜しく」

 

「はい。喜んで」

 

「アリナちゃん、わざと性能の低いやつ選んでやれ」

 

「うるさい機関銃狂い。今日も今日とて滅茶苦茶撃ちまくりやがって」

 

「そっちこそ、アンタのスナイパーのせいで機関銃ぶっ壊れちゃったんだからな。べんしょーしろー!」

 

「いや私は悪くは無いでしょ。それにどうせ明日には新しい機関銃を持ってくるんでしょ?」

 

「沢山あるからって壊して良い訳じゃ無いんだぞ。それにアレはお気に入りの一つだったんだからな」

 

「壊したくないなら金庫にでも入れて大切に保管しといた方が良いと思うよ。でもまぁ壊しちゃったのは悪いと思ってるから金額によるけど払ってあげるよ」

 

「え、マジで払ってくれるの?」

 

「ケミ、別に払わなくて良いよ。コイツ金は結構持ってるから1週間以内には同じやつ買ってくるから」

 

「ま、そう言うことだから金がなくなった時に頼むわ」

 

「それは話が違うから断る」

 

「え〜?買ってよ〜」

 

駄々をこねる子供がする様に手足をジタバタと動かして水面を叩き、水飛沫が上がる。すかさずユイが「暴れるな!」と言って頭に拳骨を食らわせて黙らせた。

 

「そう言えば、あの噂聞いた?」

 

顔に飛んで来た水飛沫を拭き取りながらケミが話を振って来たけど、何の噂なのかボクは直ぐには分からなかった。

 

「どの噂?」

 

「SRT解体が現実味を帯びて来たって話」

 

「あ〜ね」

 

話忘れていたけど、既にキヴォトスから連邦生徒会長が失踪している。予想通りと言うべきか予感が当たったと言うべきか。この世界は僕の知っているブルーアーカイブと言うゲームの歴史と同じ歴史を歩んでいることが確定した。後はこの世界がバットエンドルートかハッピーエンドルートなのか。

 

まぁそれはともかく、ゲームの歴史通り突如として連邦生徒会長が失踪したことによりキヴォトスは混乱状態になった。今は前よりは落ち着きを取り戻しているけど、連邦生徒会長が居た時と比べるとまだ混沌としている。

 

そして、連邦生徒会長が居なくなったことでここSRT特殊学園も厳しい立場に立たされた。連邦生徒会長直属の学園であるSRTは連邦生徒会長が居なくなったことにより、SRTに命令し、そしてその活動に対して責任を負う存在が居なくなり何も出来ない状態が続いている。

 

あらゆる自治区への介入を前提に設立されたこの特殊学園の戦闘行動の責任を連邦生徒会長の代わりに取ろうとする人がいる訳も無く、結局今もSRTは責任者不在のまま。

 

そうなってくると、このまま連邦生徒会長が戻って来なかったらSRT特殊学園は解体されてしまうんじゃないかと皆考え始める。そうして今、SRTが解体されると言う噂話は学園中に広まっている。

 

「聞いた話だと今度配備される予定だった新型汎用輸送ヘリの配備計画が白紙になったらしいよ。それに、整備科の友達が言ってたけど武器や乗り物の予備部品とかの供給数も少なくなって来ているみたいだし」

 

新型ヘリの配備計画が中止になった。ボクが聞いていた話だとこの新型ヘリは特に問題も無く高性能な機体だと聞いていたし、配備計画も順調に進んでいた筈。なのに中止になったと言う事は配備する意味が無くなったからとも考えられる。

 

それに武器や乗り物の予備部品の供給量が少なくなって来ているということは、つまり今SRT特殊学園は閉鎖に向けて色々と準備を進めている可能性があるってこと。

 

「まぁ上の連中(連邦生徒会)は金ばっかりかかるSRTなんて早く潰したいだろうしね〜」

 

そうユイは語尾を伸ばしながら言った。確かにこの学園はかなりの額の金が掛かっている。SRTの生徒が持っている武器や装備は基本的に最新鋭の物だったり、最新じゃ無くても高性能な物になっている。弾薬一つにしても金が掛かったりしていて、例えばボクの使っているserval-7式小銃の使用する弾薬、6.8×51mm弾なんてそこら辺のコンビニで買える様な物じゃない。

 

最大で約552MPaもの戦車砲並みの凄まじい圧力を発生させる弾薬で、その圧力を使って高火力を実現させている。そんな弾薬だから戦車砲並みの圧力に耐えられる銃しか使用出来ないからそんなに出回っていなくて、1発当たりの費用も普通の弾薬と比べて下手すると倍の値段になることもある。ユイが使っているserval-23式対物狙撃銃の使用弾薬23×152ミリ弾も似た様な感じで高い。そんな高級弾薬達もSRTなら湯水の如く使える。

 

個人が使う武器や装備だけじゃ無くてアリナが使っている様な最新鋭の無人機や各種乗り物、武器や装備以外にも大規模な演習場などの施設関連などなど。有りと有らゆる物にかなりの金を掛けている。

 

まぁそうやって金を掛けてくれているお陰で充実した設備を使って、SRTに必要な高いレベルの戦闘技術を身に付けることが出来ている。

 

とまぁ兎に角ウチの学校には莫大な金が使われている。そして、その資金の大部分は連邦生徒会が出している。今までは連邦生徒会長の命令と権限の下に活動してFOX小隊を筆頭にちゃんとした成果を出していたから良かったものの、今は連邦生徒会長も居ないから事件が起きても出撃出来ず、ただ訓練をするだけの組織になっている。

 

そんな莫大な金を使うだけで何もしない組織なんて連邦生徒会からすればさっさと無くしてその分のお金を他のことに使いたいと思っている人達が多いだろう。

 

後は、トップが不在になって制御不能となったボク達を危険視している連中も僕の記憶通りならいるみたいだし。

 

「もしこのままSRTが無くなったらどうなるんだろうね」

 

と仰向けになりながらケミが呟き、全員が考え込む。ここに居る人達は違いはあれど、全員正義を信じて、又はその力に憧れて厳しい選抜試験を合格してSRTに入学した人達だ。それにそれなりに長い間ここで大切な仲間と苦楽を共に過ごした。そう簡単に捨てられる場所でも無い。

 

「まぁそれぞれが希望する学園に転校することになるか、はたまた防衛室傘下のヴァルキューレに行くことになったりしたりするんじゃ?」

 

と言ったけど実際はみんなヴァルキューレに編入することになるんだけどね。

 

「ヴァルキューレかぁあそこあんまり良い評価聞かないよね」

 

「機関銃も撃てないし」

 

ユイとナツキはヴァルキューレに編入するのはそこまで乗り気では無いみたい。

 

「今ヴァルキューレは弾丸を補充するのも困るくらいお金が無いらしいからナツキちゃんには合わないかもしれないですね」

 

アリナが揶揄う様にして言った。ナツキの使う機関銃はボクやユイが使う様な高価な弾じゃないけど、戦闘の度に400発とか平気で消費するから合計金額がとんでもないことになるんだよね。

 

「自分1人でヴァルキューレの財政を破綻させれる自信があるよ」

 

とナツキが自信満々に言って全員が笑った。

 

「リナはもし転校することになったら何処に行きたい?」

 

ユイの質問にボクは顎に手を当てて考える。ゲヘナ・・は治安が終わり過ぎているからちょっと無理そう。ミレニアムは平和だしゲーム開発部とかの可愛い生徒達も居るけど理系はちょっと苦手だし・・・。

 

「そうだね〜トリニティで平和に暮らそうかな?」

 

「え〜?小隊長が平和な学園生活を送れるとは思えないけどなぁ〜」

 

「それってどう言う意味?」

 

ナツキはボクが平和に学園生活を送れないと思ってるの?それは心外だよ。別にナツキみたいに暴れる様な性格じゃないし、今の生活も悪くは無いけど、普通の学園生活も送ってみたいとちょっと思ってるし。

 

「あーそれは分かる」

 

「え、ユイもボクが平和に暮らす事は出来ないと思ってるの?ボクって皆んなからそんな暴れん坊みたいに思われているの?」

 

「別にそう言う訳じゃないけどさ、リナって困っている人とか見つけたら放っておかないタイプじゃん。だから色んな厄介ごとに首を突っ込んで何やかんやで揉め事に巻き込まれに行きそうだなって」

 

「あー・・・まぁ確かにそうならないっては言えないかも」

 

そんな事にはならないよとは完全に否定出来ない。昔からの私の性格で困っている人を見つけたら放って置けないし、そのせいで喧嘩に発展しちゃってユイに心配させたことも何度もあるし。

 

「前の休みの日も散歩してくるーって言って外出したかと思ったら、ヘルメット団に襲われていた市民を助ける為に1人で何十人も相手にしてボロボロになって帰って来たこともあったな」

 

「あの時はビックリしたね」

 

「ほんっと、昔っから無茶ばっかりするんだから」

 

「申し訳ない・・・」

 

後先考えずにその場の直感で動いてしまう時があるのが自分の悪いところの一つだとは分かっているんだけどなぁ。

 

「結局、現状私達じゃSRTの今後の方針なんて決めれないから大人しく訓練しとくしか無いかな。結局私達は上から命令されたことを実行する部隊でしかないからね。さてっと、それじゃぁ私達は上がるから」

 

「了解。ボク達の方ももう上がるよ」

 

何だかんだで会話が弾んで長風呂になっちゃった。風呂から上がって着替えたボク達は、今日はもうこれ以上演習や授業がなくて暇だから取り敢えず宿舎に向かうことにした。

 

その途中、廊下を歩いていると見覚えのある2人組が歩いて来た。向こうもこっちに気づいている様で手を振りながら来た。

 

「よ、久しぶり」

 

「おひさ〜。シャンプーのええ匂いするってことは、演習終わったん?」

 

ボクが話しかけると黒い半袖のシャツを着て、頭の上にサングラスを掛けた茶葉のポニーテールの髪が特徴の少女が答えた。彼女の名前は東雲(しののめ)ウミセ。第16特殊作戦航空科に所属している生徒だ。そして聞いて分かる通りバリバリの方言女子だ。第16特殊作戦航空科と言うのは小隊員の輸送や攻撃支援などが主任務のエリートヘリコプター部隊。ウミセはスーパーハインドMkVI攻撃ヘリのパイロットをやっている。

 

「そう。そっちは飛行訓練帰り?」

 

「そうだよ」

 

ウミセの隣にいたボブカットの少女が答えた。彼女の名前は東雲アヤ。苗字が同じだから察している人もいると思うけど双子の姉妹だ。ウミセの方が姉でアヤの方が妹。アヤはウミセが操縦するスーパーハインドのガンナーを担当している。アヤの方は方言はクラスで浮くからってことでウミセと2人っきりの時以外は方言では喋らない様にしているらしい。

 

「こっちは最近、部隊輸送の訓練ばっかで、めっちゃつまらんねん。もっとロケット弾とかAGM(空対地ミサイル)とかバンバン撃ちまくりたいんやけど」

 

「私も隊員を下ろしたり回収する際の周囲警戒ばっかりで機関砲とかを撃つ機会も少なくて」

 

「せやから、今度合同演習とかあるときは呼んでや。めっちゃ派手に火力支援したるからな!」

 

「そうだね。なんだかんだで最近一緒に訓練することが無かったし今度一緒にやろっか」

 

「ほんま⁉︎やった!絶対やろっ!」

 

ボクの発言に目を輝かせたウミセはボクの手を取ってなん度もやろう!と言って来た。どうやら派手に暴れたい欲が結構溜まっているみたいだ。

 

「そう言えば前にどっかの小隊と喧嘩したって聞いたけど」

 

ボクはそんな事件があった事は知らなかったけど、ナツキは知ってたみたいで2人に聞いた。すると苦笑いするウミセに変わってアヤが直ぐにその事件のことについて話し始めた。

 

「あれはスーパーハインドを雑魚だって陰口で言ってた奴がいて、お姉ちゃんがたまたまそれを聞いちゃってムカついて思わず撃っちゃったんだ」

 

特殊作戦航空科はさっきも説明した通りヘリコプターを使った任務に特化させた部隊。だから通常の授業などに加えて専門の授業や訓練があり、そのお陰でそこら辺のヘリコプターパイロットなんかよりも卓越した操縦技術や戦闘技術をもった隊員が沢山いる。ウミセとアヤもその1人。

 

でも、昨今のやろうと思えばタブレット一つで操作出来てしまう程発達して来た遠隔操縦技術や、高性能な無人機達の登場などによって特殊作戦航空科の存在意義が問われる様になって来た。

 

今まで特殊作戦航空科が担当していた任務の内、人員輸送以外は全て無人機で対応可能だし、人員輸送も遠隔操縦のヘリコプターなどで事足りるんじゃ?と考えられる様になっていた。

 

でも厳しい訓練を受けて来て鍛えられた特殊作戦航空科のパイロット達は、ある程度の訓練を受けて遠隔操縦で飛ばすヘリなんかよりも上手く飛ばして人員や物資を速達出来るとして、今ではウミセとアヤが言っていた様に人員輸送に重きを置いた訓練が増えつつあるらしい。

 

そして、東雲姉妹が乗っているスーパーハインドMkVIと言うヘリは少し前までの特殊作戦航空科のヘリの運用思想に合わせて開発、改良されたヘリコプター。輸送ヘリと攻撃ヘリの良いとこ取りをしたヘリコプターで、SRTの小隊員を輸送して下ろした後、搭載した武装で小隊員の火力支援も行える様にと考えられていたヘリな訳だけど、単純な輸送能力を求められ始めた昨今だと単純な輸送ヘリよりは輸送能力に劣るスーパーハインドは時代遅れのヘリだと考えてる人も居る。

 

「あれに関しては、別にウチは悪ないと思うねんけどな!」

 

まだ怒っているのか、ウミセは腕を組みながら語尾を荒げながら言った。それにアヤが「お姉ちゃん落ち着いて」と言って宥める。まぁ気持ちは分からないこともない。彼女達にとってはこの学園の生活を共に過ごして来た大切な仲間みたいな存在のヘリの陰口を言われたんだから怒るのも仕方ないと思う。

 

「そう言えば新型汎用輸送ヘリの配備計画が中止になったってね」

 

「せやねん。それなりの金と時間かけとったみたいやのに中止になったってことは、いよいよ本気でSRT閉鎖させようとしとんのかもな。せやけど、お陰でスーパーハインドが退役せんくてのうかったから、ウチらからしたら嬉しいことやねんけどな!」

 

「あぁそっか。新型汎用ヘリが来たらスーパーハインドと入れ替える予定だったんだっけ?」

 

「スーパーハインドを全機退役させて後継機に新型汎用輸送ヘリを導入する予定だったの。この話を初めて聞いた時のお姉ちゃん大変だったんだから」

 

「せやけどまぁ、その話ものうなってほっと一安心やな!」

 

「その代わりに学園自体が無くなる可能性が出て来たから、どっちにしろこのままだと私達はスーパーハインドには乗れなくなれそうだけどね」

 

「そん時はヘリジャックして逃げるで!」

 

「お姉ちゃんだけやってよ。私はそんな破茶滅茶なことはする気無いから」

 

「そんなひゃっこいこと言わんといてや〜」

 

と言いながらウミセはアヤにしなだれ、アヤは「もう、くっつかないでよ!」と言って引き剥がそうとする。相変わらず仲が良さそうで何より。

 

「まぁ今度演習とかで出番がありそうだったら呼ぶよ」

 

「いつでも呼んでや! 敵チーム壊滅させたるからな!」

 

「次は無理な高機動でメインローターで尾部を叩かない様にしてよね。戦闘した後は大体無茶させ過ぎだって整備科の人達から怒られるんだから」

 

「分かっとるって!」

 

仲良く会話する東雲姉妹と分かれてから皆んなで宿舎に戻った。宿舎はごく普通の学生寮みたいな感じで、一部屋に2人が暮らしている。ボクの部屋の場合アリナと一緒だ。

 

そして、ボクは皆んなに話したいことがあったからボクの部屋に集まってもらって、部屋の真ん中に置かれてある丸机を囲む様にして座った。机がそんなに大きく無いやつだからちょっと窮屈だけどそれは仕方ない。

 

「んで?自分達を集めた理由は?」

 

胡座をかいたナツキが皆を代表して聞いて来た。

 

「皆んなシャーレの先生って知ってる?」

 

「あーなんかそんな人が最近来たって話は聞いたな」

 

「全然知らない。アリナは知ってる?」

 

「シャーレって言うか名前のアカウントが「いつでもどんなことでも、気軽に話しかけてください」って言うか投稿をしてたのは見たけどそれかな?」

 

と言ってアリナは自分のスマホを操作してシャーレの公式アカウントを皆んなに見せる。連邦捜査部シャーレ。そしてそこにいる「先生」。生徒達と色んな事件を解決して助けて行く重要な存在。ゲームの時系列だと連邦生徒会長が失踪してから暫くしてからやって来る。そして、この世界でもその先生はやって来ている。少し前に連邦生徒会がシャーレと言う新しい部活を設立したと言う話を聞いて、いよいよゲーム本編の話に入ったのか〜と思った。

 

「それだね。ざっと調べてみた感じ連邦生徒会が設立した超法規的機関みたいなんだけど、ボクはそのシャーレの顧問の先生に会って話をしたいと思ってるんだよね」

 

「何で会いたいって思ってるの?って言うか会いに行くだけならリナ1人で行けば良いんじゃ?」

 

まぁ当然そう聞かれるよね。でも、流石に前世の記憶があって云々と言った内容を話す訳にはいかないからそれっぽいことを話す。

 

「さっきも話題に上がったけど今ウチの学園は連邦生徒会が居なくなったことで閉鎖の危機に陥ってる」

 

「って言うかこのままの感じだと閉鎖だろうな」

 

「んで、さっきはトリニティにでも行くなんて言ったけど、ボクとしてはSRTは無くなって欲しく無い。それは皆んなも同じ気持ちだと思うんだけど、その問題を解決してくれるかもしれないのがこのシャーレだと思うんだよ。聞いた話によるとどの学園の自治区にもフリーパスで出入り出来るし、そこでの戦闘行動も可能。先生が希望する生徒を学園やら所属やら関係無くシャーレの部員として加入させることも出来る。まぁつまり何でも出来ちゃう文字通りの超法規的機関。だからそんなシャーレに所属している先生ならもしかしたらSRTの閉鎖を阻止出来るかもしれない。だから今の内にシャーレに恩を売るなりしといてボク達に貸しを作っといていざとなれば助けてもらおうかなって考えているんだよね」

 

「成る程?それでどうするつもりなの?」

 

「アリナが見せたシャーレの公式アカウントの投稿に書いてあるんだけど、どうもこのシャーレの先生は困っている生徒を積極的に助けて行くつもりみたいなんだけど、そうやって人助けをしていたら絶対に何処かで面倒事とかに巻き込まれると思うんだよね」

 

「流石、いつも面倒事に巻き込まれる経験者は語るね」

 

ユイが茶化してくるのを「うるさい」と言って軽くあしらってから話を続ける。

 

「しかも今のシャーレは先生しか居ない。多分いざ戦闘になったら好きに生徒を加入させることが出来る力を利用して現地の生徒を味方に付けて戦ったりするんだろうけど、だからと言っても限界はある。そう言う先生が困っている時にボク達SERVAL小隊が助けたりして恩を売っておきたいなって」

 

この話は全部嘘って言うわけでも無い。このままSRTが無くならないことになればそれはそれで嬉しい。ボクだってこの学園がこのまま無くなって欲しいとは思っていないからね。

 

「いつもは真面目ちゃんなリナ小隊長がそんな悪巧みをしているんなんてねぇ〜」

 

「それで、どうかな?別に嫌なら断ってもらって全然良いんだけど・・・・皆んなこの悪巧みに付き合って貰える?」

 

最初の頃はボク1人でやろうとも考えていたけど、SRTでSERVAL小隊の皆んなと暮らして行く内に皆んなは掛け替えのない大切な仲間になっていた。そして、皆んなと一緒にやりたいと思う様になった。だから今こうして皆んなに聞いてみることにした。でももし断られてしまったら悲しいな。

 

「どうせ私の助けが必要になるだろうし、良いよ。いつも通り付き合うよ」

 

悩むそぶりも見せずに直ぐにそう答えてくれたのはユイだった。中学からずっと一緒で、SRTに入ってからはわざわざボクが小隊長を務めるSERVAL小隊に入って一緒に戦ってくれている。ボクを支えてくれている心強い存在。ユイには本当に感謝しても仕切れないや。

 

マシンガンナー(機関銃手)はお祭り好きでね。そんな面白そうなこと断る理由なんて無いよ」

 

ニヒッと笑ってナツキも答えてくれた。彼女とは1番一緒に戦うことが多いこともあって何だかんだで仲良くやれてると思ってる。だからこうして付いて来てくれるのは嬉しい。

 

「私は大切な小隊の皆んなと一緒に戦いたい。だから私もついて行く。それに私のアシストが必要でしょ?」

 

アリナも付いて来てくれると言って来てくれた。彼女の言う通りアリナの無人機によるアシストはとても頼りになる。偵察、物資の輸送、支援攻撃などなど。うちの小隊には無くてはならない存在だ。

 

「皆んな・・・本当にありがとう。全員付いて来てくれるのは本当に嬉しい。心強いよ」

 

ボクが感謝の言葉を送ると、ナツキが「小隊長について行くよ」と言うと皆んなはそれを肯定するように笑った。ボクが皆んなから信頼されているんだと実感出来て、とても嬉しくてちょっと泣きそうになる。

 

「それで?これからどう行動するの?」

 

その質問が来るのは分かっていたから、事前に考えていたことを説明し始める。ボクはスマホの地図アプリを起動させて目的地を表示して、皆んなに見える様に机の中央にスマホを置く。そこに表示されているのは砂漠に埋もれ行く学園。

 

「アビドスに行くよ!」




誤字脱字があるかも知れませんのでその時で教えてもらえると幸いです。

と言うことで今回小説内で登場した兵器と組織の簡単な説明をしますね。

・第16特殊作戦航空科
東雲姉妹が所属している部隊で、私が勝手に登場させちゃったブルアカ本編で登場しない架空の組織ですね。元ネタは名前から直ぐに分かった人もいるかもですがアメリカの第160特殊作戦航空連隊「ナイトストーカーズ」。簡単に説明すると特殊部隊を輸送する為の特殊部隊ですね。SRTならこう言う部隊があってもおかしくは無いんじゃ?と思って登場させちゃいました。後悔はない。

・スーパーハインドMkVI
東雲姉妹が乗る攻撃ヘリ。元ネタは有名なハインド攻撃ヘリを南アフリカが魔改造したスーパーハインドと言う物。現実ですとMkIVが運用されており、MkVは開発計画が中断されて実用化されることはありませんでした。SRTが使うなら兵士も乗せれて、攻撃ヘリとしても使えるこのヘリはちょうど良いかもなと思って登場させました。それに、凶悪な見た目に真っ黒な塗装と言うスーパーハインドの見た目がめちゃくちゃ好きなので登場させたかったと言う願望もありました。

と言う事で解説は以上です。

感想などお待ちしております!

次回からアビドス編が始まります。お楽しみに!
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