前世の記憶を持つSRTの生徒が先生と頑張る話 作:MGFFM15
第1話 アビドス砂漠と騒動
時々倒壊した建物が埋もれている砂漠のど真ん中を一台のL-ATVが砂埃を上げながら疾走する。整地されていない砂の上をそれなりの速度で走っているせいで時ガタガタと跳ねる車内にボク達SERVAL小隊は乗っていた。
「ちょっと、もう少し速度落として運転してよ!」
助手席に座っていたユイがボクの運転に苦言を呈する。こう言う場所で走る機会はないから調子に乗って70キロ程の速度で走らせていたんだけど、流石にもうちょっと速度を落とした方が良いかな。アクセルを緩めながらボクは謝る。
「ごめんごめん。こう言う場所を走る機会ってなかなか無いからテンション上がっちゃって」
「落とさなくて良いよ。ユイちゃんの無駄にデカいおっぱいが揺れまくってて見てて面白いから」
後部座席から頭を出して来たナツキがニヤニヤしながら言って来た。確かに車が大きく揺れる度にユイの大きな胸がポヨンポヨンと揺れているけど、わざとボクは指摘しなかったのにナツキに言われちゃうとは。すると、ユイは「このエロガキが」と言ってナツキの頭に拳骨を食らわせた。
「いってぇ〜メスゴリラが。もうちょっと手加減しろよ」
「もっと力を入れてやろっか?」
握り拳を作りながらニッコリと笑うユイにナツキは「いえ、結構です」と言って後部座席に座り直した。
「と言うかアンタだって立派なもんを持ってるでしょ」
「自分のおっぱい見ても楽しくないって」
ユイが小隊内で1番胸と身長が大きいと言う話は前にもしたけど、2番目に身長と胸が大きいのはナツキだ。特に胸に関してはユイ程は大きくないとは言え、十分に巨乳と言えるレベルの大きさだ。
「それにユイちゃんの胸の方がデッカくて良く揺れるかr「殴るよ」はい。すいません」
ユイの拳骨は普通に痛い。ボクも昔に何度か心配させた罰とか無茶した罰と言って拳骨を食らったことがあるから分かる。
「って言うかさ、かれこれ2時間は砂漠を走り回っているけど人が住んでいそうな建物も見当たらないだけどどうなってんの?」
ナツキが頬杖をついて窓から外の景色を見ながらボヤく。今朝早く学校を出てアビドスに向かい、途中までは人通りは少ないけどちゃんと整備された道路を走っていた筈なのに徐々に道は消えて行き、砂漠が目立つ様になった。そして気がつくと今の様な砂漠のど真ん中を走っていた。
前世の僕の時の記憶と、シャーレの公式アカウントの投稿から今先生がアビドスに来ているのは確実だった。だからボクは皆んなにアビドスに行こうと言った時にはアビドスの最新の地図を手に入れていた。
筈だったんだけど、実際に来てみると最新である筈の地図と実際のアビドスでは、街やそこにある筈の建物などが砂に埋もれていたりして目印になる様な物が無く、地図と現実とで景色が違い過ぎて使い物にならない。だから現在何処を走っているのかも分からない状態になっている。そして結局第1話の先生と同じく遭難していた。いや、正確に言うと遭難しかけている。
先生の場合は何日も彷徨った挙句、力尽きて倒れてしまっているけどボク達はまだ迷ってから数時間しか経っていないからね。
携帯の地図アプリを使おうともしたけど、なんと電波が来ておらず圏外。運が良ければギリギリ一本電波が立つか立たないかのレベル。なので地図アプリも使えない。
「アリナ、
バックミラーで後部座席に座って、揺れる車内でパソコンを操作しているアリナを一瞬見て聞いてみる。
「何も。同じ様な景色が続いてますね・・」
ランチャードローン4機を飛ばして周辺の偵察もさせているけど特に成果は無い様で、思わずため息を吐いてしまう。
「もう少し探索範囲を広げみて」
「了解」
「にしてもこんな揺れる車内でよくドローンの操作なんて出来るな」
ナツキが感心した様に言いながらアリナが操作するパソコンの画面を覗き込む。
「別に今は大したことはしてないですよ。今ヒヨちゃんは自立飛行で飛んでいるからこっちは捜索範囲とかを設定するだけですし」
「成る程ねぇ。にしても、本当に砂漠しかないなアビドス」
ヒヨちゃんから送られて来る映像を見たナツキが呆れた様に言う。ボクはその映像を見れないけど、まぁどうせ今運転席から見ている景色と変わらないんだろうな。
「昔はキヴォトスで1番大きな学園自治区を持っていたアビドスの自治区の半分以上は砂漠化しているらしいから」
「そりゃ砂しかない訳だよ」
アリナの話を聞いてダメだこりゃと言う感じでナツキは天を仰ぐ。話には聞いていたけどこれ程とは正直言って舐めていた。そりゃ先生も遭難する訳だよ。寧ろ死なずに済んだのが超幸運だと言えるかも知れない。
「って言うかリナは休憩しなくて大丈夫?1時間近く運転してるけど。交代しようか?」
ユイが心配してくれたけど、まだ全然疲れていない。伊達にSRTをやっている訳じゃない。日々厳しい訓練を受けているからこの位で根を上げる程ボクだって柔じゃない。
「大丈夫だよ。まだまだ行ける」
でも疲れては居ないけど、何処まで進んでも変わり映えのしない景色には流石に飽きて来た。
「その先生って言う人もこんな所に何をしに来ているのかねぇ」
「さぁね。まぁ連邦捜査部って言う位だし何かを捜査してたりするのかも?」
「こんな砂漠しかない所に何を調査するんだか」
ユイとナツキが喋っていると、ヒヨちゃんから送られて来る映像を確認していたアリナの眉が動いた。
「ん?・・西側を偵察していた
「「車列?」」
アリナの報告にボクとナツキが同時に聞き返す。こんな何も無い砂漠のど真ん中に複数の車が居るって言うのは不思議だな。
「詳しく」
「位置はここから北西に約3.8キロ。トラック3台が縦に並んで車列の先頭と後尾に四駆が居て、プーマ装甲車4台が四方を固めてます」
プーマ装甲車に守られたトラックの車列?なーんかそれ見覚えがあるなぁ。
「どう見ても普通の車列じゃないね」
「だな。不良どもの集まりか?」
「もう少し近付いて確認してみる」
アリナは車列にドローンを更に接近させている様で、ナツキは画面に食いついている。
「あーこりゃヘルメット団だ」
「そうだね。この格好は間違いないと思う」
「ちょっと貸して」
「どうぞ」
アリナからパソコンを受け取ったユイはボクにも見えやすい様に画面を向ける。見てみると確かに車を運転しているのはヘルメット団だった。映像を見てみて確信したけどこのヘルメット団の車列、もしかしなくてもセリカを誘拐した奴だよね。アニメ版ブルアカのセリカ誘拐シーンの車列と凄い似てるもん。って言うことは近くに先生達が居るんじゃ?
「アリナ、ヒヨちゃんでもっと広範囲を偵察させてみて。ボクの勘だけどこの車列なんか怪しい」
「了解。私も怪しいと思ってた」
ユイからパソコンを返してもらったアリナは直ぐに操作してヒヨちゃんを飛ばす。
「・・・・・あ、アリナちゃん!ここ!」
ナツキが何かを見つけたみたいで画面を指差す。アリナもその方を確認して操作する。
「車列の左後方から猛スピードで接近中の四駆を確認」
もう確定じゃん!間違い無くセリカを助けに行っている先生達が乗っている車じゃん!
「車列に加わろうとしているヘルメット団の仲間・・・って言う感じじゃ無いね」
「荷台に誰か乗ってる・・・・・銀髪の子で服装はアビドス高等学校の物に酷似。もっと近付いてみる」
アビドスの制服を着た銀髪の女の子。間違い無くシロコちゃんですね。ありがとうございます。
「アビドスの生徒がヘルメット団の車列を追ってるってことか?どうも荒事の予感がするねぇ」
ナツキはニヤッと不敵な笑みを見せると足元に置いていた軽機関銃を手に取り、動作確認をし始める。今回ナツキが持って来たのは最新鋭のserval-4式軽機関銃。前の演習の時に使っていたserval-46式軽機関銃よりも使う弾が小さくなって1発辺りの火力は低くなったけど、serval-46式軽機関銃よりも軽量小型で取り回しが良く使い易い物になっている。
「ヘルメット団がアビドス高等学校の制服を着ているとも考え難いし、その車列を追っている車は多分アビドス高等学校の生徒が乗っていると思う。先生も一緒かは分からないけどね」
って言ったけど確実に先生も一緒に乗ってるだろうけどね。
「リナ小隊長の予想は当たりみたい。助手席に大人の人を確認」
ドローンからの映像を見せてもらうと、真剣な表情の大人の人が助手席に乗っていた。アニメ版ブルアカのシーンにそっくりだったから先生の見た目もアニメ版の先生に似ているのかと思ったけどそんなことはなく、黒色の少しだけ長い髪を短いポニーテールに纏めた、中性的な見た目の若い優しそうな感じの男性だった。さて、確認は出来たし行動を開始しますか。
「小隊総員戦闘準備。事情は分からないけどその車に乗っているのはアビドス高等学校の生徒とシャーレの先生と判断。助太刀に行く」
「「「了解!」」」
ハンドルを右に回して方向転換させてからアクセルを踏み込んで加速。先生達の乗る四駆の方向へ向かう。
「距離と速度から見て先生達の乗る車がヘルメット団の車列に追いつくのと私達が追い付くのはほぼ同時!」
「了解。ユイ!銃座に行って射撃用意!プーマは側面装甲は8ミリしか無いからユイの対物ライフルなら抜ける!」
「りょーかい!任せてよ」
ボク達の乗るL-ATVの天井にはハッチがあって、そこを開けて外に出ると銃座として使用出来る。ユイはナツキと同じ様に後部座席の足元に置いていたserval-23式対物狙撃銃を手に取って天井のハッチを開けてそこから上半身を出す。
「ナツキは右側の窓から射撃用意。いくらプーマの装甲が薄いからって5.56ミリじゃ効かないから命令するまで待機!」
「命令してくれれば蜂の巣にしてやるから!」
「アリナは残りのヒヨちゃんも車列の所に集めて監視を続けて」
「了解」
L-ATVを時速70キロまで加速させて先を急ぐ。ガタンガタンと凄い車が揺れるけど今はそんなことを気にしていられない。約3分程走り続けると前方に砂煙を上げる車列と後ろからそれを追う一台の車の姿を確認出来た。既に戦闘が始まっている様で、シロコの物と思われるドローンがロケット弾を発射してプーマ装甲車を1台破壊していた。
「アビドスの車とヘルメット団の車列の間に入るよ!」
「プーマの主砲に気をつけよね!」
「んなこと分かってる!」
更にアクセルを踏み込んでL-ATVを加速させる。流石に派手に砂煙を上げながら爆走していたらヘルメット団の方もこっちの存在に気が付いたみたいでプーマ装甲車の砲塔がゆっくりとこっちを向いて照準を合わせて来た。
「当てれるもんなら当ててみろ!」
でもボクは構わず直進する。直ぐに敵は主砲を発射して50ミリ砲弾がこっちに向かって飛んで来たけど、掠ることもなく砲弾は横の地面に当たって爆発した。プーマ装甲車には強力な50ミリ砲が搭載されているけど、あいつの砲塔には
プーマ装甲車は主砲と共に同軸機銃も撃って来た。機銃は何発かL-ATVの車体に当たるけど、軽機関銃レベルの弾じゃこの車の装甲を貫通させることは出来ない。軽機関銃の弾を弾きなが距離を詰めて行く。
「ユイ!車体の前側面、前輪の上辺りを狙って!そこが運転席!」
「了解!」
ユイはserval-23式対物狙撃銃を構えてスコープを覗き込む。こっちもプーマ装甲車と同じく悪路を爆走しているから車は結構揺れている。その状態で対物ライフルを構えて狙いを定めて撃つって言うのは至難の技だけど、ユイなら当ててくれると信じてる。
ユイが撃ちやすい様になるべく車を揺らさない様に地面が比較的なだらかな場所を選んで運転する。ユイは深呼吸をして心を落ち着かせて狙いを定め、そして静かに引き金を引いた。
爆音と共に擊ち出された23ミリ弾は狙い通りの運転席・・ではなく、その下の左前輪を撃ち抜いて吹き飛ばした。プーマ装甲車は8輪車だから走行自体はまだ出来るけど、左前輪を吹き飛ばしたから左右へのカーブはし辛くなったと思う。と言ってもアレは前輪と後輪の4輪で方向転換する4WSだからそんなに変わらないかも。
「ありゃ?外しちゃった」
「まぁこんな揺れている車から撃って当てれただけでも上等だろ。リナ小隊長!撃って良い⁉︎」
早く新しい軽機関銃を撃ちたくてナツキはウズウズしている様子だけど、5.56ミリ弾ではタングステンを使った専用の徹甲弾じゃないとプーマ装甲車の装甲は貫通出来ない。
「弾の無駄!ユイ、一気に至近距離まで近付くからもう1発撃ち込んで!」
「了解!」
「振り落とされない様に捕まって!」
速度を緩めることなく70キロを超える速度でプーマ装甲車に急速接近する。流石に幾ら砲安定装置が無くて走行間射撃が苦手でも相手との距離が近付けば命中率も上がる。このまま馬鹿正直に突っ込んで行けば50ミリ砲の直撃を食らっちゃう。
「スモーク!」
ボクがボタンを押すと、天井付近に設置された発煙弾発射機からバスッ!と言う音と共に6個の発煙弾が前方に射出されて空中で真っ白な煙を吹き出す。その煙はあっと言う間に前方の視界を遮って何も見えなくなった。
その隙にボクは車の走る方向を少しずらして煙幕の中に突っ込む。敵は目の前に広がった煙幕でボクの位置は分からない。当てずっぽうで撃っても既に進路を変えているから当たらない。実際、敵の砲声は聞こえたけど弾がこっちに飛んで来ることは無かった。そして直ぐに煙幕の中らから飛び出すと、思ったよりも近付いていてプーマ装甲車は目の前だった。
「ユイ!」
「この距離ならっ!」
この距離なら慎重に狙う必要も無い。ある程度狙ってからユイは引き金を引いた。プーマ装甲車の側面装甲に23mm弾が直撃し、8ミリ厚の装甲板を易々と貫通。そして高い威力を保持したまま運転席に座っていた運転手に命中した。ここまでは良かったけど、全速力で車を突っ込ませたせいでもうプーマ装甲車は目の前。左右に避けることも急停車も間に合わない。となるとこう叫ぶしか無い。
「総員対ショック姿勢!」
「「「とっくに対ショック!」」」
直後、ゴガンッ!と言う凄い音と衝撃が身体を襲う。もしシートベルトをしていなかったら頭からフロントガラスに突っ込んでいたかも。その位の衝撃だった。L-ATVは若干後輪が浮き、左側面から突っ込まれたプーマ装甲車はそのまま右に押されて、運転手が撃たれて気絶したせいで速度が出たまま右にカーブし続けて横転した。
L-ATVはぶつかった衝撃でバランスを崩してスピンしそうになったけど、何とか姿勢を安定させる。そのまま少し速度を落としてからボクは後ろを振り向いて全員の安否を確認する。特にユイは銃座にいたからそのまま吹っ飛ばされてもおかしく無い。
「吹っ飛ばされるかと思ったんだけど⁉︎」
どうやら無事だったみたいだ。良かった。アリナとナツキも無事だった様で一安心。前を向き直って状況を確認するとボク達は今ヘルメット団の車列の後ろを走っていた。直ぐ後ろにはアビドスの皆様が乗っている四駆が走っている。
「一度アビドスの車に近付いて話を聞く。ユイ、ナツキと銃座変わって。ナツキはこっちの話が終わるまで撃ちまくって牽制して」
「了解、任せろ〜!」
「おいしよっと。はい、交代」
ユイとナツキはハイタッチしてから入れ替わりユイは助手席に戻って来た。銃座に移動したナツキは銃座の銃架にserval-4式軽機関銃を取り付けて、前方を走っていた後尾を走行していた四駆に向かって撃ちまくる。
その間にボクは速度を落としてアビドスの四駆と並走させる。荷台に乗っていたシロコちゃんが警戒してボクの方に銃口を向けて来た。あらやだ。生シロコちゃんにこんな近くで見ることが出来るなんて感動しちゃうよ。でも今はそんな時じゃ無い。取り敢えずこっちに敵対心が無いと知らせる為に軽く手を振ってから窓を開ける。すると向こうも助手席側の窓を開けてくれた。ボクはナツキの銃声に負けない様に叫ぶ。
「アビドス高校の生徒と!シャーレの先生で間違いないですか⁉︎」
“そうだけど、キミ達は⁉︎”
ボクの考えはやっぱり間違っていなかったみまいで、答えてくれた男の人はシャーレの先生で間違い無いみたい。
「SRT特殊学園の生徒です!事情は知りませんけど助太刀しますよ!どう言う状況ですか⁉︎」
「ありがとう!セリカって言うアビドスの生徒がヘルメット団に攫われたんだ!あのトラックのどれかに乗っている筈!」
「了解!護衛の装甲車はこっちで倒すのでそちらは救出に専念してください!」
「分かった!気をつけてね!」
ボクはサムズアップしてみせると窓を閉めて速度を上げる。
「さて、聞いていた通りだよ。任務内容は人質救出。我々はアビドスの生徒達が仲間を救出する為に1番邪魔なプーマを殲滅する!先ずはトラックに攻撃を仕掛けて護衛の注意を引く!ナツキ!トラックの運転席を狙って!荷台には救出対象が乗っているから当てない様に」
「了解!」
ヘルメット団の四駆とその中に乗っていた人達を文字通り蜂の巣にしていたナツキは一旦射撃をやめて、トラックに対して撃ち始める。ボクはナツキが撃ち易い様に車列の前に出ようと速度を上げる。すると残り2台になったプーマ装甲車がボク達を前に出させない様にと通せんぼして来た。2台のプーマ装甲車の砲塔がこっちを向こうと回り始めたから狙われる前に急加速させてプーマ装甲車の真後ろに行く。ここまで接近されたら砲身は自分の車体が邪魔になってこっちを撃てなくなる。
「ユイ、これをナツキに!」
そう言ってボクは念の為にと用意して腰に下げていたRKG-3対戦車手榴弾2つをユイに渡す。ユイは銃座の方に行ってナツキに渡した。
「使い方分かる?」
「そりゃっ!」
ナツキは返事代わりにRKG-3の安全ピンを抜いてプーマ装甲車に目掛けて投げた。空中で4枚パネルのドラッグシュートが展開して飛行姿勢を安定させ、そのままプーマ装甲の側面に命中。当たった衝撃で信管が作動して手榴弾内部のHEAT弾が作動。最大で170ミリの装甲を貫通させることが出来るRKP-3は簡単にプーマ装甲車の装甲を貫通する。内部はメタルジェットで大変なことになっているんだろうな。
RKG-3の直撃を受けたプーマ装甲車は被弾孔から煙を出し、ふらつきながら速度を落として行きやがて停止した。
残り一台の左前に居たプーマ装甲車にもナツキがRPK-3を投げるが、着弾する前にプーマ装甲車は左に急カーブして避けた。このままだと距離を取られて主砲に撃たれるからこっちもプーマ装甲車の動きに合わせて急カーブする。
「小隊長!もう1発!」
ナツキが銃座から降りて叫ぶけど、アレは念の為に持って来てただけでそんなに大量には持って来ていない。
「それで全部!」
「なら小隊長の銃を頂戴!」
「え?」
「この至近距離からなら6.8ミリ弾で8ミリの装甲なら抜けるでしょ!」
「・・・確かに!」
完全に失念してた。ボクの愛銃serval-7式小銃の使用弾薬の6.8×51mm弾は、元々遠距離の新型ボディーアーマーを着た敵でも倒せる様にと作られた弾。だから通常弾でもそれなりに高い貫通力を持っている。この至近距離からなら側面の8ミリ厚の装甲板を貫通させることは可能!
ボクはナツキにserval-7式小銃を投げ渡す。それを片手でキャッチしたナツキは「横に付けて!」とボクに言ってから銃座に戻った。ボクは言われた通りプーマ装甲車の真横にL-ATVを持って行く。こんな近距離だと主砲は俯角が足りなくてこっちを狙えないから撃たれる心配は無い。
「食らえ6.8ミリ!」
ナツキはセレクターレバーをフルオートにしてから運転席辺りに狙いを定めて連射した。幾つもの穴が側面の装甲に開き、狙い通り運転手に当たった様でプーマ装甲車は突然右に急カーブして派手に砂煙を撒き散らしながら転倒した。
「ナイス!」
「いやぁなかなか良い火力してるね。でも装弾数が20発なのが欠点だね」
「そう言うと思ったよ」
ナツキから返されたserval-7式小銃を受け取りながら返事をする。しっかり弾切れになっている。
「さてと、こっちの仕事は片付いたから後はアビドスの様子でも見てますか。ヤバくなったら援護するよ」
「「了解」」
「え〜もっと撃ちたかったんだけどなぁ」
ナツキはまだ撃ち足りない様子だったけど、ボクの言うことを守って銃座からいつでも撃てる様にserval-4式軽機関銃を構えながら待機する。ボクも弾切れになったserval-7式小銃のリロードをしながらアビドス組の戦闘を見る。
残り一台となったヘルメット団の四駆をシロコのドローンによるロケット弾攻撃で吹き飛ばし、アビドス組の四駆は車列の前に出る。そして荷台に乗っていたシロコがWHITE FANG 465を構えて先頭を走るトラックの運転手にヘッドショット。運転席を失ったトラックは左右に大きく揺れてから横転。その後ろに居た残り2台のトラックは前のトラックが横転したことで急停車。
その隙に四駆から降りたシロコ、ノノミ、ホシノが銃撃を加えて残りのトラックの運転席も倒す。2台の荷台からヘルメット団の奴らが降りて来たけどそいつらもノノミとシロコとホシノの攻撃によってあっと言う間に壊滅。
そして、前から2台目のトラックの荷台をシロコが開けると中から囚われていたセリカが居て、無事に救出された。思ったよりも簡単にセリカの救出が出来て良かった。にしても、流石少数精鋭のアビドスと言うべきか、一人一人が普通に強い。SRTでもやって行けるんじゃないかと思うレベルだ。特に接近戦でのホシノとシロコの戦いっぷりは凄かった。
助けられたセリカが顔を赤くしながら先生や対策委員会の皆んなにお礼を言っているシーンを、L-ATVから降りて車体に寄っかかりながら微笑ましく眺めていると、先生がこっちを指差しながら何か話したかと思うと全員の視線がこっちに向いた。
「挨拶した方が良さそうだね」
「だね」
ボク達は先生達の方へ歩いて行くと、軽く会釈してから自己紹介をする。
「どうも初めまして。SRT特殊学園の1年生部隊、SERVAL小隊の小隊長大鳳リナです」
「同じくSERVAL小隊所属の鷹空ユイです」
「同じくSERVAL小隊所属の如月ナツキ」
「同じくSERVAL小隊に所属してます柚木アリナです」
ボクに続いて皆んなも自己紹介をして行った。
“それじゃぁこっちも改めて自己紹介をするね。私が連邦捜査部シャーレの先生だよ”
「私はアビドス高等学校、アビドス廃校対策委員会の書記を担当しています奥空アヤネです。今回は助けて頂きありがとうございました」
「ん、砂狼シロコ」
「十六夜ノノミです〜⭐︎是非助けてくれたお礼を何かさせて下さい」
「ふわぁ〜。小鳥遊ホシノだよー。よろしくね〜」
「私は黒見セリカ。ずっとトラックの中に居たから何が起きたか分からないけど、助けてくれたって聞いたから。その、ありがとうね」
いやぁ目の前に本物の対策委員会の皆んなが居て、ボクに対して自己紹介をしてくれるなんて嬉しい。都合の良い夢を見ているんじゃないかなと思う程だよ。
「それで?SRTの生徒がこんな所で何をしていたの?」
お互いの簡単な挨拶が終わると、ホシノが聞いて来た。まぁ砂漠以外何も無いこの場所で会ったらそりゃ何しているんだと聞くよね。それに警戒心が強いホシノなら尚更。
「先生に、ご用があって来ました」
ここからボク達はブルーアーカイブのメインシナリオに本格的に首を突っ込むことになる。SERVAL小隊と言うイレギュラーが現れることでそのストーリーにどんな影響を与えるのか分からないけど、ちょっとワクワクしている自分が居た。
今回は戦闘シーンがメインで対策委員会との絡みが書けなかったので、次回ではそこら辺を書ければ良いなと思っています。
と言うことで恒例の武器や装備の解説です。
・L-ATV
今回SERVAL小隊の皆が乗っていた四輪駆動の装輪式多目的軍用車両ですね。現実ですとハンヴィーの後継機として開発、配備されている新型車両で名前もそのまま登場させました。ロケットランチャーでも撃たれない限り大丈夫な程頑丈な車なので銃弾が飛び交うキヴォトスでも安心です。
・プーマ装甲車
セリカを誘拐したカタカタヘルメット団がトラックの護衛に使っていた車両。本当の名前はSd Kfz 234と言って、プーマと言う名前は現場の兵士がつけた愛称らしいです。アニメで登場していたのでこっちでも登場させました。作中では装甲車って言ってましたが実際には装甲偵察車に分類される車両で、現実ではナチスドイツが戦時中に開発して運用した物になります。
・serval-4式軽機関銃
今回ナツキが使用した軽機関銃。現実ではMG3の後継機として作られたMG4と言う名前の分隊支援火器で、ナツキが使用していたのはそれの短銃身モデルのK型。個人的に見た目がカッコよくて好きな銃の一つです。
・RPK-3対戦車手榴弾
リナが念の為にと2つだけ持って来ていてナツキがプーマ装甲車相手に使用した対戦車手榴弾。現実ではソ連が同じ名前で開発し、今のロシアやウクライナも使っていますね。戦車の装甲が進化した現代では戦車相手には殆ど致命打を与えることは出来ませんが、軽装甲目標相手には十分な威力を持っていますね。
以上、装備や武器の解説でした。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。高評価やご感想など、お待ちしております!
次回もお楽しみに!