前世の記憶を持つSRTの生徒が先生と頑張る話   作:MGFFM15

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大変長らくお待たせしました!遅くなってしまい申し訳ありません。私の投稿が遅くなってしまっている間に高評価とお気に入り登録者数がまたまた爆増していたので驚きと同時に嬉しいです。これからも皆さんのご期待に応えれる様に頑張ります!

ご感想の方も色々と書いて下さってありがとうございます!実際に書いてもらうと読んでくれている人がいるんだなと実感できてモチベ向上にとても貢献しています。

そして、誤字、脱字の方向もありがとうございます。いつも助かっています。






第3話 基地設営と定例会議

SERVAL小隊と対策委員会が出会った翌日の早朝。登校した対策委員会の皆んなは対策委員会室に集まっていた。

 

「それでは、アビドス対策委員会の定例会議を始めます。本日は先生にもお越しいただいたので、いつもより真面目な議論ができると思うのですが・・・」

 

「は〜い⭐︎」

 

「もちろん」

 

「何よ、いつもは不真面目みたいじゃない・・・・」

 

「うへ、よろしくねー、先生」

 

“皆んなよろしくね”

 

「まず初めに先日出会い仲間に加わってくれたSERVAL小隊が所属するSRT特殊学園についてです」

 

アヤネは手元のタブレット端末を時折見ながら詳細を話し始めた。

 

「SRT特殊学園はSpecial Response Teamの名前の通り特殊な任務に対応する部隊の教育と運用に特化した学園です。そしてその特殊な任務と言うのがSRT特殊学園が生まれた理由にも繋がるんですが、ヴァルキューレでは対応出来ない様な事件、例えばD.Uで重大な事件を起こした犯人が他の学園自治区に逃げたりした場合、ヴァルキューレだと逮捕は難しくなります」

 

「何で?普通にその犯人が逃げて行った学園の方に事情を説明して捕まえに行けないの?」

 

話を聞いていたセリカがアヤネに聞いた。

 

「ヴァルキューレが他学園自治区まで行って犯人を捕まえることは理論上は出来なくは無いけど、それをやろうとすると先ずその学園のトップの人と話し合っていろんな手続きをして、その学園の治安組織に事情を説明したりしなきゃで手間だし、大体の場合はヴァルキューレが自治権を侵害したって判断されて面倒なことになるの」

 

「それに他の学園の組織が生徒が他学園の自治区に入って更に戦闘行為までするとなると、それもそれで問題になることがあるしねぇ。学園政治って色々と難しいんだよ」

 

アヤネの説明にホシノが付け加えて説明した。セリカは「皆んなで協力し合えば良いのに」と言って少し納得がいかない様子だった。

 

「とまぁ、そんな事件に対応出来る様にっと作られたのがSRT特殊学園ですね。ヴァルキューレと違って防衛室の管轄では無く、連邦生徒会長直属の学園として創設され、連邦生徒会長の権限と命令を以って他学園自治区での戦闘活動も可能にした組織です。そう言った特殊な任務で活動することが前提の組織なので生徒の武器や装備品は最新鋭、又は高性能な物ばかりでそれを扱う生徒達も厳しい選抜試験と訓練を受けた人達なので精鋭ばかりだそうで、装備も相まってキヴォトストップクラスの武装集団と言われている様です。SRTの一個小隊相手に並の武装集団では太刀打ち出来ないと言われている程です」

 

「と言うことはSERVAL小隊の皆さんもその厳しい選抜試験と訓練を受けた生徒なんですね。凄いです⭐︎」

 

「余りそんな凄い人達の様には見えなかったけど」

 

「ですが、リナさんも言っていた通り現在SRT特殊学園は連邦生徒会長が失踪した事により直属の上司を失い、そして他学園自治区に侵入して戦闘行為を行うSRTの責任を負おうとする者が今の連邦生徒会内にはおらず、SRT特殊学園は何も出来ない状態が続いているそうです。そして、これは公式発表などされた訳ではありませんが、その強力過ぎる武力を持っているSRT特殊学園を危険視している人達も連邦生徒会内には居るそうです。連邦生徒会長が居なくなったことで暴走するのではと考えているのだとか。他にも何もしないのに多額の資金を使う無駄飯ぐらいを嫌って解体を推し進めようとしている派閥があるだとか色んな噂がありますね」

 

「向こうも大変なんだねぇー。ふわぁ〜」

 

そうやって会議を続けていると、外の方から車のクラクションが聞こえて来た。学校周辺は基本的に人気が無く、静かなのてそのクラクションの音はよく聞こえた。

 

「あら?もしかしてSERVAL小隊の人達ですかね?」

 

「早かったら朝頃には来るって言ってたしね」

 

対策委員会の面々が窓を開けて外を見てみると、学校へ向かって来る車列が見えた。

 


 

昨日アビドスを後にしてSRT特殊学園に戻ったボク達は先ず武器や弾薬、武器が壊れた時の為の予備部品やその他必要になるであろう装備品を集め始めた。他にも施設科の人達に協力を仰いで足りない分の物資と大量の荷物を乗せる為のHEMTT(重高機動戦術トラック)も借りた。HEMTTは10トンまでの荷物を積載出来るカーゴトラックでそれに色んな荷物を積み込んだ。

 

HEMTTの運転はナツキに任せて、ボクはL-ATVを運転して先導した。さらに、HEMTTの後ろにはユイが運転するGCS(地上管制ステーション)を荷台部分に乗せたMTV(中型戦術車両)が続く。

 

ボクがクラクションを鳴らしたことでアビドスの皆んなは教室の窓を開けてこっちを見て驚いた様子。まぁ突然ゴツイ8輪の大型トラックと中型トラックが来たら何事なんだと思ってビックリするよね。アビドス高校の校門を通過した3台がアビドス高校の正面玄関前に止まる。

 

外に出て来て出迎えに来てくれたアビドスの皆んなに手を振ってからL-ATVのエンジンを切って降車する。

 

「ちょ、何よこれ⁉︎何を運んで来たの?」

 

トラックを見上げて驚いているセリカ。良い反応をしてくれてこっちとしては嬉しいね。

 

「昨日話した通りボク達の簡易的な基地を設営する為の荷物ですね」

 

「いや多過ぎって言うか・・・まさかこんなおっきいトラックで来るなんて」

 

「もう片方のトラックも荷物を積んでいるんですか?」

 

「こっちはアヤネさんが興味あると思いますよ。どうぞこちらへ」

 

ボクはそう言ってMTVの荷台に積まれた、パッと見はアンテナの生えたコンテナに見える外見のGCSのドアの方に案内する。折り畳まれた階段を展開して、そしてドアを開けると室内は本格的なドローンの操縦席が3つ設置してある部屋になっている。部屋の1番奥はサーバールームになっていて、操縦席の前には多数のモニターが設置してあってドローンから送られて来た色んなデータが表示されている。

 

操縦席の一つにアリナが座って絶賛ドローンの操縦中で、入って来たアヤネに手を振って挨拶をした。

 

「昨日ぶりですね」

 

「す、凄いですね。これが昨日話していた地上管制ステーションですか?」

 

「ですね。ここが私の戦場です」

 

そうアリナは自慢げに言った。上手いこと言ったもんだね。確かに無人機を使って戦うアリナにとってはここが戦場だ。2人が話しているとアヤネの後に続いて他のアビドスの人達と先生もやって来て物珍しそうに室内を見渡している。

 

“凄いね。移動式の秘密基地って感じでカッコいいよ”

 

「でしょう?」

 

先生ならこう言うのは好きだろうなと思ってた。変身ロボットとかが好きならこう言う車両搭載型の無人機用コントロールセンターなんてロマンのあるのもをに興味が湧かない訳がない。

 

「今も何かドローンを操縦しているんですか?」

 

「はい。もう直ぐでここに到着しますよ。あ、それで確認なんですけどグランド内に着地させちゃって良いですかね?」

 

「良いですよ。今はそんなに使われていないですし。と言うか、何で運動場に?別にここに着地させても良いんじゃ」

 

「大きいんですよ。誰かマーシャリング(誘導)をお願い」

 

「自分がやるよ」

 

「ありがとう」

 

ナツキは運動場へ小走りで向かった。アヤネ達もどんなドローンが飛んで来るのか気になっている様子だったから一緒に見に行くことにする。1分程待っていると遠くからヘリ特有の空気を叩く様なプロペラの音が聞こえて来た。

 

「・・来たね。飛んで来た砂が目に入らない様に気をつけて下さい」

 

その音はあっと言う間に大きくなって行き、そしてボク達の後ろにあった校舎の真上を飛び越えて我がSERVAL小隊が保有するドローンの中で1番の大きさを誇るティルトローター式UCAV(無人攻撃機)、ビジちゃんが飛んで来た。

 

「きゃっ⁉︎」

 

「わっ⁉︎」

 

直径約9メートルもある2つのローターが発生させる強烈なダウンウォッシュで周囲の砂を巻き上げ、ボク達に強風と大量の砂が当たる。校舎の窓ガラスが強風でガタガタと揺れていて、もしかして外れちゃうかな?と心配になったけど何とか耐えてくれている。予想以上に強い風にセリカとノノミは短い悲鳴を上げた。ナツキは事前にゴーグルを付けていて、ダウンウォッシュに怯むことなくビジちゃんを着陸位置に誘導している。一方、予想外に大きい物が飛んで来たことにアビドスの皆んなは驚いている様子。驚かせたくてわざと正確な大きさを伝えていなかったから良い反応をしてくれてボクは満足。

 

ランディングギアを出して、ナツキの誘導に従ってゆっくりと降下して来たビジちゃんはそのままグランドのど真ん中に綺麗に着地した。ナツキは着地を確認するとビジちゃんに装備されているカメラに向かって親指を立てた。

 

「ナイスランディング」

 

《そっちも誘導ありがとう》

 

ビジちゃんのエンジン出力が落ちて行き、同時にプロペラの回転数も落ちて行く。風も治って落ち着いてビジちゃんの全体像を見れる様になるとアビドスの皆んなは改めてその巨体に驚いていた。

 

「いやいや、大き過ぎるでしょ!普通のヘリと変わらない大きさじゃん!」

 

「こんなに大きいのは初めて見ました⭐︎」

 

「これが昨日アリナさんが話してたらビジちゃん・・・想像以上に大きいですね」

 

「いやぁ凄いのが来たねぇ」

 

「全長11メートル、全幅20メートルを誇る大型機ですからね。ボク達の小隊の主力機の一つです」

 

機体の規模はセリカが言った通り普通の中型ヘリと変わらない。ドローンとして考えるなら大型機に分類されるサイズで人によってはこんなに大きいのは要らない!と言う人もいる。けどこのビジちゃんは普通の小型ドローンには無い圧倒的なペイロード(運搬能力)と武器の搭載量がある。ビジちゃんがどれだけの荷物を運ぶかと言うと、例えばアヤネは戦闘時にドローンを使って色んな支援物資を送ってアビドスの皆んなをサポートしている。正確な数値は知らないけどあの機体の規模感からしてペイロードは多めに見積もって数キロ程。5.56ミリ弾を30発装填したマガジンなら4〜6個程運べる。でもビジちゃんなら一度に約10万個運べる。この搭載能力があるから色んな任務にも柔軟に対応できるマルチロール機になっていて、ボク達は重宝している。

 

「最大4トンまでの荷物を吊り下げることが可能で、これによって重量物を迅速に運べます。他にも武器や高性能なセンサー類も搭載しているので色んな任務に対応出来るマルチロール機になっています」

 

《ちょっとリナ小隊長!ウチの子の説明を勝手に始めないで》

 

「ごめんごめん」

 

アリナに怒られてしまったから残りの説明はアリナが来てから彼女に任せることにする。ビジちゃんのエンジンが完全停止してから1分も経たないうちに小走りでやって来た。機体を近くで見て回っていたアビドスの皆んなの所に行って楽しそうに機体の説明を始めた。特に先生が聞き上手で、アリナも先生が自分の好きなことの話を聞いてくれるのが嬉しい様でニッコニコの笑顔で話している。このままだとSRTの機密情報まで喋ってしまいそうな勢いだ。

 

「流石色んな生徒を誑かして行く先生だね。既にアリナを攻略しようとしてるよ」

 

このままだとSERVAL小隊全員が先生に堕ちるのもそう遠く無いかもしれないね。でもユイとかがミヤコみたいな卑しい娘とかカズサみたいな湿度高めの娘になってしまうのはちょっと嫌だな。と言うか僕と言う男としての人格も混ざっているボクとしては先生相手に恋愛的な意味の好意を抱く事になるのか疑問が出る。まぁ今は気にすることでも無いか。

 

「はい、盛り上がっているところ申し訳ないんだけど小隊員全員集合!」

 

このままだとあと1時間は余裕で話してそうだからここら辺で一時中断させる。まだこっちは荷解きと設営と言う面倒だけど大切な仕事が残っているんだから。ボクが招集をかけるとアリナは名残惜しそうにしながらも来てくれた。なんか申し訳ない気持ちになっちゃうな。他のメンバーも集まったから説明を始める。

 

「ナツキとユイは長距離の運転お疲れ様。アリナもビジちゃんの長距離飛行お疲れ。まぁ分かっていると思うけど今から持って来た荷物の荷解きと設営をしなきゃだから皆んなもうひと頑張りしてもらうよ。アリナはGCSの電源ケーブル設置作業と衛星通信用のバルーンの用意を。何か助けが必要な時はいつでも言って。残りの皆んなはトラックに積んだ荷物を下ろして行くよ。武器弾薬は一階の空き教室に。ビジちゃん用の予備部品や武装、装備はその隣の空き教室に。その他通信機やらパソコン、その他各種機材や私物とかは対策委員会の隣の教室に置いてそこをボク達SERVAL小隊の拠点にするよ。それが終わったら防衛設備の設置。地雷やらセントリーガンやら色々と設置して行くよ」

 

「へーい。重量物はメスゴリラ任せた」

 

「だからその呼び方はやめてって。でもまぁ重い物は任せてよ」

 

ボクの話が終わるとナツキとユイは先ず何の荷物を下ろすか話しながらトラックの方へ向かって行った。アリナの方は電源ケーブルを設置する為にアヤネに話しかけていた。

 

「すいません。GCSの電源ケーブルを繋げたいんですけど繋げることが出来る所はありますか?」

 

「あ、はい。ありますよ。ついて来て下さい」

 

GCSは発電機を付けているから燃料がある限り自家発電で動くことは出来るけど、燃料だってそんなに沢山持っている訳じゃ無いから出来れば電源ケーブルを繋いで電源を確保したい。だからアビドス本校から電源を繋がせて貰うことにする。アリナの方は特に問題が無さそうなのを確認したボクはナツキとユイの後を追った。力持ちのユイに重量物を任せながらユイでも持ち上げきれない物はトラックの装備してあるクレーンを使って下ろす。

 

先ず重い物が多い弾薬や装備品類を一階の空き教室へ運んで行く。弾薬だけでも全員分合わせて約2000発も運んで来た。まぁこんなに弾薬が多くなった主な原因はナツキなんだけどね。更に対戦車ロケット弾や対人、対戦車地雷や陣地防衛用のセントリーガンの予備弾薬、手榴弾やビジちゃんが搭載する各種ミサイルなどなど色々運んで行く。

 

「私も手伝います⭐︎力作業は得意ですし」

 

「ん、手伝う」

 

「うへ〜皆んなやる気だねぇ。皆んなが働いているのにおじさんだけ休むのも申し訳ないしおじさんも手伝うよ」

 

荷物をトラックから下ろして運んでいるとアビドスの皆んなが手伝いに来てくれた。ぶっちゃけもっと人手が欲しいと思っていたからとても有り難い。

 

「ありがとうございます。有り難いです」

 

「そんじゃ、これを向こうの教室に運んで。よろしく」

 

「ん、分かった」

 

「それじゃぁノノミは私と一緒にこのミサイルを運ぶよ。私はこっちを持つからノノミは反対側を持って」

 

「はい、任せて下さい⭐︎」

 

“私も手伝うよ”

 

「あれ、先生まで?」

 

“生徒が頑張っているのに大人の私だけが黙って見ている訳には行かないよ”

 

「腰をやらない様にご注意を」

 

とボクは先生に冗談半分で言ってみると“まだまだ若いから大丈夫だよ”と笑って答えた。先生と一緒に弾薬箱を運んでいると先生が話しかけて来た。

 

“まさかこんなに本格的な準備をするなんてね”

 

「備えあれば憂い無しって言うヤツですよ。まぁそれよりも初めての実戦になる可能性があるから気合が入っているって言う方が正しいかもですが」

 

“実戦の経験は無いんだ”

 

「日常的な戦闘はそれなりにしたことはありますけど、SRTの SERVAL小隊として何か任務をこなしたことは無いんですよね。まぁ新米の1年生部隊よりも2、3年生部隊の方が優先されるって言うのもありますし、SRTの担当する任務の性質上SRTが必要になる事件が少ないので出撃回数も少ないですしね」

 

大体1年生の新米部隊は充分に訓練を受けて優秀な成績を残して実戦に出ても良いと評価されると、ベテランの高学年部隊と一緒に初めての実戦に行くことになる。そして高学年部隊と一緒に2〜3個程任務をこながら実戦経験を積んで行き、そして独り立ちして自分達だけで任務をこなす様になる。ボク達の場合、実戦に出ても良いと言う評価を受けた所までは行ったけどその時に連邦生徒会長が居なくなって出撃することは結局一度も無いまま。

 

「いよいよここから任務を受けるぞって言う時に連邦生徒会長が居なくなっちゃったので」

 

“やっぱりSRTの生徒としては任務に出たかった?”

 

「まぁそうですね。SRTの生徒全員の夢、と言うか目標ですし、出撃した任務の数が勲章の数みたいな感じですし」

 

だから1番出撃回数が多くて数多くの戦績を残して来た3年生のFOX小隊はボク達見たいな人達からすると雲の上の存在だ。

 

「だから今回、ちゃんとした命令があった訳じゃない非正規戦闘ですけど初のSERVAL小隊としての本格的な戦闘が出来そうで皆んな気合が入っているんですよ。あ、その荷物はそこに置いて下さい」

 

持って来た弾薬箱を「武器庫」と書かれた張り紙をテープで貼った教室に入って置いて、そして来た道を戻りながら話を続ける。

 

“って言うか勝手にこんなことしちゃって良いの?”

 

「大丈夫です・・・多分」

 

“え、多分なの?”

 

「後で先生に話そうと思ってたんですけど、シャーレの先生の支援要請を受けたからってことであればそこまで問題視はされないかなって」

 

“成る程ね。じゃぁ後で正式に支援要請を出すことにするよ”

 

「お願いします」

 

これでボク達が勝手な独断で暴走したってことにはならない筈。上手く行けは正式にSRTから大規模な支援を受けることも出来るかも。

 

それからアビドスの皆んなと先生に手伝って貰ったこともあって昼過ぎまではかかるかなと思っていた荷下ろし作業は昼前には終わることが出来た。アリナとアヤネがやっていたGCSのケーブル設置作業と衛星通信用のバルーンの展開も完了した。このバルーンがあれば衛星通信を使って超遠距離のドローン操縦が可能になる。やろうと思えばキヴォトスの端から反対側の端にあるドローンを操縦することも出来る。

 

それからは校門と裏門付近と敵の侵入して来そうな箇所に防衛用にセントリーガンと対戦車、対人地雷を設置した。それらの作業が終わってひと段落すると、アヤネから途中で止まってた定例会議に一緒に参加しないかって誘われてボク達SERVAL小隊も対策委員会の定例会議に参加することになった。

 

「それでは、中断していた定例会議の続きをしますね。SERVAL小隊の皆さんも加わったのでいつもよりも有意義な会議か出来そうですね」

 

「そうだね」

 

「人が多い分色んな意見を聞けますしね⭐︎」

 

「その言い方だといつもは有意義な会議が出来てないみたいじゃない」

 

「早速議題に入ります。今回の議題は私達にとって非常に重要な問題・・・『学校の負債をどう返済するか』について、具体的な方法を議論します。ご意見のある方は、挙手をお願いします!」

 

すると間を置かずにセリカが元気に勢い良く「はい!はい!」言いながら手を上げた。

 

「はい。1年の黒見さん。よろしくお願いします」

 

「・・・あのさ、まず苗字で呼ぶの、やめない?ぎこちないんだけど」

 

「せ、セリカちゃん・・・でも折角の会議だし・・・」

 

「いいじゃーん、お硬〜い感じで。それに今日は珍しく、先生とSERVAL小隊の人達が居るんだし」

 

「珍しく、と言うより今回が初めて」

 

「ですよね!なんだか委員会っぽくて良いと思いま〜す⭐︎」

 

「はぁ・・・ま、先輩達がそう言うなら・・・・とにかく!対策委員会の会計担当としては、現在我が校の財政状況は破産の寸前としか言いようがないわ!」

 

セリカの話を聞いていたナツキは「あ、セリカちゃんが会計担当なんだ」と小さな声で呟いた。それは僕の頃の初見で見ていた時も思ったな。

 

「このままじゃ破産だよ!皆んな、分かってるよね?」

 

「うん、まあね〜」

 

「毎月の返済額は、利息だけで788万円!私達も頑張ってはいるけど、正直利息の返済も追いつかない。これまで通り、指名手配犯を捕まえたり、苦情を解決したり、ボランティアするだけじゃ限界があるわ。このままじゃ、埒が明かないってこと!何かこう、でっかく1発狙わないと!」

 

「でっかく・・・って、例えば?」

 

「宝くじで一等を狙うとか?」

 

そうユイが聞いてみるとセリカは「違う違う」と言って首を横に振った。

 

「そんな確率の低いものじゃなくてもっと良いものがあるの!」

 

そう言ってから鞄を開けて中から一枚のチラシを出して皆んなの前に突き出した。

 

「これこれ!街で配ってたチラシ!」

 

「これは・・?」

 

「どれどれ・・・『ゲルマニウム麦飯石で貴方も一攫千金』・・ねぇ?」

 

どう見ても騙されてます。本当にありがとうございました。前から思ってたけどセリカが会計担当で本当に大丈夫なのかな?

 

「そう!これでガッポガッポ稼ごうよ!」

 

セリカ以外の全員がいたたまれない気持ちになり、ニッコニコでボク達に説明するセリカを温かい目で見ている。

 

「この間、街で声をかけられて、説明会にも連れて行ってもらったの。運気を上げるゲルマニウムブレスレットっていうのを売ってるんだって!」

 

全員が哀れみの目で見ているのにセリカは気づかないまま説明を続ける。

 

「これね、身に付けるだけで運気が上がるんだって!で、これを周りの3人に売れば・・・ん?皆んな、どうしたの?」

 

やっと皆んなの表情に気がついたセリカが首を傾げて聞いて来た。先生が少し申し訳なさそうにしながら話した。

 

“あーセリカ、それはやめた方が良いよ”

 

「先生の言う通りだよ。それは却下〜」

 

「えー⁉︎何で?どうして?」

 

「セリカちゃん・・・それ、マルチ商法だから」

 

「儲かるわけない」

 

「セリカちゃんが会計担当はヤバイんじゃねーの?」

 

「アンタはもうちょっと言葉を選べ!」

 

「あでっ⁉︎」

 

ユイがナツキに軽く拳骨を食らわせている傍らで「へっ⁉︎」と驚くセリカ。あの反応からして完全に騙されていたみたいだと分かったボクは思わず顔を手を覆った。

 

「そもそもゲルマニウムと運気アップって関係あるのかな・・・?こんな怪しいところで、まともなビジネスを提案してくれるはずなんてないよ・・・」

 

「え、そうなの?私、2個も買っちゃったんだけど⁉︎」

 

「セリカちゃん、騙されちゃいましたね。可愛いです⭐︎」

 

「可愛いで済まして良いの?これ」

 

「まったく、セリカちゃんは世間知らずだねー。気を付けないと、悪い大人に騙されて人生取り返しのつかないことになっちゃうかもよー?」

 

ホシノが言うと冗談に聞こえないって言うか、笑えないなぁ。色々と知っちゃってるから反応に困る。

 

「そ、そんなぁ・・・そんな風に見えなかったのに・・折角お昼抜いて貯めたお金で買ったのに・・・」

 

「大丈夫ですよセリカちゃん。お昼、一緒に食べましょう?私がご馳走しますから」

 

「レーションで良ければボク達の方からもあげますよ」

 

流石に可哀想だからボクの方からも提案してみる。普通のご飯と比べると味は負けるけど、でも充分に美味しいし、お腹いっぱいになる。

 

「ぐすっ・・・ノノミせんぱぁい、リナさぁん・・・」

 

「どんまい。次騙されない様にすれば良いよ」

 

ノノミとボクで完全に落ち込んでしまったセリカを頭を撫でながら励ます。ちゃっかりセリカを撫でてしまったけど良い匂いするな。それに手触りが良い。猫耳の方も触りたいけど流石にそれはやめとこう。

 

「えっと・・・それでは、黒見さんからの意見はこの辺で。他にご意見のある方」

 

「はい!はい!」

 

撃沈したセリカに変わって次はホシノが元気良く手を挙げた。

 

「えっと・・はい。3年の小鳥遊委員長。ちょっと嫌な予感がしますが・・・」

 

「うむうむ、えっへん!我が校の1番の問題は、全校生徒がここにいる数人だけってことなんだよねー。生徒の数=学校の力。トリニティやゲヘナみたいに、生徒数を桁違いに増やせば、毎月のお金だけでかなりの額になるはず〜」

 

「え・・・そ、そんなんですか?」

 

「まぁ理論上はそうなりますね」

 

「そう言うことー!だからまずは生徒の数を増やさないとねー。先ずはこからかな〜」

 

「そうすれば議員を輩出することも出来るし、連邦生徒会での発言権も与えられるしね」

 

「鋭いご指摘ですが・・・どうやって・・・・」

 

「こんな辺境の学園に来る人なんていなくね?」

 

「だからアンタは言葉を選べ!」

 

「いっだぁ⁉︎さっきより威力上がってんだけど!」

 

「ナツキが余計なこと言うからでしょ」

 

基本的に他人には優しく流石のアリナも今回のナツキに対してはきつい言い方をしている。ナツキの方もいい加減にしないとそろそろユイの全力拳骨が来そうだ。

 

「簡単だよ〜。他校のスクールバスを拉致れはオッケー!」

 

ホシノは顔の前でOKサインを作ってそう言った。その姿は可愛いけど、言っていることは全く可愛くない。

 

「はい⁉︎」 

 

“え⁉︎”

 

「ちょいちょいちょい!仮にも犯罪者を取り締まるSRTの生徒の目の前で言うこと⁉︎」

 

まさかのホシノの提案にアヤネと先生とユイが驚きの声を上げる。ユイの言う通りSRTが目の前に居るって言うのに堂々と犯罪行為をやっちゃえばOKって言うのはどうかと思うよ。

 

「あーそう言えばそうだったね〜。やっぱり今のはn「それ、興味深いね」え?」

 

折角ホシノが発言を撤回しようとしていたのに、シロコが話に食いついちゃった。

 

「ターゲットはトリニティ?それともゲヘナ?ミレニアム?狙いをどこに定めるかによって、戦略を変える必要があるかも」

 

とても真剣な様子で言うシロコにボクを除いたSERVAL小隊のメンバーが「何でノリノリで話してんのこの人?」と言いたそうな目で見る。

 

「お?えーっと、うーん・・・そうだなぁ、トリニティ?いや、ゲヘナにしよーっと!」

 

「ちょ、ちょっと待って下さい!そんな方法で転校とかってありなんですか⁉︎」

 

「無しだよ!」

 

「この2人、今の内に逮捕しといた方が良いんじゃ?」

 

「ごめんごめん。冗談だって〜」

 

「冗談だって〜。じゃありませんよ、ホシノ先輩。もっと真面目に考えて貰わないと」

 

「良い考えがある」

 

ホシノに変わってどこか自信に満ちた表情のシロコがずいっと手を上げた。

 

「・・・はい、2年の砂狼シロコさん」

 

「銀行を襲うの」

 

「アウトー‼︎」

 

“いやいやいや!それはダメだって!”

 

「やっぱり捕まえた方が良いって」

 

ユイと先生が直ぐにツッコミを入れて、ナツキは再び逮捕することを提案して来る。SERVAL小隊の小隊長としてボクからも注意しとかないとだね。

 

「シロコさん、流石に銀行強盗はダメですよ。と言うか犯罪行為をやっちゃダメですよ」

 

「ん・・・折角銀行のことも調べて覆面も全員分使って来たのに・・・・」

 

「さっきから一生懸命見ていたのは、銀行のことだったんですか⁉︎」

 

残念そうな表情をしながらシロコはカバンからカラフルな番号が書かれた覆面を取り出した。しかも数えてみたらアビドスの皆んなだけじゃなくてボク達の分まで用意されているし。

 

「いつの間にこんな物まで・・・」

 

「うわ〜、これ、シロコちゃんの手作り〜?」

 

「わぁ、見てください!レスラーみたいです!」

 

ホシノはシロコの作った覆面を興味津々と言った感じで手に取って、ノノミは実際に被って喜んでいる。その様子にアヤネはちょっと困惑している様子。SERVAL小隊の皆んなも「何やってんだか」などと言いつつ覆面を手に取って確かめている。

 

「いやー、いいねぇ。人生1発でキメないと。ねぇ、セリカちゃん?」

 

「そんなわけあるか!却下!却下ー‼︎」

 

「実行しようとしたらその瞬間捕まえるからな」

 

「そうですよ!犯罪はいけませんっ!」

 

「ん・・・」

 

「そんなふくれっ面してもダメなものはダメです!シロコ先輩っ!さもないとSERVAL小隊の皆さんに逮捕されちゃいますよ⁉︎」

 

「ん、負けない」

 

「お?やるか?」

 

「乗らなくていいから」

 

“シロコ、犯罪はダメだよ”

 

「・・ん、分かった」

 

先生にまで言われたシロコは渋々と言った様子で頷いた。どんだけ銀行強盗したいんだよ。

 

「はぁ・・・・みなさん、もうちょっとまともな提案をしていただかないと」

 

「あのー!はい!次は私が!」

 

次にノノミが元気良く手を上げた。

 

「はい・・・2年の十六夜ノノミさん。犯罪と詐欺は抜きでお願いします」

 

「逆に今まで出たのが犯罪と詐欺ってヤバいと思うんですけど・・・」

 

「大丈夫です!犯罪でもマルチ商法でもない、とってもクリーンかつ確実な方法があります・・・・!アイドルです!スクールアイドル!」

 

「あ、アイドル・・・⁉︎」

 

「まぁ今まで出て来たものと比べるとマシかな?」

 

“だね。先生としても安心だよ”

 

「アニメで見たんですけど、学校を復興する定番の方法はアイドルです!私達全員がアイドルとしてデビューすれば・・・!」

 

そのアニメ、ボクも見たことがある気がするなぁ。

 

「却下」

 

ユイが言った通り今まで出て来た意見の中では1番まともな意見だったけど即座にホシノが却下しちゃった。

 

「あら・・・これもダメなんですか?」

 

「なんで?ホシノ先輩なら、特定のマニアに大ウケしそうなのに」

 

そうそう。例えば僕みたいなオタクとかね!

 

「うへ〜こんな貧相な体が好きとか言っちゃう輩なんて、人間としてダメっしょー。ないわー。ないない」

 

今の発言は聞き捨てならないね。別にロリコンって訳じゃ無いんだし問題ないだろ!貧相な体の女の子が好きで何が悪いんだ!全世界のオタクに謝って欲しいね!

 

「今ホシノさんは全オタクを敵に回したな」

 

「折角決めポーズも考えておいたのに・・・」

 

“へー。どんなの?”

 

「水着少女団のクリスティーナで〜す♧」

 

と言ってやってみせたのは僕の頃にアニメで見た第1話で母親のアイドルが死んじゃうアニメの母親のアイドルがやっていたポーズに似ているポーズだった。

 

「どういうことよ・・・・。何が『で〜す♧』よ!それに《水着少女団》って、だっさい!」

 

「えー、徹夜で考えたのに・・・」

 

「え、私は今のポーズ可愛いと思うんですけど」

 

「ありがとうございます!アリナちゃん!」

 

「あの・・・・議論がなかなか進まないんですけど、そろそろ結論を」

 

「それは先生に任せちゃおー。先生、これまでの意見で、やるならどれが良い?」

 

「いや、消去法で一つでしょ」

 

「犯罪か詐欺を選んだら、幾ら大人とは言え先生を捕まえることになるけど」

 

「皆んな、先生を脅さない」

 

「えっ⁉︎これまでの意見の中から選ぶんですか⁉︎も、もう少しまともな意見を出してからの方が良いのでは⁉︎」

 

「大丈夫だよー。先生が選んだものなら、間違いないって」

 

「ちょ、ちょっと待って下さい!何でそう言い切れるんですか⁉︎」

 

「まぁ大人の先生だし信頼する気持ちは分かりますね」

 

「まさかアイドルをやれなんて言わないわよね?」

 

「アイドルで⭐︎お願いします♧」

 

「・・・・」

 

シロコだけは何も言わずに覆面を被って先生にアピールする。全員の視線が集まる中、先生が答えを出した。

 

“それじゃぁ・・アイドルをやる?”

 

「やったぁ⭐︎楽しそうです!」

 

「えぇ⁉︎本当にアイドルをやるの⁉︎」

 

「うへ〜良いんじゃなーい?」

 

「まぁ皆んな可愛いし似合うと思うよ。アイドル姿」

 

「私もちょっとやってみたいかも・・・」

 

「確かにアリナなら可愛い衣装も凄く似合うだろうし、向いてるかもね」

 

「お、SERVAL小隊アイドル化計画始める?」

 

「なら皆さんも一緒にアイドルしますか?きっと楽しいですよ⭐︎」

 

「計画は大胆な程良い。でしょ?アヤネ」

 

シロコがアヤネに聞くと、アヤネは顔を俯かせて肩を小刻みに振るわせていた。

 

「い・・・・いいわけないじゃないですかぁ!!

 

ブチギレたアヤネは机の端を持って、思いっきり上に放り投げた。机の上に置いてあった文房具や書類なども一緒に吹っ飛ぶ。これが待ちに待ったアヤネのちゃぶ台返し!思ったよりも飛ぶな!

 

分かってはいたけど、結局ブチギレたアヤネを何とか落ち着かせようとドタバタして会議はあやふやになって終わっちゃった。でも、平和な対策委員会の日常風景を見れて嬉しかった。でもここからが彼女達にとっては大変な時期。ボク達も戦いに備えないと。




もっと短く纏めようと思っていたんですが、一万字を超えてしまいました。色々と書きたいシーンなどを書きまくっていたらどうしても多くなっちゃいますね。

それでは、今回登場した装備品の解説です。

HEMTT(重高機動戦術トラック)
アメリカ陸軍が使用している10トントラックを名前そのままに今回登場させました。正確にはM977A4と言うタイプがモデルです。運搬出来る量は10トンとトラックにしては並ですが、高い拡張性と走破能力が売りの車両ですね。

MTV(中型戦術車両)
GCSを運ぶ為に今回登場。現実では米軍が使用している新型の5トン級の中型トラックですね。日本ではまず見ることがない車両で、ニュース映像にも出ることがないので日本での知名度は低い車両ですね。実際にはGCSを搭載したモデルはありませんが、搭載していてもおかしく無い車両をと選びました。

GCS(地上管制ステーション)
アリナが使用するビジちゃんなどの大型ドローンを操縦する為にと持って来た自走式の本格的な操縦室。実際にはUAV GCS(無人航空機地上管制ステーション》と言う名前でも呼ばれています。当初はビジちゃんことV-247用のGCSをモデルにしたかったんですが情報が無く、代わりにアメリカ軍のMQ-1のGCSをモデルにしようと思っていたんですが、これも情報が少なく、更にその代わりとしてTB-2と言うドローンのGCSをモデルにしました。

・衛星通信用バルーン
アリナがドローンとの長距離通信用に設置したバルーン。元ネタは今米軍が配備しようと計画しているGATRバルーンという物。従来のパラボナアンテナなどと違って重量が軽く、設置も簡単なので野戦基地用の新型アンテナとして注目されている様です。

以上、今回登場した装備の解説でした。因みに、今回陣地防衛用にサントリーガンを登場させましたが、現実ではサントリーガンは無いんですよね。遠隔操作式の銃はありますが、全自動で撃つ銃は敵味方の識別や兵士の民間人の識別が難しいなどと言う理由で実用化されてません。

さて、次回はいよいよ便利屋とSERVAL小隊が出会います!お楽しみに!

ご感想などもお待ちしております。お気軽に書きに来て下さい。

それでは、次回もお楽しみ!
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