前世の記憶を持つSRTの生徒が先生と頑張る話 作:MGFFM15
《グッドモーーニング‼︎キヴォトス!現在の時刻は午前6時ピッタリ!キヴォトス総合ラジオの時間だよ!今日もラジオ局があるここD.U.は良い天気になりそうだね。もしD.U.に用事がある人は道路が混むだろうから早めに出発した方が良いかもよ?混むと言えば!ゲヘナの皆んなに悪いニュースがあるよ。昨日温泉開発部が吹っ飛ばした幹線道路の補修工事がまだ続いているから、朝の登校ラッシュと重なってとんでもない渋滞になるだろうから早めに出るか、別の道を探すか、学校に遅刻する連絡を入れといた方が良いと思うよ!さて、今朝も色んなニュースが来ているけど、先ずは各主要自治区の天気予報から!今ネットでバズりまくっているこの曲と共に行くよ!》
片耳にワイヤレスイヤホンを付けて朝のラジオ番組を聞きながら身支度をする。いつもの朝のボクの日課だ。SRT隊員ならキヴォトスで起きている様々な出来事を知っておくべきであるって言う教官からの話を聞いてから毎日こうしている。
昨日の便利屋68&傭兵部隊の襲撃の後、ボク達SERVAL小隊は荷下ろししたまま放置していた荷物達の組み立てなどをやって、SERVAL小隊用に借りた教室の拠点化を進めた。そして対策委員会の皆んなの許可も得てアビドス高校で寝泊まりすることが出来る様になった。
SRTで行われる長期の野外戦闘を想定した訓練だと、1週間野宿した時は寝具なんて一切無く地べたに座っていつでも戦える様に銃を抱えつつ寝るなんてこともあったから、それに比べると雨風を防げてSRTから持って来たちゃんとした寝具もあるからとても暮らし易い環境が整っている。
だから今日の朝の目覚めは最高。スッキリとした気持ちの良い目覚めだ。ラジオを聴きつつ手洗い場でシャコシャコと歯磨きをしていると同じ様に歯磨きをしに来たユイが隣にやって来た。
「おはよ」
「おはよう。今日のアビドスの天気は?」
ボクが毎朝ラジオを聴きながら身支度をするのは、SERVAL小隊全員が知っていることだから、こうしてボクに今日の天気やら何か事件があったかなどを聞く事が多い。
「最高気温23度、最低気温16度、湿度28%」
「今日は涼しくなりそうだね」
「だね」
ここアビドスは砂漠に囲まれた街ってこともあって平均気温が高めだ。だから今日の気温はアビドスにとっては涼しい日と言えるだろうね。
「リナ小隊長、ユイさん。おはよございます」
「お、アリナおはよ」
「おはよう」
まだ少し眠いのか、手で口を隠しながら小さく欠伸をするアリナは、水道で顔をバシャバシャと洗い始める。
「ナツキの野郎はまだ寝てるの?」
ユイの問いかけにアリナはタオルで顔を拭きながら答える。ナツキは任務の時などはそう言うことはないが、基本的に小隊内で1番起きるのが遅い。
「私が教室を出る時に起きてたから直ぐに来ると思う・・・そう言えばリナ小隊長、ブイちゃん2機は問題無く指定したルートを飛行して便利屋を偵察してるよ。今の所大きな動きは無し」
「オッケー。便利屋全員が動く様な事があったら後を追いかけて。1人や2人で動いた時は怪しい動きをしている場合はプーちゃんとかを飛ばして監視。怪しくないと判断した場合は無視して良いから」
便利屋の誰か1人が建物から出て行ったのを一々後を追い掛けて監視していたらその間に建物に居る残りの人達の動きが見れないからね。
「了解」
「って言うか24時間画面を見るのはキツくない?」
「大丈夫だよ。目標が何か動いた時はAIが私に教えてくれる様になっているから、それ以外の時は基本放置してるから」
「便利な時代になったねぇ。こう言うドローンが有れば私みたいなスナイパーが何日も同じ所に居座って監視活動をするとか言う地獄みたいな作業もしなくて済むのに」
スナイパーに求められる技術は色々あるけど、その中でも重要度が高いと言われているのが忍耐力。標的を遠距離から一撃で仕留めるって言うかカッコいい姿をイメージしがちだけど、実際のスナイパーは監視や偵察が9割で残り1割が狙撃任務って言われる程地味な仕事で、任務によっては標的が動きを見せるまで何日も同じ所に、銃を構えた伏射の姿勢で待ち続けることもある。
そして、下手に動いて敵に場所が悟られる事が無い様に徹底的に動かない様にする。身体の何処かが痒くなっても我慢。身体を動かしたくても我慢。顔に虫が飛んで来てくっ付いても我慢。腹が減っても我慢か、片手で簡単に食べられる物を食べる。トイレをしたくなったら動かずにそのままする。だから長期の任務の時はオムツが必須だ。そんな感じで標的がやって来る僅かなチャンスの為に永遠に待ち続ける。
そんな地味で大変な作業がスナイパーの仕事。
「でもどれだけドローンとかが発展してもそう言う原始的な方法は意外と無くならないと思うよ」
最新技術が登場したから旧式の物が全部廃れるかって言ったらそうでもない。どれだけ技術が発展しても塹壕は使われて続けているし、これだけドローンの様な無人偵察機の技術が発展しても人間の目を使った原始的な偵察活動だって行われている。
「それは私も思う。でももう少し楽になることを祈るよ」
「んふぁ〜。皆さんおはようさん」
大きく欠伸をしながらナツキがやって来た。寝癖が酷くて髪がボサボサになっているし、黒色のシャツの下はボクサーパンツだけって言うラフな格好と言うよりはズボラな格好でやって来た。でも小隊内ではもう見慣れた光景だからユイも特に注意はしない。
「おはよ」
「おはよう。相変わらずお寝坊さんだね」
「おはようございます。ナツキさん」
「あい、おはようさん。んで小隊長、今日は何か大きな事件は?」
「特に注意する様な事件の情報は今の所無し。まぁ強いて言えば昨日ゲヘナで温泉開発部が幹線道路を吹っ飛ばした影響で今朝の登校ラッシュで大渋滞が発生しているここと、ミレニアムの実験棟の一つで爆発が起きて、謎の紫色の煙が発生して街の一部が視界不良になっているって言う話かな」
「謎の紫色の煙って・・大丈夫なやつなのか?それ」
「さぁ?」
「って言うかナツキ、いつもに増して寝癖酷いよ。何だっけあの・・・モモフレンズのペロペロ?の頭みたいに三つアホ毛が跳ねてる」
「ペロペロじゃなくてペロロね」
「あぁそうそうそれ。あれ、リナって意外とああ言う系に興味があるの?」
私は可愛いものは普通に好きだけど、ペロロはちょっと違うかなって思う。まだウェーブキャットの方が可愛い。
「無いよ。ただ情報として知ってるだけで」
「確かにあんまり小隊長がそう言うのを愛でている姿はイメージ出来ないなぁ」
「それは心外だね。人並みに可愛いものは好きだし、中学の頃にユイにUFOキャッチャーで取って貰ったクマちゃんのぬいぐるみは今でも愛でてるよ」
「・・アレまだ持ってたんだ」
「普通にボク好みの可愛いデザインで好きだったしね」
それに、まだボクじゃなくて私だった頃にユイと遊んでプレゼントしてもらった大切な思い出の品物でもあるしね。別に今のボクが嫌って訳じゃないけど、あの頃の思い出も大切にしたいから。
「へぇ〜なら今度の誕生日にはクマちゃんのぬいぐるみを用意してやるよ」
「ナツキのセンスがボクの好みに合うかちょっと疑問だけどね・・・」
「自分だって女なんだ。何が可愛いかは分かるって」
「アンタはたまたま性別が女だっただけの男だった私は思ってる」
「酷くね?自分にだっていちおう女としてのプライド的なものもあるんだぞ?」
「ならもうちょっと年頃の女の子らしく振る舞った方がいいと思うよ。先ずはそのだらしない格好から治すべきじゃないかな」
まぁ確かに女の子らしい格好とは言えないね。どっちかと言うと休日のおっちゃんに近いかも。
「これも自分のアイデンティティの一つだから変える気はねぇ」
「ダメだコイツ」
そんな会話をしつつ歯磨きを終わらせて一度部屋に戻り、トレニーニング用のジャージを着て身支度を終わらせた後は軽くストレッチをしてからアビドス高校周辺の市街地を走る。
SRTに入ってから体力作りの為に続けている行為だけど、今は体力作り以外の意味もある。それは頭に高校周辺の地理を叩き込む為。ドローンで撮った航空写真から作った地図はあるけど、戦闘中とかで一々地図を見ながら戦うのは非効率。戦闘において地の利があるかどうかはかなり重要な要素になるからね。
そう言うことで体力が続く限り市街地を走っていると、曲がり角から現れた人とぶつかりそうになって咄嗟に避ける。そして、その人物を見て驚いた。ゲヘナ学園の服装を着た、小柄で銀髪のサイドテールが特徴の少女。ムツキだ。まさかエンカウントするとは思っていなかったんだけど。でもまぁ別に会って困る訳じゃ無いしいっか。それに便利屋の人達とは話してみたいと思ってたし。
「お、だれかと思ったら昨日のSRTの隊長さんじゃーん!おっはよー!」
「おはようございます。まさかこんな所で会うなんて思わなかった」
挨拶をしながら耳にワイヤレスイヤホンを付けたまま話すのは流石に失礼だから外してケースに入れてポケットに入れる。
「こんな朝早くからランニング?頑張るねー」
首に掛けていたタオルで流れて来る汗を拭きながら答える。
「SRTは兎に角体力が必要ですからね。そちらこそこんな時間にこんな所で何を?」
って言うかこうして改めて見ると小ちゃいなぁムツキ。149センチのボクよりも身長が低いからね。下手すると小学生と間違われるかもしれない身長だよ。
「んー?まぁ特に意味は無くて天気が良かったから散歩しよっかなーって思っただけ!」
実際何でムツキがわざわざアビドス高校の近くにまで来ているのかは分からないけど、先生と会う為って言う可能性もあるよな。
「確かに今日は天気が良いですもんね。今日のアビドスは最高気温が23度で比較的涼しいみたいですし、散歩日和です。・・そう言えば怪我は大丈夫です?昨日の戦闘はなかなか激しかったですけど」
「優しいね〜心配してくれてありがと!私は大丈夫だよ。ハルカはまだ痣がガッツリ残っちゃっているけど」
至近距離から6.8ミリ弾や12ゲージやら撃ちまくったからなぁ。ごめんねハルカ。こんどお詫びに美味しいものでも持って行くよ。
「それは・・何と言うか申し訳ないです」
「謝んなくて良いよーお互い仕事でやったことだし。って言うか怪我ならそっちの方が酷いんじゃ無い?」
ジャージを着ていてムツキからは見えてないだろうけど、確かにボクの体はあちこちに怪我やら痣やらが出来て、包帯やら絆創膏やら付けているから側から見ると痛々しい見た目になっている。
「いやまぁ・・ボクの場合は自業自得な所もあるので」
ボクの全身の傷はヘルファイヤミサイルの爆発に巻き込まれた事で出来た傷が多いからね。
「って言うか隊長さんは眼鏡っ娘ちゃんと違ってフリーダムに話すんだね。もっと敵対して来ると思ったのに」
「そちらも別に仕事で攻撃して来ただけでこっちを敵視している訳じゃ無いんでしょう?なら別に今は敵視する必要も無いかなって」
「へぇ〜公私をハッキリ別れるタイプなんだ。良いねー私と気が合いそう!」
「なら気が合うついでに誰に雇われているか教えて貰うのは?」
「流石にそれはムリだねー」
「ですよねぇ」
まぁ教えて貰えないのは分かってて聞いたから別に良い。簡単に雇い主をホイホイ言ってたら信頼もクソも無いからね。
「でも隊長さんとは仲良く出来そうだし、今度便利屋に遊びに来てよ!アルちゃんも皆んなも歓迎すると思うからさ」
「良いですね。なら暇な時に小隊の仲間も呼んで遊びに行きますよ」
「待ってるよー。それじゃ、私もそろそろ帰らないとだからバイバ〜イ」
「はい。また会いましょう」
特にたわいも無い会話だったけど、ムツキとサシで話せて僕としては大満足だった。ちょっと緊張しちゃったのはここだけの話。気分としては街中でたまたま芸能人と出会って話したみたいな感じだ。
「・・さて、帰る前にもうちょっと走ろっと」
この興奮を落ち着かせる為にも、ボクはもうちょっと走ってから高校に戻ることにした。
遠回りをして走ったこともあって学校に帰るのが想定よりも遅くなってしまった。校門に到着すると、校門からいかにも防弾仕様ですよって感じのゴツイ見た目の現金輸送車が走り去って行った。
それを対策委員会の面々は恨めしそうな表情で睨んでいる。その隣に居たSERVAL小隊の皆んなと先生はそんな対策委員会に哀れみの目を向ける。カイザーローンが金を回収した後だったか。対策委員会の皆んなは自分達の時間を犠牲にしてバイトやボランティア活動などをして何とか払っている状態。そりゃ睨みたくもなるよね。
「はぁ、今月も何とか乗り切ったねー」
「・・・完済まであとどれくらい?」
「309年返済なので・・・・今までの分を入れると・・・」
「言わなくていいわよ、正確な数字で言われるとさらにストレス溜まりそう・・・どうせ死ぬまで完済できないんだし! 計算してもムダでしょ!」
「・・・・」
この暗い雰囲気の皆んなに話しかけるのはちょっと気が引けたけど、何も言わずに校門を通る訳にもいかないから挨拶する。SERVAL小隊の皆んなにはさっき挨拶はしていたから挨拶は省略する。
「皆さん。おはようございます」
“おはよう。リナ”
「あ、リナさん。おはようございます」
「おはよ〜」
「おはようございます⭐︎」
「・・おはよう」
「ん、おはよう。ランニング?」
皆んな挨拶してくれたけど、セリカはまだご機嫌が斜めみたいだね。腕を組んで溜め息を小さいく吐いている。
「ですね。SRTは兎に角体力を付けないとやって行けないので」
「リナってSRTに入ってからストイックに体力作りしてるよね」
「あんまりSRTに入学したばかりの時は体力に自信が無かったからね」
「なら今度一緒にサイクリングに行く?体力付くよ」
「良いですね。行きましょう!」
シロコと2人っきりのサイクリングって言うのもなかなか楽しそうじゃないか。体力お化けのシロコに付いて行けるかは分からないけどね。
「ところで、今出て行った車ってカイザーローンの?」
「はい。今日が利息を返済する日だったので」
「成る程。利息だけで788万でしたっけ?お疲れ様です」
「前から疑問に思っていたんですけど、カイザーローンはなぜ現金でしか受け付けないのでしょうね? わざわざ現金輸送車まで手配して・・・」
ノノミが疑念をぶつけるが、それは誰も分からず沈黙していた。まぁボクは答えは知ってるし、SRTで学んだ知識を活かして予測することも出来るけど、ここで答えを言ったらその後の歴史が大きく変わってしまう可能性もあるから言わない方が良いかな。
「・・データが残り難い現金の方が向こうにとって都合が良いのかもね」
ボクが言わなくてもユイも同じ様な答えには辿り着いているみたいで呟き、それをセリカが問いただした。
「都合が良いって言うと?」
「カイザーローンが後ろ暗いことをしているかもってことだよ」
欠伸をしながらナツキがそう答えた。それを聞いて皆んながナツキの方を見る。
「まぁ確かな証拠がある訳じゃないし、純粋に古のやり方を続けているだけって言う可能性もあるから絶対にカイザーローンが悪巧みしてるとも言えないけどな。でもカイザー系はあんまり良い噂を聞かないからなぁ」
「・・・・」
そんなことを話す側でじっと走り去った行った現金輸送車を見るシロコにセリカが注意する。
「シロコ先輩、あの車は襲っちゃダメだよ」
「うん、わかってる」
「計画もしちゃダメ!」
「うん・・・」
叱られたシロコは犬のようにペタンと倒して悲しそうな表情になった。可愛い。撫で撫でしたくなるな。
「ま、とりあえず先に解決するべきは、目の前の問題の方でしょ。とにかく教室に戻ろー」
ホシノはショボンとしているシロコの頭を撫でて上げながら教室へ向かった。定例会議があるって言うことで校舎に戻ったボク達は対策委員会の教室にお邪魔してそれぞれパイプ椅子に座った。
「全員揃ったようなので始めます。まずは、2つの事案についてお話したいと思います。最初に、昨晩の襲撃の件です。私たちを襲ったのは[便利屋68]という部活です。ゲヘナでは、かなり危険で素行の悪い生徒たちとして知られています。便利屋とは頼まれたことは何でもこなすサービス業者で・・・部活のリーダーはアルさん。彼女の下に3人の部員がいて、それぞれ室長、課長、平社員の肩書があるとのことです」
アヤネはホワイトボードに大きく便利屋68と書いてから便利屋のそれぞれの顔写真を貼って行き、その下に社長、室長、課長、平社員と書く。
「いやぁー。本格的だねー」
「社長さんだったんですね。すごいです!」
「いえ、あくまでも自称なので・・それで今はアビドスのどこかのエリアに入り込んでいるようです。今朝も会いましたし・・・」
「ボクもランニング中に会いましたよ」
「え⁉︎リナさんも会ったんですか⁉︎」
「たまたまね。それと、便利屋68の拠点もアリナがドローンで調べて分かってます」
「え、そうなの⁉︎」
「詳細は私から」
アリナそう言って手に持っていたタブレットを皆んなに見えやすい様にテーブルの真ん中に置いた。画面には街の中にある建物を写している空撮映像が映っている。
「ドローンで撤退する便利屋68の後を付けた結果、ここから北東に約14キロ行ったこの建物に入って行くのを確認しました。ブイちゃん2機で24時間体制で監視していますが、ここが拠点で間違いなさそうです。食料を買う為だったりで出入りする様子も確認しています」
と言いながらアリナがタブレットを操作して過去の映像を出す。そこには買い物袋を持っているアルと同じく買い買い物袋を持ってアルと話しながら建物に入って行くムツキの姿がバッチリ映っている。
「居場所が分かっているなら直ぐに倒しに行くわよ!」
セリカはアサルトライフルを持って立ち上がり出発しようとするが、それをボクが止める。
「まぁまぁ。気持ちは分かりますが、今はわざと泳がせている状態なんです」
「なんでよ!敵なんだからやっつけないと!」
「確かに今襲撃すれば対策委員会とボク達なら便利屋68をやっつけることは出来るでしょうね。でも、それで全部解決する訳じゃないですよ。便利屋68を雇った黒幕はまだ残っているんですからまた別の似た様な奴らを寄越して来るだけですよ。もしかしたら、便利屋68が負けたことを受けて、対策してぶつけて来るかもしれませんし。まぁ兎に角便利屋68を倒しても大元を潰さないと意味が無いってことです。ならばわざと便利屋68を泳がせて、黒幕を探ると同時にこうして便利屋の動きを監視していれば、もし前みたいに攻撃を仕掛けようとしても事前に対処出来ます」
「はい。便利屋が大きな動きを見せれば直ぐに分かりますので安心して下さい」
「・・なら良いわ」
セリカも納得してくれたみたいで武器を下ろして座り直してくれた。
「ゲヘナ学園では、起業が許可されているの?」
「それはないと思いますが・・勝手に起業したのではないでしょうか」
「あら、校則違反ってことですね。悪い子たちには見えませんでしたが・・・」
「いえ、それが今までかなり非行の限りを尽くしたようで、ゲヘナでも問題児扱いされているようです」
バン!と突然アヤネはホワイトボードを叩いた。
「そんな危険な組織が私たちの学校を狙っているのです!例えアリナさんが監視していると言っても、もっと気を引き締めないといけません!」
「ふん。次に来たら、とっ捕まえて取り調べでも何でもしてやるわよ」
「はい、機会があれば是非・・・」
腕を組んで言ってのけるセリカに、頷くアヤネ。恨みが凄いなぁ。ムツキの煽りが効いてるね。
「ところでアヤネちゃん、何かあったの? 並々ならぬ恨みを感じるんだけど・・・」
「・・・特に何も。いえ、この話は終わりました! 続きまして、セリカちゃんを襲ったヘルメット団の黒幕についてです!」
「露骨に話を逸らしたな・・・」
「先日の戦闘で手に入れた戦略兵器の破片を分析した結果・・・現在は取引されていない型番だということが判明しました」
「もう生産してないってこと? そんなの、どうやって手に入れたのさー」
「生産が中止された型番を手に入れる方法は・・・キヴォトスでは[ブラックマーケット]しかありません」
「ブラックマーケット・・・とっても危ない場所じゃないですか」
「そうです。あそこでは中退、休学、退学・・・様々な理由で学校をやめた生徒たちが集団を形成しており、連邦生徒会の許可を得ていない否認可の部活もたくさん活動していると聞きました」
ブラックマーケットは名前の通りキヴォトスの闇の部分が集まった場所と言える場所だ。色んな理由で学校を辞めて、社会に馴染めなかった生徒達がたむろして独自の生活基盤を確立いる場所。全員ヘルメット団か、それよりも治安の悪い奴らだ。
「便利屋68みたいに?」
「はい。便利屋68も、ブラックマーケットで何度か騒ぎを起こしていると聞きました」
「ブラックマーケットならアンタの出番じゃん」
ユイがそう言ってナツキを肘で叩く。そう、なんとナツキはブラックマーケットに行ったことがある人なのだ!
「え、どう言うこと?」
「ナツキさんはブラックマーケットに行ったことがあるんですか?」
「まぁな」
「え、なんで行ったことがあるんですか⁉︎」
「なかなか手に入らない機関銃を手に入れる為にはブラックマーケットで探すのが手っ取り早いんだよ」
初めてナツキがブラックマーケットに機関銃を買いに行ったって分かった時は流石に驚いたなぁ。まさか機関銃の為にそこまでやるかってユイと一緒に驚いたっけ。
「SRTの隊員がブラックマーケットに行ってるのって問題なんじゃ・・・」
ホシノが苦笑いしながら聞くと、ボクも含めたSERVAL小隊の全員が目を逸らした。もし学園にこの事がバレたら大問題どころの話じゃない。最悪の場合SERVAL小隊は解体されてナツキは退学処分になるかもしれない。
「まぁでもそのお陰でブラックマーケットのある程度の地理とかブラックマーケットでの世渡り方とかは分かってるから任せてくれよ!」
「アンタはもうちょっと反省しろ!」
ベシッとユイがナツキの頭を叩く。
「と言うことで、ヘルメット団の裏に居る黒幕の存在を知る為にブラックマーケットを調査する必要があると思います。事前にネットなどで調べてみましたが、場所が場所なので情報は集まらなかったので直接出向いて調べるしかないと思います」
「よし、じゃぁ決まりだねー。ブラックマーケットを調べてみよう。意外な手掛かりがあるかもしれないしね」
「と言うことでSERVAL小隊各員は出発の用意を。ブラックマーケットは知っての通り無法地帯だから警戒を怠らずに。それと、ボク達がSRTだって悟られない様に記章類は全部外しておいて。バレたら不味いからね。アリナは
「スクランブル用にヘルファイアを2発搭載しているけど搭載したまま飛ばす?」
「だね。もしかしたら
「了解」
「今回はブラックマーケットの地理に一番詳しいナツキ頼りになるから先導は宜しくね」
「おう。任せろ」
「それじゃ各員解散」
いよいよブラックマーケット。まだ行ったことのない未知の場所だから楽しみだ。
次回はいよいよブラックマーケットへ!そしてファウストとの初対面になります!そしてその次はみんな大好き銀行強盗!描きたいシーンが色々あるのでもしかしたらちょっと文字数が多くなるかもしれませんね。
因みに序盤のラジオのシーンは私が昔に見た洋画(ダイハードだったかな?)で陽気なラジオ番組が印象に残っていてそれを元にしました。
それでは今回も最後まで読んで下さりありがとうございます。次回も楽しみに!
ご感想などありましたがお気軽に書いて行って下さい。私のモチベ向上にも繋がるので是非!