偽典・女神転生 幻想郷黙示録 作:キャスディOTP
『合一神 樹島イオリ』 lv 2
《ユニークスキル 最後の怪物》
HP MP 攻撃回数 マッカ20 NEXTEXP 16
60 100 1
物 火 氷 電 衝 破 呪
- - - - - 弱 吸
力 魔 体 速 運
8 8 7 7 7
所持スキル
アギ ザン ブフ ムド
狂いかみつき 毒の液
イオリは自分のステータスを見ながら悩んでいた。《ユニークスキル 最後の怪物》なるものの実態がわからないためである。【アナライズ】によるステータス画面は虚空に出現したタッチパネルを押すことで詳細を開くことができるのだが、《最後の怪物》のスキル説明が要領を得ない
《100の蛇をその身に宿す》
どういう意味だろうか。先ほど
(あきらめるしかないか)
自信と合一した半身の正体は最後の怪物なる得体のしれない存在…。しかし、名のある神話にそんな神様はいただろうか、情報がない今考えるだけ無駄だろう
イホリは遠くに見える小さな人里へと向かって歩き出した。ここから見るに文明は江戸時代後期で止まっていそうな町の発展具合だったが、人影は全くなく、町人が起こす雑音すらも聞こえてこない。戒厳令でも出ているだろうか
そんな
イホリがついそこに触れると、轟音と共に、景色が180℃変わった
「ッツ…!ここは…」
川、それに眼前に聳え立つ巨大な洞。六角形の石畳できた玄武岩の岩壁が垂直状に切り立ち川を囲んでいる
谷川というやつだろうか、崖の下にあって墜ちたわけではい。瞬間移動したのだ、原因はもちろんこの謎の霊脈である
「ん?それ使えるやついたんだ」
「誰だ」
突如声をかけられる。見ると少し離れた場所に岩肌に人為的に張り巡らされたパイプが偏在する場所がある。そこに一人の少女がいた
「まさか、悪魔も入ってくるとはねぇ」
「うわ、なんだそりゃ」
少女は背中に背負った大きなリュックから出る、さながらヘリコプターのような垂直飛行機構で、こっちまで飛んできた
「なんだそりゃってそりゃこっちのセリフだよ。どうやってその
「龍穴というのか、これは?訳が分からないが触ったらこっちに飛ばされたんだ」
「なるほど、起動できるのは神と魔界の悪魔だけか、こりゃ販売ルートに使うのは無理そうだな」
背丈がイホリの半分程度しかない青髪の少女は河城にとりと名乗った。にとりは河童で、龍脈を移動手段として利用できないか画策していたらしい
「ここはどこだ?」
「ここは玄武の沢。妖怪の山の下にある崖からさらに降りた場所にある河童の住まう沢だよ」
妖怪の山、もしかしてやけに日当たりが悪いのは、この真上を覆う壮麗な緑すべてが山とでも言うのだろうか、だとしたら相当に巨大な山である。富士山よりも高いのではないか
「それで、龍穴なんて代物がなぜ玄武の沢と人里を繋げてるんだ?」
「わからない。春頃から幻想郷のあちこちにいきなり湧き出てきて、移動に使ったり、回復に使ったりできるようだが、移動場所を指定できるのか、どういう理屈で回復するのかは知らん」
「使える人物が限られるのか?」
「それもわからない。私が龍穴を使用している人物を見たのは後にも先にも一回だけだ。それも使ったのは、山頂の神だった」
神様…。合一神であることと何か関係があるのだろうか、それをイホリが口にするとにとりは意外そうな顔をしていた
「あんたが神様?最近増えた悪魔とかいう輩じゃないのか?うーんぜんぜんそうは見えないな。徳の高い感じではないしむしろ邪悪な感じだ」
確かに背から漆黒の蛇が二匹も生えた人物など、むしろ神を冒涜する側だろう。イホリは自分のことながらも同意した
「それよりあんた。龍穴を使えるってるなら私..ひいては河童の商売を手伝ってくれないか。瞬間移動が使えるキャリヤーがいたら仕事がだいぶ楽になるんだよ、いずれ幻想郷すべてを牛耳るビジネスとして成長できるかもしれん」
「すまん、それは忙しいから無理だ」
「本当?見るからに暇そうだけど」
「こう見えてもやることがあるんだよ。だから戻る方法を教えてほしいんだが」
妖怪の山なんて物騒な場所の近くに放置されるなんてごめんこうむる
「戻る?うーんもう一回触ればいいんじゃないか、行き先が固定されているなら後はそれらを往復するだけだろう」
「なるほど」
その発想はイホリにはなかった。早速来た龍脈へと戻ろうとするが、「待て」とにとりに呼び止められる
「何?ビジネスの話なら断っただろ」
「あんたマッカ持ってるだろ」
「マッカってこれのことか?」
イホリがガキから奪い取った土星のマークがついた金貨をかざした
「うんうん、それそれ。魔界の通貨らしいけど、金で
そう言ってニトリは笑顔で商品カタログを取り出した。氷結の秘石や電撃の秘石、物理無効の鏡などのどこかで見たことのある単語がついた商品が並んでいた
「えっへん、どうだ。なかなかいい品揃えだろう」
「ほう」
見たことのない代物もある例えばスキルカード、これはなんだろうか
「それはどこかの市場の神が新しく始めたビジネスでな。用途はわからんがどうやらスキル?を増やせるらしい」
「じゃあこの物理反射のスキルカードをくれ」
「それは一つしかないかなり貴重な物だからな。50000マッカだ」
高すぎる、とても払えるものではない
「じゃあ電撃の秘石をくれ」
イオリは自身がもつ魔法で所持していない属性…電撃属性の道具を購入しようとした
「それは30マッカだな」
「なんでだよ、どれも値段が高すぎる。マッカは貴重な硬貨だってさっき言ってたじゃないか」
「純金ならまだしも銅やらニッケルやが入った混じり物。それもこんな小粒じゃねー」
仕方ない。全財産9マッカで購入できるもの何かないだろうか。カタログのくせに値段がかいていない詐欺臭い表示なのでやすそうなものを探してみる
「じゃあこのチャクラドロップをくれ」
それは小さなピンク色の飴玉だった。カタログによると魔力、妖力、霊力、神力を回復すると書いてある
「それはちょうど9マッカ。じゃあまいどあり」
半ば押し売りのような形だったがまぁいい。イホリはそれより聞きたかったこと尋ねることにした
「最後に悪魔という存在。これはどれくらい幻想郷に溶け込んでいる?」
「うーん人妖見境なく襲う奴もいれば理知的な奴もいるし、妖怪とあまり変わらないな。危険度は総合で中くらいかな?」
まだそこまで浸食はしていないようだ。それともやはり外の世界にそれほど多くの悪魔が住み着いているということなのだろう
「わかった、じゃあ世話になった。俺は帰ることにする。龍穴が機能するかはわからないが…」
「あっ、そういえば悪魔を仲間にした奴がいるって噂は聞いたことあるね」
「それは、どうやって?」
「会話が重要なんだって聴いたな。悪魔と会話、悪魔会話。そうそう名前は豊聡耳神子、聖白蓮、二ッ岩マミゾウの三人だ。前者二人は命蓮寺とその近くにある神霊廟に住んでる宗教家で、後者は化け狸さ。興味があったら話を聞いてみてもいいんじゃないか」
「マミゾウが聞いたら仲間じゃない仲魔だ!とか言いそうだが…」
「わかった。探してみよう」
「じゃあね。今度来るんだったらもっとマッカを持ってきなー」
そうしてニトリを別れると、イホリは龍穴を起動させ元の人里近くの森に戻った
静謐な雰囲気…。玄武の沢は素で薄暗かったので気付かなかったが既に夕方の陽は沈んでおり、あたりはほの暗い
少し残った夕陽の赤と青い闇とがまじりあって紫になる空、まさに逢魔が時。強力な悪魔が現れるとしたらこんな時だろう
「キャァァァァァァァァ!!!!」
そんなことを思っているとまさに今悲鳴が聞こえた。人里からだ
イホリは急いでその場へ向かった