【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
〝二人の皇帝〟の十数時間に及ぶ死闘は鬼ヶ島を完全に破壊し尽くし、その戦場はワノ国の大地にまでフィールドを拡げていた。
「キシシシシ…堪んねえなァ…!…」
そう呟くモリアは青白い肌に夥しい量の打撲傷を作り、獰猛な獣の様な牙も何本か欠け、全身の至るところに雷撃によって受けた火傷、暴風のごとき斬擊による刀傷を受けた身体で佇んでいる。
「ウォロロロロ、こんなに暴れるのはいつぶりだ?」
彼の眼前に立つカイドウも大量の打撲傷に加えて刺し傷、引っ掻き傷、自慢の角の一部が欠けた姿で大きく腫れ上った片目のハンデなど気にも留めず、そろそろ終わりが見え掛けている最高の闘争に笑い声を溢す。
ズシリと大地を踏み締める。
モリアは〝角刀影〟で作り出した大刀を両手で握り締め、緩やかに大上段に担ぎ上げ、カイドウは金棒を真横に振り絞り、ギリギリと金棒の柄を力強く握り締める。
「〝降三世〟─────ッ!!!」
「〝倶利伽羅〟────ッ!!!」
二人の〝覇王色の覇気〟は最高潮に達し、全身全霊の〝覇王色〟は大気その物を消し飛ばす勢いで己の武器に注ぎ込まれ、凄まじい黒い稲妻を放つ。
「〝
「〝
天を降ちる青龍の幻影を纏う一撃に、角の生えたトカゲの幻影が食らいつき、バリバリバリッ!!と反発する〝覇気〟の鬩ぎ合いが起こる。
二人とも今のコンディションで振るえる最強にして究極の一撃を繰り出した。その余波はワノ国の大地を砕き、森林を吹き飛ばし、モリアとカイドウを中心に、ゴンッ!ドゴォンッ!と地面は陥没し、巨大なクレーターを作ってしまう。
───辛うじて意識を取り戻した満身創痍のアブサロムは、さながらゴジラやキングギドラ、ガメラなんていう大怪獣を彷彿とさせる天災級の衝撃を〝見聞色〟で体験し、静かに「この世の終わりだ」と緊急事態の現状を悲観しながら、ゾンビ兵に担がれてスリラー海賊団の海賊船に運び込まれる。
「ウォロロロロロロッ!!」
「キシシシシッ!!!」
モリアとカイドウはお互いに攻撃する度に反発し、一瞬でも気を抜けば負ける刹那の瞬間を楽しみ、吹き荒れる〝覇気〟の暴威に闘争の熱を跳ね上げる。
「〝軍茶利龍盛軍〟ッ!!」
「〝
無茶苦茶な動きで金棒を振り下ろすカイドウの攻撃をモリアは人影一体の動きで受け止める。だが、すべての金棒の軌道を悉く往なし、躱すことは出来ず、何度も頭に金棒が叩き込まれる。
「キイィエアッ!!」
「グオォオォオォッ!!!?」
そんな危機的な状況を楽しんでいるかのように果敢に踏み込んだモリアは〝影〟と鏡合わせの状態で〝角刀影〟を振り抜き、カイドウの胴体に十字傷を刻み付け、そのまま同時に倒れ伏す。
「キシシ……シシッ…ずいぶんと〝覇気〟の練りが落ちてきたじゃねえかァ…カイドウ!」
「ウォロロロロロロッ!!……そうだァ…まだだッ、まだオレは満足できてねえッ!!」
モリアもカイドウもお互いに見るも無惨な傷まみれの満身創痍の身体を引き摺って立ち上がり、メキメキと悲鳴を上げる身体に残った最後の力を絞り出し、右拳に〝武装色〟を纏い、一気に拳を振り抜いた────。
メキャアッ!!
お互いの拳はぶつかり、緩やかに二人は沈んだ。
「ウォロロロ…もう一歩も動けねえ…」
「…キシシ…シ…ここまでか…ァ…」
カイドウは満足げに目を瞑り、長く壮絶な死闘の余韻に浸っている傍らに倒れ伏すモリアは五度目の抗争で、ようやくカイドウを降したという事実に満足し、ゆっくりと目を閉じた。
〝第五次百獣戦争、此にて終幕〝─────。