【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

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〝森の勇者〟ウソップン

ウソップがバーソロミュー・くまによってボーイン列島に弾かれた一年ほど経過した頃、彼の肉体は鋼鉄の硬さに覆われていた。

 

ボーイン列島で生活する〝森の勇者〟ヘラクレスンの地獄すら生温い特訓に加えて、自給自足の生活、幸運なのはグルメ食材という。

 

正にこの世の美食をかき集めたのかと錯覚してしまう旨味を宿す動植物、そして気のおける友人のイヤンエーノウ・チノデという少女のおかげだろう。

 

「〝甲虫戦闘術(ビートル・タクティクス)〟の心得!巨大な相手と戦う際、真っ向で受け止めるのではなく攻撃を往なし、その勢いを利用すべし!!」

 

そう言うとウソップは小刻みにステップを踏み、ドスンドスンと地鳴りを伴って迫り来る淡いサクラ色の筋肉質な肉体を持つ70メートルサイズの巨大すぎる蟹〝マックルクラブ〟の振り抜く大鋏を紙一重で躱し、ウソップは大鋏を軽く押してマッスルクラブの体勢を崩す。

 

「〝サイドスクリュースロー〟ッ!!」

 

ウソップは八本足のマッスルクラブの胴体に飛び付き、ガッチリとホールドした状態で海老反りに身体をひねり、巨木を引き抜くが如くマッスルクラブを担ぎ上げ、美しい曲線を描いて後ろ向きにマッスルクラブの頭部を地面に叩き付ける。

 

マッスルクラブが地面に衝突した衝撃は地震かと勘違いするほど凄まじく、ボーイン列島の木々も僅かに揺らぎ、深々と地面にクレーターを作っていた。

 

「うおおぉおぉおっ!!やった、やったぞーーっ!!初めてひとりでオレは猛獣を倒したんだ!!」

 

「ウム、見事な動きだっただん」

 

「ヘラクレスン!やったよ、オレ!」

 

ピクリとも動かないマッスルクラブに歓喜の雄叫びを上げるウソップに話し掛けるのは〝森の勇者〟ヘラクレスンだ。彼はヘラクレスを模した鋼鉄のマスクを被っているが、その声は僅かに震え、愛弟子の成長を喜んでいることが伺える。

 

「ウソップさんの動き、写真じゃなくて映像電伝虫にすればよかったあぁぁ……!」

 

そんな二人の熱い師弟愛の傍ら。

 

完璧に〝甲虫戦闘術(ビートル・タクティクス)〟をマスターしたウソップの動きを撮影していたチノデは悔しそうに涙を流しながら、微妙にピントの合っていない写真にチノデは絶望していた。

 

「まずはウソップンの初勝利を祝してお祝いするのが最優先!チノデンも泣いてないでウソップンに、おめでとうを言ってあげるだん」

 

「うう、そうですよね。おめでとうございます、ウソップさん!さすがは勇敢な海の戦士です!!」

 

「へへ、ありがとな!」

 

チノデの祝福の言葉にウソップは照れ臭そうに笑いながら感謝の言葉を返す。

 

 




〈マッスルクラブ〉

混合獣類

本来はビオトープガーデンの研究所に居る筈の混合種。筋肉質な肉体に反して最高級のズワイガニや霜降り肉の様な芳醇な脂身を持つマッスルな巨大蟹。

〈サイドスクリュースロー〉

出典・甲虫王者ムシキング

ムシキングに登場する必殺技

相手の打撃技を躱して、素早く身体に飛び付き、後ろ向きに投げ飛ばす。人間の技としてはバックドロップ、ジャーマン・スープレックスに近しい動きになる。

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