【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
麦わら海賊団の一流
エンポリオ・イワンコフ率いるカマバッカ王国の劣悪な環境下において必要最低限の生活は送っているけれど。彼の精神は「どっち付かず」の狭間で揺れ動き、かつて生まれ変わったカマバッカ王国の国民〝プリンセス・サンジ〟としての姿に戻り掛けているのだ。
「オレは男だ、オカマじゃねえ…!」
そう言うとサンジはシャツの襟元を締め付けるネクタイを少し緩め、人目を避けるようにヴィンテージ・ジョアの家の屋根に登り、夜空の見える屋根の縁に腰かけて精神安定のために残りわずかなタバコを吸う。
「またタバコを吸っているわね」
「うおっ!?なんだって、ジョアさんか」
ひょっこりと梯子を伝って屋根に上がってきたジョアに驚きつつ、サンジは吸いかけのタバコを消す仕草をするが「アタシは気にしないわよ」と言われ、再び口許にタバコを寄せる。
このモモイロ島にやって来て半年ほど経過し、サンジの精神は男も女も兼ね備えた究極の生命体に到達しようとしているのだが、彼は頑なにニューカマーになる決意を示さず、ひたすら逃げ惑っている。
「なあ、ジョアさんは、どうして……」
「アタシの場合は男も女も関係ないわ。シンプルに美しく強い存在になりたいと想って、イワンコフ様を尊敬しているだけだもの」
「…………はは、ジョアさんはスゴいな。オレは迷ってるんだ、確かにオレはレディを愛すると決めた気持ちにウソはない。でも、オカマになったときに感じた、あの〝トキメキ〟にもウソはこれっぽっちもなかった」
ジョアの言葉にサンジは乾いた笑みを浮かべ、仰向けに寝転んで深く考え込んでしまう。すべてをかなぐり捨ててしまえば簡単に済ませることはできる。
しかし、サンジは尊敬する養父ゼフの言葉や信念を胸に刻み、レディを愛し守る紳士として生きてきた。その影響でそこそこピンチになることもあるが、自分はそういう生き方だと理解しているのだ。
「サンジ君、否定するのは強さじゃないわ。弱さも受け入れてしまえばあなたを高める糧になるし、あの頃のサンジ君は悩みを忘れて幸せそうに笑っていたじゃない」
「そう、そうだな。ジョアさんの言うとおりだ。自分の気持ちをウソを吐いて、否定して生きるのはダメだ。弱さも受け入れて、オレは強くなる…!」
サンジは決心したように立ち上がり、穏やかな笑みを浮かべているジョアに「ありがとう、また助けてもらったね」と呟いて、彼は自分に貸し出された戻った。
そして、次の日────。
「さあ、何処からでも来なさいッ!!」
サンジは再びオカマに戻っていた。