【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
「グラララ、随分と荒れてるじゃねえか」
そうオレの頭を優しく撫でて笑う大きく気高き大海賊を見上げる。彼は、この「ONE PIECE」の世界で孤高の存在たる〝白ひげ〟エドワード・ニューゲートだ。
ずうっと昔の事だが、オレは白ひげ海賊団のキングデューに転生したときは自分の存在に戸惑い、自分はこの世界のいちゃいけない異物だと思っていたし。本物のキングデューみたいになれないと考えていた。
けど、オヤジはオレを受け止めてくれた。
「なあ、オヤジは海賊王以外に負けたことあるか?」
「一度もねえなァ……あるとしても徒党を組んだ海軍に船を潰され掛けたぐらいだ」
「それはそれでやべえだろ!?」
「グラララ、確かにアレはヤバかった」
オレのツッコミに大声を上げて笑うオヤジに溜め息を吐きつつらオレのガントレットを粉々に砕きやがったクソムカつく海軍のフルボディの事をニュースクーの新聞を睨み付けて考える。
「グラララ、ガープのヤツも良い弟子を持ってたな。あれだけ根性と覚悟の決まった海兵は早々見つからねえ。まさに〝拳骨を継ぐ海兵〟だ」
「そういやオヤジとも殴り合ってたよな?オレのパンチとアイツのパンチ、どっちが上だ?」
「キングデュー、お前の拳はフルボディに届いているが……アイツの拳には重みがある。信念、想い、他人を救うために鍛え上げた拳───謂わば活人の拳だ。お前の殺しを由とする拳じゃ届かねえ」
「……人を活かす拳……」
オヤジの言葉にオレは自分の手を見つめる。
確かにオレの拳は白ひげ海賊団の隊長として幾度と無く他勢力の海賊や海軍、ならず者をブチのめし、何百人と葬ってきた拳だ。
人を殺さずに活かす拳には勝てねえな。
「だが、お前も人を活かす事は出来る。現に末の弟を助けるためにマリンフォードに乗り込み、こうして誰一人欠けずに生きているのが証拠だ」
「そっか。ありがとうな、オヤジ」
「グラララ、気にするな。息子の悩みを聞くこともまた父親の役目だ。それにウチの船でフルボディと殺り合えるのはオレかお前だけだ」
「あー、それはなんと無く分かるよ」
そう宣言するオヤジに納得してしまう。マルコやエースはフルボディと戦えるけど、
「オヤジ、オレの父親がアンタで良かった」
「グラララ、嬉しいこと言うじゃねえか」
ガシガシとオレの頭を乱暴に撫で回したオヤジは楽しそうに酒盛りを始めている仲間のところに向かい歩き出す。そんな彼を追いかけるように、オレも歩き出す。
「フルボディ、お前に勝つのはオレだ」
そう静かにオレは魂に誓う。