【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
「フフフフッ。逃げるだけか、フルボディ?」
「グッ!?」
ドフラミンゴの放つ糸の斬撃を受け、オレの肩口は夥しい量の血を噴き出す。クソ、さすがにパンチを打てねえオレじゃあドフラミンゴに勝てないぞ。
「フルボディ、オレが代わる」
「ロシナンテ大将、アイボリー達は!?」
「安心しろ。みんな軍艦に避難済みだ」
「そ、そうですか」
トンとオレの肩を叩いてクールに決めるロシナンテ大将の登場に驚きながらもアイボリーとジャンゴ、他の部下や住民の安全を問えば既に避難しており、ドレスローザに残っているのはオレとロシナンテ大将、そしてドフラミンゴのみだと教えられる。
「ロシナンテ、今さら何のようだ?」
「オレは兄貴を止めに来た」
「お前が、オレを止める?フフフ、フフフフッ!海軍のぬるま湯に浸かっていたお前が、オレを捕まえることが出来ると本気で思っているのか?」
「ああ、今日この場所でオレは兄貴を捕まえる!」
そう宣言したロシナンテ大将を見下ろすドフラミンゴの顔から笑みが消え、ジワリと冷や汗を搔くほど凄まじい〝覇王色の覇気〟をオレは全身に受ける。
「オレはウソが嫌いだッ!」
「〝
ドフラミンゴは両手を振り抜いて糸の弾丸を放つ。
しかし、ロシナンテ大将は臆するどころか冷静にドフラミンゴを見上げたまま、右手を掲げるように突き上げ、パチン!と指を鳴らす。
────すると。糸の弾丸はロシナンテ大将を避けるように地面に突き刺さり、オレを狙っていた筈の弾丸もオレの事を逸れるように地面にめり込んでいる。
「ロシナンテ、今のは何だ。ナギナギの実は〝音を消す〟だけの、たったそれだけの能力のはずだ!?」
「確かにナギナギの実は〝音を消す〟だけだ。だが、音っていうのは世界中に存在している。人に、風に、大地に、海に、ありとあらゆるモノに音は存在する。オレは〝
いや、遮音って音の浸透を妨げるヤツだよな?
そんなことを考えながらオレはロシナンテ大将の説明に悩みつつ、この世界は思い込めば強くなる性質を持っているし、そういうものなのだろうと納得した。
「〝
「ガアァアアァッ!!?」
ロシナンテ大将がまたパチン!と指を鳴らした瞬間、ドフラミンゴは頭を押さえるように掴み、空の上でもがき苦しみ始める。
今度は、なにしたんだ。
「止めろ!この音を止めろオォォーーーッ!!?」
「いいや、無駄だ。兄貴がどれだけ耳を塞ごうと〝騒音〟は皮膚を伝って内部を蝕み、心臓の音さえも地獄の旋律に変える」
「……ロシナンテ大将、何したんですか?」
「それは、ナイショだ」
〈ドンキホーテ・ロシナンテ〉
元海軍元帥秘書および海軍大将
先代海軍元帥センゴクの養子。十年に及ぶドンキホーテ海賊団の潜入任務を終えて、無事に海兵として復帰したものの。トラファルガー・ローを逃がす際にはぐれてしまい、現在はまだお互いに会えずにいる。
そしてドジっ子は健在であり、海軍元帥秘書として働くも度重なるドジを発動し、サカズキ大将の元帥就任と同時に海軍大将に階級を下げることになった。
〝ナギナギの実〟
能力者「ドンキホーテ・ロシナンテ」。本来は音を消す事に特化していた悪魔の実。しかし、どこぞの音楽趣味の転生者の入れ知恵でとんでもない進化を遂げ、覚醒段階に至っている。
〈
本来は音を消すだけだった技。
自分の身体を覆うように音の段差を生み出し、空気の振動(音)を抹消する事で攻撃の軌道(あるいは攻撃の速度を減速させる)を変える。
〈
「凪」の応用技。
相手の身体を防音室の様に変える。だが、通常の防音室のように音を消さずに内部で反響を繰り返し、筋肉の収縮音、骨の動く音、心臓の鼓動する音が大音量で止まることなく聴こえ続ける。